この空を飛びたくて(仮)   作:サクサクフェイはや幻想入り

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第五十五話 学園最強

試合開始の宣言と共に、俺と簪さんは後方に下がる。 開始位置は楯無さんの距離で、危険だからだ。 事実、俺がついさっきいたところはは水蒸気爆発が起こり、地面がえぐれている。 相変わらず、えげつねぇ...... 避けられても大して気にしていないのか、楯無さんは笑顔で話しかけてくる

 

「あら、いきなり逃げるなんてお姉さん傷つくわよ?」

 

「いきなり爆発させておいて、よく言いますよ!」

 

マシンガンを構え、撃ち込むが水をガードに使いことごとく落とされる。 だが、俺は簪さんとのタッグだ。 簪さんは楯無さんに効果のある、春雷を撃ち込む。 まぁ、そうやすやすと受けてくれるはずもなく、避けられる。 だが、春雷には弾切れがある。 そうバカスコ撃っていられないので、俺も援護に入る。 楯無さんの避ける場所を予測し、グレネードランチャーを撃ち込む。 そうすれば、楯無さんは俺に意識を向けざるおえない。 蒼流旋に装備されているガトリングを俺に向かって撃ってくるが、俺は回避しながらなおもグレネードを撃ち込む。 流石に直撃はしないものの、爆発を受け足がたまったりする。 その時はすかさず春雷が飛んでくる。 直撃とはいかないまでも、かすったり、水でガードしていくらかはダメージを軽減している

 

「あぁ、もう!やりずらいわね!!」

 

「そりゃあ、そういうふうに戦ってますからね!」

 

「そこ!」

 

「くっ!?」

 

一発一発は小さなダメージと言っても、塵も積もれば山となるだ。 ダメージ量はまだそこまででもないが、イライラしてきたのか動きが乱雑になる。 それを待っていたかのように簪さんの春雷が直撃し、楯無さんが一瞬ひるむ。 まぎれもない隙ができ、俺は弾切れのグレネードランチャーを拡張領域に戻し、スナイパーライフルを展開、撃ち込む。 ボルトアクションも趣があっていいのだが、残念ながらビームのスナイパーライフルがある以上どうしても連射が重視となってしまう。 好きなんだけどなー...... ともかく、春雷の直撃、スナイパーライフルの直撃によってかなりのダメージを受けた楯無さん。 対して、俺たちはそこまでダメージを受けてはいないのだが、嫌な予感がする。 簪さんを横目で見れば、頷いていた。 ここで一気に決めたいところなのだが、俺はある異変に気が付く。 いや、何故()()()()()()()()()()。 アクアヴェール、つまり腰についている翼のようなところが赤く変わっているのだ

 

「うふふ、本当はここまでするつもりはなかったのだけど。 蒼海君も簪ちゃんも強いんだもの、お姉さん奥の手を出しちゃったわ」

 

「麗しきクリースナヤ!」

 

「え、何それ?」

 

簪さんがまずいみたいな感じで言ってるけど、俺は知らなかったので思わず素で聞いてしまった。 空気読めないよか思われるかもしれないが、仕方ないじゃん? 、聞かなきゃ対策立てられないもん

 

「アレはミステリアスレイディの超高出力モード。 本当は専用のユニットが装備されないと、出来ないモードのはずなのに......」

 

「まぁ、そこはあれよ。 試験装備を持ってきたんだもの、使わないわけにはいかないでしょ?」

 

笑顔で言う楯無さんだが、それって割と絶望的じゃない? 出力が上がったってことは今まで通りに行かないわけで、そこまで思って気が付いた。 出力が上がったなら、当然今まで()()()()()()()()()出来るはずだ。 俺はイグニッションブーストを使い、簪さんを抱き上げその場から緊急離脱する。 俺と簪さんのいたところは大きな爆発が上がり、今まで爆発とは比べ物にならなかった

 

「ふふっ、流石蒼海君ね。 気が付くとは思ってなかったけど、ギリギリのところで気が付くなんて」

 

「褒められても嬉しくないですよ」

 

元々油断なんてできる相手ではなかったが、状況はさらに厳しくなった。 さらに、楯無さんの口から絶望的な言葉が紡がれる

 

「さて、いいことを教えてあげる。 単純に出力が上がったということは今までできなかったことができる。 クリアパッション(水蒸気爆発)はこのアリーナ全体可能だし、それに」

 

「っ!!」

 

