この空を飛びたくて(仮)   作:サクサクフェイはや幻想入り

30 / 78

2018.6.10 話数修正しました


第二十八話 打鉄弐式

今日は織斑先生が一日中いないということで、山田先生と模擬戦をこなしつつメニューをこなす。 一応アリーナ自体は一日中借りてはいるが、午後からは打鉄弐式の最終調整なので手早く終わらしておきたかったのだ。 それに何より、昨日までの疲れが残りすぎて辛かった。 山田先生は今日くらい休んでもいいと言ってくれたのだが、継続は力なりということで軽めにしてもらったのだ。 その割には模擬戦では本気を出していたような気がするけどね。 山田先生も成長著しすぎて困ります、なんて言ってた。 目が笑ってなかったから、多分あの発言は本気だ。 そんなわけで軽めにお昼をとり、アリーナ内で山田先生と待っていると。 ピットのカタパルトから簪さんが姿を現した

 

「おぉ......」

 

「ふふ、嬉しそうですね」

 

「はい」

 

最初からかかわったわけじゃないけど、かなりの苦難を乗り越えて簪さん、本音さん、俺と整備課の人達で組み上げた機体だ、何と言うか飛んでる姿に感動した。 調子を確かめているのか、自由に空を飛び、飛行速度を上げたり、バレルロール飛行をしていた。 なんか全体的に白いし、ユニコーンみたいやな

 

「つばっちー!」

 

「だから飛びつくのは、いや、もういい......」

 

「えへへ~」

 

本音さんは俺を見つけたからか、背中に飛び乗ってきた。 もう何回も言ってるのだが直らず、もう言うのも疲れてきているのが現状だ。 たぶん簪さんも、こういう気持ちだったんだろうなーと思いつつ、飛行するのを見ていた。 あの山田先生、その微笑ましいものを見る目をやめてください。 絵面的にはそうかもしれませんが、こちとら凶悪なのと戦ってるんですから

 

「・・・・・・つばっちだったら、いいよ?」

 

「・・・・・・え?」

 

思わず本音さんを見ると、少し照れくさそうな顔をしながらこっちを見ていた。 いやいやいや、何がいいんですか? ナニですか? いやいやいや!よし、素数を数えよう!

 

つばっちのヘタレ

 

小さな声で言ってたって聞こえんだよ!!だが俺は何も聞いてない。 ひたすら無心で俺は簪さんが飛ぶ姿を見ていた。 しばらくして満足したのか、簪さんが徐々に降りてくる。 着地すると同時に簪さんに声をかけた

 

「どう?」

 

「うん、最初はちょっと微妙だったけど、最後は満足いく形になった」

 

「それはよかった」

 

「それじゃあ次は~武装のチェック、行ってみよ~」

 

本音さんの言葉に、山田先生はホログラムウインドウを呼び出し操作をして行く。 すると、アリーナ内にターゲットが出現する。 こういうのは俺でもできるのだが、山田先生のほうが得意なので任せたわけだ。 まず最初は背中に搭載された2門の連射型荷電粒子砲、春雷だ。 ロックオンされ、打ち込む。 エネルギーの減りなどは予定地通りだが、的の中央から大きくずれていた

 

「ブレをもうちょっと直さなきゃ」

 

「ここら辺はトライアンドエラーだからなー、しかも背中の固定武器だから、しっかりと設定しないと後々響くし」

 

ここら辺は経験談だ。 ある時ふざけて肩用の装備があったため、それを装備してガンキャノンとかふざけて撃ちこんでいたが、固定式装備の場合ブレの設定をしっかりしないとぶれるぶれる。 しかも俺の場合、固定が甘かったのか撃った瞬間外れ、顔に直撃ということがあった

 

「アレは痛かった......」

 

「つばっち~?」

 

「いや、何でもない」

 

山田先生は俺と本音さんを見て苦笑していたが、たぶんその時のことを思い出していたんだろう。 あの時は別の意味で山田先生も大変だった。 外れて俺の顔にぶつかった瞬間、半泣きで俺のところに来て大丈夫ですか!? ってすごい慌てていた。 しかも大丈夫って言ってるのに保健室連れて行こうとするし。 その時は面倒だったので、訓練しましょうって流したけど

 

「・・・・・・」

 

