てぃーえすっ♡~男、織斑千冬の自分探し青春ストーリー~ 作:逆立ちバナナテキーラ添え
ファッ!?推薦……!?
初推薦を頂きました。ちょっと嬉しすぎてタチャンカくんを抱き締めたい。(錯乱)
谷原きり様、ありがとうございます!!こんな作品が推薦を頂けるとは、夢にも思いませんでした。
もう少しで完結しますが、どうぞよろしくお願いします。
束と俺の家に向かう途中、首の後ろがむず痒くなって、立ち止まった。
街灯はついていても、民家の灯りが一つもついていない。時間帯としては、家で夕食を食べていて、在宅しているはずだが、何処の家からも人のいる気配はしなかった。
隣で束がため息をついて、肩を竦めて笑った。思わず額に手をやる。いらないことを企てる友人の悪い癖だった。いつか足元を掬われるという忠告は現実になった試しはなくて、いつも地雷をすんでの所で外しながら愉快に飛び回っている。
影からぞろぞろと害虫のように黒い服を着た連中が出てくる。拳銃に消音器をくっ付けて、殺意を隠そうともしないで俺たちの前後を塞いでいる。
「これは前菜か?」
「そう考えて貰っても構わないよ。この間埋めたやつのお仲間だよ。雁首揃えて僕を殺しにきたみたいだねぇ……。こわいなぁ……」
束は茶化してみせるが、彼らも殺意は至極正当なものであって、俺の腕に絡み付かれてもどうしようもない。彼らが束を殺すことは筋が通っていて、とくに止めるつもりはない。
しかし、それはいつもの場合だったらの話だ。
「こいつらは、おまえを殺すことだけが目的ではないのか?」
「僕を殺して、きみを殺して、そして僕たちの計画を潰して、努力の結晶を横からかっ拐うつもりだよ。確か、きみたちは三舫院家とかいうセクションの人間だね。子供相手にむきになるなんて、大人気ないないなぁ」
そこにどんな理由や背景があったとしても、彼らが俺たちがやろうとしていることを阻もうとしているのならば、申し訳ないが死んでもらう他ないのだ。仇討ち、国家や世界の安全のため、大いに結構。だが、俺は彼らを殺す。
恐らくは、彼らも未だ明確な情報を得ているわけではなく、大それたことの予感を感じているだけなのだろう。まずは捕らえて、尋問して吐かせて、それから殺す算段だろうが、彼らは束の掌の上で踊らされていることに気が付いていない。ここに、束の目の前に立てる所まで自力でたどり着いたと錯覚している。
「きみたちの本家に送り付けた爆弾はどうだったかな?喜んでくれたかな?」
「煽るなよ、束。それで、いいのか?」
「うん。どうぞ、思う存分に殺してあげてよ」
拳銃の弾丸は音速には届きはしないものの、十分に速い。目視で避けるといった芸当はそうそう出来るものではないし、そんな真似は映画の中だけで十分だ。だが、自分に向けて発射された弾丸に対して大人しく当たってやってはこちらが死んでしまう。それは目も当てられない。
だから、俺は空に逃げた。横の壁を蹴って射線上から逃れた。そうすれば、少なくとも数瞬の間は蜂の巣にならなくて済む。
重力に引っ張られる途中、電柱を思い切り蹴りつける。僅かな隙、俺たちが跳んだことで出来た空白は致命的だった。俺は後方の集団に突っ込んでいく。幸いにして銃弾は掠りもしなかった。
まずは、着地して目の前にいた男の首を
鳩が豆鉄砲を喰らったような顔を晒している彼らを見て、どちらかと言えば耐性のない気弱なやつがいきなりスプラッター映画を見たようなのでは、と考えてみて、それが今の状況そのままだったことに気が付いて、近くにいた男の喉元に貫手を喰らわせてやった。濡れた感覚を覚えて、ちらりと横目で見てみれば貫通して指先が骨に当たってしまっていた。貫くつもりはなくて、息を詰まらせてやろうと思っていたのだが、予想外に力んでしまった。喉元から血を溢れさせる男をそのまま指先で引っかけながら投げると赤い尾を引いて仲間にぶつかったから、その仲間の目をピースサインで潰した。半狂乱になって銃を乱射しようとするからスライドを抑えて、頭を地面に埋め込んであげる。
ゆっくりと立ち上がると、周りの連中は俺を丸く囲んではいたが、誰もなにかしようとはしてこない。拳銃を構える手がスマホのバイブレーションのように震えて大きく上下している。引き金に指をかけてはいるけれど、うまく引くことが出来ないらしい。そんな隙だらけな小鹿のような彼の眉間に拝借した拳銃で穴を空けた。
俺がまだ篠ノ之流に身を置いて、剣道をやっていた頃の話だ。
ある試合で門下生が勝って喜んでいた。俺はそれを束と一緒にぼうっと眺めていたのだが、なにがそんなに楽しいのか分からなかった。俺には勝ったところで得られるものは腹の足しにもならない名誉と重いだけの鍍金のトロフィーだけとしか思えなかった。
束曰く、達成感だったりそういう感情で心が気持ちよくなるというが、人の感情の機微を語らせるに最も相応しくないやつの言葉は信用に値せず、それってセックスと変わらねぇじゃねぇか、と剣道を習う者にあるまじき暴言を吐いたことを覚えている。
しかし、よく考えてみれば気持ちよくなるというのも頷ける。どう繕ったところで、武道には暴力や力という側面がついてしまう。流派によっては古武術──人間を大勢殺すための合戦場での技術から派生したものだってある。勿論、武道とは神聖なものでもあるし、それを貶しているわけではないが、そのごく一部の側面がクローズアップされると、試合は闘争へと変わってしまう。
