魔王美樹の大冒険(旧:来水美樹が異世界召喚された件)   作:魔王信者

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20 健太郎くんを探して

◇人類死滅率54%

 

 

 

 ふらふらと特に魔物に指示を出すでも無く、前であり新しい魔王は徘徊していた。

 

 現状、第7代と第9代目の魔王兼任という良く解らない状態の魔王だった。

 LP歴は継続された。

 

 先程新しい勇者が現れ、刹那モードがどうとか騒いでいたが瞬殺…いや勇者なので生き延びたが、楽勝だった。

 

「魔法シールドが77枚破られたのは想定外だったかな。もっと枚数増やそう。」

 

 それでも魔王ケイブリスよりか、確実に強かったようだ。

 おそらく、人類死滅率80%を越えなければ倒せないのではと思わされた。

 

 魔軍放置。各地で暴虐と殺戮が吹き荒れている。

 統率するものの居ないソレらを辛うじて人類の少数精鋭が支えている様な状況だ。

 

 滑稽にも、ここ1年健太郎くんを求めて探し回っているが、見つからない。

 当然だ。ケイブリスの居城で死んだのだし、魔血魂も無かったのだから。

 

 この世界にも、元の世界にも何処にも居はしないのだ。

 

 LP9年1月。

 美樹は賢者であり、前に戻り方を教えてもらったホ・ラガの事を思い出し、その住居まで来ていた。

 

「ほう、覚醒した魔王がやってくるとは、どうやらここまでか。」

 自分の生死すら興味が無いのか、生に枯れた老人は美樹を家に招き入れた。

 

「健太郎くんは何処?」

「死んだ。」

 

 美樹の問いに対し、簡潔にホ・ラガは答えた。

 

「嘘…健太郎くんは何処にいるの?」

「すでに魂も回収され、原型も無い。どこかに転生しているかは魂管理局でしか分からぬよ。」

 

「……『私の』、健太郎くんは何処にいるの?」

「……君のは居ない。」

 

「嘘!!!!嘘よ!!何処なの!!!」

「……」

 

 ホ・ラガに縋りつく。顔は既に泣き顔で、顔はくしゃくしゃである。

 

「お願い…教えてよ……健太郎くん…どこ…」

「…」

 

 暫くそのまま、泣いていた。呻いていた。

 

 

 

 一日もした頃、泣き止んでいた彼女はそっとホ・ラガから離れた。

「気は済んだかね。」

「……どうにか、しなさい。」

 

 気など晴れる事は無い。

 悲しみが去れば、その次は怒りだ。

 

 今、彼女にとって人類も何もかもどうでもいい話なのだ。

 健太郎以外の全てがどうでも良い事という感じだった。

 

「…ふむ…」

 殺意を含んだ気配を感じ取った老人は、このまま殺されても良いかと思い始めては居たが、どうにかできる方法は二つあった。

「一つだけ…」

 

 そう言いかけた途端、胸ぐらを掴まれていた。

「……一つだけ方法がある。」

「何、どうすればいいの!?」

 

 物凄い食いつきだ。

(なるほど、此れが藁にも縋る想いという奴か。)

 と、ホ・ラガは納得した。

 

「聖女の子モンスターに、時間を操るものが居る。」

「うんうん」

 

「ゲートコネクトした異界の門。その行先について時間操作してもらうといい。」

「時間操作して…」

 

「過去の異界へまずジャンプする。そして、そこから過去の、この世界に戻ってくる。」

「…健太郎くんが、死ぬ前に、ジャンプしろって事ね。」

 

「その通りだ…」

「…分かったわ。それで、その聖女の子モンスターの名前は?」

「セラクロラス」

 

「せ、セクロス?」

「…セラクロラスだ。」

 ラを抜くと、そうなる。意図的だろうか?(ちょ

 

「セラクロラスね。分かった…」

「せいぜい機嫌を損ねないようにな。」

 

「今どこに?」

「さあ。それは分からない。」

 

「…わかったわ。ありがとう。」

「うむ。」

 

 美樹はそう言うと、ホ・ラガと別れセラクロラス探しに向かう事となった。

 セラクロラスは二次で大人気である。

 

 

 一人で探し回る事一ヶ月。見つからないのに業を煮やす。

「…そうだ!魔物を使いましょう!」

 

 絶対命令権をここぞとばかりに発動する。

 本拠地はリーザス城跡地とした。

 

「聖女の子モンスターのセラクロラスを探しなさい!

 いい、絶対に捕らえたり、攻撃したり無茶しちゃだめだからね!

