2018.6.10 話数修正しました
『俺は世界で最高の姉さんを持ったよ』
「や、やめてくれー!!」
織斑が叫んでいるが、それには構わずビデオが流されていく。 試合後、俺たちは各自の反省会ということで、試合のビデオを流していた。 アリーナの使用時間がと言っていたが、思いのほか時間が余ったらしく、アリーナの中央にホログラムウインドをでっかく表示し、録画していた試合を流していた。 ちなみにこれが最後で、一番最初は俺とオルコットさんの試合が流された。 織斑先生が試合のいい点、悪い点を説明し、それをわかりやすくかみ砕いた説明を山田先生がしていた。 いやー、自分でもわかっているところはあったが、流石ブリュンヒルデ、気が付かなかったところも言ってくれた。 これは後で山田先生と一緒に問題点を洗い出し、織斑先生が言っていたことも加味して、メニューを組んでもらおう。 そんなわけで織斑先生のありがたーい解説も終わり、アリーナの使用時間も少しということもあって解散になった。 なったのだが
「お待ちください!」
クラスのみんなにオルコットさんは声をかけ、この場に残ってもらう。 なぜか織斑先生と山田先生も一緒なのだが、何なのだろうか?
「皆さんに謝りたいことがあります。 この間のクラス代表を決めるときの不適切な発言、申し訳ありませんでした!」
そういって頭を勢い良く下げるオルコットさん。 いきなりのことに、みんなは目を丸くしていた。 まぁ、俺はさっき謝られたからね、そんなことはないけど。 みんなは目が丸くなってるし、オルコットさんは頭をあげないしで話しが進まない。 山田先生や織斑先生を見るが、俺を見ている。 あー、はいはい。 俺がやればいいんでしょ
「オルコットさん、頭を上げて。 みんないきなりのことで困惑してるから」
「ですが......」
中々頭を上げないオルコットさん、どうやら納得いかないようだ。 どうしたもんかなー、こういう子って自分が納得しないと頭上げないからなー。 とりあえずオルコットさんはそのままに、今度はクラスメイトの方に聞いてみた
「オルコットさんはこういってるけど、みんなはどう思う? オルコットさんのこと許せない?」
みんなに聞いてみるが、返事が返ってこない。 困惑しているっていうか、ほとんどの人が引きずってないのだから、こうやって困っているんだと思うのだが。 そんな中、オルコットさんに近づく影が。 本音さんだ
「セッシー、みんなもう怒ってないよ~? こうやって悪いと思って頭下げてくれたし~、それで十分だよね~みんな~?」
独特な喋り方に充てられてか、みんなまばらだが返事をし始める。 その返事が聞こえたのか、ようやくオルコットは頭を上げる
「皆さん...... ありがとうございます」
再び頭を下げるオルコットさんにみんな苦笑しつつ、いいよーと声をかけていた。 一週間前には考えられない光景だな
「織斑先生、山田先生」
「なんだ?」
「なんでしょう?」
顔を上げたオルコットさんの表情は晴れ晴れしていて、吹っ切れたようだった。 その表情のまま、織斑先生と山田先生に話しかける
「今回皆さんに許されましたが、先の発言のことを考えると私はクラス代表にはふさわしくありません。 ですので、私はクラス代表を辞退します」
クラスの中で驚いた声が上がるが、まぁオルコットさんの性格を考えればそうなるかなと予想していた。 そんなオルコットさんを普通の表情で見る織斑先生と、暖かな笑顔で見守る山田先生。 どうやら異論はないみたいだ
「皆さん、そういってくれるのは嬉しいですが。 今回は辞退させていただきます、ありがとうございます」
そういって笑うオルコットさん。 やはり今回の事は気にしていないらしい。 そして、俺と織斑の方を振り向く
「さっき、試合中や試合前に言いましたが、もう一度。 あなた方のことを侮り見下していました、申し訳ございませんでした」
