魔王美樹の大冒険(旧:来水美樹が異世界召喚された件) 作:魔王信者
神界
罠を仕掛け異界に追放できた事で父神は安堵した。
「ふう、これで大丈夫。最早戻って来る事もあるまい」
「異界追放できましたね。はぁ…大変でしたね。」
人間たちに天罰を下さないとなぁ~やれやれと打ち上げをしていると…
召喚院に異界の門が開き、彼女らが戻ってきた。
追放したのに、すぐに戻ってきたのだった。
「…」
「…」
「娘よ、異界追放。しても無意味なのか?」
「そのようですね、父上」
二柱は暫く固まっていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ポリポリワン
「ここは一体…」
異界が初めての勇者はこの世界の異様さに驚いていた。
「こんな世界あるんだーへーへー」
彼女はいつもどおりの正常運転である。
「……(じー)」
幼女は勇者を観察していた。
「うう、まさか異世界に追放されるなんて。」
勇者はこの世界に来て絶望していた。
流石の勇者も、魔王と戦う事ならばできるが、異世界から帰る方法は分からない。
「どお?」
ニヤニヤと彼女が勇者を見ていた。
「自分の世界から異世界に来た感想は。」
既に自分はゲートコネクトを習得済みである。慌てることはない。
そも、あの世界への行き方はなんとなく理解していた。
「……」
「もう帰れない。こんな絶望的な状況でね。君たちの世界の国はこう言ったんだよ。『異世界猿め、奴隷にしてくれる』ってね。」
「…そ、そんな。」
こんな絶望するような状況なのに、更に追い打ちをかけてくるのかと、あまりの理不尽さに頭が麻痺するようだった。
「そ、そんな嘘だ…こんな事って無い。ありえない。」
「残念。あったんだよ。」
「なんだそれ……どっちが悪魔で、どっちが被害者だ。」
今までの価値観がすべてひっくり返った気がした。
(責めるなぁ~いいなぁ)
幼女も、責めが甘いなぁと思いつつ愉しんで見守っている。
もう、この魔王が異世界から理不尽を受けた聖者で、悪魔達を蹴散らしている。悪魔たちを根絶やしにしなければならないのだという認識に変わっていった。
「…うあ、うあああああああああああああ!」
彼は勇者になって初めて号泣した。
13歳である、まだ幼さが同居している頃だ。仕方ないことである。
(いいな、キュンキュン来る。)
幼女は泣き声聞いてご満悦のようである。もちろん表情はいつもどおりだが。
それを彼女はやさしく、よしよしと撫でる。
このあたり天然であるから、洗脳している自覚はない。
勇者の認識が書き換わったとしても、どうでもいいと思っており、やりすぎちゃったかなぁー程度の認識である。
幼女ならばもう少し詰って自殺まで追い込みそうではあった。
しばらくして、勇者が落ち着き立ち直った。
加護の精神安定は優秀なのである。
「これから、どうしましょうか」
同じ漂流者として、同道の魔王に聞いてみた。
「そりゃー帰るよ?」
「……(ニヤニヤ)」
「???」
「え、どうやって?」
「こうやって。」
ゲートコネクトを使用し、元の世界と接続する。
「え…?」
「座標さえわかれば、なんとかなるんだよ。」
「ええ!?」
「私は帰りたいし、奴隷された人も帰りたい。
私は座標を探りに来たんだよ。あと、教国はしばく。」
「ぽかーん」
「ね?あとは自分の世界の座標さえ分かれば…」
「え、此方に来た時には分からなかったのですか?」
「来た当初はゲートコネクト使えなかったからね。」
「…」
「さ、帰りましょ…帰るという表現はしたくないかな。」
「…まあ、罠としてはまあまあ…だった。」
こうして彼女らはあっさり帰ってきた。
異世界に移動できない勇者は、ついでに戻ってこれただけだが。
ゲートコネクトが使える者に異界追放をやっても無意味である。
自力で戻ってこれる故に。
別の話として、彼女の故郷についての座標を探るのは大変なのである。
召喚院で予定通り、異界の門、もとい勇者召喚魔法陣を確認していた。
「……やはり、異界の門は……変質化している。
使っても、さっきの世界に戻るだけ。」
「じゃあ、探るしか無いですね。」
「そう…だな…」
「私、自分の故郷へ繋がる道を探します!!」
「がんばれ。(そして、私の前から消え去れ)」
「それで、お願いなんですけど、
私の世界の人たち……保護して欲しいなって」
「……まあいい。丁度……手駒も欲しかった。」
幼女は、とりあえず現地民を虐めて、それに飽きたら残っている異世界人を甚振ればいいと思っていた。
