この空を飛びたくて(仮)   作:サクサクフェイはや幻想入り

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第六十三話 動き出す心、変わる関係

俺は一人、夜空を見ながら風呂に入っていた。 夜もそこそこいい時間だが、山田先生に言って風呂掃除に来ているというわけだ。 山田先生からもあまり遅くならなければゆっくりしてきていいとお墨付きももらっているので、安心だ。 さて、何で山田先生の話が出てきたかと言うと、山田先生が相部屋だからだ。 これも学園側からの配慮、と言うわけだ。 もし織斑と同じ部屋、または一人部屋と言うとになれば女子が乱入、風紀が乱れるというわけだ。 そんな学園側からのいろんな意味でありがたい配慮で、俺は山田先生と同室と言うわけだ。 ちなみに織斑だが、織斑先生と一緒だ。 まぁここ最近、例の一件で織斑の性根が腐っているということで、織斑先生が監視がてら一緒に居るというわけだ。 それでも俺との模擬戦が減らないあたり、ストレスたまってるんでしょうね。 そのストレス発散される俺の身にもなってほしいものだが。 体もあったまったのでそろそろ上がって掃除しようかと思ったのだが、何故か扉が開く

 

「いっ!?」

 

「お邪魔しま~す」

 

「お、お邪魔します」

 

何と入ってきたのは簪さんと本音さんで、水着着用だった。 いや、そこは安心したけど何故ここに。 お風呂で水着と言うアンバランスさにドギマギしていることを悟られないように平静を装いつつ、簪さんと本音さんに聞く

 

「な、なんでここに!?」

 

「私は~、後で水着を見してあげるって約束を果たしに来たんだ~」

 

「わ、私はその付き添いに」

 

いつものように間の抜けた声を出す本音さんに、恥ずかしそうな簪さん。 いや本音さん、約束はしたけど何も今じゃなくても! 俺は風呂に入ることしか頭になく、装備は腰に巻いてるタオル一枚。 あまりにも心もとない。 それに逃げようにも扉は簪さんや本音さんの後ろ、そして足場は悪い。 逃げ道はあるようでなかった

 

「それじゃあ~、諦めたところでこっちこっち~!」

 

本音さんに引っ張られ、シャワーのあるほうに引っ張られる。 そして椅子に座らされれば、本音さんは背中を流し、簪さんは頭を洗う。 あぁ、天国はここにあったのかと思いつつ、ある意味で地獄だった

 

「うんしょ、うんしょ!」

 

「かゆいところはない?」

 

「大丈夫......」

 

背中では本音さんが一生懸命洗い、髪は簪さんがあらってくれる。 本音さん、本音さん!一生懸命洗うのはいいんですけど、時々胸が当たってるんですけど!簪さんに頭を洗ってもらうのは気持ちいのだが、立っているため俺の股間が見えないか心配だった。 反応すれば即終わりだ。 俺は無心になりながら、洗い終えるのを待つ。 そして、洗い終えれば

 

「「「・・・・・・」」」

 

いきなり抱き着かれた。 いきなりのことに頭が真っ白になるが、簪さんも本音さんもかすかにふるえている。 それが気になった

 

「簪さん? 本音さん?」

 

「好き、なの......」

 

「え?」

 

「好きなんだよ!私も、かんちゃんも!」

 

突然の告白に、さっきまで真っ白になっていた頭は、普通に戻る。 わかっていた、簪さんや本音さんが好きなのは。 そりゃあ、あんだけアタックされれば気が付かないわけがない。 だが、俺は問題を先延ばしにしていた。 だって、この日常が楽しかったから。 誰かの思いに応えれば、この楽しい日常が終わってしまうから

 

「わかってたんでしょ?」

 

「・・・・・・ごめん」

 

「謝らなくて、いいよ。 つばっちの気持ちは分かってたから。 今が楽しい、そうでしょ?」

 

本音さんの言葉に頷く。 どうやら本音さんたちは分かっていたようだが、あえて見逃していてくれてたらしい。 だが、それならなんで?

