この空を飛びたくて(仮)   作:サクサクフェイはや幻想入り

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第五十一話 一難去ってまた一難 2

「「「・・・・・・」」」

 

重苦しい沈黙。 場所は外から俺の部屋に移り、くつろげるはずの部屋も今では重苦しい雰囲気に包まれていた。 原因はデュノアさんだ。 男装は、まぁ、楯無さんからの情報や自分でも何となくわかっていたので別に驚きはない。 だが、厄介ごとに自ら首を突っ込んだということで、気分は最悪だ。 我ながら、何故放っておかなかったのか。 ちなみに部屋に来るまでの間、奇跡的に誰にも見られなかった。 この時間なのに珍しい

 

「はぁ...... この際()()()()()()()の追及は後にするわ」

 

楯無さんはため息をつきながらそう言った。 その際デュノアさんは肩を震わせたが、楯無さんは気にせずに俺に厳しい視線を向ける。 まぁ、そうなりますよね。 この状況が分かっていても、なお俺が連れてきたのだ。 楯無さんが厳しい視線を向けてきても仕方がない

 

「それで? 蒼海君には警告していたはずよ? シャルル・デュノアは怪しいって。 それなのに、なぜここに連れてきたのかしら?」

 

「楯無さんの言いたいことは分かってるつもりです。 警告もされてましたし、自分でも気が付いてました。 怒りももっともですが、俺の言い訳を聞いてください。 まず、デュノアさんが泣いている場所が悪かった。 人通りが少ないとは言っても学園、誰かしら通る道でその恰好で泣いてたんです。 下手をすれば情報を拡散され、面倒ごとになるのは目に見えてる。 なら、情報を拡散される前にどこかしらに連れ込むのがいい。 それで、ここに連れてきました。 そして、まぁ、単純に泣いているのを放っておけなかったといいますか」

 

あははと力なく笑うと、楯無さんはジト目を向けてきた。 いや、しょうもないとかは分かってるんですよ? でも、そんな風にみられるのはいささか心外と言うか。 まぁ、俺が全面的に悪いんですが。 ジト目をやめた楯無さんは普通に話し始めた

 

「後半はともかく、確かにシャルル・デュノアが女だったという情報が学内に拡散されれば、面倒になるのは目に見えてるわね。 一つ訂正するなら、わざとここに連れてきたんでしょ? 私は生徒会長で、やろうと思えばいろいろと出来るから」

 

「あはは...... ばれてましたか」

 

「だって蒼海君、私と同じような人間じゃない。 使えるものは使う、そうでしょ?」

 

「ははは」

 

笑って誤魔化しておく。 まぁ、人の迷惑も考えず、面白いことをしていた時期がありましたしですしお寿司。 とりあえず、今は関係ないので昔を思い出すのはやめよう

 

「それで? なんでデュノアちゃんは、外で泣いてたのかしら?」

 

