魔王美樹の大冒険(旧:来水美樹が異世界召喚された件)   作:魔王信者

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12 嘘!私のレベル低すぎ!

 何かを積極的に殺したいとか、壊したいとかは思わない。

 

 しかし殺しても壊しても、何の痛痒も生じない。

 

 愉しいかと問われれば、特に愉しいとは思わない。いや、やはり愉しい部分は否めない。

 

 この部分は、魔王になったのだなと実感するに余りある心の変化だった。

 

 

 

 まあ、強制されないだけ良いかなっ♪

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 ルドラサウム的レベル表記ではLv25となっていた。

 この世界的にもLv20であり、最初はLv1だったのだ。

 

「お前……レベル低すぎ。」

「え?低いの?」

 

 それが始まりだった。

 かの幼女はルドラサウム世界的な表記でステータスを教えてくれた。

 ステータスの自己診断が出来るようだ。

 

「普通……魔王なら、最低200はある。話にならない。」

「そういうジルさんはどのくらいあるんですか!?」

 

「弱体化してたのが、だいぶ回復して…150くらいか。」

「嘘!150!?」

 

 先程やってきた現地軍の兵士を1500人ほど踊り食いならぬ、踊り吸いしたのでだいぶ回復していた。

 そもそも、彼女だって、オークションの町で1000人、先程の軍勢で7000人は倒したがLvはたいして上がっていない。

 曰く必要経験値が多く、Lvが上がりづらいそうだ。

 

「…400くらいは欲しい。」

(前に500くらいあったのに負けたけど。

 あと、目の前の奴はLv25現在でも勝てそうにない。魔王の力が100%あれば余裕で倒せるのに。)

 

「400かぁ~先は長いね。」

「ふむ……(才能限界までは調べられない片手落ち。こいつの才能限界が低ければ…なんとか奇襲で倒せる?)」

 

 協力するフリをして、倒す算段を建てていた。

 そして約束のゲートコネクトを教える傍ら、いいアイデアを思いついたのだった。

 

「ちょ、な、なんで噛み付こうとしたの!?」

 

 幼女が彼女を、そっと噛もうとしていた。

「気付かれたか……ちぇ…」

「ちょっと、そういうの止めて!!」

 

 油断も隙も無かった。

 

 

 

 ~~

 

 

「ゲートコネクトは………うまく…行った。」

 

 魔王技能の一つであるので、コツさえ掴めば容易である。

 ガイもソレを使ってやって来たのだし、帰郷した彼女が覚醒した場合は、自力でルドラサウム世界へ移動できるので、やれない訳がない。

 

「それで、ここですか?」

「そう…それが異界オルケスタ。」

 

「なんか、力がみなぎってきました!」

「……(便乗して512まで上がった。幸先がいい。というか何故才能限界レベルが上がっている?)」

 

 何故か上がった才能限界に疑問を感じつつ、彼女の方に目を向ける。

 さて、こいつの才能限界は如何ほどか――と

 

「あははははは!」

 急速にレベルアップしたため彼女はハイになってしまった。

 

「……えっ?……800…900、止まらない?……え?」

 

 そうこうしていると、突然爆音が鳴響き、天井が崩落した。

 

 上空から砲撃を受けたのだ。うっすらと遠くに天使(エンジェルナイトっぽい姿)の群れが見える。

 奴らが攻撃を仕掛けたのだろう。

 

 なお通常空間でオルケスタと接続した余波で、館内にいる全員が限界レベルまで成長していた。

 爆発の影響で接続が切れ、彼女のレベルアップは止まったがかなり高いLvまで来ていた。

 

「…Lv1023……4桁……倍。」

 

 幼女は天使たちの攻撃を無視し、だいぶ動揺していた。

 

「あはははははははははははは!」

 最高にハイになっていた彼女は天使たちを―――

 

 

 ~~ 選択肢 ~~

――――――――――――――――――

 

A[消えちゃえボムで消し飛ばす]

 

B[ファイヤーレーザーを乱射する]

 

C[時間を止める(止まらない)]

 

――――――――――――――――――

 

 マウスを連打していた関係でBを選択。

 イベントを埋めるためにはオートセーブを利用しなければならない。

 

 

 彼女は崩れた天井から飛び出すと、ファイヤーレーザーを乱射する。

 なお、○色破壊光線は教ってないので、これより上の攻撃は消えちゃえボムになる。

 

 乱射したファイヤーレーザーに貫かれ、天使たちは全員落ちていった。

 

 

 上級天使もまさか、直後の反撃で全滅するとは思っておらず、自身も館の上に落下した。

 

「あー。まだ生きてるんですね」

「ば、化物め。」

「えへへへへ」

 

 上級天使は他よりもかなり強い。それなりに体力があったのが幸いしたのか不幸だったのか。

 

 彼女はハイになった勢いで上級天使に噛み付くと、血を吸い尽くしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「ああーーーーーー恥ずかしい!」

 ハイになっていた時期の事は憶えていたが、明らかな異常行動に顔を隠して床をゴロゴロしている。

 

「…」

 

 比喩表現ではなく、床をゴロゴロしている。

「恥ずかし恥ずかし恥ずかしーーー」

 

 彼女は暫く悶絶していた。

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 神界

 