会話の途中だったが、春雷を撃ち込む簪さん。 だが、蒼流旋を突き出し、いつものように水でガードする楯無さん。 春雷の砲撃は、水によって完全に阻まれる

 

「こういうことも可能になったのよ? それを踏まえて聞くわ、それでも私に挑むのかしら?」

 

蒼流旋を構え、問いかけてくる楯無さんに俺たちの答えは決まっていた

 

「当たり前ですよ楯無さん。 今日は勝たしてもらいます、そう言ったはずです」

 

「私も翼君と同じだよ」

 

「そう......」

 

俺たちが答えを言うと、楯無さんは嬉しそうに笑い、そして

 

「なら、第二ラウンド開始ね。 だけどお姉さん、時間がないから飛ばしていくわよ?」

 

そう言いながら指パッチン。 大爆発が起こる。 避けることのできない、楯無さんがいる所を除くアリーナ全体の大爆発。 本当に手加減はないようで、爆発に巻き込まれてシールドエネルギーは大幅に削られるが耐えきる。 もはや逃げ場は何処にもないし、思い切って突っ込むことにした。 俺は葵を両手に展開し、簪さんは夢現を展開。 俺が先に突っ込む

 

「あら? 今度はダンスのお誘いかしら?」

 

「物騒なダンスもあったものですね!まぁ、せいぜい退屈させないようにしますよ!!」

 

葵の連続攻撃を仕掛けるが、槍でことごとく防がれる。 うわー、なんで俺の周りにはこういう人外しかいないんですかね!槍の突きを上手く挟み込んだところで、簪さんが夢現で死角から攻撃を仕掛けるが、ラスティーネイルを連結させ、受ける

 

「この距離なら!!」

 

「ざーんねん!」

 

至近距離の春雷だが、やはり高出力になった水でガードされてしまう。 小爆発を起こすことで俺と簪さんを離れさせ、ラスティーネイル本来の使い方である、蛇腹剣で俺を攻撃してくる楯無さん。 だが、俺はそれにあえて向かっていく。 盾を展開し、ラスティーネイルをそらし、隠していたKIKUを楯無さんに突き付ける!

 

「・・・・・・驚いたわね。 まさか、これでも防ぎきれないなんて」

 

「まさか、一発で杭が駄目になるとは」

 

水の出力が高すぎるのか、一応ダメージは与えられたが微々たるものだった。 だが、あれを破る方法は見つけた。 でも、完璧にとっつきを警戒するだろう。 どうしたものかと絶えず動きながら考えていたが、簪さんが合流したところで状況が一変した

 

「なんだ、これ!機体が重い!」

 

「ミステリアスレイディの単一使用能力!」

 

「正解よ簪ちゃん。 高出力ナノマシンによって空間に敵機体を沈めるようにして拘束する超広範囲指定型空間拘束結界。 対象は周りの空間に沈み、拘束力はAICを遥かに凌ぐの。 本当は使いたくなかったのだけど、蒼海君のソレ(とっつき)は危険だから。 動きを封じさせてもらうわ」

 

機体がいきなり重くなったと思ったのだが、どうやら違ったらしい。 楯無さんのISの単一使用能力で、拘束結界らしい。 飛んでいる機体はどんどん地面に近づき、やがて地面に降りてしまう。 スラスターを全力で稼働させてはいるが、結界の効力が強すぎるらしく、地面に膝をつきそうだ

 

「でも楯無さん、いくら出力が上がったクリアパッションでも、俺と簪さんを削りきるのは結構手間じゃないですか?」

 

「ええ、そうね。 だから、とっておきを使わせてもらうわ」

 

赤い水が蒼流旋に集まっていく。 なるほど、そのコンボは強力だ。 ミストルテインの槍。 通常時は防御用に装甲表面を覆っているアクアナノマシンを一点に集中、攻性成形することで強力な攻撃力とする一撃必殺の大技。 本来なら自らも大怪我を負いかねない諸刃の剣なのだが、この間ようやく完成したといっていた。 通常、槍を持ったまま突撃しなければいけないといっていたのだが、()()()()()()()()()()()と言っていた。 当的体制に入る楯無さんだが、その攻撃、エネルギー総量は小型気化爆弾4個分に相当するとか言ってませんでしたっけ? 当たったら、塵も残さず消えそうな気がするけど

 

『ねぇ簪さん、飛び切り分が悪い賭けをしてみる?』

 

『どういうこと?』

 

槍を投擲しようとしている楯無さんを見据えながら、俺はそう簪さんに提案する。 簪さんは聞き返してきたので、簡潔に説明をする

 

