この空を飛びたくて(仮)   作:サクサクフェイはや幻想入り

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第二十六話 整備

「あ、、つばっちー!」

 

「ぐへっ...... 本音さん、とびかかるのやめて。 今の俺には大ダメージだから」

 

「蒼海君!」

 

「簪さん、君もか......」

 

いつものように整備室に入ると、何故か本音さんと簪さんが飛びついてきた。 いや、理由は分かっている。 この間のアンノウンからこういう行動が増えているわけだから、あれで心配させたからだろう。 心配してくれるのは嬉しいし、心配かけたのも心苦しいことなので何も言わないが、これだけは言わせて。 あの地獄の特訓の後に、とびかかってくるのはやめてください。 何を思ったかのか引き分け、いや俺の負け後、織斑先生は本気を出したのかわからないがめっちゃ強くてボコボコにされた。 やってる最中なんか、すげーうれしそうな顔してたもん。 アレはマジのサディストですわ...... 話はそれたが、俺が受け止めきれずこけたら危ないし、体に響くから。 まぁ、二人の安心したような顔の前にはそんなことは言えず、言葉を飲み込む。 しばらくはなすがままにされていたが、流石に時間は有限ということで離れてもらい、いつものように整備を始める

 

「・・・・・・ねえねえつばっち、今日受け取ったはずなのになんでこんなにボロボロなの?」

 

な、何だこのプレッシャーは!? 布仏本音は化け物か!? 恐る恐る顔を見ると、無表情でこっちを見ていた。 怖い怖い怖い!俺は慌てて理由を説明する

 

「織斑先生とやったから!織斑先生手加減してくれたけど、俺が弱すぎてね!? だから無理とかしてないから、織斑先生見てたから安心して!?」

 

「そっか~、それならしょうがないかな~」

 

いつものにこにこ顔に戻り、俺はようやく一息付けた。 やべー、何あのプレッシャー。 殺されるかと思った。 俺のパソコンを接続し、整備箇所を見るが該当項目が装甲くらいしか無い。 何故なのか調べてみると、外側の装甲が厚くなった分、中まで衝撃が通らなくなったようだ。 一応強い衝撃を受けたら見るようにしようとも思ったが、織斑先生より強い衝撃があるのか疑問だったが。 とりあえず今日見てみて問題がなさそうなら、次からは確認しないにしよう。そう思い装甲を外しては確認、戻すの作業を繰り返す

 

「調子はどう?」

 

「ありがと」

 

どうやら簪さんがコーヒーを買ってきてくれたようで、それを受け取りいただく。 簪さんの方、つまり打鉄弐式のほうを向くとまだ途中だった。 一休みということか

 

「いやもう、ファーストシフトしたおかげか、めちゃくちゃ動きがいいね。 装甲も厚くなったけど、スラスターの数も増えたから機動性を損なうなんてこともないし。 それに整備も楽。 今まで俺の訓練で行くと、数回には一回の頻度で中の部品交換だったけど、多分今の感じなら普通の訓練機と同じ頻度でいいんじゃないかな? もちろん、ちゃんとメンテナンスしてって条件が付くけど」

 

「そっか」

 

それを聞いて安心したというふうにほほ笑む簪さん。 だが俺には少し不満点が

 

「ただ、なんでカラーリングが魔窟なんだ......」

 

「何かに似てると思ってたけど、言われてみれば確かに。 なら名前は、ラファールリヴァイヴMK-Ⅱ?」

 

「そこまでリスペクトするつもりはないけど、どうせだったら改じゃない?」

 

「どっちかって言うとそうだね」

 

二人で笑い合っていると

 

「うまうま~」

 

と言う声が聞こえた。 まぁ、これに関してももう恒例だ。 俺や簪さんが整備や調整をしていると、暇になった本音さんは基本どこから出したのかわからないがお菓子を食べてる。 それが癒しになっているといえばそうなのだが、本当にあのお菓子がどこから出てきたのかは謎だ。 あれか? アンリミテッドお菓子ワークスか? 名前クソださいけど。 体はお菓子でできている。 血潮は砂糖心は甘さ。 幾たびの試食は不敗。 食べるお菓子にまずいものはなく、食べる量は理解されない。 お菓子に囲まれお菓子を食べる。 故に周りの注意は意味はなく。 その体は、無限のお菓子によって作られた。 なんだこれ、自分で考えといて何だこれ。 あまりのしょうもなさに、自分自身で呆れていると簪さんが話しかけてきた