「いや、俺は気にしてないよ? あの時も言ったけどさ」
「そうそう、俺も翼みたいに気にしてないって」
肩を組んでくる織斑だが、俺はそれを外し織斑に向き直る
「なんで織斑が俺と一緒のスタンスなんだよ」
「え? だって、オルコットは謝ってきたから」
「馬鹿か貴様は」
何もわかっていない織斑にため息をついていると、織斑先生が織斑を怒り始める
「ば、馬鹿ってなんだよ千冬姉」
「今のお前にバカ以外の適切な言葉があるのか? お前はあの決闘が決まった時、オルコットに何を言った? お前はオルコットの祖国を馬鹿にしたんだぞ、その謝罪はどうした」
「あ、そうだった。 こちらこそすまなかったオルコット!」
そういってようやく頭を下げる織斑。 自分の発言に対して、それを気が付かないのはどうなんだ? これから先、織斑との付き合いを考えつつ、オルコットさんを見る。 オルコットさんは一見気にしていないように見えるが、たぶん呆れてるのだろう。 表面上にあらわさないだけましだろう。 オルコットさんは織斑を許しつつ、話が終わったのか一歩下がる
「ちょうどいいからここで聞いてしまうか。 蒼海、お前はクラス代表どうする」
「俺も辞退します。 勉強とかも忙しいですし、放課後もちょこちょこやることがありますので」
「なっ!? そりゃあないぜ翼!?」
織斑がわめいているが、全面的に無視させてもらう。 面倒なのもあるが、今言った理由の大半は本当のことだ。 ただでさえ女子より知識面は遅れているし、ISの整備とかなら自信はあるが。 ともかく勉強に放課後は山田先生との訓練、簪さんの手伝いと忙しいのだ。 正直言ってクラス代表なんぞやっている暇がない
「クラス代表は織斑で決まりだ!なに、敗者の意見は聞かん」
「そ、そんなー......」
織斑先生が強引に決め、こうしてクラス代表戦は幕を閉じた。 織斑先生、それはそれでどうなんですか? 助かりましたけど......
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こういう疲れたときはゆっくり風呂に入りたいものだが、いかんせんそんなことをすれば覗きで警察行きだ。 出来るはずもなく、シャワーを浴び部屋へと戻る。 簪さんはベッドで何かを見ているようだ、何を見ているのやら?
「簪さん?」
「あ、蒼海君。 上がったんだ?」
「まぁ、シャワーだしね。 何見てるの?」
「ん」
そういって見せられたのは、俺とオルコットさんの試合だった。 ちょっと待て、何故これがここにある!撮影は...... 禁止されてないはずだが、ここまで画質よく取れるものなのか!? そんな俺の疑問が分かったのだろう、簪さんは答えてくれる
「山田先生に頼んで、本音がもらったみたい」
「本音さんんんん!!?」
またも本音さんに裏切られたでござる、そこまで気にしてはいないけど。 俺との会話もそこそこに、また集中してみ始める簪さん。 そんなに面白いものかねぇ? 簪さんは日本代表候補だし、見ていてそこまで面白いものじゃないと思うが
「見てて面白い?」
「うん。 イギリス代表候補の人は対策も組めるし、蒼海の動きは参考になる」
「マジか」
純粋に驚いているのだが、簪さんは頷く。 まぁ、参考になるのならいいかな? 俺はパソコンを取り出し、今日吸い出したデータをチェックする。 一応、初期化と最適化はできないがデータをとることはできるのでチェックはしているのだ。 そうして時間をつぶしていると、もう寝る時間になっていた
「簪さん」
「うん」
簪さんは何度も見ていた映像を消す。 なので俺は照明を消し、寝ようとする
「嬉しかった」
「ん?」
「私や本音のために頑張ってくれて」
「あぁー......」
オルコットさんに言われて頭に血が上ったやつか。 今思い出すと少し恥ずかしい