 

「私たちも楽しかった。 今までじゃ考えられないくらい、でも」

 

「でも、もう我慢できないんだよ。 別につばっちを独り占めしたいわけじゃないけど、このあやふやな関係が嫌なの......」

 

あやふやな関係。 確かに言う通りだと思う。 友達と言うには近すぎるし、恋人と言うのは少し遠い。 そんな感じだと思う。 でもそれが心地よかったから、何も言わなかった。 でも、簪さんも本音さんも、心地よかったけどいい加減はっきりさせたいみたいで。 ここまでくると、俺が選べなかったせいだよな。 俺は二人の手をやさしくほどき、二人に向き直る。 二人の瞳は不安そうだけど、でも答えを言わなければならない

 

「その、すまなかった。 たぶん、俺は二人に、いやみんなに甘えてたんだと思う。 でも、それも今日で終わりにする。 その、ちゃんと答えを出すから、もう少しだけ待ってくれないか? 虫のいい話なのは分かってるけど、ちゃんと考えたいんだ。 今までは考えないようにしていたけど、それはもうみんなに失礼だから」

 

二人の目を見て真剣に伝えれば、二人は頷いてくれる

 

「うん、待ってる」

 

「でも、私たちもそんなに長く待てないからね?」

 

「あぁ」

 

ちゃんと答えを出すことを決めたから、俺はもうそこから逃げることはしない。 そう決意を込めて、俺は頷く。 すると二人は

 

「なら改めて。 私は翼君のことが好き」

 

「私もつばっち、ううん、翼君のことが好きです」

 

二人は改めて告白をしてきた。 俺の返事はさっき言ってあるのだが、二人は何も言わなかった。 話が終われば少し気恥しいのだが、二人は逃がしてくれなかった。 俺がその場を去ろうとすれば、腕をがっちりホールドする

 

「・・・・・・あの?」

 

「ふっふっふ、逃げようとしてもそうはいかないよつばっち!」

 

「うん、一緒にお風呂に入ってもらう」

 

あぁ、困りますお客様!!お二人の実った果実が腕に当たって、マイサンが反応しそうに!? 静まれ、静まれマイサン!!そんな俺の内心を知ってか知らぬかわからないが、二人は楽しそうに俺を風呂の中に引きづり込む。 そして一息なのだが

 

「あの、お二人とも。 いつもより、近くないでせうか?」

 

「そんなことないよね、本音?」

 

「だよね~、かんちゃん」

 

二人とも笑顔でそう言っているが、そんなことあるから!いつもより顔の位置が近いし、それに胸が当たってるから!足も絡めないでください!!告白したことでどこか大胆になった二人に圧倒される。 手を出せばいいだろう? とか悪魔のささやきが聞こえるが、そう言うのは返事してからじゃなきゃダメだろうが!告白を考えさせてくれって逃げてる俺が言うことじゃないが、そこまで屑じゃねぇ!それに手を出したら最後、絶対既成事実で迫ってくる。 ふたりにそんなことをさせるわけにはいかず、そして俺自身がちゃんと答えを出すために俺はその誘惑に必死に耐える。 結局その誘惑は俺たち三人がのぼせそうになるまで続き、その後二人はお風呂掃除まで手伝ってくれた。 そう言うところは優しいね、二人とも。 それには嬉しく思うのだが、その後は許さない。 部屋に帰った俺を待っていたのは、山田先生によるありがたいお説教。 どうやら消灯時間を大幅に過ぎていたらしく、そのことについてたっぷり絞られた。 まさか簪さんや本音さんとお風呂でいちゃついてましたなんて言えるはずもなく、俺は粛々と説教を受けた。 途中織斑先生が乱入し、学園に戻ったら地獄行きが決まった。 わーい、どうしてこうなった!

そしてこの次の日、俺にとって忘れられない出来事が起こった。 それはいろいろな意味で、だが

 

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