第二ラウンド開始、とでもいうのだろうか。 俺が福音を撹乱しつつ、ロックを集めている。 他のメンツも攻撃しつつ、ある地点に誘導しようとしている。 そして、時は来た
「山嵐ロック、完了。 ハッチフルオープン!」
すさまじい音とともにミサイルが発射され、あまりの弾幕に福音の足が止まる。 簪さんのガトリングの有効射程距離までみんなで誘導していたが、こうも上手く行くとは。 簪さんの今回のパッケージ、重砲撃戦パックは、俺の装備でもあった35ガトをジェイルさんに作って貰い、それを渡した。 そして、俺が設計図を書いて簪さんに意見を貰いつつ、ジェイルさんに作って貰った追加装甲からなるパックだ。 追加装甲分の重量の増加によって機動性は損なわれてしまったが、別に動けないわけではない。 追加装甲の内容は、胸部ガトリング4門、フロントアーマーを追加し、そこにミサイル三門計四セット、元からあったミサイルポットを二機増やし計八機のミサイルポットを有するという中々の火力機体だ。 そのフルオープンアタックともなれば相当な物量になるというわけで、やばい、これ俺近づけないよ...... 福音も攻撃しようとするが、鈴さんやラウラさんが邪魔をし思うように攻撃ができない。 やがて、福音に動きがなくなる。 俺たちは様子を見るため攻撃をやめる。 動きはないのだが....... その時、センサーが警告を発する。 見ると船のようだが、この海域は先生たちが訓練機で封鎖しているはずだ
『山田先生、船がいるんですがどういうことでしょうか?』
『ふね、ですか? 確認できました、密漁船です!!』
どうやら面倒な事態になったようだ。 流石に巻き込むわけにはいかず、誘導することになったのだが。 福音が再び動き出す。 さっきの攻撃を食らっているのだ、シールドエネルギーは少しのはずだが。 さっきの異常な出力もある、慎重に行かねばならない。 とにかく、攻撃される前に誘導を行わねばならない
『ラウラさん』
『シャルロット、頼めるか?』
『まぁ、この中で防御特化のパッケージは僕だからね、了解』
すぐに動き出す俺たちだが、作戦はさっきのまま。 ただ、シャルロットさんが抜けたため防御面に不安が残る。 AICは近づかねば使えないし、そもそも集中する必要がある。 攻撃を止められるかと言われれば、ビーム兵器は相性が悪い。 なので、簪さんは撃ち尽くした追加装甲分をパージし、機動性をあげる。 残ったのは35ガトと山嵐だ。 ミサイルで撹乱したいところだが、ビーム兵器では相性が悪い。 そもそも、簪さんは実弾兵器ばかりなのでとことん相性が悪いのだ。 ・・・・・・今度ビームガト開発してもらお。 だが、大体のロックは俺に向いているので何とか攻撃は通している。 徐々にエネルギーは減っていくが、元からエネルギー関係はあまり使わないので大丈夫だが。 福音も焦っているのか、動きが雑になってくる。 ビームも途切れ途切れになってきたし、動きも鈍い。 異常なエネルギーもここで終わりらしい。 だが、嫌な予感は止まらない
『ラウラさん、どう見る』
ここはリーダーでもあり、軍人でもあるラウラさんに聞いてみることにした。 ビームは途切れ途切れなので、合流は楽に出来る。 それにスピードも落ちてきたこともあり、残りのエネルギーが少ないオルコットさんと比較的に余裕があり前衛のできる鈴さんが福音の対処に当たってくれている。 簪さんの方は、片手の35ガトを打ち切ったらしく、収納していた
『さっきの異常なエネルギー上昇の原因が分からない以上、ここは慎重に事を進めるべきだ。 無人機ではあるが、さっきから不可解な行動をとっている。 ブラフ、と言う可能性もなくはない。 もしブラフでなくとも、こちらは数的に有利だ。 防御役のシャルロットが合流してからでも、一気に畳みかければいいと思う』
『だな』
どうやら同意見のようだ。 ちょうどシャルロットさんから通信があり、もう少しで合流できるとのことだった。 福音を逃がさないように適度に攻撃しつつ、シャルロットさんの合流を待っていたのだが、事態は最悪の方向に動き出した。 味方の識別反応が近づいてきた。 シャルロットさんかと思えば、反応は二つ。 俺たちが嫌な予感をしてみれば、凄い速さで紅と白が福音に一直線で進んでいく。 まて、アイツ等は!
