この空を飛びたくて(仮)   作:サクサクフェイはや幻想入り

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第四十五話 ヴァルキリートレースシステム

「これは何の騒ぎだ、蒼海!」

 

「織斑先生、来るの遅すぎますよ......」

 

いつもの姿で、何故か近接ブレードを持って現れた織斑先生。 俺に状況説明を求めるが、俺に思何がなんやらだ。 織斑先生はラウラ・ボーデヴィッヒだったものを見ると、表情が変わった

 

「アレは、暮桜? どういうことだ?」

 

「暮桜って、織斑先生が現役時代に乗っていたISですよね? なんでラウラ・ボーデヴィッヒのシュヴァルツェア・レーゲンが?」

 

「待て、アレはボーデヴィッヒとシュヴァルツェア・レーゲンだったのか?」

 

織斑先生が俺に聞いてくるが、俺はそれをこたえている暇はなかった。 突如として、暮桜(仮)は俺の目の前で黒い剣を振るってくる。 俺は葵で受け流したのだが、腕がしびれた。 おいおい、パワーもスピードも段違いじゃないか!? 受け流したり、つば競り合うのが今の精一杯だった。 下手に動いて織斑先生の方に向かえば、危なすぎる。 なんか、生身でもISを圧倒できそうではあるが、万が一ということがある。 早く移動してほしいという俺の内心を知らず、織斑先生はこの現状についての解説を始める

 

「蒼海、それはおそらくVTシステムと言うものだ!!」

 

「いや、それはいいから移動を!」

 

「いいから聞け!そのシステムは、過去のモンド・グロッソ優勝者の戦闘方法をデータ化し、そのまま再現、実行するシステムなんだ。 パイロットに能力以上のスペックを要求するため、肉体に莫大な負荷が掛かり、場合によっては生命が危ぶまれるものなんだ!いいか、過度な戦闘は避けろ!今教師部隊に連絡して!」

 

「そんな時間ないでしょう!?」

 

思わず織斑先生に向かって叫ぶ。 システムがどうとかはどうでもいいが、いやよくないけど。 こうしている間にもラウラ・ボーデヴィッヒは危険になっているわけで、いくらいけ好かないやつでも死んでほしいわけじゃない。  改めて相手の機体状況を見るが、不明のまま。 さっきのシュヴァルツェア・レーゲンで行けば、残りのシールドエネルギーはほぼゼロに近いだろうが、イグニッションブーストやエネルギーを使うような行動をしているわけだから、シールドエネルギーは回復、または無理くり使っているかのどっちかだろう。 そして、絶対防御が働いているとも限らない。 今回、こういうことを起こしたということは、少なくとも中の人間がどうなろうが構わないということだ。 胸糞悪い話だが。 下手に攻撃すれば、ラウラ・ボーデヴィッヒ自身が死にかねない。 どうすればいい!?

 

『あの子を、あの子たちを救ってあげてください!!』

 

謎の声が聞こえる。 そうしてやりたいのは山々だが、織斑先生はいるし、相手は織斑先生のコピーだ。 中の人を気にしている余裕はない。 もちろん、俺は相棒で人殺しがしたいわけじゃないし、助けられるなら助けたい。 だが、手段がない

 

『・・・・・・まだかすかに意識が!』

 

『あの子を......どうか。 お願い......します!』

 

謎の声の次は、聞き覚えのない声が聞こえ、目の前の暮桜(仮)の動きが止まる。 まさか、さっきの声の主が? 考えている暇はなく

 

『今です!絶対防御は発動してますから、遠慮なくやっちゃってください!!』

 

そんな声が聞こえ、相棒が軽くなる。 これなら!俺は声に導かれるように暮桜(仮)に近づき、KIKUを構え引き金を引く。 瞬間、抵抗するように泥が来たが、連続のKIKUには無力でラウラ・ボーデヴィッヒの姿が見える

 

「フィーッシュ!!」

 

『あり......がとう』

 

『ダメ!』

 

だんだんと弱くなる声、前から聞いているほうはそれを呼び止めるように強く叫ぶ。 いや、本当に意味が分からないが、消えるのはだめだな、うん。 ボーデヴィッヒさんを織斑先生に投げ、もう一つ取り出す。 ISのコアだ。 たぶん、こいつが隙を作ってくれたんだろうからな。 コアも織斑先生に投げ、目の前を見る。 コアも抜いたから止まると思ったのだが、意外にも形を保っていた。 と言っても、所々ドロドロとして、崩れ始めているが。 なんだえろう、怨念、みたいなものなのだろうか。 まぁ、どうでもいいよ。 剣を振るってくるが、それはあまりにもお粗末で。 俺はそれを軽くよけ、頭にKO-4H4/MIFENGを突き付ける

