突然だが、アリーナの予約がダブった。 普段ならこんなことはないのだが、この学園にもいろんな人がいるようで、こういうことがたまに起こるらしい。 本来受付の人に予約があいてるかどうかを確認し、それで予約を入れてもらうシステム。 または、自分で受付のところにある端末を操作し、空いているところに予約をするという方法なのだが。 受付の人曰く、言うだけ言って去る人や、話を聞かないで去る人もいるらしく、そういう予約を調整しているのだが、調整しきれないものは本人同士で話し合って決めてもらうことになららしい。 さて、その予約がダブった人なのだが織斑だったらしい。 もともと、織斑、篠ノ之さんが予約を取っていたらしいが、そこにデュノアさんと鈴さん、オルコットさんが追加されたらしい。 まぁ、今回は全面的に向こうが悪いのだが。 基本俺たち男性操縦者は週のすべての予約を取ることはできるのだが、それではほかの人に悪いと、俺は週3から4くらいの使用率なのだ。 それだって、受付の人に前もって予約を確認してとったりはしているのだから。 なので今回、悪いのは向こうなのだが、何を言っても篠ノ之さんがこちらの悪いの一点張りだ。 正直言って話にならず、鈴さんやオルコットさん、デュノアさんは謝ってくるが話は難航。 幸いだったのは、今回は山田先生や織斑先生はこれない日だったので、簪さんと本音さんと来ていたのだが、空気が悪くなる。 仕方なくこちらが折れ、大体こちらが三分の一くらいの利用時間になってしまった
「なんなのアレ!」
「とりあえず落ち着こう簪さん、篠ノ之さんのアレはいつものことだから」
「でも、今回のしののん、いつもよりひどかったよ~?」
「俺にはいつもの織斑至上主義にしか聞こえなかった」
暇だということで、アリーナの観客席で練習を見ていたが呆れた。 確か織斑先生が白式には拡張領域に空きがなく、後付けの装備ができないとは言っていたが、デュノアさんとの模擬戦にぼろ負けしていた。 問題は操縦技術云々と言うよりも射撃武器の特性の把握、および射撃型との距離の取り方と言う基礎中の基礎が駄目だった。 基本、鈴さんやオルコットさんには織斑の練習のことは聞かなかったが、そういえばたまにぼやいていたな。 阿保にどうやって教えればいいか。 俺は知らんと返したけど。 それよりも先に、感覚や専門知識満載で教えても初心者じゃわからないから、もっとわかりやすくかみ砕いて教えろといったら二人とも落ち込んでた。 それ以来は、説明が少しだがは分かりやすくなった、という話はちらほら聞いた。 話はそれたが、織斑は
「これために翼君は譲ったの? ありえない」
「俺もこのレベルだとは思わなかったけど、仕方ないんじゃない? あれ以上嫌な思い、したくなかったでしょ?」
「・・・・・・むぅ」
「むふふ~」
口をとがらせそっぽを向く簪さんだが、それを本音さんは微笑ましそうに見ていた。 実際、俺だけならいくらでも対応していたが、簪さんは見るからに不機嫌になっていったし、本音さんも少しイライラしていた。 なら不毛な会話は終わらせるに限る。 そう思って、譲ったのだ。 まぁ、今回の件は楯無さんに報告して、しかるべき対応をとってもらうつもりだが。 楯無さんも言ってたしね、権力は使うためにあるって。 まぁ、あの無人機の事件もそこまでの処罰は下されなかったし、焼け石に水だろうが。 さてさて、織斑の練習を見るが、デュノアさんは頑張って教えているようだが、鈴さんとオルコットさんはお手上げ状態だった。 実際、こっち見て早く来なさいよ的な顔で見てるし。 実際、時計を見るとそろそろ交代の時間だった。 すでに、織斑とデュノアさん、篠ノ之さんの姿はなかった
「それじゃあ、俺たちも行こうか簪さん」
「うん、わかった」
俺たちは歩き出そうとしたのだが
「あれ? 何でラーちゃんが?」