『チィ!!何故アイツらがここにいる!!』
俺たちも慌てて追いかけるが、流石第四世代型とでも言おうか。 加速、機動性が全く違う。 見る見るうちに離されていく
『織斑先生!敵の位置は?!』
ラウラさんが焦って聞くと、最悪な展開は続くのか
『クソっ!!封鎖海域ギリギリだ!今訓練機の職員に対応はさせているが、長くは持たん』
『ぐぅ!!翼、セシリア!』
『俺が行く!!』
『すみません蒼海さん、お願いします!私は、もうエネルギーが!』
通信はそのままに、俺は脚部ブースターにエネルギーを送り加速する。 そうすれば、追いつきはしたのだが、早すぎる。 あの異常なエネルギーのせいもあるのだろう、スピードが段違いなのだ。 織斑と篠ノ之は追いつけてはいるようだが、ハッキリ言って遊ばれていた。 当たり前だ、あの程度の訓練しかしていないのに福音に勝てるはずもない。 正直言ってこれ以上はエネルギーを消費したくないのだが、さらにエネルギーを送り込み最高速度に達する。 そして福音に追いつき、ブレードを振るう。 それを見事な軌道で福音は避け、そのまま近接戦闘に移行する。 織斑と篠ノ之も入ってこようとするが、俺は二人にサブマシンガンを発射し牽制する。 この二人に入ってこられたら、誘導しているのが台無しだ。 福音を逃がさないようにしつつ、教員の訓練機部隊から離し、他の専用機持ちの方に誘導しているのだが、やはり織斑と篠ノ之が邪魔だ
『邪魔を、するな!』
『邪魔は貴様たちだ馬鹿者!!即時帰投しろ!!』
俺に通信をしているということは通信を切っているということはないだろうが、織斑たちは織斑先生の言うことを聞かない
『翼!』
『翼君!』
やっとの思いで他の専用機持ちの方に近づけば、ラウラさんと簪さんから通信が入る。 俺は蹴りで福音との距離を離し、少し離れたところで待機する。 織斑はチャンスと思ったのか福音に向かっていったが、濃い弾幕に福音と共に撃たれる。 ヘイトが溜まってたにしても、容赦ないな簪さん。 そう、簪さんが35ガトとミサイルを発射したのだ。 それに巻き込まれたのは織斑だが、知るところではない。 ラウラさんも援護として、レールカノンを撃っているようだ。 さっきのダメージもあり、まともに食らう福音。 徐々にだが、高度を落としていく。 濃い弾幕は弾切れと共に晴れ、もはや満身創痍の福音。 ここで、ようやくシャルロットさんが合流と言うときに、またしても織斑が余計なことをする
『これで倒せば僕こそが!!』
もはやビームも放出できなくなり、ただの鈍器とかした雪片弐型を持って正面から突撃する織斑。 だが、福音も最後の悪あがきとばかりにビームを収束して撃ちだした。 織斑のシールドエネルギー的に、あの一撃に耐えられないのは明白で、シャルロットさんのガードは間に合わない。 篠ノ之の武装にシールドのようなものがあったような気がするが、気が動転しているため何もする気配がない。 この状況で間に合うとすれば俺だけで
「クソがっ!!」
ブースター装備のままイグニッションブースト。 とてつもない加速力で、体が軋むが、そんなことを構っている暇はない。 織斑を蹴り飛ばすと同時に、ブースターの片方に収束されたビームがかする。 エラーの表示が出るが、それを無視して二回目のイグニッションブースト。 両手にKO-4H4/MIFENGを装備し、つっこむ。 福音はビームではなく、拳を握り迎撃態勢だ。 一撃を繰り出されるが、俺は盾でガードする。 福音は一つ勘違いしている。 このとっつきはジェイルさんお手製のもので、とっつき自体に小さいながらも盾をつけることが可能なのだ。 ブースター付きのイグニッションブーストの加速と重い拳により、盾は砕けてしまったが
「はっ!!」
そのままとっつきを押し付ける。 頭部に撃ったものはよけられてしまったが、残っていた翼に命中。 福音はそのまま海に落下する。 福音はただ落ちていく。 俺はそれで気を抜いてしまった。 それがいけなかった
「ああああああぁぁぁぁぁぁ!?!?」
「なっ!?」
篠ノ之が俺に向かって剣を振るってくる。 とっさの事だったので、腕でガードしてしまったが。 装甲はひび割れ、衝撃が骨まで達した。 つまり、折れたということだ。 痛さに顔をしかめつつ、振るわれていたもう一方を抑える
「何しやがる!!」
「一夏を、一夏をぉぉぉぉぉ!!」
まるで死んだかのような言い方だが、織斑は生きている。 ただし、俺に蹴られたことによって明後日の方向に飛んでいき、今はラウラさんに抑えられているが
「アンタ、何やってるのよ!!」
「命令無視した挙句、仲間を傷つけるなんて何を考えていますの!!」
篠ノ之は鈴さんとオルコットさん、二人がかりで抑える。 流石最新鋭とでも言うべきか。 その力が俺に向けられたのだから、笑えない。 取り押さえた二人、一息ついたところで本部に通信をしようとしたが、それはかなわなかった。 突如せり上がる海面。 何事かとそちらに視線を向ければ
「福音......」
福音から膨大なエネルギーが漏れ出ており、形作られる翼。 福音の