この空を飛びたくて(仮)   作:サクサクフェイはや幻想入り

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2018.6.8 誤字修正しました。 報告ありがとうございます

2018.6.10 話数修正しました


第二十二話 アンノウン

織斑先生の声がアリーナに響き渡ると同時に観客席の隔壁が閉じられパニックになる。 我先にと出入り口に殺到しているようだが、一向に人波はひかない。 その時俺はアリーナ内を見れるようにしていた

 

「つばっち、避難!」

 

「蒼海君!」

 

ぐいぐいと引っ張る本音さんと簪さんだが、俺は踏ん張って動かないようにする。 と言うよりも、今動くのはどっちにしても危険だった。 状況を説明しつつ山田先生に通信をつなぐ

 

「まぁ落ち着こう。 俺がなぜアリーナ内を見ようと思ったかと言うと、あの遮断シールドを破った攻撃がまた来ないとも限らない。 この隔壁だって一発持つかわからないほどの熱量だ、それがこっちに来たら防ぐ準備をしてるだけ。 次に避難て言っても出入り口はあの状況だ、避難する以前の問題。 そんなわけで状況を確認するから、待って。 山田先生」

 

「こんな状況なのにすごく冷静ですわね......」

 

そらそうだ。 こんなところで焦っても二次災害になるだけだし、それに出入り口の奴らを見たら頭が冷えた。 オルコットさんは冷静な俺を見て落ち着いたのか、深呼吸をしていた。 山田先生に通信をつなぐと、かなり焦った表情をしていた

 

『蒼海君今どこに居ますか!?』

 

「まだ観客席です。 なんか人が引かないんですけど、なんかあったんですか?」

 

『出入り口のドアがロックされているんです!今教員と三年生の精鋭がクラッキングをしていますが......』

 

「しばらくかかると。 山田先生、ISの使用許可を。 たぶん無理やり開けたほうが速いです」

 

『それはだめだ。 あの未確認のISがどういうものかわからない以上、そこでISを展開すればどうなるかわからないからな』

 

織斑先生が割り込んでそう言ってくる。 確かにその可能性は考えなかった。 だが、いつまでもこの状況と言うのもまずい。 たぶん織斑と鈴さんは時間稼ぎのために戦っているはずだ、時間が長引けば長引くほどこっちが不利になる。 試合をしていたというのもそうだが、あのISのエネルギーがどのくらいかわからない。 こういう時に役立つものとかないだろうか? 拡張領域に入ってるものを思い浮かべるが、いいものが浮かばない。 試しに近接ブレードの葵を出してみるが、かなり重い。 一応持って振ることはできるけどね

 

「つばっち、葵出してどうしたの?」

 

「いや、拡張領域に良いのないかなと思って考えてたけど、全然浮かばなくてただ出しただけ」

 

「待って。 これでロックされてないなら」

 

簪さんの言葉にパソコンを出して見てみる。 一応センサー類のプログラムも開発しているので、起動してみるが反応なし。 周りを見ると、みんな頷いていた

 

「山田先生、出入り口の破壊許可を」

 

『ど、どうやってですか?』

 

「近接ブレード葵で破壊します」

 

『何度も言わせるな。 ISを展開すれば、ロックされる可能性も』

 

「それについては問題ないです。 すでに葵を展開してますがロックされてませんし」

 

『お前、かってにISを』

 

「いえ? 素手で持ち上げてますけど」

 

『はい?』

 

山田先生のポカーンとした声を聴きながら、入り口に向かって歩いていく。 持ち運ぶのも重いし、引きずりながら歩くとギャリギャリ音がして女子が何事かとこっちを見る。 俺のやることが分かったようで、出入り口までの道があいた

 

「と言うわけで、山田先生出入り口の破壊許可を」

 

『構わん、やれ。 だが後で指導室だ、武器とはいえ無断で展開したのだからな。 説教をしてやろう』

 

「わーい」

 

思わず棒読みで返事をする。 良いことしたはずなのに、怒られるとはこれいかに。 まぁ自業自得なので、甘んじてお叱りを受けよう。 扉の前に群がっていた女子に少し離れてもらい、葵を構える。 と言っても、上から思いっきり振り下ろすだけだが

 

「ふっ!!」

 

思いっきり振り下ろすと扉は真っ二つに切れ、出入り口ができる。 女子たちは俺を避けて、我先にと出ていく

 

「開きました。 次の場所に移ります」

 

『すまないがよろしく頼む』

 

「了解」

 

とりあえず避難指示はオルコットさんにしてもらい、俺は次の扉に移る。 そうすればさっきと同じ様に、扉までできたモーゼを通り扉を破壊。 一週回りきり、すべての扉を破壊したことを確認した。 その間にアリーナ内も動いたようだ、どうやら織斑と鈴さんは戦うことを選んだようでアンノウンと戦っていた。 どうも鈴さんが隙を作っているようだが、織斑が生かし切れていないらしい。 それともあのアンノウンがうまいのか、実際に戦っているわけではないのでわからないが