 

「どうしたの?」

 

「いや、本音さんのお菓子ってどこから出てくるんだろうとか思ってさ。 それで連想したのが無限の剣製(アンリミテッド・ブレードワークス)だったんだけど。 その詠唱を本音さんにたとえてみたら、凄くくだらないものができて」

 

「聞きたい」

 

瞳をキラキラさせながら聞いてくる簪さんに、若干ためらいを覚えながら即席で考えた詠唱を教えていく。 すると

 

「ぷっ、クククククク......」

 

口を押えて必死に笑わないようにしているが、こらえきれてない。 てか、苦しそうなんだけど。 えぇー、どこにツボる要素があったんだ...... 一応背中をさするが、収まる気配がない。 そんな簪さんの様子に気が付いたのか、本音さんがおかしの山から飛び出しこちらに歩いてくる

 

「かんちゃんどうしたの~?」

 

「体はお菓子でできている、ぶふっ!」

 

「かんちゃ~ん?」

 

思い出し笑いなのか、詠唱の一番最初を言って再び笑い始めてしまう簪さんに目を丸くしながら、本音さんがこちらに目を向けてくる。 どうにもできないぞこんなの。 とりあえず、放っておくことにした。 こういうのは時間が解決するしかないんだー

 

「まぁ色々とあるんだよいろいろと。 あっちでお菓子食べようか」

 

「う、うん」

 

いまだに後ろで笑い続けている簪さんを少し心配しつつ、俺と一緒にお菓子を食べ始める本音さん。 俺たちがお菓子を食べ始めたから数分後、ようやく簪さんは収まったのか合流した

 

「も、もう大丈夫」

 

「いや、まだ頬が引くついてるけど」

 

「かんちゃ~ん、大丈夫~?」

 

「な、なんとか」

 

本音さんの言葉を受け笑いそうになる簪さんだが、何とかこらえる。 いやもう、その時点で駄目だから。 こういう時は話題を変えるのが一番ということで、早速簪さんに話題をふることにした

 

「それで打鉄弐式はどんな感じ?」

 

「あ、えっと、コホン...... 一応整備課の先輩たちに手伝ってもらって、オーバーホールとパーツ交換は終わった。 明日は少しプログラム関係をいじって、明後日最終調整しようと思ってる」

 

「へー、手伝ってもらったんだ」

 

「うん。 今回の事もあったから、織斑先生が声をかけてくれたみたいだったから」

 

「なるほどね」

 

まぁ、簪さんの報酬はそれで終わりと言う感じなんだろうな。 まぁ本人的にも感謝してるし、納得してるからいいんだろうけど

 

「どっちにしろ、整備課総出でつばっちの機体整備してたしね~」

 

「はい?」

 

ここにきて意外な事実。 整備課の人たちが、俺の機体の修復改造をやってくれていたのは知っていたが、総出とは知らなかった。 やばい、これ感謝してもしきれないんだが。 お礼を言って回りたいところだけど、やばい、整備課の人たちの顔知らない

 

「つばっちの機体はね~、学園長と織斑先生ともう一人が急ぐように言ったんだって~」

 

「何故そこで一人隠すし」

 

「んふ~」

 

聞いても本音さんは教えてくれず、笑顔を返すだけ。 細く開けられた目が聞くなと言っていたので、これ以上は聞かないことにした。 だって聞いて、さっきみたいな状況になったらやだし。 べ、別に本音さんが怖いわけじゃないんだからね!とりあえず、男のツンデレとか誰得だよということで、その思考は捨て置いた

 

「なんにせよ、ありがたやーありがたやー」

 

感謝する。 一応後で織斑先生と織斑先生経由になってしまうけど、学園長にはお礼を言っておこう。 後は整備課の人たちだが、受付の人に言ってもらうことにしよう。 事情を話せば理解してくれると思うので。 あともう一人が分からないので、感謝のしようがないんだが......

 

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