この空を飛びたくて(仮)   作:サクサクフェイはや幻想入り

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第五十話 一難去ってまた一難

お話を乗り越えた昼休み、食堂でご飯を食べているが一人増えた。 言わなくてもわかると思うが、ラウラさんだ。 まぁ、それはいいのだが

 

「あはは!それで山田先生は謝りに来たわけね、アンタモテモテじゃない」

 

鈴さんが朝の一件を聞いて、爆笑していた。 こっちは、笑い事じゃないやい!結局あの後、山田先生は帰ってこないわ、もはや授業どころの雰囲気ではないわで、そのまま終わり。 休み時間になり、俺は織斑先生に呼び出された。 騒ぎを起こさないでくれだとか、他のクラスに迷惑かけるなとか、山田先生を困らせるなだとか、いろいろ言われた。 なぜか、俺だけ。 しかもその時、俺は放課後の訓練、倍プッシュ宣言されたので地獄が確定した。 でも、ラウラさんのことに関しては織斑先生に感謝された。 どうも、織斑先生もラウラさんの様子は気がかりだったようだが、仕事や先生と言う立場上、介入はできなかったらしい。 だが、過程はどうあれ結果的に見れば、ラウラさんは明るくなりクラスにもなじめた。 そういう意味では感謝された。 まぁ、いろいろな意味ではっちゃけたのは否定しないが。 とりあえず、騒ぎの発端は副官のせいなので、織斑先生直々に電話をしておいてもらった。 今後こう言うことがないと信じたい

 

「いえ、まぁ、いろいろと大変だったんですよ、蒼海さんは」

 

「まぁまぁ、いいんじゃないの? これからいろんな意味で苦労するのは簪たちなんだから」

 

「それは、まぁ」

 

なんかひそひそ話し始めたと思ったら、鈴さんたちは、簪さん、本音さん、楯無さんをそれぞれ見ていた。 俺にはよくわからなかったが、女子同士で感じ合うものがあったのだろう、なんか力なく笑っていた。 そんな様子に首をかしげたのはラウラさん

 

「なぁ翼よ、あいつらは何をやっているんだ?」

 

「俺にもわからん」

 

何故俺に聞いてくる、本人たちに聞け。 そう思いながら、漬物をパリポリ。 あ、今日の漬物美味しい

 

「そう言えば楯無さん、今日の放課後の訓練は来ます?」

 

「ん? そうね、蒼海君に言われたし、ちゃんと仕事をすることにするわ」

 

「わ~、お嬢様が珍し~」

 

「本音ちゃん、どういう意味かしら?」

 

本音さんの本音に楯無さんが食いつくが、いつものように笑顔で言い放つ本音さん

 

「そのままの意味ですよ~? お姉ちゃん、いつも愚痴ってますし~」

 

「グフッ......」

 

本音さんの本音に楯無さん、撃沈。 少し行儀が悪いが、机に突っ伏す。 そんな楯無さんに、簪さんからの追撃が入る

 

「お姉ちゃん、また虚さんに迷惑かけて。 ダメだよ、迷惑かけちゃ」

 

「・・・・・・」

 

簪さんの言葉がクリーンヒットしたのか、楯無さんは動かない。 やめて簪さん!楯無さんのライフはもうゼロよ!どこかのカードゲームの次回予告が聞こえてきそうな感じだな

 

「なぁ、翼よ」

 

「ん?」

 

「姉なのに威厳が」

 

「ストップ!それ以上はいけない!!それに、ここぞというときにはしっかりした人だから、普段は見逃そう」

 

「それって、普段はだめだめだって言ってるわよね!?」

 

どうやらラウラさんとの話が聞こえていたようだ。 てっきり、生ける屍よろしく、聞こえてないのかと思っていた。 若干涙目だが、ここは心を鬼にして

 

「自業自得です」

 

「・・・・・・すみませんでした」

 

お茶を飲みながら言うと、がっくりとうなだれながら返事をする楯無さん。 これに反省して、日常的に仕事をやってくれるようになればいいのだが

 

「アンタも鬼ね。 ともかく、何で楯無さんに放課後の訓練、来れるか聞いたのよ?」

 

鈴さんがもっともなことを言うと、全員の視線がこっちに向く。 俺は力なく笑いながら

 

「織斑先生にね、訓練、倍プッシュって言われたからね」

 

「あぁ、それはなんというか、ご愁傷様......」

 

「ふふっ、なんで俺だけ.......」

 

「翼君、よしよし」

 

「つばっち、よしよし」

 

頭に何かが触れる感触がする。 たぶん声的に、簪さんと、本音さんが撫でてくれてるんだと思う。 うぅ、優しさが身に染みる...... そんな俺は放っておいて、鈴さんたちは話しこんでいた

 

「織斑先生直々に訓練か、羨ましい限りなのだが」

 

