2018.6.10 話数修正しました
「目が覚めたようだな、馬鹿者が」
「えっと、ご心配をおかけしました」
「蒼海君、よかったですよ~!!」
「し、師匠...... ご心配をおかけしました」
開口一番織斑先生にはバカ者扱いをされ、山田先生には心配されて泣きつかれた。 その後ろから入ってくるのは、先生たちを呼びに行った鈴さんだ。 俺を見るなりため息をつき、そして恨みがましい視線を送ってきた。 いや、なんでさ。 織斑先生は不機嫌そうに腕を組み、山田先生と俺を交互に見ていた。 これは、泣き止ませろと? そういうことですか? ナチュラルに思考を読んでくる織斑先生に目を向けると、頷かれた。 ほんとに怖いんだが、この人...... とりあえず織斑先生から指示があったことだし、山田先生を渋々泣き止ませることにした。 何で渋々かって? 言わせんなよバカヤロウ。 なんか鈴さんからジト目が飛んでくるが気にしないことにした
「あの山田先生、そろそろ」
「グスッ...... 心配したんですよ、あんなことして!オルコットさんが来なきゃ本当に死んでいたかもしれないんですよ? それをわかってますか!」
「えっと、その、はい......」
抱き着きは回避できたのだが、今度は説教が始まった。 いや、俺のことを心配して本気で怒ってくれてるのは分かるんだけど、今じゃなくても。 織斑先生もこっち睨んでるしさ、たぶん早く事情聴取的なのしたいんだと思うんだ。 視線で織斑先生に助けを求めるが、睨まれるだけだった。 あれですか、自分で何とかしろと。 次に鈴さんに視線を向けるが、呆れられていた。 味方がいない!
「約束してください、今後はこんな危険なことはしないと!」
「すみません師匠、それだけは約束できません」
師匠の言葉を否定する。 それだけは、約束できない
「確かに今回はいろんな要因が重なって俺は助かった、それは分かってます。 でも、今回のようなことになったら俺はまた無理をしてでも助けると思います」
「ガキが。 今回は運よく助けられただけだ、思い上がるな」
織斑先生から厳しい言葉が飛んでくる。 その通りだ、今回は運よく助けられただけ。 オルコットさんが間に合わなければ俺はあのまま焼かれていたと思う。 でも、ISで人殺しはしてほしくないのだ。 確かに使う人が使えば人殺しの道具にもなりえるが、相棒は翼だ。 あくまでも、人が宙に上がるための
「思い上がりなんかありません。 別に正義の味方を気取ってるわけでもありません。 ただ俺は周りの大事な人たちを守りたいだけです。 それにはもちろんISも入ってます。 戦いは嫌いですし、競技用と言いつつも兵器として開発されつつあるISですけど、元々は人々が宙に上がるために開発された翼なんですから。 でも今回のように兵器として使う人もいる。 さっきも言ったように戦いは嫌いですけど、俺はISを相棒を守るために使いたいんです。 本当なら飛ぶために使いたいんですけど......」
なんか思いのたけを喋ってしまい、急に気恥しくなり最後はああ占めてしまったけど、まぎれもない本心だ。 夢見がちだとか言われるかなーとか思ったけど
「ふっ...... なら強くなれ。 色々な理不尽を跳ね飛ばすくらいな。 お前が正しく
「・・・・・・」
まさかそんなことを言われると思わずポカンとしてる。 すると俺の顔を見るなり織斑先生は睨みつけてきた。 怖いっすよ!?
「蒼海君の気持ちは分かりました。 ですが、それとこれとは話が別です!これからの訓練は厳しくいきますからね」
「っ!はい、師匠!!」
これ以上厳しくなるっていうのはちょっと想像つかないが、望むところだった。 今回みたいなことが起こらないように、簪さんや本音さん、山田先生を悲しませないためにも、今度は無事に、それこそ完封勝利をしなければならない
「さて、綺麗にまとまったところで今回の件の話を聞こう」
「デスヨネー」
うやむやにできるとは思ってないが、織斑先生の言葉に棒読みで答えてしまった。 くそぅ
「さて今回の件だが、まずなぜアリーナ内で武器を展開した」
「あ、そこからですか?」
「うむ。 一応ここから聞かねばな、それでなぜだ」
「えっとですね...... まず、織斑先生に言われた通りISを展開すればもしものことがあるといわれて、そこから何か妙案がないか考えていたんですよ」
そう、あの時は考えて葵でぶった切ったら早そうだなーとか思って展開したのだ
「それで拡張領域に入ってるものを思い出しているときに、周りに被害なく切るのなら葵かなーと思ってたら展開してまして」
「まぁ、確かに銃火器よりも被害は少ないですけど......」
山田先生は苦笑いだった
「なるほどな。 だが葵は相当な重さだぞ? 良く展開して持っていられたな、私は自由自在に扱えるが」
「わーお」
この場にいる誰もが、この人やばいと思っただろう。 マジでさ、ISなしでもブリュンヒルデ名乗れるんじゃないの? ヒィ、睨んできた!