 

「消えろ、亡霊」

 

そのまま引き金を引くと、頭は飛び散る。 俺はそれに構わず、引き金を引き続け跡形もなく消し去った。 そして、ようやく一息ついた。 周りを見回せば、織斑先生が何とも言えない表情で俺を見ていた

 

「あ、怪我人投げてすみません」

 

「いや、それはいいが...... はぁ、まぁいい。 全員聴取をとらせてもらう。 今回の関係者は職員室に集まるように」

 

それだけ告げ、織斑先生は去って行った。 たぶんボーデヴィッヒさんを保健室に運ぶんだろうけど、今回の訓練ができないことがここに決定した。 まぁ、どちらにしろアリーナのシールドが破られている状況で訓練ができるはずがないのだが......

 

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今回、なぜこうなったかを事細かに説明した。 まずは、予約のダブりから。 山田先生に考えてもらったメニューをやろうと、簪さんと本音さんと予約してあったアリーナに向かうと織斑たちがおり受付の人ともめていたこと。 内容が予約のダブりで、先に予約したのは俺たちの方だったが、篠ノ之さんが俺たちが悪いと譲らず、結局俺たちが折れたこと。 交代の時間になり、鈴さんとオルコットさんがアリーナ内に残り、そのほかの人達は譲るために終えたこと。 デュノアさんが交代の声をかけてきたので行こうとすると、突如アリーナ内にボーデヴィッヒさんが乱入していたこと。 そのままなし崩し的に鈴さんとオルコットさんは戦闘になり、ダメージを受けたこと。 その時、織斑が後先考えずにアリーナのシールドを破り突撃したこと。 その際に、流れ弾等が飛んでくる可能性があったため、俺と簪さんがISを展開し、観客席の生徒を守ろうとしたこと。 本音さんには避難の誘導をしてもらい、簪さんをディフェンス、デュノアさんに協力してもらい、戦闘行為をやめさせること。  織斑とボーデヴィッヒさんの戦闘は中断することができ、鈴さんとオルコットさんを救出したこと。 その際、織斑は再度ボーデヴィッヒさんと戦闘、倒されて矛先がこちらに向く。 やむを得ず戦闘となり、ボーデヴィッヒさんを撃破

 

「その後は、織斑先生が合流した状況です」

 

「あぁ、分かった」

 

「蒼海君も簪さんも無事でよかったです...... 凰さんとオルコットさんは怪我は大したことはないんですが、機体自体のダメージレベルがCになってます。 デュノアさんと蒼海君の救出が遅かったら、強制解除になっていたかもしれません。 ボーデヴィッヒさんは特に目立った外傷もないですし、VTシステムの影響もそこまでひどくはないみたいです。 今は疲れて眠っていますが」

 

説明を終えると、織斑先生はこめかみを押さえていた。 うーん、まぁ色々と大変そうですね。 山田先生は俺と簪さんの無事が分かり、かなりホッとしていた。 いや、いろいろとやばかったですが、何とか大丈夫でした師匠。 これも、師匠や皆さんのおかげだー

 

「まぁ、今回の処分はおって話す」

 

「処分て、どういうことでしょうか?」

 

簪さんが反論する。 まぁ、納得いかないのは分かる

 

「ISを無断展開、許可されていないのにもかかわらず戦闘に介入、こちらの警告無視。 流石に今回の事は事がことだが、見逃すわけにはいかない」

 

「なんで!翼君は被害を抑えたし、ラウラ・ボーデヴィッヒの事だって!」

 

「簪さん抑えて。 俺も処分しないと、他の処分も困るから、そうでしょう、織斑先生?」

 

「「・・・・・・」」

 

難しいような、申し訳なさそうな顔で頷く教師二人。 今回の事に関しては、多分俺を処分するのは許せないのだろう。 それが分かっただけでも十分だ。 怒り出す簪さんを抑えつつ、先生たちに頭を下げ退出する。 これ以上いると、簪さんが何を言うかわからないからね。 俺としては、俺のために怒ってくれるのは嬉しい限りだが。 外で待っていた本音さんに簪さんを預けつつ、俺は一人校内を歩く。 なに、織斑先生に頼まれた野暮用を済ませに来ただけだ。 これから事後処理等をする織斑先生に代わって、ボーデヴィッヒさんの様子を見に来たのだ。 それにしても

 

『ボーデヴィッヒ、いや...... ラウラのことを頼む』

 

なんて神妙な顔で言ってたが、ボーデヴィッヒさんのお母さんか何かですかね? 織斑先生は。 そんなことを思いながら、保健室の引き戸に手をかけた

 

 

 

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