この空を飛びたくて(仮)   作:サクサクフェイはや幻想入り

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2018.6.10 話数修正しました


第三十三話 想い、決着

勝負も終わり、本音さんをおぶりながらアリーナの中に入ると、二人は笑顔で会話していた。 それを見て、これは帰ったほうがいいかな、と思いその場を後にしようとしたのだが簪さんに見つかった。 簪さんは俺の姿を確認すると、小走りで駆け寄ってくる

 

「どうだった、かな?」

 

「いや、もう素晴らしいとしか。 流石日本代表候補、参考になるところが多かった。 負けたのは悔しいと思うけど、本当にいい試合だった」

 

「ナイスファイトだったよ~、かんちゃん」

 

「そう、かな? えへへ」

 

俺と本音さんがほめると、少し照れた風に笑う簪さんにどぎまぎしながら、会話をしていると

 

「お姉ちゃんを仲間外れにするのはひどいと思うわよ簪ちゃん」

 

「あ、ごめん」

 

ゆっくりと歩いてきたのはお姉さんで、別に怒っているというわけではなく、少しからかうふうに言っていた

 

「さてと、さっきはごめんなさいね、簪ちゃんのこととなるとすぐにカッとなっちゃって」

 

あれで少し? そう思ったが言うことはない。 俺は空気が読める男。 もし言ったとして、さっきの二の舞になることが目に見えているからだ

 

「お嬢様はいつものことのような気がする~」

 

「本音ちゃん、そこから引きずり下ろしましょうか?」

 

「や!」

 

そう言って余計にしがみつく本音さん。 あばばばば!たわわに実った果実が余計に押し付けられますので、おやめくださいお客様!そう思っているが、本音さんはやめてくれる気配はない。 なんか目の前の姉妹の雰囲気がだんだん怖くなってきてるんですけど!? 俺のせいじゃないですよね?

 

「はぁ...... 本音は」

 

「ここまで気にいるのも珍しいわね...... まぁ、置いておいて。 真面目な話があるの」

 

それまでの茶目っ気のある雰囲気から一転、お姉さんは真剣な雰囲気になる。 それと同時に場の空気も引き締まり、俺は無意識に背筋を伸ばしていた

 

「その、ありがとう。 もとはと言えば私の責任なのに、それを赤の他人のあなたに解決してもらうなんて......」

 

「お姉ちゃん...... ううん、お姉ちゃんだけのせいじゃないよ、私だって逆恨みみたいな感じで避けてたんだし......」

 

「ううん、私のせいよ、簪ちゃんせいじゃない」

 

いきなり謝られた。 と思ったらどちらが悪いかという話になっていた。 この姉妹、どちらも頑固だから譲らない。 本音さんを見るとニコニコしていたが、俺の方を見ていた。 あー、はいはい、俺が仲裁すればいいんでしょ? すると、俺の思考を読むスペシャリストの本音さん、頷いていらっしゃる。 俺はため息をつくと、仲裁に入る

 

「あー、はいはい。 そこまでにしましょう、せっかく仲直りしたんですから。 それと俺が解決したって言ってますけど、それは間違いですからね? 簪さんが仲直りしたいって言ってたから、こうしたらいいんじゃないかとは言いましたが、選んだのは簪さんですから」

 

「そうなの?」

 

「うん。 恥ずかしい話だけど、お姉ちゃんに対抗して最初は一人でこの子(打鉄弐式)を完成させようとしてた。 本音や翼君に心配をかけて。 でもあるとき、翼君にしては強引に一人でやる理由を聞いてきたの。 最初言うつもりはなかったけど、独り言でもいいからって言われて、思わず愚痴ってしまったの。 ひとしきり愚痴ってすっきりしたし、忘れてもらおうと声をかけようとしたけど、翼君は私の愚痴を聞いてもなお、そんな私のことを凄いって言ってくれた。 私は私のままでいい、そうも言ってくれた。 そして、すぐには気持ちの整理も付かないだろうから、お姉さんに挑んで一区切りつけようって」

 

「それで、今回のこれになったわけだったのね」

 

納得がいったような顔をするお姉さん。 やっぱり疑問だったのだろう、簪さんの性格的になんでこういう方法を選んだのか。 お姉さんの納得顔はいいのだが、本音さんが耳元で

 

「へぇ~、そんなこと言ったんだ~」

 

とやけにうれしそうに言ってるので、そっちのほうが気になる

 

「うん。 だからやっぱり、こうやってお姉ちゃんと仲直り出来て、笑顔でお話しできるのも翼君のおかげだよ、ありがとう」

 

笑顔でほほ笑む簪さんに、見とれてしまう。 見とれてしまうのだが、隣のお姉さんの表情が何とも言えない表情すぎてすぐに顔をそらした。 聞こえるのはクスクス笑う声。 くそぅ......

