「朝から何か騒がしかったけど、何かあったのか?」
「私が知るわけないでしょ」
朝からすごい轟音が旅館に轟いたのだが、あまり興味もなかったので見に行くことはしなかった。 なので、鈴さんに聞いてみたが知らないの一点張り。 他のみんなにも聞くが、知らないそうだ。 今日から専用機持ちはパッケージ、要は追加装備のようなものを試し、他の生徒は、体を鍛えるらしい。 そんなわけで、俺たち専用機持ちは別個で集合をかけられたのだが、何故か篠ノ之さんがいた。 織斑先生はまだ来ておらず、聞くに聞けない状態で、馬鹿どもはこれ幸いといちゃついていた。 少し空気が悪いが、心頭滅却すれば火もまた涼しと言う精神で織斑先生を待つ。 ていうか、そんなことを考えないとやってられない
「よし、専用機持ちは全員揃っているな」
「せんせーい。 篠ノ之は専用機持ちじゃないと思うんですけど」
鈴さんがそう声をかければ、何故か胸を張り前に出てくる篠ノ之さん。 そこで若干嫌な予感がしたが、織斑先生が前に出て抑える。 どうやら、代わりに説明するようだ
「それは私から説明しよう、実はだな「・・・・・・ちゃーん!!」・・・・・・」
何かが聞こえた。 それは説明しようとした織斑先生を遮り、誰かを呼んでいるようだ。 ・・・・・・なんか、声が近づいてきている気がする。 その聞こえてくる声に、織斑先生は眉間の皺をほぐすように揉んでいた。 あー、織斑先生の知り合いなんだ。 そんな様子を見て、俺は確信する。 そして姿を確認できるところまできて
「ちーちゃーん!!」
斜面から織斑先生めがけ飛ぶ。 うん、あの人も体のつくりがおかしいらしい。 あれだろうか、類は友を呼ぶ的な。 そして、織斑先生の止め方が想像以上にえぐかった。 自分に向かってきている友達? にかかと落としを炸裂させ、地面へと着陸させた。 流石にこれには俺たちは引きつった笑みを浮かべるが、なぜか織斑先生は俺を睨んでくる
「おい蒼海、お前類友とか思っただろう?」
「滅相もございません!!」
どうやら考えていたことがばれていたらしい。 ちょっと絶望的になるが、今回はおとがめなしのようだ。 見れば、友達? の方に視線を向けていた。 俺も視線を向ければ、今は篠ノ之さんと手をつないでいた。 どういう状況だこれ? そんな俺たちの思いが伝わったのか、本当にメンドクサイのかすごく深いため息をする織斑先生。 やばい、ここまでの織斑先生は見たことない
「束、自己紹介くらいしろ」
「えぇー、めんどくさいなぁ、もう...... 私が天才束さんだよ~、ハロハロー!」
一瞬の間。 へぇー、束さんね...... ISの開発社やんけ...... 周りが騒がしいが、俺はそれよりも
「思ってたイメージとだいぶ違う......」
「そらをちゅーもーく!!」
そんな俺の様子はお構いなしに、空を指さす篠ノ之束博士。 空を見れば、光る物体が俺たちに接近して...... 接近して!? みんなは予想外すぎて動けないようだが、俺は相棒を展開して盾を構える。 構えたが、砂ぼこり等が襲ってくることはなく、そこには紅いISが
「じゃじゃーん!これぞ箒ちゃん専用機の紅椿!全スペックが現行のISを上回る、束さんお手製のISだよー!なんたってこの紅椿は、天才束さんが作った第四世代型のISなんだよー!」
その言葉に俺たちはひたすら圧倒される
「第四世代型......」
「各国で第三世代型の試験機がようやく開発され始めたのに」
「そこはほら、天才束さんだから!さて箒ちゃん、今から初期化と最適化を始めようか!」
「はい!姉さん!!」
その様子に俺は心配になる。 そこには、まるで新しいおもちゃを貰ってはしゃいでいる子供がいた。 織斑を除く、俺たちの顔は険しくなる。 どう考えても、いや考えるまでもなく今の篠ノ之さんに専用機は危険だった。 織斑先生を見るが、何を考えているのかわからなかった。 初期化と最適化はすぐに済み、今は試験飛行だ。 織斑と一緒にはしゃいでいるようだが、あれでは性能を生かし切れていない。 乗って数分とは言うが、そう言う次元じゃないのだ。 機体に遊ばれている、それを篠ノ之さん自身が気が付いていない。 さらに顔が険しくなる中、話しかけられた
「気に入らない、みたいな顔だね、イレギュラー君」
「篠ノ之束博士」
さっきまでの笑顔はそこにはなく、どこか冷めた表情で俺を見る篠ノ之束博士。 俺はその目をまっすぐ見返す
「そんなに箒ちゃんが紅椿に、新型に乗っているのが気に入らない?」
「別に、新型どうこう言うつもりはありませんよ。 ただ、篠ノ之箒があの機体に乗って足る人物なのか、俺はそれが疑問なだけですよ」
「おい、イレギュラーごときが、箒ちゃんを語るんじゃない」
「おい束!!」
「ちーちゃんは黙ってて」
俺が篠ノ之さんを貶せば、篠ノ之束博士は銃を取り出し俺に突き付ける。 周りの奴らが動こうとしたが、俺が手で制する。 一方、織斑先生が止めようとすれば、その静止に耳を傾けない
