この空を飛びたくて(仮)   作:サクサクフェイはや幻想入り

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第十一話 更識簪と布仏本音

朝から頭をはたかれ、痛む頭をさすることもできず、授業を受ける。 山田先生のわかりやすい解説で今説明されているのは、ISを装着しているときはシールドバリアに守られているということを簡単に説明していた。 それにコアには意志があり、乗った時間や相性などで、相互理解をしながら進化していくらしい。 と言っても、俺の相棒はもとはと言えば訓練機、初期化と最適化などの機能はオフにしてある。 なので意志もくそもないのだが、大事に乗ることには変わりない。 なんたって、空を一緒に飛ぶ相棒だしな

 

「ですから、ISは道具ではなくパートナーとして考えてください」

 

ちょうど思っていたことを山田先生が言っていた。 これからもよろしくな相棒。 待機状態のブレスレットにふれ、意識を授業に戻す。 見ると、クラスメイトが山田先生に質問をしていた

 

「せんせーい、しつもーん」

 

「はい、なんでしょうか?」

 

「パートナーってことは、彼氏彼女みたいなものですか?」

 

その質問を聞いた瞬間、俺は力が抜ける。 いやまぁ、パートナーって言ったらそういう思考になるのは分かるが、あえて聞くことでもないだろうに。 山田先生は経験がないとか言って、最初はワタワタしていたのに今は体をくねらせている。 妄想にトリップしたようだ。 なんというか、訓練の時の厳しい山田先生を知っているせいか、ギャップがすごい。  そんな山田先生を見てクラスメイトはかわいいとか言ってるし。 そしてこの空気についていけない。 あれか、女子高のノリと言う奴だろうか。 元々が女子高だしな、ついていけない。 結局、授業はそのままチャイムが鳴って終了してしまった

 

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「蒼海君、ちょっと」

 

「はい、何でしょうか?」

 

四時間目の授業も終わり昼の休憩時、教室を出ようとすると山田先生から声をかけられる。 扉の方から手招きされ、それによって行き廊下に出る。 すると、紙束を渡された

 

「あの、これは?」

 

「学園で貸し出しているISの射撃武器類です。 その特性と私のアドバイスが載ってますので、暇なときに目を通しておいてください」

 

驚いた。 昨日の今日でまとめているとは思わなかったからだ。 とりあえず一枚めくり、目を通す。 走り読みだが、結構わかりやすく、それでいて詳しく載っている。 ここまで作るの大変だったのではないだろうか? しかも、学園で貸し出されている射撃武器全部だし。 山田先生を見てみると、にこにこしながらこちらを見ていた。 ・・・・・・本当に頭が上がらない

 

「ありがとうございます。 必ず、全部に目を通しますから」

 

「そ、そこまで気にしなくていいですよ!? 私は生徒の、いいえ。 弟子である蒼海君のお手伝いをしたいだけですから。 早くいかないとお昼ごはん、食べる時間が無くなっちゃいますよ?」

 

「はい!」

 

まとめてもらった資料を失くさないようにしっかりと持ち、購買に急ぐ。 もちろん買うのはサンドイッチで、残りの昼休みの時間は山田先生がまとめてくれた情報を読むのに使う。 流石元日本代表候補と言うべきか、使った感じやアドバイスが的確である。 昨日少し調べたのだが、山田先生は現役時代、銃央矛塵(キリングシールド)と呼ばれており、操作技術もすごかったらしい。 そんな山田先生に師事をし、あまつさえ弟子と呼ばれているのだ、これは負けられない。 色々と負けられない理由もあるので、気になったものをメモし放課後聞くことにした。 しかも学園の貸し出し用だ、すぐに貸してもらえるだろうし

 

「あ!見つけた~!」

 

「本音、ナイスだよ」

 

何やら周りが騒がしい。 別に構わないのだが、もう少し声を小さくしてもらいたいものだ。 こうやって山田先生が時間がない中作ってくれた武器の特性を見ているというのに。 まぁ、それは俺の都合か。 あちらには関係ないものだしな。 なんか知り合いの声に似ていたが

 

「つばっちー!」

 

「蒼海君!」

 

な、なんだ!何故か揺れてる、すごい揺れだぞ!? 何で周りが騒がないのか不思議でならない。 屋上、だからなのか? 確かに地震で上から落ちてくるものがないとはいえ、下が崩れたら一貫の終わりだと思うのだが