闘争。暴力の応酬。合意の上であれ、不本意な喧嘩であれ、そこには快感が付き纏う。ボクシングの試合を観戦していて、応援していた選手がKO勝ちした時の爽快感。いけすかない相手を己の拳で沈めた時に雄としてのヒエラルキーの上位に立ったことを示すような快感。闘争を構成するファクターの一つである暴力に付随する快感は全ての生命に宿っている。
へんに解釈すれば、相手を傷つけて悦ぶ。そんなサディズムを誰しも隠し持っているのではないか。己の力で相手を屈服させて喜悦に入るという、清廉潔白な光景の裏側に潜む性質が穿った見方によって炙り出される。
俺は相川史華が惨めに謝り続ける姿を見て、胸に疼きを感じて、笑い、Aaeを前にしても疼きは増すばかり。そして今も。
足をかけて相手を倒して、その隙に背後で引き金を絞ろうとしているやつの喉元に倒れているやつの胸にあったカランビットを投げる。気の抜けた音と一緒に弾丸は空に飛んでいった。
もう何人死んだのだろう。周りには肉の塊が散らかっていて、足場が悪い。いちいち殺し方に気を遣うことはないから、雑な死体しか俺の方には転がっていない。頭に弾倉にあるだけのホローポイント弾を撃ち込んだものなんて、首から上に植物を移植したようになっていて、とても前衛的だ。現代アートだって大嘘をついて、芸術館にホルマリン漬けにでもすれば、束が足しげく通うことだろう。
束の方はといえば、こちらと変わらずろくでもない有り様だが、幾分か死体は綺麗だった。いつの間にか振るっている刀で優しく撫で斬っているから、血にまみれていても傷は一太刀だけ。これで自分はインドア派だと言うのだから神経の太さも相当に図々しいのだろう。
後ろの状況などどうでもいいが、俺の周りにはとうとう人がいなくなり、最後の一人が地面にへたりこんで失禁してしまっていた。頻りに命乞いを口にする彼を見ていると、一応は裏の者であるはずなのに、そう簡単に敵に命乞いなぞしてもよいものなのか気になってしまったのだが、失禁したと見せかけて命乞いをして油断したところを仕留めるというケースを想定してみて不安になった。だから手にしていた拳銃を全弾撃ち込んで、動かなくなった死体を何度も落ちていたナイフで刺して、腹の中に仕込みがないか確認した。
後ろで断末魔が聴こえて、振り返ると、束があちら側の最後の一人に刃を突き立てていた。天へ伸ばされた手は虚空を掴んで、地に落ちた。そんな男の死体に束は唾を吐いて、足で蹴り飛ばした。
「派手にやったねぇ。ペンキを被ったみたいだよ?」
「おまえだって血まみれじゃないか。怪我はあるか?」
「大丈夫だよ。千冬も大丈夫そうだね」
俺と束は辺りを見回した。
まぁ、なんというか。言えた口ではないが、酷い有り様だった。生々しく臭う肉と鉄くさい灰暗い血。至るところにその人体のパーツが飛び散って、へばりついている。住宅街にしては、彩度がきついな、と思った。時間が経てば、酸化して暗さが増すだろうが、きっと臭いも汚れも頑固だ。苛性ソーダをコンクリートミキサーいっぱい分ぶちまければ、跡形もなくなるだろうが。
「これ、どうするんだ?」
俺が訊ねると、
「放っておくよ。どうせ、誰かが片付けにくるし、そいつらに任せちゃう方がいいに決まってる。面倒くさいし」
束はポケットから出したスマホを血だらけの手でぺたぺた触って、操作している。社会不適合というか、へんな所にばかり拘って、近しい部分で粗野になる。今さら言ったところで、意味はないだろうし、言うつもりもないけれど、食事の付け合わせとしてスニッカーズを食うことと同じくらいに、見ていていらいらした。
フラッシュをたきながら、束は自分たちで作り上げた惨状を撮影していた。まるで、インスタグラムにアップする素材を撮るみたいに、俺と肩を組んでみたり、可愛い仕草で自撮りをしてみたり。それをどうするんだ、と訊いてみれば、束は笑顔で永久保存版にすると言って、はしゃいでいた。
「これはきみが殺した、はじめての第三者だからね」
そう言われてみて、俺は気がついた。彼らは、俺がはじめて殺した赤の他人だったのだ。
しかし、なにも思わなかった。色とりどりの手段で命を奪ったけれど、そこにあったのは、決していいとは言えない手応えと自分が作った屍を数えきれなくなったことで生じた困惑だけだった。
銃で命を奪うより、ナイフで殺す方が負担は大きい。精神的な面での話だ。手応えや感触が伝ってくるし、なによりその命が終わる顔が見えてしまうからだ。それらが手を下した者の心に刻み込まれて、消してしまうことは難しいからだ。
束が夢中になって撮り回っているなかで、ついさっきの出来事を思い出そうとしてみるが、所々がうまく思い出せない。とても印象に残るはずの最後の表情を俺は一つも覚えちゃいなかった。
命のやり取り、こと、奪い合いというものは、存外あっさりしたものだった。
「で、どうだった?」
「なにが?」
「こうやって、大勢、人を殺した感想は、さ。なにか得られたものはあったかなぁって」
「案外、なにも思わないものなんだな。特に目立った、感想なんてものはなかったよ」
本当に?