追及を始める楯無さん。 デュノアさんから語られたのは、衝撃の真実だった。 まずは学園に潜り込んだ真実から。 デュノアさんの名前からわかる通り、デュノアさんの実家はデュノア社。 俺の使っているラファールリヴァイブの製造元だ。 そこの社長、デュノアさんのお父さんらしいのだが、その人から直接命令されたらしい。 理由は、まぁ、デュノア社自体が経営危機に陥っているから。 これは世界的には知られていないが、少し調べれば簡単にわかることだ。 俺も自分の相棒の製造元が気になったから調べた程度だったが。 デュノア社の主力は、ラファールリヴァイブだ。 これは広く知られており、訓練機、カスタム機問わず多く使われている。 だが、ラファールリヴァイブは第二世代型。 いま世界中では第三世代型の開発が主流になっている。 鈴さんの中国、オルコットさんのイギリス、ラウラさんのドイツ。 他にもいろいろな国が第三世代型になり始めている中フランス、その主要開発社であるデュノア社はいまだ第三世代型の開発ができていない。 このままではフランスは世界から出遅れる、そしてデュノア社は開発権をはく奪される、そこ苦し紛れの策がデュノアさんの男装だ。 そうすればデュノア社は広告塔を、しかも同じ特異ケースである俺たちに接近しやすいというわけだ。 そこで俺たちのデータか、白式のデータでも取れればデュノア社的には万歳、フランスにとっては第三世代型の開発ができるといいことづくめらしい。 正直言って、フランスとデュノア社には呆れしかない。 楯無さんを見れば、俺と同じように呆れていた。 まぁ、デュノアに男のふりは無理だということだ。 体のつくりにしてもそうだし、所作とかもどこか女っぽかったしな。 とまぁ、話はそれたがここまでなら、別に俺は衝撃の真実なんて言わない。 俺が衝撃と言ったのは、その後だ。 それで、泣いていた理由だが、織斑だった。 デュノアさんと織斑は同室だったのだが、当初から篠ノ之さんに文句を言われていたらしい。 織斑も気にしなくていいって言っていたし、そこまでなら気にしていなかったらしい。 だが、態度が豹変したのは昨日の夜の事。 織斑先生から電話連絡を貰い、謹慎を発表された直後だ。 その時は放心状態だったらしいが、シャワーを浴び部屋に戻ると豹変していたようだ。 デュノアさんが女ということを知っており、それで脅してきたらしい。 まぁ、普通なら抵抗するのだが、そこで白式のデータをつけるといわれたようだ。 どちらにしろ織斑にばらされれば、デュノアさんはこの学校には居れなくなる。 そして、白式のデータはデュノア社とフランスが欲しがっているのも。 元より道はなく、織斑の指示に従っていたらしい。 なるほどな。 今日、教室でほとんどデュノアさんの姿を見かけなかったのはそのためか。 大方、織斑の召使のように働いていたんだろうけど。 だが、ついさっき要求がエスカレートしたらしい。 それで、織斑のところから逃げてきて泣いていた、そういうわけだったらしい

 

「「・・・・・・」」

 

それを聞いた俺と楯無さんは無心だった。 まぁ、信じられないわけではないのだが、スパイをやっているようなデュノアさんだ、全部が全部信用できるわけじゃない。 デュノアさんもそれが分かっているのか、薄く笑うだけだった

 

「まぁ、事情は分かった。 だがシャルル・デュノア、お前のすべてを信用できるわけじゃない。 確かにお前は被害者かもしれないが、自分で選んでここに来たんだ。 もうその時点で、お前は被害者から加害者になってる。 たとえ、親の権力にかなわなくて仕方なくだったとしても、お前は選んでここに来た」

 

「それは、うん、そうだね......」

 

「はぁ...... 俺もつくづく甘いな。 楯無さん、何とかできません?」

 

「え?」

 

「・・・・・・あの話を聞いて、信用できないといったのに、何故そんなことを言うのかしら?」

 

デュノアが呆けた顔をするが、気にしない。 楯無さんは厳しい目で、俺を見てくる。 まぁ楯無さんもわかっているとは思うが、一応俺を見定めるためだろう

 

「信用はできませんけど、このままじゃ俺たちにも被害が来ます。 それは、()()としても、面倒でしょう? それに、信用できないって言いまいたけど、こいつが泣いているのは本当のことですから」

 

苦笑する俺に、楯無さんは苦笑していた。 やっぱりわかっていたらしく、どうやら俺らしい答えに納得してもらえたようだった

 

「まったく、こんなことに私を使うだなんて、高くつくわよ?」

 

「それは俺じゃなくてデュノアさんに払ってもらいたいところですが、仕方ないでしょう。 要求は?」

 

「そうねぇ...... なら学年別タッグマッチが終わったら、生徒会に副会長待遇で入ってもらいましょうか!」

 

「わぉ、意外に穏便に済んだ。 まぁいいけど」

 

そんなわけで契約成立の握手をすると、デュノアさんが突っ込んでくる。 どうでもいいけど、何で楯無さんそんなに悪そうな顔しているんですかねぇ......

 

「ま、待ってよ!」

 

「なに?」

 

「なにかしら?」

 

「二人は何を言ってるの!? 被害がくるって、そんなの僕を本国に送還すれば!」

 

「それじゃあ、意味がないだろう?」

 

「え?」

 

「俺たちに迷惑かけたんだ、ちゃんと清算してもらわないとな。 それに、クラスの奴らもだましてたんだ、謝ってもらわないとな」

 

「わーお、蒼海君悪い顔してる」

 

そういう楯無さんも、この状況楽しんでますよね。 そうは思ったが、言わないでおいた。 その時のデュノアさんの顔は面白かったが、まぁいいでしょう

 

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