to be with...   作:ペンギン13

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本編とは関係しない書き殴りです。
誤字脱字があるかもしれませんが、この日に投稿することに意味があると思いました。
中と外は分けて考えるようにしていますが、今回ばかりは彼女の声に歌声に心からの感謝を伝えたいです。心から心から感謝を。


5.13(番外編)

「リサって、何気に良い声してるよな」

 

「え、何いきなり?」

 

防音扉に取り付けられた窓から見えるロビーは薄暗く、久しぶりに早仕舞いしたCiRCLEにて、すっかり恒例になったRoseliaの練習後のレッスンをしている最中に、ぽろりとリサにそうこぼした。

 

「いや、コーラス単体で聴くことって今までなかったから気が付かなかったんだけど、純粋に良いなって思って」

 

「声を褒められることってあんまりないから、なんか照れちゃうなー」

 

ベースのみでの曲練も随分安定してきたので、そろそろ頃合いかと今日はコーラスも付けた状態でクリックに合わせて練習してもらった。

やはりというか、リズムはよれてしまって途中で止めようと思ったのだけど、予想外の歌声に惹きつけられてしまい、つい演奏を最後まで聴いてしまった。

 

「正直びっくりした、そのうち友希那とツインボーカルとかやってみてもいいんじゃない?」

 

「さすがに友希那の隣で歌うのはキツイって!ベースの方はどうだった?」

 

「ダメだな、やっぱり歌が入るとよれよれだった。今後はここを詰めていこう」

 

「そこは褒めてくれないんだ・・・」

 

出来ない部分を褒めたらマズいだろう・・・。

練習を再開しなければ思うが、何故だかいまいち気が乗らない。今日はベースよりも彼女の歌を聴いていたい気分だ。

 

「リサ、陽だまりロードナイトのボーカルってやれる?」

 

「歌詞は覚えてるけど、友希那ほど上手くは歌えないよ。どうして?」

 

「ちょっと待ってて」

 

小走りでロビーのカウンター内に置いてある、レンタル用のアコギを取りに行く。

たまには私利私欲に走っても罰は当たらないだろう。それに多少の罰が当たったとしても、今はとにかくリサの歌だ。

 

「どうしたの陽さん、なんかちょっとはしゃいでない?」

 

「確かに、正直テンション上がってるかも」

 

「めっずらしい。それアコギじゃん、陽さんギター弾けたっけ?」

 

「多少は。紗夜とかに比べられると泣くけど」

 

付けっぱなしのクリップチューナーの電源を入れて、手早くチューニングを済ませる。

Gのコードを掻き鳴らすとリサがまさか、と顔色を変えた。

 

「ちょっと、ちょっと!アタシに歌わせる気!?」

 

「うん、歌わせる気。コードミスったらごめん、気合で歌い切って」

 

「気合って・・・。ホントどうしちゃったの?」

 

「好きな声ってなかなか出会えるものじゃないからさ、嬉しくて。頼む、1回だけでいいから」

 

俺は好きな楽器の奏者は多いけれど、シンガーとなると実はかなり少ない。女性のボーカルだとジャニスかアレサフランクリンくらいだろうか?パッと思いつくのは。

上手いなとは思う人はたくさんいるが、心に響くかというとそれは別の話で、だからリサの歌声が心の琴線に引っかかって、自分でも驚くくらい気分が高揚している。

 

「・・・仕方ないな。友希那より下手くそだけど笑わないでよ?」

 

「ありがとう、凄く嬉しい」

 

「普段からそのくらい素直ならいいのに・・・」

 

対面に座るリサはベースをスタンドに立てかけて、マイクを手に取った。その姿はなんというかとても新鮮だ。

 

 

 

目と目が合う、1.2.3.4とアコギのボディを軽く叩いてカウント、コードストロークを始める。

少し長めなイントロを終えると、リサの歌声が控えめに響き渡った。

 

確かに友希那の歌声と比べると声量や滑舌は拙い。でもこの曲名と同じ陽だまりのようなリサの歌声が、俺はどうやらとても好きならしい。

ピックを持つ手に力が入る、なんなのだろうこの声は。ハスキーだけれど、どこか年相応の幼さを感じさせる歌声だ。聴いていると不思議と目頭が熱くなってきて、鼻の奥にツンとした痛みが走った。

 

ずっとずっと、この歌を、この声を聴いていたいなと、そう思った。

 

 

 

 

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「はー、緊張したー!どうだった陽さん・・・泣いてる?」

 

「泣いてない・・・」

 

曲の後半はもうぐずぐずだった。視界がぼやけてコードもかなり間違えたと思う。

 

「そっかそっか!アタシの歌が泣いちゃうほど良かったかー!」

 

「泣いてない」

 

袖口で乱暴に目元を拭う。泣いていることがバレバレだが仕方がない。この歌を聴いて泣かないでいられるわけがない。

 

「ねぇ陽さん、もう一回やろう!なんか歌うとスッキリするね!友希那とツインボーカルも、もしかしたらありかも」

 

「じゃあもっとベースも上手くならないとな」

 

「そこで水を差さないでよ・・・。でもベースは陽さんが教えてくれるから大丈夫でしょ?」

 

悪戯っぽい笑顔でそう言われると、俺はなにも言い返せなくなる。

反論の代わりにアコギを構え直してリサの方を見ると、その笑顔が柔らかいものへと変わって、こくりと頷いてくれる。

1.2.3.4先程と同じくアコギのボディを軽く叩いてカウント、コードを掻き鳴らす。

 

いつもはベースの音で満たされているスタジオは、この日だけは、陽だまりのように柔らかなリサの歌声で柔らかく包まれた。

 

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