『なに、簡単だよ。 俺が投擲されるであろう槍に突っ込むから、簪さんは楯無さんを頼むってこと』

 

『危険だよ!!お姉ちゃんにアレの威力聞いてたでしょ!』

 

『なら、このまま素直に負けてもいいと? 俺は嫌だね』

 

『・・・・・・でも、もし仮に相殺しきれたとしても私のシールドエネルギーは残り少ないし、春雷も全弾当たったとしても削りきれない』

 

俺の言葉に、若干の間を置きつつも答えてくれる簪さん。 ふふん、どうやら簪さんもただで負けるつもりはないようだ。 そして、そこは心配ない

 

『それなら、これを』

 

『いつの間に......』

 

『いや、楯無さん対策で作ってもらっただけ。 でも、これがぶっつけ本番だから通るかわからない。 一応試算では、貫通可能らしい』

 

『乗り掛かった舟だし、やるよ。 でも、翼君も気を付けてね?』

 

『善処しよう』

 

とある装備をアンロックし、簪さんに渡しておく。 すぐに拡張領域に入れてもらったし、見えなかっただろう

 

「さて」

 

「それじゃあ、これで私の勝ちよ!!」

 

「行きますか!!」

 

楯無さんが槍を投げた瞬間、俺はイグニッションブーストを発動し、勢いよく空中に上がる。 まぁ勢いよくは俺の体感で、実際はかなり遅めにブーストをふかしたぐらいの速度なのだが。 俺は両腕を前に突き出し、KO-4H4/MIFENGの引き金を引く。 瞬間、吸収しきれなかった衝撃が腕に走るが、気にしていられない。 拮抗どころか、俺が押し返されているが引き金を引き続ける

 

「もっと、もっとだ!!」

 

俺がそう言った瞬間、スラスターがさらに点火する。 これ以上吹かせないはずなのだが、相棒が俺の声にこたえてくれたのだろうか? だが、そのおかげで少しずつではあるが拮抗状態までもってきている。 でも、それも長くは続くはずもなく、スラスターが壊れると同時にとっつきも弾切れとなり、俺は衝撃で地面にたたきつけられた

 

「っ!?」

 

かなりの衝撃が襲い、俺のシールドエネルギーはゼロの表示が。 あぁ、もうちょっと頑張りたかったのだが後は簪さんに任せるしかない。 俺が地面にたたきつけられたことで、砂ぼこりが上がる。 上空から楯無さんが下りてくるが、もう赤くはなかった。 どうやら時間制限があったのか。 なら、()()()かな。 楯無さんはラスティーネイルを構えて、土ぼこりが晴れるのを待っていた

 

「なっ!?」

 

だが、土ぼこりが晴れ、簪さんの姿を見た楯無さんの表情は、驚きに染まっていた。 なぜなら、簪さんはバカでかいガトリングを片腕二門、計四門装備していたからだ。 これが、対楯無さん最終兵器、35ガトことAM/GGA-206の改造モデルだ。 重量がと心配した諸兄らもいるだろうが、心配ご無用。 ジェイルさん印の魔改造仕様なので、見た目ほど重量がない。 普通に動きながら撃てるし、高速戦闘なんかも可能な一品。 ただ、不満点があるとすれば、大きいので取り回しが悪い。 二門にする必要があるのかと問われれば、ロマンだよ。 なお、これの製作を依頼したときジェイルさんに

 

「本当に君は頭がおかしいんじゃないだろうか? いい意味でだが。 あぁ!解剖させてくれ!!」

 

とか言ってたが、設計図を置いてさっさと部屋から出たから問題ない

 

「本当に軽い...... これなら」

 

「はっ!」

 

ガトリングが火を噴き、それでようやく楯無さんは再起動した。 簪さん、フルバースト状態だ。 なんだろうか、心なしか楽しそう。 一方の楯無さんだが、俺の目論見通り防ぎきれていない。 水を展開するが、圧倒的物量の前に処理が追い付かない

 

「うそでしょ!?」

 

そこに春雷や山嵐から発射されたミサイルまで飛んでいくのだから、見る見るうちに楯無さんのシールドエネルギーが削られていく

 

「こうなったら!!」

 

防ぐのをやめ、楯無さんはラスティーネイルを振りかぶる。 だが、それを避けながら射撃を続ける簪さん。 どこまで削れるか。 たがいに削り合い、そして

 

『試合終了です!結果は、ドロー!同時にシールドエネルギーが尽きました!!』

 

引き分けだった

 

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