 したら殺すわよ!」

 

 非常に神経質になって命令を下していた。

 世界は暴虐よりも、セラクロラス探しに傾倒する事となる。

 

 人類への攻撃が止み、こころなしか持ち直す。

 魔物もセラクロラスを探すが、早々見つかるわけもない。

 当然だ、ランスのパーティに居るのだから。

 

 やっとの思いで魔物が見つけても、その端から狩られるのだから仕方ない。

 

 

 美樹に報告が行ったのは、それから半年後の事だった。

「ランス…?誰?カオスの持ち主?ふうん。」

 

 彼女の記憶ではリーザス城でスカートめくりした人というだけなので、記憶には一切残っていない。

 

「よし、その辺の奴ら全員来なさい。逃がさないように包囲するのよ!」

 

 一声かけて本拠地となる村を包囲した。

 美樹の感覚では魔物1000匹くらいでの包囲を考えていたが、

 何をとち狂ったのか、50万の軍勢で包囲していた。

 

 

「ランス!…もの凄い魔物の軍勢で、わんわんの抜け出る隙間も無いわ」

 生き残っていた忍者、見当かなみが偵察から帰って来た。

 

「ら、ランス様…どうしましょう」

「くっ…」

 ヤバいなぁ~と、どうにか逃げる算段を考えている。

 流石にコミケ総動員数並みの包囲では隙があっても抜けれるモノではない。

 

「こりゃあ、敵もなんか知らんが本気って奴だなぁ」

「暴れすぎたって事か?」

 

 話していると魔軍に変化が現れる。

 

 圧倒的な魔力。

 圧倒的な威圧感が近づいてくる。

 魔軍が左右に割れ、ゆっくりと奥から黒い闇のような球体が現れた。

 

 ランス達の前に現れたのは、魔王ケイブリスを軽く蹴散らした魔王リトルプリンセスだ。

 その本気モードの彼女だ。

 

 ずんずんと、目的の村に入る。

 魔物は村を囲うだけで、入ってきていない。単身だ。

 

「美樹様。」

 

 サテラはランスの所に何故か…いや普通に居た。

 魔軍がいきなり集まったので、なし崩しに隠れているが、別に敵対しているわけではない。

 無いはずだった。

 

「美樹ちゃんか。」

「思いっきり覚醒しとるのぉ」

 

 カオスが様子をみるなり断言する。前にケイブリスとの戦いを見るに覚醒している様にしか見えないだろう。

 

 アジトに隠れ、様子を見ていると

 

「……こんにちはーー!

 えーとランスさんいらっしゃいますかー?」

 

 威圧感と魔力はそのままで、少し天然の入った声を張り上げた。

 完全に楽天的な声にはならない。健太郎が居ない状況で彼女自身も追い込まれているのだから。

 とはいえセラクロラスに頼みごとをする関係上、敵対の意思のないような声掛けをしている。

 勿論、大軍勢で包囲しているのが物凄い圧迫感になっているとか、自分の魔力が相手に威圧感を与えているなど、想像もしていない。

 

「……名指しで呼んできているな。」

「どうする?心の友よ。」

 

「(どうするかなぁー)」

 最早やり過ごす事は不可能。ならば単騎で出張っている魔王を倒し、魔軍を撤退させれば…と、不可能事を可能であると信じて考えていた。

 

「またケイブリスの時みたいに命令されると、出ざるを得ないけど。」

 サテラは何のために魔軍が動いているか不明だったため、ランスと一緒に行動していた。

 

 しばらく、じーーーと待っていると…ふとランスと目が合う。

 

「う…」

「どうした?心の友。」

 

「目が合った。…見つかった。」

「そりゃあ…お前さん。やるしかないって事か。」

 

「くっ仕方ない。いくぞ!!!」

「ら、ランス様!」

 

 ランスが表に出ると、ゾロゾロと生き残りの討伐軍が現れる。

 

「あ、やっときた。おーい。」

「…ああ?なんだ、気安いぞ?」

「何だろうのぅ」

 

 ランスが魔剣カオスを肩に、美樹の前までやってきた。

「それで、魔王さんがどういう用件だ?」

 みな、一様に『どう見ても殲滅しに来てるんだろ』と、思っている。

 

「あ、貴方がランスさんですね?」

「ああ?美樹ちゃんそりゃ何の冗談だ?」

 

「???ああ!!」

(そっかー、”私”が会ってるんだ。困ったなぁ。)

 

「御免なさい、別の私が会っていたみたいだけど、この私は会っていないので。」

「……魔王になったら別人って事か。」

 

「いえ、そういう意味ではないんだけど。」

「んーーー

 (さっぱり殺意も敵意も感じ無い。なんだ?

