この空を飛びたくて(仮)   作:サクサクフェイはや幻想入り

73 / 78
第七十一話 解放

抱擁二回目を受け、俺が悲鳴を上げた後、数分間抱き着いていた束さん(こう呼べって言われた)。 引きはがしてくれたのはいいのだが、すげー呆れてたからね織斑先生。 それで準備があると言て帰って行った束さんだが、また後でねとか言っていた。 なんか織斑先生と話していたが、織斑先生が絶望的な表情を浮かべていたのがすごい印象的だった。 そんな絶望的な表情を浮かべていた織斑先生だったが、旅館に着くころにはある程度回復していた。 俺がそのまま部屋に帰って寝ようとしたら

 

「バカか貴様は。 その恰好で寝るつもりか? そんな薄汚れた格好で? 特別に許可をやるから、その薄汚れたネズミみたいな恰好を何とかしてこい」

 

と、何時もより悪口マシマシなお言葉を貰い、風呂にやってきた。 正直、脱衣所に来るまで泣かなかったことを誉めてほしいくらいだった。 正直言ってね、あんなに言うことないと思うんだ。 確かに馬乗りになられたり、押し倒されたりしたから汚れてはいたが、そんな心がボロボロになるまで言わなくてもいいと思うの。 さて、怪我をしたのに風呂に入っていいのかと言う諸兄もいると思うが、そこはノープログレム。 表面上の傷はちゃんとふさがっている。 残るは骨や、内部のダメージなので入浴自体はOKだったりする。 その骨とかも、学園に帰れば治療用のナノマシン投与するので問題ないらしい。 前回の学園襲撃時の時も、俺はナノマシン投与があったらしい。 まぁ、今回と同じで左腕やばかったしね。 そんなわけで、湯船につかっていると、また引き戸の開く音がする。 ま た か! 正直言って二番煎じだが、まぁ、今回は仕方ない。 死にかけたわけだし、簪さんや本音さんも怒っているだろう。 返事の件もなあなあになるところだったわけだし。 今回は甘んじて受けようと覚悟を決めたのだが、予想外の光景が広がっていた

 

「・・・・・・」

 

「「・・・・・・」」

 

おかしいなぁ、簪さんや本音さんはもちろんいるのだが。 そこにシャルロットさん、ラウラさんがいる。 うーん、見間違いであってほしかった。 これが正直な感想だった。 しかもラウラさんに至っては、一瞬だから目の錯覚かどうかわからないが、裸だったような気がする。 俺は背を向けたはずなのだが、それをいいことに何故か皆さんが湯船につかってきた。 しかも隣の簪さんと本音さんは俺の腕と足をホールドし、逃げられないようにする。 あー、よかった、俺の見間違いだったらいい。 ラウラさんはちゃんとバスタオルを巻いていた。 誰も、何もしゃべらない時間が続くがいい加減気まずい。 なので、俺から話かけることにした

 

「その、ごめん」

 

まずは謝ることにした。 織斑先生から旅館に帰るときに聞いたのだが、俺が一人になったあたりから通信が極端に取りにくくなったらしい。 一応、機体の反応から位置を割り出したりして、モニターはしていたのだが。 だが、福音にやられたあの時、俺の反応は消えたらしい。 しかも、バイタル等送っているものも消え、完全に反応が消失。 青の言った通り福音がいるため教員部隊は動けず、専用機持ちは拘束されている織斑、篠ノ之以外は全員無断で出撃したらしい。 そして俺はあの状況と言うわけだ。 だから俺は謝っている

 

「話は聞いた。 とっても心配かけた。 だから、ごめん」

 

「ごめんじゃ、ないよ」

 

本音さんは足の拘束を緩め、俺に抱き着いてきた。 その際左腕を全く気にせず突っ込んできたのでかなり痛かったが、それぐらい心配かけたのだと甘んじて受けた

 

「私、とっても心配したんだよ? 専用機持ちじゃないからろくに情報入ってこなかったし、帰ってきたと思ったらつばっちの姿だけないし...... ようやくみんな帰ってきたと思ったら、つばっちボロボロなんだもん!心配、するよ!」

 

それっきり泣きついて離れない本音さん。 俺はその泣いている本音さんをなでつつ、謝る。 次は簪さんだ

 

「約束、破ったね」

 

「何とか持ちこたえられてればよかったんだけど、左腕折れてたし、ブースターも片方エラー吐いてたからね、流石に無理だった」

 

