to be with...   作:ペンギン13

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無表情

「友希那ちゃんが家で晩御飯なんていつ以来かしらね!陽くんもいて、こんな大人数の夕飯久しぶりだから、おばさん嬉しいわー!」

 

「急に押しかけてごめんなさい。相変わらずとても美味しいです、おばさんのご飯」

 

テーブルの上には青椒肉絲や唐揚げ、サラダなど、男の1人暮らしではなかなかお目にかかれない手作りの料理たちが、大皿に盛り付けられて並んでいる。

それを今井母子と、友希那、そして俺が囲む。旦那さんは単身赴任中で不在とのことで、後ろめたいことがあるわけではないが正直少しホッとした。

隣に座ったリサはいつもよりも大人しい。

 

「でも急にどうしたの?友希那ちゃん最近は誘ってもなかなか来てくれなかったのに」

 

「ベランダに出たら、窓からリサと陽さんがベースを弾いているのが見えたものだから、たまには、と思って」

 

「そうだったの!リサと陽くん、ちゃんと仲良くしてた?」

 

「ええ、それはもう、とっても」

 

こちらをちらりと見る友希那の視線に背筋が冷えた。リサは我関せずと取り皿に唐揚げをよそっている。カロリーが高めのメニューの中、全員に酢の物の小鉢が行き渡っているのはリサの好物だからだろうか?

 

「陽くん、リサのベースの調子はどう?ちゃんと上達してる?」

 

「はい、リサさんは間違いなく上達してますよ。正直びっくりするくらい」

 

「そうね。私から見てもこの短期間で見違えたわ」

 

「そうやってみんなして褒められると、なんかめっちゃ恥ずかしいんだけど・・・」

 

こういう風に萎縮するリサは珍しく、その様子に頬が緩む。こちらの視線に気づいたのか、リサにキロリと睨まれるが、そんな顔を赤くしていたらちっとも怖くない。

青椒肉絲を口に運ぶ。シャキシャキとした野菜の食感と牛肉の旨みが口の中に広がり、ついつい箸が進んでしまう。スーパーのお惣菜では味わえない、家庭の温かさがそこにはあった。

 

「どう?料理は口に合ってる?嫌いなものとかなかった?」

 

「どれも凄く美味しいです、びっくりするくらい」

 

「1人暮らしって聞いてるけど、自炊はしてるの」

 

「え、ええ。・・・まぁぼちぼち」

 

「チンするカレーばっかのクセに」

 

黙りこくっていたリサがチクリと横やりを入れてくる。チャーハンと野菜炒めくらい作るって言っただろうが。

 

「男の1人暮らしなんだから仕方ないわよ。うちのリサ、これで結構料理作れるのよ?良かったら今度、派遣してあげようか?」

 

「派遣って・・・。年頃の娘を男の家に放り込まないで下さいよ」

 

「そうだよママ。アタシ、作りに行くって言ったけど、押し倒すからダメっていわれたもん」

 

リサの発言に時間が止まる。お母さんはリサの面影を感じる猫目を丸くして驚きの表情。友希那は先程ベランダで見せた表情と同じか、それよりも酷い呆れの表情を浮かべている。

素知らぬ顔で白米を咀嚼するリサの時間だけが揺るやかに進んでいる。

 

「えっと、それなんですけど、言葉の綾というか、決していかがわしい意味じゃなくって・・・」

 

しどろもどろになって言い訳を紡ぎだそうとする俺だったが、その言葉になりきれていない言葉はリサのお母さんの笑い声にかき消された。

 

「あー可笑しい!本当にリサと仲良くしてくれてるんだね、ありがとう」

 

「い、いやお礼を言われるようなことは・・・」

 

「この子ね小さいころからずっと友希那ちゃんにべったりで、ちょっと心配してたのよ。でも安心したわ、ちゃんと女の子してるみたいで」

 

「いや、娘が押し倒すって言われて安心する親がどこにいるんですか・・・」

 

そう言うと、お母さんはまた大きな笑い声を上げた。

 

こうして4人での夕飯の時間は過ぎていった。久しぶりの温かい食事で食べ過ぎてしまったのか、少し胃もたれをしているように感じたが、きっと食べ過ぎなことだけが原因ではないと思う。

終始、会話にあまり参加してこなかった友希那だが、黙々とひたすらに唐揚げを頬張っていた、あの色々小さい体のどこに栄養がいっているのだろう?

全ての栄養がお腹周りにいくことを、ここ最近の恨みを込めてこっそり祈った。




気づいたらお気に入りが400件を突破しておりました。
ロクにお礼も申し上げずすみません、感謝の気持ちでいっぱいです。
評価も気づけば20件を超えておりました。
高い数字の評価ばかりを頂いてしまい恐縮です。しっかり噛みしめてこれからの物語の糧にしていきます。
感想の方もたくさんの投稿ありがとうございます。気の利いたお返事を差し上げることが出来ず申し訳ございません。本当に励みになっております、本当に。
数字を気にすると不純なものが混じってしまうような気がしてあまり見ないようにしているため、今回のようにお礼が遅れてしまうことが、今後もあるかと思いますがご容赦頂ければ幸いに思います。
貴重な時間を割いて、この物語を見てくださって心から感謝致します。
どうかどうか、これからも彼らのことを見守ってやってください。
よろしくお願い致します。
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