この世界には手下となる魔物も居ないし、片方を仲間にすることで手駒を確保する事を考えている。
「お、おい…何処行くんだ?」
勇者が彼女に答える。
「何って、帰るって言ったじゃない。」
「……」
「放っておけば帰るんだから放っておけばいいのに、無駄なことをするよね。」
「ぐ…」
正直な話、さっさと帰還させればいいのだ。
倒す必要など無い。
「まあ、この国には責任とって貰う感じで潰すけどね。」
「な、それは……やめてくれ」
自分の世界の人々が悪魔に見える。
だがそれでも無垢な人はいる。罪のない人々を救いたかった。
「奴隷にされた人の無念。自殺した人だっているんだよ?それの責任。誰が取るの?」
「……」
「君が取ってくれる?とてもじゃないけど、君が奴隷になったくらいじゃ釣り合わないからね?」
「…」
「(うーん。黙っちゃった。責めすぎたかな?)」
なんだかんだイジメっ子な方面が出てきた。きっとリトルプリンセス方面の性格だろう。
勇者が押し黙ったので、もういいかと幼女が声を掛けてきた。
「……国…狩ってもイイ?」
「あーうん。」
「じゃあ、帰る頃には愉快にしておく。」
「わかった。じゃ行ってくるね!バイバイ!」
黙った勇者と5%魔王に見送られて、彼女は自分の世界探しの旅へと旅立った。
幼女はとりあえず本拠地たる城塞都市へ戻り、奴隷解放で国力を増強すること始めた。
手駒を先に揃える算段だった。
(邪魔者は異世界へ消えた。これからは自由にやる。)
比較的マイルドな彼女が居なくなり、幼女を遮るものはない。
幼女魔王ジルの建国(?)は、今始まった。
勇者は魔王を取り逃がした。
しかし責める者は居ない。
「教皇様、取り逃がしてしまい申し訳ございません。」
「いえ、何度も何度も立ち上がり、挑む姿は心打つものがございました。」
「神のお力による異界追放が不発に終わったのも痛い話ですが致し方ございません。」
「もっと力を付けてがんばります。」
「こちらこそお願いします。私も民も、そして神も貴方の活躍を願っておりますので。」
「はい、ありがとうございます。」
勇者は教皇の前を辞すると、その足で奴隷商館へ赴いた。
「これはこれは勇者様、盾となる戦闘奴隷でもお求めでしょうか。」
「こいつらは、確か異世界猿と聞いたが戦いも出来るのか?」
「ええ、勿論ですとも。結構お強いのが揃っております。」
「……そうか。しかし強いなら反乱を起こされるんじゃないのか?」
「そんな事は起こりえません。この奴隷プレートのおかげで命令に逆らえませんから。」
「……そうか。こんな、すごい奴隷はどこから供給されるんだ?戦争があったとは聞いていないが。」
「異世界猿ですからね、異世界から呼び出して使役するのですよ。結構簡単に使役できますので、皆大好評でございます。」
「……なるほど。わかった。」
「それで、何かご覧になられますか?本日ですと、処女の娘も入荷しておりますよ?」
「いやっ……いい。ちょっと興味が湧いただけだ。盾とか戦力になるなら、買いに来るよ。」
「然様でございますか。ではまたのご来店お待ちしております。」
勇者はすっと裏路地に入ると、地面を殴った。
ドーンと大きな音がして、小さなクレーターができる。
「……本当……だったのか。」
勇者はこの国を。人間を救う意味が無いのではないかと迷い始める。
そしてふらっと、町の外へ出て行った。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
彼女は異世界に到着した。
「…うん、ヤンキーと、ハニワが居る。あの世界だね。」
一気に落胆した。
いや、元の世界へ行く異界の門があったはずだと思い直す。
たしかゼスにあったはず…と。
「でも…なんだろう。
いつもと空気が違う気がする。」
不思議な気がしていたが、現在地を知るため、近くに町があったので寄ってみた。
「こんな町あったっけ??」
看板を読む。
「えーと、ランスロット共和国 ランスロット…
うーん。そんな国あったっけなぁ」
彼女の異世界探訪は始まったばかりだ!
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なお、今はLP4年5月…ゼスは崩壊し、首都は占拠されている。
ゼスで旅するのは大変危険である。もちろん危険なのは魔軍だが。
ヤバイ。イブニクル結構忘れてる。
思い出さねば…あれ?前のPCに入れたんだっけな?どこだ…?