2018.6.10 話数修正しました
二人とも最初は様子見、と言うわけではなく先に仕掛けたのは簪さんだった。 話しているときにあらかじめロックオンしていたのか、48発すべてのミサイルを発射した。 これに対して生徒会長は特に防ぐ様子もなく着弾、爆発によって煙が出て姿が見えなくなる。 えげつないなぁ、とも思うが、相手は国家代表卑怯も何もない。 ただ気になるのは、簪さんがミサイルを発射したのにもかかわらず何もアクションをとらなかったことだ。 拡張領域から槍以外の射撃武器を取り出して撃つなり、逃げるなりすればいいのだが何もしなかった。 生徒会長のISは俺が見てきたどのISよりも装甲が少なく、ミサイル一発でも当たれば大ダメージだと思うのだが。 やはり一筋縄ではいかない、そう思いつつ、簪さんを見守る。 煙は晴れないが生徒会長の方から何かが飛んでくる。 それに気が付いた簪さんは回避行動、何かが着弾したのか地面がえぐれる。 煙がようやく晴れ見てみると、そこにはランスを簪さんに向けている生徒会長の姿が。 よく見るとランスには銃口が付いていた。 なるほど、ガンランスか!竜撃砲はあるんかな? 馬鹿な考えは頭の隅に追いやり、生徒会長の状態を見る。 あの爆発にもかかわらず生徒会長は無傷で、余裕な表情を崩さない。 やはり何かあるようだが、何かまでは分からない。 さっきまでと違うのは...... 羽みたいなところから、何か出てる?
「アレは、水?」
「お~、つばっちよくわかったね~」
どうやら正解のようだ。 水は俺の中でも思い入れがあるものだからなそれは分かるけど、どうして水を? はっ!まさか俺と同じ転生者で、水を操る能力を!? なんて思ったが、そんなことあるはずがない、 俺と同じように水を自由自在に扱えるのなら、わざわざISを展開する必要がない。 ということはISで操っているのだろうが、どういうからくりなのだろう? さておき、水を自由に扱えるのは分かったが、あれで防いだというのは少し疑問がわく。 あの爆発量だ、どのくらい一気に操作できるのかは知らないが、それだけで防ぐのは難しいと思う。 しかもあの爆発、ミサイルだけにしては大きかったような気がする。 何かに誘爆? だが、会長が何かした様子はなかった。 会長は、何かした様子はなかった? 俺は急いで映像を確認する。 この試合、何か参考になるだろうと思ってリアルタイムで撮ってあるのだが、確認すると水の散布は試合開始と同時に始まっていた。 ということはだ
「水を何らかの方法で気化させて、水蒸気爆発?」
「うん、お嬢様のISミステリアス・レイディはナノマシンで構成された水のヴェールを展開している機体、そのナノマシンを発熱させれば可能だよ」
だから装甲が少ないのか。 水を防御に回せば大抵の攻撃は防げるし、時には攻撃に回すことができる。 だから生徒会長も余裕を崩さないわけだ
『すごいわね、お姉ちゃん驚いちゃった』
『マルチロックオンシステムは完成してないけど、こういうこともできる』
『ふふ、それじゃあ今度はお姉ちゃんの番ね』
それまで攻める姿勢を見せなかった生徒会長は槍を構え、簪さんに突撃する。 対して簪さんは迎え撃とうと夢現を展開、斬り合うのだが音が変だ。 よく見ると、刃がランスにまで届いていない。 どうやらランスにも特殊ナノマシンを纏っているようだ。 簪さんも薙刀が振れない間合いに入られないように必死だが、それよりも俺はある可能性を考えていた。 さっきの水蒸気爆発、ミサイルが近づいてきたときに発動したようだが、有効距離があるなら今の状態はかなりまずいのではないのだろうか? そんなことを考えていると、やはりと言うか、山嵐のミサイルポットの一つが爆発する。 これには簪さんも動揺し、攻撃の手を緩めてしまう。 そこを逃がす生徒会長ではなく、一気に間合いを詰めランスを横なぎに振るう