「あの、そのですね!体鍛えてるんで!もともと、授業の説明で使った葵を片付けたこともあったので、持てることは知ってたんです、はい!」
「そうか、それでその後は?」
どうやら何とか誤魔化せたようだ。 誤魔化せなかった...... いや、これ以上はやめておこう。 とりあえず、何も考えず質問されたことだけ答えよう
「それで破壊許可とった後は、扉ごとに避難するときパニックなどが起こらないようにオルコットさん、簪さん、本音さんに居てもらって。 全部壊し終えたら、誰もいないか確認して観客席から出たんです」
「それで、何故今回のようなことが起こった」
「それなんですが...... 全員避難できたか確認するためにみんなと外に出る前に落ちあうところを決めてたんですけど、簪さんだけ来なくって。 嫌な予感がした俺は簪さんに通信をいれたんですが、簪さんが急に来れないと言い出しまして。 それでどんどん嫌な予感が膨れ上がった俺は、オルコットさんにアリーナを見渡せる位置に待機するように言って、本音さんには避難するように言ってその場を離れました。 それで引き続き簪さんと通信してたら放送室にいることが分かり、俺が付くと同時にビームが飛んできまして」
「篠ノ之のあの行為のせいか...... それで?」
「簪さんから聞いてると思うんですけど、放送の係りの子たちが居て簪さんはその子たちの盾になるように打鉄弐式を展開してたので......」
「更識妹は日本代表候補だ、そこから逃げるくらい造作もなかったと思うが?」
「そっちも聞いてると思うんですが、彼女の機体打鉄弐式は先日組み終わって飛行訓練をすましたばかりで、まだ最終調整をしてないんです。 しかも、関節等の基礎フレームが一回オーバーホールして交換しないといけないので、そういうことが重なって......」
「あぁ、そういえば彼女の機体は倉持が...... すまんな」
申し訳なさそうにする織斑先生。 たぶん簪さんの機体がどうしてああなったか、多分分かっているのだろう。 俺に謝られても困るのだが
「俺に謝られても困りますし、そういうのは本人同士の話なので。 それを見て俺はとっさに相棒を起動して、盾で防いでいたというわけです。 流石にIS一機と気を失っている人二人を運ぶには時間がなかったですし」
「そうか」
納得したふうにうなづく織斑先生に、それだけと思ってしまう。 いやいやいや、おかしいでしょ
「あの、俺の処分は」
「あぁ、言ってなかったな。 今回の事に関してはISの武器の無断展開の反省分だけだ」
「は?」
思わず聞き返してしまう。 いやいやいや、学園から借りてる相棒壊しましたけど!? 無断展開もそうだし
「えっとですね、今回簪さんや蒼海君の行動で二人の命が救われたのは事実です。 それどころか、学園長からお礼の言葉と褒美まであるのですが、他の教員の方から示しがつかないといわれましたので......」
「それで、おとがめなしと?」
コクリと頷く山田先生。 大人の世界って大変ですねー。 思わず肩の力が抜け、ため息をついてしまう
「それに、お前だけを罰せば他の人間も罰さなければならないからな」
「・・・・・・」
つらそうな織斑先生の顔を見るに、たぶんそっちが本命の理由だな。 今回の事をしでかした篠ノ之さんを強く罰することができず、苦渋の策として俺のおとがめなしってところか。 たぶん篠ノ之さんあたりは、反省文や注意などを受けてるだけだろう。 織斑は言わずもがなだろう。 見えなかったのか、あえて見捨てたのか知らないが、
「そうだ、お前が使っているラファールリヴァイヴだが。 学園の貸し出しではなく、お前の専用機となった」
「はい?」