「左腕もブースターもあの時からだったんでしょ?」

 

「あぁ......」

 

簪さんには何もかもお見通しらしい。 まぁ実際、バレバレだろう。 一応持ちこたえるつもりではいたけど、簪さんにKO-4H4/MIFENGと35ガトをを託していた時点で分かってたと思う。 だがそれでも、可能性をつなげるために簪さんはあの場から飛び去った。 かなりつらい思いをさせたと思う

 

「無理しないで、なんて言わない」

 

「・・・・・・」

 

簪さんは何かを決意したようだ。 目を見て居ればわかる。 だから俺は、何も言わずに聞くことにする、簪さんの決意を

 

「また同じような状況になった時、貴方は無茶をすると思うから。 前回の無人機襲撃事件(あの時)もそうだったから。 だから私も一緒に強くなる、今度同じことが時があった時、貴方を置いていかなくても済むように」

 

「・・・・・・うん」

 

その言葉に嬉しく感じるとともに、不甲斐なく感じた。 簪さんがこう決心したのは、俺のせいだろうから。 俺がうまくやってればなんて思うが、一人でできることなんか限られている。 だから俺は、簪さんの意思を尊重した。 次はシャルロットさんだが、シャルロットさんは落ち込んでいた

 

「僕は、君の護衛なのに君を守ることができなかった」

 

「適材適所、あの場合は仕方なかったでしょ」

 

「それでも!それでも僕は、君を守り切れなかった。 恩は一杯受けてるのに、君には何一つ返せてないよ......」

 

悲しそうに言うシャルロットさん。 正直に言って、俺はピンと来ていない。 確かに俺は自分に被害が来るのは嫌だから、楯無さんに頼んで動いた。 だがふたを開けてみれば、実際にやったのは織斑先生と楯無さんだ。 なのに、シャルロットさんは俺に恩義を感じている。 わからないけど、でも今のシャルロットさんは嫌だった

 

「シャルロットさんが俺に恩を感じているとか、この際置いておく。 今回守れなかったって悔しいなら、強くなればいい。 俺はそうしてきた」

 

「・・・・・・うん、そうだね。 いつまでも落ち込んでる場合じゃない、か。 うん、ありがとう」

 

どうやら迷いは吹っ切れたようで、いつものように明るく笑うシャルロットさん。 そして最後はラウラさんだ。 ラウラさんはとても悔しそうな顔をしていた

 

「すまなかった、私の作戦の甘さで、お前には一番迷惑をかけた」

 

「さっきも言ったけど適材適所、仕方なかった部分もあるさ」

 

「そんなことはない!私は軍人でもある。 軍人は市民を守る義務がある。 なのに、お前を一番危険な作戦の要に置いた。 何の根拠もないのに、お前ならできると。 それが私は、たまらなく悔しいんだ。 お前の反応はロストし、事実上死んだも同然だ。 確かに時として仲間を見捨てる冷酷さも軍人には必要だが、そこまで行く前に何らかの手は打てたはずだ」

 

「ラウラさん」

 

俺はラウラさんの悲痛な叫びを遮る。 これ以上は聞いていられなかったからだ

 

「人一人ができることなんてたかが知れてる。 それなのにすべてできる何でいうのは、傲慢な考えだよ。 そんなもの捨てたほうがいい。 それに、俺は自分で考えていいと思ってラウラさんの命令に従ったんだ。 ラウラさんがそこまで責任を感じることはない」

 

「お前は、お前は優しすぎるんだ......」

 

そう言って泣きついてきたラウラさん。 流石に骨折していることもあり撫でられないが、抱き着いているだけで満足らしい。 全員ひとしきりいうことを言って、泣いてすっきりしたのか清々しい顔をしていた。 そんななか、本音さんが爆弾発言をする

 

「ねぇ、つばっち」

 

「ん?」

 

「その、告白の返事は?」

 

「・・・・・・」

 

明らかに空気がおかしくなる。 それは簪さん本音さんだけではなく、シャルロットさんとラウラさんもだ。 その空気にうかつなことが言えないと固まる俺だが、本人たちは待ってくれない

 

「翼君......」

 

「翼く~ん」

 

「蒼海くん」

 

「翼」

 

あー!あー!!お客様!お客様こまります!? 何でバスタオルをとって、迫ってきているんですか!? 理性が、理性がピンチですから!? あ、あー、あー!!

 

その日俺は、四人の彼女ができた

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。