『くぅっ!』
もろに入ってしまったのか、結構なエネルギを削られ、追撃とばかりにガトリングガンを撃ちまくる生徒会長。 だが簪さんもやられっぱなしではなく、その追撃を避けつつ春雷を撃つ。 これまた水でガードするのかと思ったが、生徒会長は避ける。 水でガードするわけではなく、避けたのだ。 ただ、ブラフと言う可能性はある。 簪さんも悩んでいるようだが、逆転するには攻めるしかない。 そう思ったのか、山嵐を展開、一斉射する
『無駄よ』
『やってみなくちゃわからない!』
さっきよりも少なくなった分、時間差で撃ってミサイルを絶え間なく撃つことで弾幕を張っているようだ。 だがさっきと同じ様に、煙で生徒会長の姿も隠れてしまう。 だが、簪さんはあえて煙の中に突っ込む。 俺たちには見えないが、中で何を行っているのか
「かんちゃん.....」
煙が晴れ、二人の姿が現れる。 夢現をつかまれ、何とか逃げようとしている簪さんと、夢現を掴みつつ逃がさないように水で捕まえている生徒会長
『いい戦法だったと思うけど、破れかぶれはだめよ簪ちゃん』
『ううん、これも作戦だよお姉ちゃん』
さっきまでの逃げようとしていた簪さんだが、ブラフだったらしく春雷を発射しようとしていた。 だが、生徒会長も読んでいたのか片方を爆発させ、片方の射撃を避ける。 やっぱり、あれを食らうのは相当まずいらしい。 だが簪さん、どうするつもりなんだ?
『これで終わりかしら?』
『ううん、まだだよ』
『何を、っ!?』
生徒会長が初めてダメージを受けた。 簪さんは生徒会長を撃ったように見せかけて、予め生徒会長の後ろに飛ばしておいた
『強く、なったのね、簪ちゃん』
『私だって、いつまでも昔の私じゃない。 でも、お姉ちゃんにはまだまだ遠い』
『ふふ、それはそうよ!だって簪ちゃんのお姉ちゃんだもの』
「お嬢様、かんちゃん」
二人が笑いながら話しているのを見て、本音さんは静かに泣いていた。 たぶん、近くにいるからずっとこんな光景が見たいと思っていたんだろうな。 それで見れたから、泣いてしまったわけか。 そんな本音さんの頭をやさしくなでつつ、試合の行く末を見守る
『行くよお姉ちゃん』
ミサイルポットである山嵐をその場におろし、夢現を構える簪さん。 それに対して生徒会長は特殊ナノマシンの散布をやめ、ランスを構える
『えぇ、簪ちゃん』
二人とも加速し、ランスと夢現がぶつかり、火花が出る。 二人の本気のぶつかり合い。 ランスを振るえば、簪さんは夢現で受け止め、逆に簪さんが夢現を振るえば、生徒会長がランスで受け止める。 徐々に削られていくエネルギーだが、やはりもともと削られて簪さんのエネルギーは少なかった分、エネルギーがもうない状態だ。 一度離れる二人
『もうエネルギーがないや』
『降参する、簪ちゃん』
『ううん、しないよ』
武器を構え、睨みあう二人、そして
『はぁ!』
『やあ!!』
そんな掛け声とともに、簪さんは夢現を投げる。 そしてそれは見当違いの方向だったが、生徒会長の真横に刺さる。 そしてそれは、山嵐のミサイルポットに刺さっていた。 簪さん、本当にすごいな。 こうなるように戦っていたのだから。 直後、爆発に包まれた生徒会長だったが、簪さんは攻撃を受け試合は終了となった
『やっぱり強いなぁ、お姉ちゃんは』
『まさか、最後あんな攻撃されるとは思わなかったけど、十分伝わったわ。 貴女の想い』