ソードアート・オンライン ~悪魔の剣と光の剣士~   作:桜花 如月

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第83話 マザーズ・ロザリオ【絶えることのない剣】

明日奈からかかってきた電話の内容。

ユウキの様態が悪化して、一時心肺停止になった所で明日奈に電話がかかってきて、ユウキのいる病院へ行くと、ユウキは再び心臓が動き出し、何とかなったものの、()()()()とユウキが言った後、明日奈にALOへ来てほしいと言われた。

という電話で、和人たちも既にALOにログインはしているらしく、俺と葉月と合流したところでユウキの待つALOの孤島へ向かおう、という話にしたらしい。

 

「葉月、行くぞ」

 

「うん……」

 

────

ラギ目線

 

ALOにログインして俺たちはすぐに央都アルンのリズベット武具店に向かった。

 

「俺達も行くぞ」

 

「いや、待ってくれ」

 

今すぐユウキの元へ向かおうとするキリトを止めた。

 

「できる限りの種族を集めてあの場に向かわせる、あれだけ最強の剣士は二度と現れない、最期を見届けるのは全種族でやるべきだ」

 

「ラギ……わかった、みんなで手分けして各領主に話をつけに行くぞ!」

 

(人の死は残酷なもんだよ……どんな時だって……な)

 

────

スプリガンを除く8種族に話をつけ、全員が揃ったところで孤島に来てくれ、と伝え俺たちは再び合流して9人で向かった。

 

(キリト、リズ、シリカ、エギル、クライン、リーファ、シノン、ラギ、ハヅキ)

 

────

アスナ目線

 

ユウキとの約束の地へ降り立った私は目の前で立つユウキの後ろ姿を静かに見ていた。

 

「あ、アスナ…来てくれたんだね」

 

「ユウキ………」

 

「待っててね……今、渡したいものを用意するから」

 

そう言うとユウキは片手に剣を持って目の前にある木に向けて《オリジナルソードスキル》を放った。

と、同時に紙のようなものを手に取ってユウキはその場に倒れた。

 

「なんでだろう……痛くも、苦しくもないのに……そうだ、アスナ、これ……」

 

「これは……?」

 

「片手11連撃オリジナルソードスキル、技名は《マザーズ・ロザリオ》、きっといつか、アスナを助けてくれるよ」

 

ユウキからオリジナルソードスキルを受け取ったと同時にスリーピングナイツのみんながユウキを囲むように座った。

 

「なんだよ……お別れは…しないって言ったじゃん……」

 

「お別れじゃねぇ!喝入れに来たんだ」

 

「う、うぅ……」

 

「ダメですよ……泣かないって……約束……」

 

「ユウキ、すぐに行くから待ってろよ」

 

「ダメだよ…すぐに来るなんて……」

 

全員がユウキの手を握り、再びユウキを囲むように座ると、見覚えのある9人が飛んできた。

 

────

ラギ目線

 

「あそこか……」

 

孤島に生えた大きな木の根元に先に行ったスリーピングナイツと、アスナ、そしてユウキがいた。

 

「君たちまで……なんで……来てくれたのさ…」

 

「俺たちだけじゃない、見てみろ」

 

俺以外の8人がそれぞれユウキの手を握ってスリーピングナイツの後ろを囲むように座り、俺がユウキの手を握ったとともに空を指さすと、各種族の領主と領のプレイヤー達が一斉に飛んできていた。

 

「妖精さんたちがいっぱい…でも、なんで?」

 

「お前は嫌がると思ったけど、俺たちだけで見送ることの出来る人間じゃない、お前はこの世界で二度と現れることの無い最強の剣士だ」

 

「なんでだろ……涙が……悲しいわけじゃないのに…ボク、ずっと考えてたんだ、生きてる意味ってなんなのか、たくさんの薬や機会を無駄遣いしたボクが生きている理由……でも、アスナやキリト、ラギ達と出会えてわかった気がするんだ……」

 

「アスナ、あとは任せた」

 

「うん」

 

俺はキリト達が座っている場所まで戻り、ハヅキの横に座り、ユウキの方を向いた。

 

「ユウキ……あなたの剣は絶えることは無い、いつまでも、この世界に残っているよ」

 

「ありがと……アスナ……ボク、嬉しいよ…こんなにたくさんの人に見送られて、大好きな人の腕の中で旅を終えられる……」

 

「…………!ユウキ!ユウ……キ……」

 

アスナの手を優しく握ったユウキはそのまま旅立った。

紺野木綿季、プレイヤーネーム《ユウキ》、不治の病に掛かり病院生活がずっと続いていた。

彼女は永遠に語り継がれる伝説の剣士となった。

 

今もまだ、木の根元には絶剣が刺さっている。




もう何も言わねぇよ…
もう、何も言わねぇよ……

ついに、ユウキが旅立った。

────
ということでマザーズ・ロザリオ編が終了です。
次回から……お楽しみに!

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