 

「ま、まぁ、いいわ。 さーて、終わったことだし着替えましょうか簪ちゃん」

 

「うん、わかった。 翼君はどうする?」

 

「俺? あー、俺名義でアリーナ借りてるし、返却とかやらんといけないからな、先に受付行って終わったら外で待てればいいか?」

 

「うん、その後は整備手伝ってほしいんだけど」

 

「了解、先に行ってるなー」

 

簪さんと会話も終わり、歩き出したのだがお姉さんにつかまれる。 正確には俺ではなく、本音さんがだが

 

「本音ちゃん、お姉さんとちょーっとお話しましょ」

 

「いーやー!!」

 

哀れ本音さん、お姉さんにつかまってしまい、そのまま引きずられていた。 簪さんはその様子に呆れながら、後をついていく。 俺もいつまでもその場に立ち尽くしているわけにもいかず受付に向かい、アリーナの返却をする。 受付の人に生徒会長はどうだったか聞かれたが、戦っていないので愛想笑いをしておいた。 そのまま外に出るとやはり簪さんたちはまだ来ていなかった。 しばらくかかるかと思いスマホを取り出し、適当に絵師様の投稿を見る。 こういう絵師様の投稿は、アイデアの宝庫なのだ。 ネタにロマン、ガチいろいろな投稿で楽しめる。 最近は待っているのはメイスだ。 やっぱり鉄血っていったらメイスだよね、ISじゃ危なすぎて使えないけど。 ロマンていい言葉だと思う。 適当に検索を続けていると、声をかけられる

 

「お待たせ」

 

「ん? おぉ、簪さん早かったね」

 

「つばっち~!とう!」

 

「危ないから、俺が避けたらとか考えないの?」

 

「えへへ~」

 

簪さんから声をかけられ、そちらを向くと制服姿だった。 もうちょっと時間がかかると思っていたのだが、全然だった。 そうして簪さんと話していると、いつものごとく本音さんが飛びついてくる。 ほんとに背中が定位置になってきてる。 一応形だけの注意をするが、緩んだ顔で笑っているだけだ。 お姉さんも驚いてるし

 

「それじゃあ行こっか」

 

「レッツゴ~!」

 

そんなお姉さんを気にした様子もなく、簪さんは先に歩いて行ってしまう。 本音さんも俺の背中で、行こうと言ってるし。 俺はお姉さんに声をかけようとするが、名前を聞いていないため出てこない

 

「行かないんですか? えーっと......」

 

「そういえば自己紹介がまだだったわね。 私は生徒会長の更識楯無、簪ちゃんのお姉ちゃんよ」

 

そう言って茶目っ気たっぷりにウインクする更識さん、いや楯無さんか。 口元には扇子で姉!と書かれている。 何あの扇子ほしい!宴会芸の時便利そう。 スキルとかでどうにかならないだろうか? そんな考えを片隅で考えながら、俺も自己紹介をする

 

「二人目の男性操縦者の蒼海翼です。 簪さんとはルームメイトで友達です」

 

「友達、ねぇ...... 簪ちゃんも大変そうね

 

「何か言いましたか?」

 

友達と言ったら変な顔されたが、どういうことだろうか?  その後何か言ってたみたいだけど、聞いてみたら気にしなくていいだし。 とりあえず、簪さんを待たせるのもあれなので行くことにする

 

「えっと、楯無さん行きましょう。 簪さんを待たせることになりますし」

 

「えぇ」

 

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「お引越しです」

 

「「はい?」」

 

山田先生が部屋に入ってきたと思ったら、いきなりそんなことを言われた。 思わず簪さんと声がそろったが、仕方ないと思う

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