束の言葉が不思議なほどに響いた。赤黒い世界で、火の粉がひらひら、桜の花びらみたいに舞っているように幻視する。
「疼きは癒えたかい?」
言ってもないことを知っている。でも、束なら俺の心情の揺らぎさえも見透かしていそうだ。
「哀れな女が自分に溺れる姿を見て、俺は笑った」
「Aae、たくさんの人間を殺すことの出来るきみだけの兵器を手にして、疼きは増した」
「殺している最中、昂った疼きは、今はもう感じない……」
「でも、きみは殺している最中はとても
束が見せた画像に写る俺は、血まみれになって、誰かの首をへし折りながら口角を上げて、確かに笑っていた。
そんな自覚はなかった。顔が動いたことにさえ気が付かなかった。俺はただ、無心でこなしているつもりだったのに、本当は笑っていたなんて夢遊病でもないのに、自分をコントロール出来ていないということになってしまう。
周りを改めて見てみると、カサリ、と胸の奥が疼いて、その疼きは痛むほどに強く俺の内で産声をあげた。
俺は静かに、おそるおそる、顔を両手で覆った。
「あぁ──」
笑っていた。
笑んでいた。
左右対称に唇の端は吊り上がって、弧を描いていた。
心の底から、俺は笑えていた。
「それが、きみの本質だよ。他者を貶めて、傷つけて、それを冷笑する。あの女マスターの首を絞めている時だって、笑っていたはずだ。気づいていないだけでね……。言ったじゃないか、僕ときみは同類だって。僕たちは、そこに悦びや快感を見出だしているのさ……」
俺は膝をついて、天を仰いだ。
母さんを殺した時、疼きはなかった。父親を殺した時もだ。それが今となって、悦びを覚えるようになってしまった。
あれが、なにかのきっかけだったのか、それとも元来の性質がここになって表層へ浮かんできたのか。それは分からない。
分からないけれど──。
「さぁ、静かに目覚めるんだ。喜ばしい新世界で」
レクター博士のような言葉に、手を下ろす。
なるほど、心にすとんと填まる音がした。
疼きが止まった。
世界は思ったより、綺麗だったらしい。
「おはよう、千冬」
「あぁ、おはよう。束」
織斑千冬:殺意(悦び)の波動に目覚めたやつ。本性を自覚したからって、凶がれぇぇぇぇぇぇぇとか叫ぶことはない。剣を持たせればキング・ブラッドレイ、槍を持たせればクーフーリン、弓を持たせればアルジュナ、銃を持たせればシモヘイヘなちょっと生まれる世界を間違えたスーパーお兄ちゃん。神座世界か型月時空に行ってくれ。
全盛期の織斑千冬伝説より抜粋
・対ISお兄ちゃん。(刀一本でラファールを一七分割)
・旅行先のコロンビアでおっかねぇねーちゃんと殺し愛になる。紆余曲折の後、そのまま中南米の資産家に丸投げする。数年後、学園にやべーメイドが色んな責任の所在を問い合わせ(鉄血)に主を伴って訪問することになった。
・束「ピクニックに行こう」千冬「行き先は?」束「ゴラン高原」→再発した戦争が集結。数年後に学園に「私がISだ!!」と主張する世界の歪みを正す系少女が入学する。
・核<<<<<織斑千冬
・視線一つで妊娠させ、睨めばビームが出る。
・人類60億人の総戦力<織斑千冬
・リアル人類種の天敵
篠ノ之束:千冬くんが剛ならば、こっちは柔。こいつも十分生まれる世界を間違えた子。最近のマイブームはYAMAでTUBAMEを斬るチャレンジ。真面目に13キロや、を実現させたい。妹の箒ちゃんに不吉な予言を言いまくって、将来が愉しみなこの頃。