2018.6.10 話数修正しました
俺は何処かを漂っていた。 いや、俺がそう感じているだけでただ寝ているだけかもしれない。 詳しいことは分からない、なんせ感覚はあやふやで何も見えないのだから。 転生したときでさえこんなことにならなかったのに、どういうことだろうか? まさか死んだとか? まぁ無理したし、仕方ないっちゃ仕方ないんだろうが。 心の残りはたくさんあるが、相棒ちゃんと整備してくれただろうか? 最後の最後で一緒にあんなに無理をさせたのだ、せめて自分の手で整備してやりたかったのだが
『死んではいませんよ』
声が聞こえた。 その声はどこかで聞いたような気がするが、思い出せない。 どうも記憶があやふやだ
『貴方は生きてます、私が守りましたから』
私が守った? そんな記憶はないんだが......
『それでいいんです、私があなたを守ったそれは事実ですから」
よくわからない。 よくわからないが、ありがとう。 俺を守ってくれたならお礼を言わなければいけない、だからありがとう。 声の主のことは依然わからないが、俺がお礼を言うと微笑んだような気がした
『どういたしまして。 そろそろ目覚める時間です』
目覚める時間?
『はい、今のあなたは眠っています。 ここでの会話は夢のようなものと思ってください』
夢、ね
『貴方は起きたとき私との会話を忘れていると思いますが、それでもいいんです。 私は、貴方と会話ができてうれしかった』
期待に添えたようでよかった。 だんだんと声が遠くなってくる。 あぁ、そうか、俺は目覚めるのか
『はい』
誰だかわからないけど、またな
『・・・・・・貴方がそのままで私を必要としてくれるなら、私は必ずあなたと会えます。 ですから、どうか、そのままで』
その声を最後に俺の意識は再び闇にのまれた。 浮いていた感覚がなくなったと思ったら、体が重い。 いや、重いんじゃなくて寝てるんだな。 なんとなくそう思った。 目をゆっくり開ければ、夕日に染まったどこか。 ここはお約束の!
「・・・・・・知らない天井だ」
「「っ!!」」
俺がそう呟けば、息をのむ音がした。 続いて感じるのは手を握られた感触。 両手を痛いくらいに握られている。 視線を向ければ、簪さんと本音さんが目をはらした状態でこちらを見ていた
「どうしたのさ、そんなに目を腫らして」
「誰の、せいだと!!」
「つばっちー!!」
本音さんには泣きつかれ、簪さんには瞳に涙をためながら睨まれた。 本当にどういう状況かわからない。 いまだに靄が少しかかる頭で考えるが、考えがまとまらない。 すると、扉が開く音がした。 そちらのほうに視線を向ければ、見慣れたツインテが
「目が覚めたのね」
「鈴さん?」
扉を閉めると、こちらに歩いてくる鈴さん。 はて、どうやら鈴さんも俺が寝ているのを知っていたようだが、本当になんなんだ?
