この空を飛びたくて(仮)   作:サクサクフェイはや幻想入り

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第四十九話 嫁!

一時間目が始まる。 教室内には、二つの空席がった。 一つは織斑の席だ、 今回の事は織斑先生もかばいきれなかったようで、謹慎が言い渡されたようだ。 俺は反省文の提出、一週間の奉仕活動で決着がついたと、昨日の夜に織斑先生が部屋を訪ねてきた。 そもそも、前回の件で厳重注意を言い渡された織斑、それを破ったのだから当然ともいえる処置だ。 甘いというのは学園側も重々わかっていることだろう。 そもそも、一般生徒で行けば前回の件で即退学ものだ。 運よく退学にならなかったとしても、今回の件で退学は確定だろう。 それもこれも(織斑千冬)の存在があり、貴重な男性操縦者と言う肩書があるからだ。 まぁ、どうでもいいことだが。 俺は山田先生の授業を聞きながら、ノートをとる。 そしてもう一つは

 

「すみません、遅れました」

 

「ボーデヴィッヒさん、体の具合は大丈夫なんですか?」

 

「はい、保健医には大丈夫だといわれましたので」

 

「なら、大丈夫そうですね。 遅れたことについては特にありませんので、席に座ってください」

 

今回遅れてきたラウラさんの席だ。 昨日のこともあり、今日は来ないと思っていたのだが、凄い回復速度だ。 山田先生が席に座るように言うが、ラウラさんは動こうとしない。 それどころか、突然頭を下げ始めた

 

「その、今まですまなかった!」

 

これにはみんなも困り顔だ。 うん、かくいう俺も何が何だかわからない。 山田先生を見るが、ワタワタシて俺のほうを見ていた。 いやいやいや、先生なんですから収集着けてくださいよ!? 無理です、と言わんばかりに首を振る山田先生。 その間も、ラウラさんは頭を下げたままだ。 あぁ、なんかみんなから視線を感じる。 畜生!こういうときだけ頼りやがって!俺は仕方なく、ラウラさんに声をかけることにした

 

「あー、その、ラウラさん、いきなり謝られてもみんな困惑してるから。 何に対して謝ってるのさ」

 

「ラウラさん?」

 

クラスが、一斉にひそひそし始めた。 き、貴様ら!自分で何とかしようとせず人に振っておいて、こういうときだけ!それと、ラウラさんと言った瞬間、覚えのある冷たい視線を感じる。 これはアレだ、振り向いた瞬間、俺を待っているのは死だ

 

「む、それもそうか、すまない。 正直に言って、私がこのクラスの空気を悪くしていたのは知っていた。 前の私なら別にどうでもよかったが、少し思うところがあってな、だからみんなに謝ったのだ。 許して、もらえるだろうか?」

 

なんか、教室の所々から、はぅっ!? だとか、苦しそうに萌え死ぬとか、お持ち帰りぃ!!とか聞こえるが気のせいだと信じたい。 このクラスって、そこまで変態性高かったっけ? まぁいいや、考えたって仕方ない。 確かに、上目遣いで、瞳をウルウルさせ、身長の小ささも相まってかわいいとは思うが、今授業中よ? そこらへんわかってる? 昨日の空気はどこへやら、今やラウラさんはクラスから許されている。 わー、ちょれー、とか思わなくはないが、一緒に学ぶのだから、仲が悪いよりはいいほうがいいかと考え気にしないことにする。 とりあえず

 

「まぁ、こうやって謝ってるし。 許してもいいと思うけど、どう思うデュノアさん」

 

「えぇ!? ここで僕に振るの!? いや、いいと思うけど」

 

まさか話を振られると思っていなかったのか、驚いたデュノアさんだったが、デュノアさんがいいと思うと言った瞬間、クラス内から歓声が上がった。 いやだから、授業中。 あぁ、山田先生がクラスから出て行って、他の教室に謝りに行ってる...... そんなことはお構いなしに、ラウラさんを囲むクラスメイト達。 あっちはワイワイやっているからいいが、こっちは......

