ソードアート・オンライン ~悪魔の剣と光の剣士~   作:桜花 如月

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第53話 スリュムの計画【ニブルヘイム】

俺たちはリズベット武具店を出発し、前にトンキーに運んでもらった隠し通路(階段)を使ってヨツンヘイムへと降りていった。

 

「一体何段あるのよこの階段……」

 

「多分アインクラッドの迷宮区タワー1個分ぐらいはあったかな」

 

(「うへぇ…まじかよ…」)

 

クラインが小声で嫌そうな態度をしてきたが、調べた限りだと……

 

「ノーマルなルートでヨツンヘイムに行こうとしたら、まずアルンから東西南北に何キロも離れた階段ダンジョンまで移動してモンスターと戦いながら奥に進んで最後に守護ボスを倒してようやく到着出来るんだぞ?1パーティなら2時間かかる所をここを降りれば5分だぞ!文句を言わずに一段一段感謝の心を込めながら降りるんだぞ諸君!」

 

「別に、あんたが造ったわけじゃないでしょ」

 

「ご指摘ありがとう」

 

アスナ以外の5人が微妙な顔をしている中、シノンが俺が偉そうに話しているところを訂正してきた。

いたずら程度にシノンの尻尾に手を伸ばし、一言付けて思いっきり尻尾を掴んだ。

 

「あっ……アンタ次やったらその鼻に火矢ぶっ混むからね!」

 

(「恐れを知らねぇなぁ」)

 

階段を降りるまで女子達から冷たい目をされ続けた気がする。

 

────

かくして──

凍てつく地下世界《ヨツンヘイム》に到着した俺たちは象水母(ゾウクラゲ)邪神のトンキーの手助けで聖剣の眠るダンジョンを目指して出発した。

 

「お、お兄ちゃん!あれ見て!」

 

その道中、俺達が見たのは30人を越えようとかというレイドパーティーと凶暴な人型邪神が共闘して《トンキー》の同族を襲う驚愕の光景だった。

 

「人型邪神が協力……?どうして戦闘にならないんだ?」

 

「トンキーの友達………」

 

その答えは戸惑う俺たちと泣きそうなリーファの前に現れた謎の巨大美女によって語られた。

 

『私は《湖の女王》ウルズ、我らが眷属(けんぞく)と絆を結びし妖精よ』

 

(眷属………?)

 

『そなたらに私と2人の妹から1つの請願があります。どうかこの国を《霧の巨人族》の攻撃から救ってほしい。かつてこの《ヨツンヘイム》はソナタらの《アルヴヘイム》と同じように世界樹イグドラシルの恩寵を受け美しい水と緑に覆われていました。我々《丘の巨人族》とその眷属たる獣達が穏やかに暮らしていたのです』

 

(トンキーが眷属ってことなのか………?)

 

『ヨツンヘイムのさらに下層には氷の国《ニブルヘイム》が存在します。彼の地を支配する霧の巨人族の王の《スリュム》はある時オオカミに姿を変えてこの国に忍び込み鍛冶の神ヴェルンドが鍛えた《全ての鉄と木を断つ剣》エクスキャリバーを世界の中心たる《ウルズの泉》に投げ入れました』

 

「エクスキャリバーを……!?」

 

『剣は世界樹の最も大切な根を断ち切りヨツンヘイムはからイグドラシルの恩寵は失われました、王スリュムとその配下の《霧の巨人族》はニブルヘイムから大挙して攻め込み《丘の巨人》を捕獲し幽閉し、かつて《ウルズの泉》だった大氷塊に居城《スリュムヘイム》を築きこの地を支配したのです』

 

『私と2人の妹はとある凍った泉の底に逃げ延びましたが最早かつての力はありません。霧の巨人たちはそれに飽き足らずこの地に今も生き延びる我らの眷属を皆殺しにしようとしています……』

 

「トンキー……」

 

『皆殺しにすれば──私の力が完全に消滅し、スリュムヘイムを上層のアルヴヘイムにまで浮き上がらせることが出来るからです』

 

「お、おいっ!ンなことしたらアルンの街がぶっ壊れちまうだろうが!」

 

王スリュムの目的はアルヴヘイムすらも氷雪に閉ざし世界樹イグドラシルの梢まで攻め上がりそこに実るという《黄金の林檎》を手に入れることらしい。

 

『我が眷属をなかなか滅ぼせないことに苛立ったスリュムはついにそなたたち妖精の力すらも利用し始めました。エクスキャリバーを報酬に与えると誘いかけ、眷属を狩り尽くそうとしているのです、しかしスリュムがかの剣を余人に与えることなど有り得ません、スリュムヘイムからエクスキャリバーが失われる時、再びイグドラシルの恩寵はこの地に戻りあの城は溶け落ちてしまうのですから』

 

「じゃ、じゃあ、エクスキャリバーが報酬って言うのは嘘ってこと?そんなクエストありなの?」

 

『恐らく鍛冶の神ヴェルンドがかの剣を鍛えた時槌を1回打ち損じたために投げ捨てた見た目はエクスキャリバーそっくりな《偽剣カリバーン》を与えるつもりでしょう、十分に協力ですが真の力は持たない剣を』

 

「そんなのずるい……それが、王のすることなの?」

 

『その狡さこそがスリュムのもっとも強力な武器なのです、しかし彼は我が眷属を滅ぼすのに焦り、ひとつの過ちをしてしまいました、配下の巨人のほとんどを誘いによって集めた妖精達によって協力させるためスリュムヘイムから地上に降ろしたのです、今の城の護りはかつてないほど薄くなっています』

 

話を聞いているとリーファの手元にとあるアイテム、メダリオンが現れた。

 

『そのメダリオンの石が全て暗黒に染まる時我が眷属はすべて狩り尽くされ我が力も完全に消滅します、妖精達よスリュムヘイムに侵入しエクスキャリバーを《要の台座》より引き抜いてください』

 

そう言ってウルズは消滅した。

 

「やるしかないよお兄ちゃん」

 

「あぁ、それに元々今日集まったのはあの城に殴り込んで《エクスキャリバー》をゲットするためだから護りが薄いって言うなら願ったりだ」

 

「待っててねトンキー、絶対にあなたの国を取り戻してあげるからね」

 

こうして俺たちは地下ダンジョンへ入っていった。




セリフ多いな……やっぱり多いな。

というかウルズ喋りすぎだ。


次回、激戦が始まる予感…!
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