 

「つばっちー!」

 

「蒼海さん」

 

本音さんとオルコットさんが手を振っている。 外に出る前に合流しようということになってたのだが、簪さんの姿がない。 一週して逃げ遅れた人がいないか確認してから来たから俺のほうが遅いはずなのだが、簪さんの姿はなかった

 

「簪さんは?」

 

「つばっちと一緒だと思ったけど......」

 

「一緒じゃないんですの?」

 

そう聞いて猛烈に嫌な予感がする。 急いで簪さんに通信をいれると

 

「簪さん!」

 

『ごめん、そっちに向かえそうにない!』

 

切羽詰まった簪さんの声。 その状況にさっきの予感は正しかったと思いながら、走り出す

 

「つばっち!?」

 

「蒼海さん!?」

 

「本音さんは避難を!!オルコットさんは何とかアリーナまで行ってくれ!嫌な予感がする!!簪さん、今どこ!!」

 

『たぶんこの方向だと、放送室!篠ノ之さんが!』

 

クソ!また篠ノ之さんか!大体において俺に厄介ごとを持ってくるのは、篠ノ之さんか織斑しかいない。 悪態をついている暇もなく、俺は全速力で放送室を目指す。 放送室の直前でそれは聞こえてきた

 

『一夏!!負けないで!!』

 

「クソが!!」

 

開きっぱなしの扉から中を見ると、閃光を背負いこちらに向かってくる織斑の姿が。 その目線は篠ノ之さんしか見ておらず、中で気絶している放送の係りの子たちや、それを抱え守るようにISを展開した簪の姿は見えていなかった

 

「蒼海君、逃げて!!」

 

逃げる? こんな状況で? 簪を置いて? ふざけるな!!織斑は篠ノ之さんを抱きあげ、ビームの範囲外に飛んでいく。 俺はISを展開して簪さんの前に立ち、盾を構える。 瞬間、すごい熱と衝撃が両腕を襲う。 相棒は警告などを出してくるが、そのウインドウをすべて消し衝撃と熱に耐える

 

「あが、っっ!!」

 

左手に持っていた盾は融解したため右の盾の後ろに左腕を隠し、予備の盾を再展開。 だが、これではたぶん盾が持たない

 

「蒼海君、私は大丈夫だから!!」

 

「うるさい!黙ってろ簪!!」

 

右手の盾も融解し、残っているのは再展開した盾のみ。 どうやら保護機能が働いているのか、シールドエネルギーがかなりの勢いで削られていく。 だが、そんな状況でもどくわけにはいかない。 左腕の装甲が解け始める。 すまんな相棒、これが終わったらちゃんと整備してやるから、耐えてくれ!

 

『貴方に力を』

 

声が聞こえた気がした。 聞き覚えのない声だったが、初めて聴いた気がしない

 

『お待たせ、しました!!』

 

聞き覚えがある声がしたと思ったら、閃光と衝撃がやむ。 アンノウンを見ると片腕がなくなっていた。 そして見覚えのある青いのが飛んでいた

 

「なるほどね。 遅くないかちょっと」

 

『これでも急いできたほうなのですが』

 

「まぁ、とりあえず助かったよオルコットさん」

 

多分オルコットさんがライフルで攻撃して、あの片腕を吹っ飛ばしたのだろう。 その割には、アンノウンが静かなのが気になるところだが。 まぁいいか、葵を展開する

 

「蒼海君?」

 

「さっきは怒鳴って悪かった、それじゃあ簪さんを襲おうとしたアイツにちょっくらお灸据えてくる」

 

葵を投げ、蹴り飛ばす。 前よりも機体の動きが良くなったせいか、結構な速度で飛んでいるが、大丈夫だろう。 それをアンノウンはよけようとしたが、オルコットさんのファンネルが邪魔をする。 払い落そうとしているのか、残った片腕のビームを拡散して撃つが当たらない。 その隙に俺はイグニッションブーストを発動しアンノウンに近づく。 左腕が痛いが気にしていられない。 さっき放った葵は見事足に刺さり、アンノウンを地面に縫い付ける。 俺の接近に気が付いたようだが、今度は鈴さんの龍咆を食らっていた。 驚いて鈴さんを見ると、行けと目で言っていた。 俺はそのままイグニッションブーストの切れ目を狙って、二回目のイグニッションブーストを発動し予備の葵で右腕を切り裂いた。 地面に着地しアンノウンを横目で見るが、配線やコードばかりで肌が見当たらない。 それが切られた腕でもだ。 ありえないことだが、これは無人機らしい。 なら

 

「これで終わりだよ!!」

 

俺を攻撃しようとしていたアンノウンの攻撃を避け、攻撃しようとする。 予備の葵はアンノウンの腕を切ったことで折れたようだが、足の葵を抜き一回転して勢いをつけながら頭に葵を突き刺す。 ショートする音とともに機能が停止したようで、俺にもたれかかってきた。 だが俺はそれを支えられず、そのまま倒れると同時に意識を失った

 

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