「あー、まぁ、ラウラからしたらそうなんでしょうけど、アレは訓練の皮を被った何かよ」

 

「そんなに、なのか?」

 

「えぇ、まぁ...... 織斑先生との模擬戦は当たり前。 時には山田先生と組んだ時もありましたわね」

 

「あー、アレね。 アレは見てるこっちもかわいそうだった」

 

「後は、お姉ちゃんと、織斑先生タッグと翼君とか」

 

「でも蒼海君、才能がすごくあると思うわよ? もちろん本人の努力もあるけど、いくら装甲が硬くなって、スラスターの数を増やしたといっても訓練機よ? 初期化と最適化はしてあるといっても。 それであそこまで扱えるんですもの、専用機があったら彼の実力は計り知れないわ」

 

「・・・・・・意外にすごかったのだな、翼は」

 

なーんか、視線が集中しているような気がするが、今の俺にそんなのを構っている暇はない。 と言うか、ようやく回復してきたところだし

 

「簪さん、本音さん、ありがとう。 持ち直してきた。 それで、何の話をしていたんですか?」

 

「いやー、ただアンタの才能が恐ろしいって話をしていただけよ」

 

「いやいや、織斑先生や師匠に比べたらまだまだでしょ。 それに、鈴さんやオルコットさんのタッグに負けることあるし」

 

「いえ、そもそも比較対象が...... そもそもこのやり取り、何回もやってるのですが」

 

鈴さんがそんなことを言うが、俺としては織斑先生や師匠の足元にも及ばないためそんなこと言われても困る。 オルコットさんも同意のようだが、そもそもこれに関しては、他の人の意見を聞くつもりはない

 

「むぅ...... 私もシュヴァルツェア・レーゲンが修復中でなければ、参加したのだが......」

 

「まぁいいんじゃないの? 短い息抜きということで。 ちゃんと機体も直って、ラウラさんも十分な休養を取ってからで」

 

「それもそうだな」

 

難しい顔をしていたラウラさんだが、俺がそう言うと機体が直るまでは休むことに決めたようだ。 安静にしているようにって話だし、あんなハードなものをやらせるわけにはいかない。 そんな少し騒がしい昼を終えた

 

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「し、死ぬ......」

 

「えっと、お疲れ様、翼君」

 

「今日も大変だったわねー」

 

「これで楯無さんがいたら、蒼海さん死んでいてもおかしくなかったのではないでしょうか?」

 

「・・・・・・正直言って、私の想像以上にきつい訓練だった。 本国にいたころよりも、スパルタになっているかもしれん」

 

「グフッ......」

 

ラウラさんの言葉を聞き、俺は膝から崩れ落ちた。 じゃあ何か? 軍人でもきついと思われるメニューを、俺は毎日こなしていたのか? ・・・・・・俺、今までよく生きてたな。 ちなみに鈴さん、オルコットさん、ラウラさんは専用機を修理している状況だが、いろいろと参考になるということで、観客席で見ていた。 疲れていると、なんだか足音が聞こえてくる。 しかも複数人だ。 まっすぐ、この控室を目指しているようだ

 

「「蒼海君!!」」

 

「めっちゃ、人いるんですけど.....」

 

「うわぁ......」

 

そこには、入り口に群がる、人、人、人。 その手には紙が握られ、全員が俺に差しだしてきた。 いや、怖いから。 内心そう思ったが顔には出さず、そのうちの一枚を見る。 すると、今月末に行う学年別トーナメントだが、タッグ戦なったらしい。 あぁ、これか

 

「あー、みんなには悪いけど、簪さんと組むから」

 

皆落ち込んだ様子だが、これはもともと決めていたことだし。 正直って前から聞いてたし、申し込みはまだしていないが。 そういうわけで、皆さんにはお引き取り願った。 関係ない話だが、簪さんと組むといったとき、心なしか簪さんの顔がどや顔に見えたが、きっと気のせいだろう

 

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夕飯後、俺は一人で外を歩いていた。 気晴らしに外でも歩こうかなと思っていたが、それが間違いだった

 

「うぅ、グスッ......」

 

なんか見覚えのある人が、ベンチで泣いている。 いやまぁ、ここは人通り少ないけどさ。 いいのかよ、そんな風に泣いてて

 

「・・・・・・どうした、デュノアさん」

 

「蒼海君?」

 

デュノアさんは泣きはらした目でこちらを見る。 どう見ても、長い間泣いているのが分かるありさまだった

 

「誰かに見られたか?」

 

「そ、それはないと思うけど......」

 

戸惑っているデュノアさんだが、無理やり引っ張りベンチから立たせる

 

「な、何を!?」

 

「お前、今の恰好を見てからいえ」

 

「え? あっ......」

 

何があったのかは知らないが、一部が隆起していた。 それは少なくとも昼までは見られなかったもので。 端的に言えば、胸が膨らんでいた

 

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