「なあ娘よ、アレ強すぎないか?」

「父上、滅茶苦茶強すぎですね。」

 

「勇者じゃ勝てなくないか?」

「…無理ですよねぇ」

 

「とりあえず全属性90%カット装備を用意して魔法防御を高めないと即死モノだな。」

「魔法無効とかじゃないと無理では?」

 

「100%は無理だ。一回だけならできるが。」

「システム制約ですか。ままならないですね。」

 

「というか娘よ…我々でも勝てないんじゃないか?」

「まさか、父上なら勝てるでしょう?」

 

「…」

「…」

 

 お互い顔を見合わせる。とてもじゃないが勝てる気がしなかった。

 

「他の神を招集しよう。神の総力が必要になるぞ…」

 

 父神は主神では無いが、それなりに強い神だ。

 その神が勝てないとなれば総力が必要になるだろう。

 

「倒せないならば封印するか。」

「そちらの準備も致しましょう」

 

 倒せないならば問題の先送りも致し方ない話だった。

 二柱は封印場所、封印方法について詰めていく。

 

「ん?なんだ?裸の方が…」

「え?」

 

 ふと見れば幼女が『遠見の魔法』で見ている画面の方を向いていた。

 そしてニヤリと嗤うのだ。

 

「!!!」

「!!!!!」

 

 慌てて遠見を解除する。

 

「み、見られた?」

「気づいてましたね、アレ。」

 

「魔王じゃないほうだぞ、部下もどうなっているんだ!」

「怖い、異世界の化物怖い!」

 

 神すらも恐怖させた。今更だが、この世界は人類だけでなく、神の方もピンチを迎えていた。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「ネットショップは……良いな……」

 

 LvMAXになってやっと対面できるようになった雑魚の人。

 ネットショップでの販売についてアレコレ見ていた。

 

 雑魚Lv220/220

→進化しますか? yes/no

 

 雑魚は進化し、賢者Lv1になった。

 

「出世魚か!」

 

 不遇職が進化、または転職してレア職になるのは基本である。

 

 

 

 さて、かの幼女はネットショップの仕組みを理解した時、不敵に笑った。

 それは、この世界を崩壊させる一つになり得た。

 

「まず、魔王直営店を出せ。小麦を1000倍で……買い取ってやる……売値は2000倍だ。」

 

 システムを掻い潜るための仕組みではあるが、直営店は良く考えられたモノだ。

 

「生き物以外は……該当の……店舗から消費される訳ではない。」

 奴隷や馬、豚牛等は、生きているなら店舗から直に販売されることとなる。

 肉屋に並んだ状態であれば複製される。

「つまり……金さえあれば…なんでも複製できる…という事だ。」

 

 これらは大本の源素をスキル経由で完全コピーしている。

 当然、買えば源素が減る。逆に売れば源素に戻る。

 

「レアな……アイテムを……複製し放題。」

 

 だが例外はある。魔王の血をどうにかして販売したがコピーは出来なかった。

 世界は延命された。

 

「ま、まさかこんな方法があるなんて。」

 雑魚改め賢者君はネットショップの活用に恐れ慄いていた。

 

 

 一般の店舗の値段で小麦を買い、魔王直営店の価格で売る。買い取りする。

 それで999倍利益が出る。

 

 それを元手に一般店舗から小麦を買い、直営店で売る。

 

「無限増殖バグがあるな。パッチが当たる前に変換しまくろう。」

 彼は100兆Gまで増殖させた。アホである。

 

 今の所、複製したいレアモノがないためシステム内にGが貯まっている状態だが、これをすべて放出すれば世界経済も、源素システムも崩壊を免れないであろう。

 

「これで……補給は問題ない。」

 

 予定外に天使が襲撃があり、後始末が大変だったため動きにくかった。

 だが城内の物資枯渇に関しても、ある程度目処がたった。

 

 きっと、何時まででも籠城できるだろう。

 

 

「それで、肝心の私たちの世界に帰りたいのだけど。」

「…私が知っているのは………

 ルドラサウム世界関連。

 ……ほか………いくつかの……異界。

 …チキュー…………なる世界は知らない。」

 

「ええ!?じゃあ、どうやって帰れば…」

 

 

「来たときの…ゲート……ある?」

「教国の首都とかにあったはず。」

 

「なら……それで。」

「よーし、首都に攻め込むんだね。頑張ろう!」

 

 こうして結構軽いノリで首都直撃が決定される。

 

 

 幼女の懸念はこの世界の神である。

 神が許容する。または弱ければこの世界を蹂躙する方向でも良いかなと思っていた。

 

 元の世界には未練は無い。

 自分のモノなど、最早ありはしないのだから。

 

 あの世界は神の遊び場。離れられるならそれに越したことはない。

 あとは自由に蹂躙できる、丁度いいくらいの世界が欲しい。

 

 そうすると、目の前にいる、自分より強いが生ぬるい魔王は邪魔である。

 帰るというなら、帰らせればいい。それで終わり。

 早急にお帰り願いたい所である。

 

 その考えから比較的積極的に幼女は手助けしていた。

 

 

 




容赦のない追撃(オーバーキル)が異世界を襲う。

勢いで書いてるから誤字多い。
すいません。

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