とあるレベリング代行者のSAO   作:アルファささみ

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ありきたりなプロローグ

西暦2022年11月6日。現在時刻は午後1時になる少し手前。1人の青年が、頭にヘルメットのようなものを装着し、自室のベッドに横たわっていた。

 

 

彼の名は柚原瑞希。年齢はこの日20歳を迎えた。都内でもそれなりの名門大学に通う学生だ。

 

 

彼の被るヘルメットのようなものの名は『ナーヴギア』。この日の午後1時から正式サービスを開始する世界初のVRMMORPG『ソードアート・オンライン』、通称SAOをプレイするために必要な代物で、彼も勿論そのために待機している。

 

 

ただ、あくまで彼は仮のプレイヤーであり、正規のプレイヤーは柚原大輝、すなわち彼の弟である。

 

 

「用事があるから俺のアカウントでログインしてレベリングしといて!」という無責任な言葉を兄に残して出かけていった元ベータテスターである弟は、午後5時半頃に帰宅する予定らしい。

 

 

お互いの食事時間を考慮してログアウトして弟と入れ替わる時間を6時に決めた彼は、そこまでにどのくらいレベルを上げられるだろうか、と考え、ひとまずそこで思考を中断して時計を見た。

 

 

SAOにはログインするための特定のボイスコマンドがある。視界の端のデジタル時計が13:00を示すのを見届けた彼は、ゆっくりと目を閉じ、その言葉を口にした。

 

 

「……リンク・スタート」

 

 

 

 

 

時を同じくして、埼玉県内のとある一軒家。1人の少年もまた、ナーヴギアを被り、午後1時が来るのを今か今かと待っていた。

 

 

「もうすぐまた行けるんだ…あの世界に…!」

 

 

彼の名は桐ヶ谷和人。世界初のVRMMORPG『ソードアート・オンライン』の元クローズドベータテスターの中学2年生。年齢は一月前に14才を迎えた。

 

 

夏のひとときをSAOのCBTに費やした彼は、すっかりその世界の虜となっていた。

 

 

人付き合いの得意でない彼にとって、アバター名だけでの表面的な付き合いをしながらもその世界の住人となることができ、剣1本でどこまでも進んでいけるそこは、最早もうひとつの現実世界と言っても過言ではなかった。

 

 

ふと視界の端に表示される時刻を見ると、13:00を迎えようとしていた。彼もまた、はやる気持ちをおさえながら、彼の世界へと誘うその言葉を口にした。

 

 

「リンク、スタート…!」

 

 

 

 

 

1人の少女は、その日から長期の出張で家を出ている兄の部屋に忍び込んだ。

 

 

彼女の名は結城明日奈。日本でも有数の総合電子機器メーカー『レクト』のCEOの娘である。年齢は15才。

 

 

彼女の目当てのものは、兄のベッドの上、LANケーブルに繋がれたヘッドギアだった。

 

 

「これが…ナーヴギア…」

 

 

ゲームと名のつくものは携帯端末で無料でインストールできるものを軽く遊んだ程度のものである彼女にとって、まず据え置き型のゲーム機というものが新鮮な物だった。

 

 

しかもそれがフルダイブ技術を利用したVRゲームともなれば、それは未知の物と言って間違いないだろう。

 

 

英単語の'nerve'が神経を意味することを考えれば、神経になんらかの作用を与える物なのだろうと考えはつくが、それ以上のことは彼女にはわからない。

 

 

そもそも、なぜこの日彼女がこの部屋を訪れたのか、その理由は本人ですらよくわかっていない。

 

 

それでも、彼女がここへ来てしまったという事実は、変わりようがない。

 

 

彼女は恐る恐るナーヴギアに手を伸ばし、頭に被った。そして、兄から聞きかじったログインのための言葉を、小さく、しかし確かに口にした。

 

 

「…リンク、スタート」

 

 

 

 

 

こうして、彼らを含むおよそ1万人のプレイヤーは、SAOの世界に旅立っていった。それが、彼らの2年間にも渡る戦いの幕開けだということは、まだ誰も知る由もなかった…。




見切り発車でスタートしてしまった作品です。
なにぶん小説を書くのも初めてなので色々と見苦しいところはあるかと思いますが、何か思うことがあれば感想なりメッセージなりで言っていただければと思います。
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