to be with...   作:ペンギン13

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On Your Way Home

夜の帳が降りた辺りは闇に包まれている。街灯の人工的な光が、闇の染みこんだアスファルトを無機質に照らし、2人の足音と俺が押す自転車の音とが静かに響く。

時刻は22時になる少し前くらい、練習前に約束した通りリサを家まで送り届けるため、俺にとっては馴染のない道を彼女と歩く。

 

「ありがとね、送ってもらっちゃって」

 

「制服の女子高生を、さすがにこの時間にひとりで帰せるわけないでしょ」

 

「制服じゃなかったら送ってくれないの?あ、もしかしてそういう趣味だったり?」

 

「リサは私服だと大人っぽく見えるからなぁ・・・。でもちゃんと送るって。あとからかうな」

 

そっかー、と呟くリサは上機嫌に微笑む。

自転車のかごの中には彼女の学生かばんが入っている。かばんに取り付けられた苦悶の表情を浮かべたうさぎのキーホルダーと目が合いなんだか落ち着かない、そっと位置をずらす。

 

「なんか陽さんってちょっかい出したくなるんだよね。年上なのに絡みやすいっていうかさ」

 

「それなめてるっていうんじゃない?まともに話すようになって大して経ってないのにえらい慣れっぷりだよな」

 

「いやいや、ちゃんと尊敬してるよー先生?今日のレッスンも凄く勉強になったし!」

 

「そういうの面と向かって言われると照れるって・・・。それと先生はやめて」

 

実際今日はリサに散々弄ばれた。恐らく最も巻き込まれたであろう氷川さんは大層心労が溜まったことだろう。今度何かご馳走しよう・・・。

正座させられたり怒鳴られたり散々だったけど、リサの悪戯っぽい笑顔を見るとまぁいいか、と思えてしまうのだから不思議だ。

 

「陽さんって全然怒らないよね。なんでそんな優しくできるの?」

 

「別に優しくはないよ、怒るときは怒る。遅刻したのを注意したら殴りかかってきた女がいてさ。そのときはまー怒った」

 

「それはなかなかスゴい話だね、色んな意味で。それで、その人が彼女さんだったわけだ?」

 

「・・・そういうのじゃなかったよ。ていうか本当にそういう話が好きだな」

 

そりゃー、女子高生ですから!と、得意げに胸を張る。

さらっと今の話題を出した自分に内心驚く。浮かれてるのかもなぁ。

CiRCLEから20分程歩いただろうか、リサがふいに立ち止まる。

 

「送ってくれてありがと、ここがアタシの家。そんでそっちが友希那の家ね」

 

「・・・今度から男に送って貰うときは家の近所までにしときなよ。男なんて基本ストーカー予備軍だと思った方がいいから」

 

「んな極端な・・・。でも陽さんにならストーカーされてもいいかも?」

 

「湊さんの方のストーカーかもしれないぞ?」

 

「そっちかー!」

 

しょうもない会話にふたりして笑い合う。

ほら、とかごに入れていたリサのかばんを手渡すと、彼女ははにかみながら「ありがと」と受け取った。

 

「ねぇねぇ今度休みの合う日、弦買いに行くの付き合ってよ。練習の時、そろそろ交換した方がいいって言ってたでしょ?」

 

「うん、いいよ。弦なら、なるべく早い方がいいか・・・。来週の土曜日って忙しい?この日は1日休みなんだけど」

 

「午前中バイトあるけど、その後なら大丈夫!じゃあ、お願いしちゃっていいかな?」

 

「いいよ、細かい予定はメールでしよう。もうこんな時間だし、明日も学校でしょ?」

 

「うわホントだ、結構話し込んじゃったね。それじゃー今日はありがと!帰り気を付けてね?お休み!」

 

「おー、お休み」

 

「ただいまー」と家の中へ入っていくリサを見送って、俺も家へ帰ることにする。明日は早番なのでシャワーを浴びてさっさと寝てしまいたい。結構歩いたけれど迷わないで帰れるかなぁ。

とりあえず知っている道まで歩くことにしようと、スマホの地図アプリを開く。狙いすましたかのようなタイミング良くメールが1件届いた。リサからだ・・・。

 

「土曜のデート楽しみにしてるね!」

 

星やら何やら煌びやかにデコレーションされたメールは、そんな内容だった。

 

「デートじゃない、早く寝ろ。楽しみにはしてる」

 

対して俺は文字だけのメッセージを返す。絵文字とかを使うキャラでもないだろう。スマホがまたメールを受信する、早く寝ろって。・・・あれ2件?

開くと「そっけないなぁ・・・。よろしくねー!おやすみ」1件はリサからの先程同様デコレーションたっぷりのメール。よく短時間でこんなのが打てるな。

もう1件は・・・。

 

「夜分にごめんなさい。明日の放課後、話しをしたいのだけど空いているかしら?」

 

先程までのメールと比較して非常にシンプルな文字だけのメールは、リサの家のすぐ隣に住んでいるらしい、湊さんからのメールだった。

 




UAがいつのまにか1万を超えておりました。
この機能についてイマイチ理解が出来ていないのですが、沢山の方にこの物語を読んで頂けてることはわかります。
皆様の貴重な時間を割いて、読んで頂けていることに深く深く感謝です。
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