 

「「・・・・・・」」

 

本音さんが俺の目の前に来て、無言で俺を見下ろしていた。 いや、あの、怖いんですけど、本音さん

 

「後でお話。 かんちゃんとお嬢様にも来てもらうから。 りんりんは証人」

 

「あぃ......」

 

本音さんの迫力があまりにもすごくて、俺はそれだけしか言えなかった。 あぁ、俺の命日は今日かなぁ...... なんてことを考えていると、人だかりが開きラウラさんがこちらに向かってきていた。 モーゼかな?

 

「翼、お前に話がある」

 

「ん? 何さ」

 

話があるということで、本音さんは俺の前から移動し横で見ている。 ラウラさんは俺の前に立つと、そのまま襟を持ち顔を

 

「いやいや、何してるのさ?」

 

俺は冷静に手を払い、顔を遠ざける。 するとラウラさんは少しむっとした表情になり、再度俺の襟をつかもうとする。 それを冷静に払う俺、掴もうとするラウラの図が出来上がる。 これにはクラスメイト達もポカーンとしていたが、俺だって何か聞きたい。 数分間くらいだろうか? そのやり取りが続いたが、やがてラウラさんは諦めたように腕を下す

 

「むぅ...... キスはお預けか」

 

「いや本当に何言ってるのさ!?」

 

「・・・・・・」

 

これには俺もびっくり。 そして本音さん、これは俺のせいじゃない! 絶対零度の瞳を俺に向けてくるが、理不尽すぎる

 

「ん? 翼は私のライバルであると同時に、嫁にすることを決めた!」

 

「へーい!誰か隣のクラスから鈴さん呼んできて!ツッコミが追い付かない!」

 

この娘は何を言っているのだろうか? いや、昨日の会話で王道漫画ならライバルっぽい発言は飛び出したが、嫁が意味が分からない。 どっから嫁って単語が出てきた? マジでだれか説明してくれ!しかも俺が嫁入りするの? ふつう逆じゃない?

 

「む? ツッコミ? どういうことなんだ」

 

「こっちが聞きたいわ!まず、なんで嫁!?」

 

「決まっているだろう? 男女のライバル関係なら、互いを切磋琢磨し合う過程で、友情が愛情に変わり、やがて憎しみになるのだろう? そう副官から聞いた」

 

「どこのハムだよ!!いや、武士道仮面か? どっちも出いいが、憎しみに変わったらダメだろ!?」

 

はー、はー、と肩で息をする。 もうまじむり、つっこみが追い付かない。 やはり王道漫画の影響だったが、その副官いろいろと間違ってる。 後、首にしたほうがいいその副官。 でなきゃ、一から日本の知識叩き込みなおしたほうがいい

 

「何をつかれているのだ、嫁よ!」

 

「いや、ラウラさんのせいだからね!?」

 

「つばっち......」

 

本音さんが同情したような目で手をつないでくれる。 うぅ、その優しさが染みる。 でもお話ありなんですよね、この世は無常だ

 

「そ、そうだったのか、すまない......」

 

あー、犬耳とか尻尾があったら絶対にシュンて感じで垂れ下がってる。 ほらー!クラスのみんなからも、何やってんだこの野郎!見たいな目が来てるからー!!くそぅ!本当に他人事だと思いやがって、畜生!俺は頭をガリガリ掻くと、ラウラさんの頭をなでる

 

「別に謝らなくてもいい。 日本に不慣れなんだ、これから勉強していけばいい」

 

「いや、別に不慣れでは......」

 

「副官の言った日本の知識はすべて忘れろ、いいな?」

 

「あ、はい」

 

俺が凄みを利かせて言うと、ラウラさんは多少顔を青くしながら答えた。 ちなみにこの時、後日聞いた話だがすごくイイ笑顔を浮かべていたそうだ。 それはそうだろうな、周りの無責任さにイライラしてたし

 

「そういうわけで少しづつ日本になれてけ。 わからないことがあったら俺に聞いてもいいし、ここにいるクラスメイトや、織斑先生でもいい。 もちろん、挑戦は受け付けるけどな」

 

「あぁ!」

 

そう言うと、表情が明るくなる。 いやー、ひと仕事すんだ。 周りを見回すと、みんなグッジョブと言わんばかりに親指を立てていた。 無責任な奴らはいいな!

 

「むぅ」

 

あの本音さん、なんで隣でむくれてはるんですか?

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