タッグマッチトーナメントの週末、つまりは休みと言うことだ。 疲れをとるためにゆっくり休むというのも手だが、俺は軽めに体を動かしていた。 まぁ、せっかくの休みだ、トーナメントや行事があるならまだしも、そう言ったものがないので軽めにだ。 そもそも、休みであるGWもろくに休めなかったしね...... そんなわけでいつもの筋トレに走り込みなど軽く汗をかいたため、シャワーを浴びていた。 今日はこの後ISの訓練も予定も入っていないため、ゆっくり休む予定だ。 山田先生も織斑先生も買い物に行くって言ってたし、ゆっくり休めるだろう。 臨海学校の買い物と言っていたが、先生方ともなると大変だな。 そんな風にしか考えていなかった
「あ、ようやく見つけた!」
「シャルロットさん」
俺は苦い顔になる。 いやね、自由になってからと言うものね、何かと俺の後ろに控えようとするのよこの子。 理由を聞いたら、恩を返すためだとか、護衛とかね? どうも恩以上の何かを感じているような気がしてならない俺だが、実害ないし楯無さんも私がいないときに頼めるって、護衛のイロハを教え込んでるからいいんだけどね? さて、話はそれたがシャルロットさんだ。 ようやくということは、俺のことを探していたんだろうか?
「何か御用?」
「何か御用って、臨海学校の買い出し、行かなくていいの?」
「買い出し?」
素で聞き返す。 臨海学校と言えば、海沿いの旅館に二泊三日でという話だが。 それだって、専用機持ちはISの訓練などをやるって話だし、持ってない人だって体力の向上などの強化合宿みたいな感じだと思っていたのだが。 それなら別に特に買うものなんかないと思うのだが? そんなことを考えていると、いつの間にかいつものメンバーが集めっていた
「ようやく見つけたのね」
「ごめん鈴、ちょっと手間取って」
「蒼海君、女の子を待たせるのはちょーっと感心しないわよ?」
「そうですわ!」
「行こう、翼君」
「レッツゴ~!」
「行くぞ翼よ!」
みんながみんな一斉に話してくるので分からないが、何故か簪さんとラウラさんに引っ張られる。 流石に状況が分からな過ぎて、待ったをかける
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
全員が歩き出そうとしていたので声をかけると、不思議そうな顔でこっちを見てくる。 いや、不思議なのは俺なのだが
「買い出しって、なに?」
「買い出しは買い出しだよ~」
「水着とか、買わないの?」
「水着って、必要あるの?」
「蒼海さん、向こうに行っても自由時間ぐらいはありましてよ?」
呆れたように言ってくるオルコットさんだが、俺そんな話聞いてない。 それが顔に出ていたのか、シャルロットさんが説明してくれる
「IS学園を朝に出発して、向こうに着くのが昼の少し前。 旅館に挨拶や荷物の整理をしたら、自由時間だよ? 訓練とかがあるのは二日目以降なんだ」
「まじか......」
皆が頷く。 なんで俺はそんなことを聞いていなかったんだ...... そう言うことなら水着は必要だ。 もともと荷物などは持ってきていたが、水着なんか持ってきていないので買わないといけない。 そもそも、水着自体小さくなっていたから買わなくてはと思っていたのだが
「其れじゃあ行くぞ翼!」
妙に張り切っているラウラさんに引っ張られ歩き始めるのはいいのだが、一つ気になることがある。 楯無さんの存在だ
「楯無さん、楯無さん」
「何かしら?」
「何故楯無さんまで?」
「そんなの決まっているじゃない!楽しそうだからよ!」
何とも楯無さんらしい理由だった。 今回開かれた扇子には、夏だ、海だ、水着だ!と書かれていた。 いや、その通りかもしれないけど、なんでそのチョイス?
「そ、れ、に。 お姉さんだけ仲間外れじゃ寂しいじゃない?」
「あ、絶対に比重そっちのほうが大きそう」
いたずらっぽくウインクする楯無さんに苦笑しつつ、もはや俺はされるがままだ。 そんな俺に楯無さんは楽しそうに近づき、耳元でささやく
「それに、貴方が外出するわけだし、護衛が必要でしょ?」
その言葉に俺は楯無さんを見るが、楯無さんは微笑んでいた。 ・・・・・・なるほど、それも理由の一つか。 妙に納得しつつ、そのまま引っ張られ買い物に行った
--------------------------------------------
買い物が終わった夜、俺は部屋で疲れ果てていた。 女の子の買い物が長く、いろいろなものを見るのは知っていたが、それにしたって疲れた。 なんか訓練よりも疲れたような気がするが、気のせいだろうか? やはり、慣れないことをするものじゃない。 一緒に買い物に行っていた楯無さんだが、元気だ。 そもそも、女子たちは俺に水着を選ばせるだけ選ばせ、連れまわしていたのだ。 全く疲れを感じさせずな。 あれほど、いつも一緒に居るメンバーが恐ろしく感じたことはない。 簪さんは恥ずかしがりながらも、大胆な水着を選んで着てくるし。 もちろん、そこは楯無さんと二人で止めておいた。 俺のために着てくれるのは嬉しいが、流石に他の女子の目があるし。 二人きりならいいけどね、とかなりぶっちゃけた発言をしたら顔を赤くしながら引き下がってくれた。 まぁ、どこからかその発言を聞いていたシャルロットさんと本音さんがかなりきわどい水着を持ってきたが...... 楯無さん? もとからきわどい水着でしたが? まぁ、簪さんと同じく、かなり恥ずかしがっていたが。 意外にも、この水着騒動に乗ってこなかったのは、ラウラさん。 そもそも、きわどい水着が恥ずかしかったらしく、どうしたらいいかわからなくて俺に聞きに来たし。 いや、そんなことしたら本末転倒じゃないかとも思ったが、普通に水着を選べばいいといっておいたが。 そんな状況に鈴さんは面白がってはいたが、大部分は呆れていた。 オルコットさんはどっちかと言うと、騒ぎを鎮めようとしたところかな? さておき
「これで、水着は安心かなー」
「ふふっ、ならみんなに感謝しなとね」
「なら、楯無さんにはもっと感謝しないといけないですね」
俺がそう言うと楯無さんは驚いたような顔をしたが、言いたいことが分かったのか苦笑していた
「毎回言ってるけど、そこまで気にする必要はないわよ?」
「たとえ任務でも、今回に関してはシャルロットさんもいましたし、ラウラさんだっていたんですから十分ですよ。 それなのに貴女は俺の警護をしてくれた。 感謝してもしきれないですよ。 こうやって、俺が平和に暮らせるのも楯無さんのおかげですって」
「ふ、ふ~ん」
そっぽを向いて顔を見られないようにしている楯無さんだが、残念ながら耳まで赤いから照れてるのはばれているのだが。 あえて言うことでもないので、そのまま寝るまで楯無さんと話をしていた