「その様子だと、何があったか覚えてないみたいね」
俺の顔を見て納得したのか、俺が寝る前の状態を説明してくれた。 そうして俺はようやく思い出した。 無人機が襲来して、それを倒したことを。 簪さんを助けようとして無茶をしたことを
「その顔は思い出したみたいね」
「あぁ、その、ありがとう。 それとごめん、心配かけたみたいで」
「本当だよ!左腕のやけどはひどかったし、ラファールのシールドエネルギーは残り僅か、そこらじゅうボロボロで、心配、したんだよ?」
本音さんが泣きながら俺のことを心配していた。 心配かけたことは申し訳なく思うのだが、君が思いっきり握っているのはそのやけどがひどかった左手だ。 やけどの跡はきれいに治っているが、少し左腕は全体的に痛い
「私も、本当に心配した...... 私のせいで、蒼海君は怪我して、このまま目が覚めなかったらって......」
そう言って泣き出してしまう簪さん。 このまま目が覚めなかったらってそんな大げさな
「大げさなんて思ってるようだけど、あの件から一日たってるのよ。 つまり翼は一日寝てたってわけ」
鈴さん君はエスパーか。 いや、ただ俺の顔に出ていただけだと思うが。 その日の夕方だと思っていたが、どうやら次の日の夕方だったらしい。 それは心配するわけだ。 自分と周りの認識の違いに、思わず苦笑してしまう。 さて確認は済んだし、この泣いてる二人を何とかしないと
「簪さん、本音さん、心配かけてごめん」
二人に手を離してもらい、二人を安心させるように撫でる。 頭をなでるのはあれかなーとか思うし、はねのけられるかとも思ったがそんなことはなく、むしろ顔を跳ね上げた
「簪さんは自分のせいって言ってたけど、俺は自分の意志であそこに向かったんだ。 だから簪さんのせいじゃないよ。 それに、簪さんが向かわなかったらあのままあの二人は死んでたかもしれない。 だからあのことを誇れとは言わない、でも君のおかげで助かった人もいるってことを忘れないで。 それに大本たどれば、篠ノ之さんがいけないわけだしね。 もちろん無人機も悪いが。 だから簪さん、そんなに自分を責めないで。 本音さんも、心配かけたと思うけどさ、こうやって五体満足で帰ってきたし、許してよ」
そう言って謝ると二人とも涙をあふれさせ、俺に抱き着いてきた。 これは、どうすればいいんでしょうか? 鈴さんに視線を向ければ、何故か呆れられていた。 何故に?
「この女たらし」
「酷くないか!?」
「まぁいいわ、私織斑先生呼んでくるから」
そう言って部屋から出ていく鈴さん。 ちょっと待て!せめてこの二人を何とかしてから行ってくれ!!そんな俺の思いは通じず、無情にも扉は閉まってしまう。 まぁ、泣かれているものは仕方ないので、そのままにすることにした。 泣いている間ずっと撫でていたが、やがて落ち着いてきたのか声は聞こえなくなる。 それどころか
「寝てるよ......」
安心したのか、二人とも寝てしまった。 まぁ、心配かけたわけだし仕方ないといえば仕方ないが...... 流石にこの空気で手を出すということはないが、この状況を第三者に見られるのは非常にまずい。 おもに、俺の評価的な問題で。 幸いなことに、服をつかんで泣いていたのだが、寝ると同時に力が弱まったのか、簡単に取れた。 隣のベッドに簪さんと本音さんを寝かしつけ、俺はもとのベッドに戻る。 一日中寝ていたためか、体が少しだるい。 それと他には本音さん曰く、酷いやけどを負っていた左腕だ。 さっきも思ったが、やはり全体的に少し痛い。 まぁ、あのやけどがこんなにきれいに治るなら、少しの痛みくらいどうってことないのだが。 このくらいの痛みなら、今日は安静にしていれば明日には問題ないはずだ。 それにしても、相棒もボロボロだと本音さんは言っていた。 無理をさせてしまった相棒を労わるという意味で整備したいのだが、鈴さんは織斑先生を呼んでくるといってたし、ここを離れるわけにはいかない。 近接ブレードの無断展開に簪さんや放送の係りの子たちを守るためにISの無断展開、説教だけでは済まないんだろうな...... しかも学校から借りたISを大破まではいかないにしても中破する始末、謹慎や退学を覚悟しなければならないだろうか? 流石に退学はないと思いたいが、分からない。 それに、オルコットさんにも悪いことをしてしまった。 ばれないようにとは言え、結局ISを展開させて援護までしてもらったのだ。 確実に罰が待っているよなぁ。 それに、師匠にも迷惑をかけてしまった。 心配もかけてしまっただろうし。 そんな考えを振り払うかのように頭を振り、気持ちを入れ替える。 鈴さんが織斑先生を呼びに行ったということはそこら辺の話を今からするのだ、少しでも罰が軽くなるように頑張ろう。 そう思っていると、扉が開いた