無言で数発撃ち込みつつ、その場でズレの修正をしている簪さんを見て過ごす。 数十発撃ってようやく満足したのか、次の武装に移る。 次の武装は近接武器である対複合装甲用の超振動薙刀、夢現。 これまたターゲットと行きたいところだが、さっきの射撃用の的しかないため振って確認くらいしか無い。 ここら辺は経験者故か、無駄がない。 ひとしきり確認して最後の武装、打鉄弐式の最大武装。 第3世代技術のマルチロックオン・システムによって6機×8門のミサイルポッドから、最大48発の独立稼動型誘導ミサイルを発射する山嵐。 なのだが肝心のマルチロックオンシステムが完成しておらず、現在は俺が作ったなんちゃってマルチロックシステムが搭載されている。 アレからもずっと改造を続けているそうで、前よりも処理は重くならないとのこと。 完成が見てみたいが、まあまだかかるだろう

 

「山田先生」

 

「はい」

 

標的を複数展開してもらい、山嵐の試験を開始した。 やはりと言うか、ロックまでに時間がかかるのか少ししてから発射される。 全部の標的を見ると当たってはいるようだが

 

「うーん、複数処理かけてるからか、やっぱり重いな」

 

「これでもよくなったほう」

 

「元々の開発者は俺だから知ってる。 良くなったほうと言うか、かなりよくなってる。 俺だとたぶん、ここまで早くするのは無理。 俺の元のデータの方の試算はこんな感じ」

 

「これは、うん......」

 

簪さんに画面を見せると、苦い顔をしていた。 俺も簪さんに触発されてという言い方はおかしいが、影響を受けシステム見直しを図ったが、とても実戦で使えるものではなかった

 

「マルチロックオンシステム、完成していたんですか?」

 

山田先生が話に加わってくる。 若干の遅さはあるものの、ロックの動きを見ていた山田先生は疑問顔だ。 俺と簪さんは首を振る

 

「完成は、してません」

 

「うーん、一応使えるだろうけど、少し厳しいな」

 

「うん」

 

簪さんもわかっているのか少し残念そうだが、割り切っているようだ。 しかし、複数ロックはやはり遅い

 

「使うならロックしつつ時間差で撃ち込むほうがよさそうだな」

 

「そうする」

 

なんか俺が助言しているみたいになってるけど、良いのかこれで。 誰も気にしてないからいいみたいだが、ねぇ?

 

「それじゃあ次の段階に行く」

 

「はいはい」

 

「それじゃあ準備しますね」

 

次の段階と言うのは、ある程度動いた状態での使用だ。 さっきのは常に止まった状態で撃っていたが、今回は動きながらの射撃となる。 まずは春雷からということで、動きながら展開。 次に撃つが、的から大きく外れる

 

「くぅ」

 

「ありゃりゃ、外れちゃったね」

 

「まぁ一応データは集めたって言っても、やっぱり荷電粒子砲関連は集まり悪かったからな。 俺の機体で試そうにも、学園の武器にそんなものはない」

 

だから数少ないデータから設定したわけなのだが、やはり甘いらしくトライアンドエラーの繰り返しだ。 しばらくすると当たるようにはなってきたのだが、真ん中には当たらない。 簪さんに少し焦った表情が見え始めてきたので

 

「簪さん!」

 

「なに?」

 

狙いをつけて撃ってを繰り返す簪さん、こっちに意識を向けるも一瞬だ。 ダメだありゃ、完全に気が立ってる

 

「休憩しよう!!」

 

「いい」

 

「本音さん降りて」

 

「あいあいさ~」

 

「無理やりにでも止めに行くぞ」

 

本音さんに背中から降りてもらい、優しく言っても堂々巡りになりそうだったので、相棒を展開して言うと素直に下りてきた。 少しむすっとしていた顔をしていたが、そこはデコピンしておく

 

「あぅ!?」

 

「あのまま続けててもいい結果出ないし、止めさせてもらった。 イライラしてたでしょ?」

 

「あ、うん......」

 

デコピンすると非難するような視線が飛んできたが、俺がそう言いながら撫でるとうつむいておとなしくなる。 あの山田先生、だからそんな微笑ましいものを見るような目で見ないでください。 余談だが、この後再開したテストでは数発撃っただけで、真ん中に当たるようになった。 どういうこっちゃ

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。