 

「「・・・・・・」」

 

ん? 揺れが収まった、のか? これで集中できると思った矢先、頭をはたかれた

 

「いたっ!?」

 

何か首がグキっていきそうだったんだけど!? たたいた奴らに文句を言おうと思い振り向くと、怖い顔をした美少女二人がいた。 本音さんと簪さんだ。 あまりのプレッシャーに俺は怒りを忘れ、下手に出ることにした

 

「あ、あのお二人とも、何か御用で?」

 

「さっきからずっと呼んでた」

 

「無視はひどいよ~」

 

とりあえずプレッシャーはなくなったが、簪さんは頬を膨らませ、本音さんは少し悲しそうだった。 やばい、さっき呼んでたのは俺だったのか。 てっきり他の人だと思ったのだが、どうしよう...... 正直に俺だと思わなかったと言ったら、それはそれで問題だ

 

「あー、その、すまん。 これ読んでて気が付かなかった」

 

そういって山田先生お手製の射撃武器の極意with学園版(勝手に命名したが)を見せる。 嘘は言ってはいない、嘘は。 これを読んでいて気が付かなかったのだ!本当は別の人かと思ってたわけだけど。 効果は抜群で、二人とも射撃武器の極意の方に視線が行く

 

「これ、なに?」

 

「うーん...... あ~!今度のクラス代表戦の~?」

 

「本音さん、正解」

 

本音さんは同じクラスのため察してくれたようだが、その説明を受けてさらに困惑する簪さん

 

「えっと、今度あるのはクラス対抗戦じゃないの?」

 

首をコテンとかしげながら聞いてくる簪さん。 不覚にもときめいてしまったが、気を取り直して説明する

 

「そうなんだけどね。 ウチのクラス三人も代表が出ちゃってさ、それでその代表を決めるために代表戦を行うわけ。 今でも忘れてないぞー、本音さん!」

 

「あはは~」

 

笑って誤魔化しおったぞこの子。 とは言っても、俺ももうそんな気にしていないのでいいのだが。 どっちにしろISの操作訓練はやってたし、その予定が早まっただけだ。 それを聞いて納得したのか、簪さんからはそれ以上追及はなかった

 

「それで二人とも、何か用?」

 

「あ~、そうだった~」

 

「えっと、私の打鉄弐式なんだけど」

 

「あー、うん。 もちろん忘れてないけど、特訓終わってからでもいいかな? 放課後は忙しくて、自分で言ったのに申し訳ない」

 

「ううん!手伝ってくれるだけでもありがたいから!それに本音もいるし」

 

「私に任せろ~!」

 

頭を下げ謝ると、慌てる簪さん。 その横ではだぼだぼの裾を空に向かって突き出し、やる気を見せる本音さん。 何このカオス、自分で作っておいてなんだが。 それと本音さんには悪いのだが、本当に大丈夫なのだろうか? そこはかとなく不安だ

 

「む!つばっちが私のこと不安そうに見てる~!」

 

「いやその、すまん。 とりあえず飴をやろう」

 

「わ~い!」

 

対本音さんようの飴を取り出し上げると、一気に上機嫌になる本音さん。 そんな本音さんの様子に簪さんは苦笑しつつ、俺に近寄り声を潜める

 

「えっと、普段の本音を見てれば不安なのはわかるけど、腕は一流だから。 大丈夫」

 

「まぁ、簪さんが言うならそうなんだろうね」

 

不安か不安じゃないかと問われれば不安だが、簪さんが言うのだから信じよう。 そんな風に俺と簪さんが話していると、本音さんは珍しいものを見たような顔をして、笑い始める

 

「かんちゃんとつばっち、仲いいねぇ~」

 

「ほ、本音!」

 

「わ~」

 

なんか人の周りをぐるぐる回って、鬼ごっこが始まったのだが...... 鬼側の簪さんは顔を真っ赤にしながら追いかけ、本音さんは楽しそうに逃げ回っている。 と言うか、そんなことしてていいのか?

 

「予鈴、なってるぞ?」

 

「いかなきゃ~」

 

「本音!」

 

そんな二人の後を追いかけながら、俺も教室へと急ぐ。 仲良きことは美しきことかな。 二回目か

 

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