「お前の事は知っている。 お前みたいな凡人、調べるのも嫌だったけど。 昔からISに憧れ、それ関係の道を選ぼうとしていたことも。 何故男なのにISにこだわる」
「男ですからね、ロボットとかに憧れるのは普通でしょ? それじゃなくても、俺は空にあこがれた。 この大空を、自由に飛べれば、と。 最初は自分も操縦者に、なんて思ってましたができないことを知った。 でも、自分の夢を誰か気の合う人に託せるかもしれない。 そう思って、整備の道に進んだ。 まぁ、こうやって相棒のおかげで自分で飛べるわけですが」
俺の思いを、心からの思いを開発社である篠ノ之束博士に伝えていく。 だが、俺の思いは届かなかった。 篠ノ之束博士は表情を変えるどころか、無表情で俺を見る。 その精気のなさに怯みかけるが、ここで目をそらしてはいけないような気がしたから
「お前の言っていることは信用できない。 前にもお前はちーちゃんに向かって同じようなことを言っていたけど、私は信用できない」
何処でそれを、そんなこと言える雰囲気ではないことくらいわかっている。 だが、精気のなかった表情に、一瞬だけ悲しみが見えた。 どういうことだ? そんなことを考えている暇もなく、やってきた山田先生によってそれは告げられた
「織斑先生、大変です!!」
「山田先生?」
山田先生が走ってきて織斑先生に端末を渡せば、それを見て表情を険しくする織斑先生
「匿名任務レベルA。 現時刻より対策を始められたし、か...... テスト稼働は中止だ!お前たちにやってもらいたいことがある」
俺たちはその言葉に移動を開始する。 この時俺は気が付かなかった。 狂った兎が笑っていたことに
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旅館に移動し、開かれた作戦会議。 今回のターゲットはシルバリオゴスペル、通称福音というISが実験中に制御下を離れたのとことだった。 つまり暴走したISの捕縛、または破壊任務と言うわけだ。 どうも無人機らしく、パイロットの心配はいらないらしいのだが、軍用ISということもあり、危険度はかなり高い。 そんなものを学生である俺たちに事態の鎮静に当たれというのだから、どこか作為的なものを感じる。 だが、近くを通る無人機がもし進路を変更しこの旅館に来れば、被害は計り知れない。 元より、高速で移動する機体だ、逃げることもままならない。 ここまで説明され、俺たちの作戦会議が始まる
「はい!暴走したISの詳細なスペックデータを要求します」
オルコットさんが挙手をし、暴走したISのデータを要求する。 織斑先生はそれを了承し、注意を促してくる。 俺たちは表示された情報をもとに、対策を立てていく。 相手のISは広域殲滅を目的とした特殊射撃型のISで、攻撃と速度に特化した機体だということが分かる。 特殊兵装も厄介だし、格闘能力が未知数と、穴だらけの情報だった。 ラウラさんが偵察を提案するが、音速飛行相手のため無理との結果に。 その速度からか、アプローチも一回が限度、と悪条件ばっかり揃っていく
「一撃必殺の攻撃力が必要ですね」
山田先生の言葉に、織斑に視線が集まる。 ISの絶対防御を抜き、本体にまでダメージを与えるとなれば俺か織斑しかいない。 だが、俺のとっつきは押し付ける武装のため間合いが短い。 いつものように接近もままならない相手ということで、織斑のほうがリーチが長いので織斑に視線が向いたのだが
「え? 行かないけど?」
織斑は呆けたように言う。 初めからわかっていたことだ、逆にくれば足手まといになる。 それだったら来ないほうがましだ
「ならアタッカーは俺がやる。 KIKUだと威力的に心もとないからな、KO-4H4/MIFENGなら敵の装甲を貫いて機能停止できるはずだ」
「そんな不確かなものに頼るより、いっくんの零落白夜と紅椿ならこんなもの余裕だよ?」
さっきの無表情から一転、にこにこしながら入ってきた篠ノ之束博士だったが
「なんで、行かなきゃいけないんですか?」
「一夏もこう言っていますし、私も行くつもりはありませんよ姉さん」
「あれ? あれれー!?」
二人の言葉はよほど予想外だったのか、驚く篠ノ之束博士を放っておき、 作戦を詰める
「それしかあるまい...... 蒼海、お前に高機動パッケージは?」
「あるにはありますよ、えぇ...... ジェイル印が」
場が凍る。 ここでもジェイルさんは健在のようで、慌てている篠ノ之束博士以外の時が止まる
「・・・・・・大丈夫なのか、それは?」
「まぁ、一応設計図は俺が書いたんで大丈夫ですが......」
「不安が残るが、仕方あるまい。 他のものは?」
「はい。私のストライクガンナーが」
「なら、オルコットが牽制しつつ蒼海が仕留めろ。 もろもろの準備があるため、出撃は三十分後とする!」
こうして決まった作戦だが、どうも嫌な予感がするのだった
今回で始まらなかったでござる...... 次話は、次話は必ず!