「いや誰よ?」
本音さんのあだ名ってたまに予想の斜め上を行くので、誰だかわからないときがある。 しかも本人に無許可で、俺の知らない人まであだ名をつけているからあっているのかすらわからない。 なので今回の哀れなあだ名被害者の確認をすると、同じクラスのボーデヴィッヒさんだった。 ラウラ・ボーデヴィッヒでラーちゃん...... 微妙だし、しかもラーって言われるとOCG化して、可哀想になったヲーさん思い出すからやめようか。 関係ない話はさておき、どうも揉めているというかボーデヴィッヒさんが突っかかってる様子だ。 だが二人は取り合わず、話を聞いているだけだった
「なーんか、見たことある状況のような気がするんですがそれは......」
「さっきの篠ノ之さんと翼君」
「なるほどね」
納得した。 納得したのはいいのだが、どこから聞きつけたのかギャラリーが増え始める。 何この学校、喧嘩とかにうえてんの? そうこうしている間にボーデヴィッヒさんが肩のレールカノンを発射、なし崩し的に戦闘になってしまう
「蒼海君、お待たせ。 って、なんでボーデヴィッヒさんと凰さん、オルコットさんが戦闘を!?」
「いやまぁ、なし崩し的にな?」
「何やってるんだ、シャルル?」
「・・・・・・」
こちらに来たらいきなり戦闘が始まっていることにびっくりしたデュノアさんと、能天気な声を出す織斑。 さらに、織斑が来たことで不機嫌になる簪さんに、戦いが怪しくなってきたのか表情が険しくなる本音さん。 この際織斑は無視して、戦闘を見る。 やはり、昨日俺と山田先生にやられた影響か、互いの動きをよく見るようにはなったが、所詮付け焼刃だ。 言い方は悪いが、互いに遠慮して足を引っ張り合っている。 それにしても、ボーデヴィッヒさんはやけに自信満々だが、何か秘策でもあるのだろうか? そんなことを思っていると、鈴さんが龍咆を撃つ。 だが、ボーデヴィッヒさんは動かず手をかざすだけ。 だが、龍咆は何かに
「なんだ、アレ?」
「AIC」
「AIC?」
「アクティブ・イナーシャル・キャンセラーの略だよ~。 もともとISに搭載されているPICを発展させたもので~、対象を任意に停止させることができるんだ~。 1対1では反則的な効果を発揮するけど~、使用には多量の集中力が必要で~、複数相手やエネルギー兵器には効果が薄いんだって~」
「へぇ......」
かなり厄介だな。 たとえ奇襲とかしかけても、分かっていれば止められるわけか。 銃弾とかも意味ないし。 とすると、攻めるならビームマシンガンか?。 後は、いつものように策を練るしかないか。 タッグマッチに向けての対策を練る中、相手が悪いのか鈴さんがワイヤーブレードに捕まってしまう。 それに動揺したオルコットさんも攻撃の手が止まってしまい、二人まとめて地面に落とされる。 追加でワイヤーブレードを出し、計六本のワイヤーブレードを使いオルコットさんと鈴さんの自由を奪い首を締めあげていく
「おいおいおいおい、アイツ何やってんだよ!」
「酷い......」
「あれじゃあ、シールドエネルギーは常に削られて、ISが強制解除されれば、命に関わるよ!?」
俺たちが焦っている中、ラウラ・ボーデヴィッヒはこちらを、正確には織斑を見てニヤニヤしていた。 アイツ、織斑をおびき寄せるためにこんなことを!織斑はこの際どうでもいいとして、それとは無関係な鈴さんとオルコットさんを巻き込むのは許せなかった。 そして何より、ISを相棒をそんなことに使うのが許せなかった。 だが、俺がいる場所は観客席だ。 ここから、アリーナに出るまで時間がかかる。 だが、今のダメージレベルなら問題はないはず。 俺は少し不安に思いながらかけ出そうとしたその時
「うらぁぁぁぁぁぁ!!」
遮断シールドを破り、アリーナの中に飛んでいく織斑の姿があった