  はっ!そうか、俺に惚れてS〇Xしに来たのか!?)」

 

「えーとその節は私がご迷惑おかけしました。」

 ぺこりとお辞儀する。

 

「(いや、確かに…迷惑はかかったな。シィルも氷漬けになったし。)」

「なんか、魔王っぽくないですよ?ランス様」

 

「あーそうだな。

 それで、一体なんの用なんだ?こんな魔軍で包囲して。」

 

「包囲…あ、みんなにお願いして探してたので…それでみんなで来ちゃった。」

「なんというはた迷惑な…!」

 

「それでですね、セラクロラスさんってそちらにいらっしゃいますか?」

「あーおー?いるぞ。」

 

「会わせてください。お願いします。」

 美樹はぺこりと90度なお辞儀をする。

 

 

 COMPLEAT 実績解除 ★★★★★★『覚醒魔王にお辞儀をされる』 CP+1

 ぱーぱらららーん♪

 

 

「ん……いいぞ。おいガキンチョ!

 おい!」

「ぐー」

 

 寝ているセラクロラスを引き摺ってくる。

「…寝てる…」

「起きんか!」

 ランスはセラクロラスを引っぱたいて起こした。

 

「うわっ!」

 機嫌を損ねたくない美樹はハラハラした目で彼女を見ていた。

 そう思うなら、とりあえず魔力全開を辞めるべきではあるが。

 

「んーなんだよぉ」

 むくっと起きたセラクロラスはキョロキョロと周囲を見る。

「あー魔王美樹かー、またゲート操作?」

 

「???また?」

「こいつ、突然変なことを言う癖があってな。」

 

「はぁ…」

「それでーどうするのー?ここでやるのー?」

 

「出来るんですね!異界の門を操作する事が!!」

「出来るよー」

 

「ま!…待て!

 お前ら何をするつもりだ?」

 

「…」

 じっとランスを見据え、話すべきか考える。

 

「私に会っていたという事で、信じてお話ししますけど。

 私がここに来た時には、私と健太郎くんが死んでいたんです。」

「お、おう…(私と?てことは人間の心の美樹ちゃんが死んだって事か。)」

 

「それで、異界の門を操作して…過去に戻って、

 健太郎くんが死んでない時まで戻って、そして生き延びる未来にするんです。」

「…過去を変える!?」

「そんな事が…」

 

「だから、そこのセラクロラスさんにはゲート操作をしてもらうんです。」

「お友達だからいいよー」

 

「!!!

 ええ、お友達になりましょう!」

 美樹はお友達が一人増えた。

 

「過去に戻ってもよろしくね」

「はい!」

 

「ダメだ!」

「!?」

 

 ランスが突然拒否った。

「俺様の許可なく過去を変えるなど許さん。」

「…えっ?」

 

「ちょ、ランス様!?」

「何を考えてるんだよもう!相手は魔王なんだよ?」

 ランスパーティの面々が叫ぶようにランスに食って掛かる。

 

「俺も連れていけ!」

「はあああああああ!?」

 ランスの周りは混乱した。

 

「…え?」

 美樹は突然の申し出に驚きを隠せない。

 

「俺の女達がいっぱい死んだ。許せん。こんなのはやり直しだ。

 無効だ。ありえない。

 最初から無かったことにしてやる。」

 

「おいおい心の友よ、分からなくはないが大丈夫なのか?」

「がーーはっはっは!大丈夫だ。問題ない。」

 

「じゃあ、操作してもらっていいのよね?」

「いいぞ。」

「やるよー?」

 

 ランスとセラクロラスはそう答えた。

 

「残った奴らも、やり直しだ。行くぞ!」

「え、ええええええ!」

 

 と言っても、10数人しかいない。

 生き延びたのはこれだけなのだ。

 

「そう…行くのね。じゃあゲートコネクト!!」

 美樹はそう言って、影響のなさそうなポリポリワンに繋げる。

 

「じゃー過去に着くようにするよー」

 セラクロラスはそう言って、通過先の日時を変更する。

 

「行ってきます…またね!!」

 

 こうして彼らは過去へ飛んだ。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

行くのは

・ランス(+カオス)

・シィル

・かなみ

・サテラ

・千(+深根、乱義、スシヌ、ザンス・置いてっても死ぬだけなので)

・ビスケッタ

・ナギ

・ピグ

 

 

居残りは

・ベゼルアイ

・セラクロラス

・ウェンリーナー

・ロッキー(暑苦しいから来るなと言われて)

 

 




これで過去改変突入。設定がかぶる?
そこは、申し訳ないとしかかかか…
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