この空を飛びたくて(仮)   作:サクサクフェイはや幻想入り

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第七十三話 学園に帰れば...... Ⅱ

うれし泣きをした束さん。 それを泣き止ますのに思ったよりも時間がかかってしまい、俺は寮の門限の時間になってしまった。 一応寮長である織斑先生が一緒のため、過ぎても問題ないのだが織斑先生の

 

「ここで私だけ帰ったら、お前が何をするかわからないからな」

 

という鶴の一声ならぬ、鬼の一声によりそのまま青とベルを置いて俺と織斑先生は帰ることになった。 いや、うん。 多分あのまま二人きりにされたら、食べられてたと思う性的な意味で。 そんなわけで織斑先生に感謝しつつ、寮に帰っている。 ちなみに束さんだが、IS学園のセキュリティー最深部にいるため、ごく少人数の学園の人間には存在が知られているらしい。 これは国際IS委員会にも知られているらしくて、身柄を明け渡すように言われてるらしい。 学園側も、束さんも拒否してるらしいけど。 理由を聞けば

 

「うん? 何で私の夢をこんな形にしたやつらの言うことを聞かなくちゃならないの?」

 

と、もっともらしいことを言っていた。 まぁ、今までどこにいるかわからなかった束さんが、IS学園にいるということが分かってるからいいのだろうけど。 なんか、今回の福音の事件で俺の周りが一気にやばくなったが、どうしましょう。 そこらへんは、明日あたりでも楯無さんと織斑先生と要相談、ということで

 

「ほら、寮に着いたぞ」

 

「あぁ、ようやく......」

 

昼頃に到着して、もう夜になっている。 本当に長く拘束されていたものだ。 なんか二、三日寮を空けていただけなのに、久しぶりに帰ってきた感覚だ。 寮に入ろうと一歩踏み出すと、織斑先生が声をかけてきた

 

「蒼海」

 

「はい、何でしょうか?」

 

「今回の件、ウチの愚弟がすまなかった」

 

そう言って頭を下げる織斑先生。 正直な話、織斑先生に頭を下げられても困る。 織斑先生は家族として頭を下げているのだろうが、これは当人同士の話だ。 いくら家族と言えど、正直な話口を出してほしくなかった。 まぁ、織斑先生もそこらへんは分かってると思うけど

 

「頭を上げてください」

 

「・・・・・・」

 

申し訳なさそうな顔の中に、やはりだめだったかと言う感じがある。 やはりわかってはいたが、我慢できなかったという感じか

 

「言わなくてものわかると思いますが、これは当人同士の話なので口を出さないでください」

 

「・・・・・・あぁ、分かった」

 

「ですけど、織斑先生からの謝罪は受け取っておきます。 まぁ、当の本人が謝ってこないから、どうしようもないですけどね。 あぁ、無理やり謝らせなくていいですよ。 そんなことされたって嬉しくないですし、正直言って()()()()()()気にしている余裕はないですから」

 

「・・・・・・」

 

これにはむすっとする織斑先生。 わかりやすぃ!だが本当のことだ

 

「これから、もっと忙しくなると思います。 俺のセカンドシフトした相棒(青とベル)の事もそうですし、束さんの事だってそうです。 夢を手伝うと言ったんですから、生半可な気持ちじゃいられない。 だから俺はもっと強くならなくちゃならない。 そのためには努力も手間も、時間だって惜しまない。 みんなにだって協力してもらいます。 もちろん織斑先生、貴女にも」

 

「・・・・・・ふん、ガキがよくしゃべる」

 

そう言ってこの場を去って行く織斑先生。 だが、俺の見間違いじゃなければ、織斑先生の顔は獲物を見つけたような、そんな表情をしていた

 

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「あー、やっとですわ......」

 

部屋のドアノブに手をかけ、そう呟く。 織斑先生と別れ特に誰とも会わず、部屋の前にやってきた。 本当に、行く前と後じゃ状況が全然違うからびっくりだ。 だがドアノブを回せば、こんにちわ日常!ただいま平穏な時間!そんな思いでドアノブを回し、ドアを開けた。 だが、気を抜いていたのがいけなかった。 ドアを開けた瞬間、そのまま中に引き込まれ、押し倒された。 あー、ドアは鍵まで閉めてある。 こんな状況にもかかわらず、俺は冷静だった。 部屋の中は真っ暗だったが、俺を押し倒した人物は確認できた。 薄い水色の短髪、癖毛なのか外側に跳ねる髪。 赤い瞳には涙が溜まっていた。 いつもの人をからかうような顔は、涙で歪んでいた。 まぁ、ルームメイト(仮)の楯無さんだ。 泣いているのは...... まぁ、予想はつく。 と言うか、あの件(福音の事故)しかないだろう。 別に忘れていたわけではないが、一番あり得ないと思っていた。 この人が、俺を心配していたなんて。 いや、泣くような姿を、か

 

「「・・・・・・」」

 

互いに無言。 だが、不意に楯無さんの顔がゆがみ、途切れ途切れに言葉を紡ぐ

 

「ごめん、なさい!貴方の事を守ると言っておきながら、守れなくて!」

 

「・・・・・・」

 

やはり、このことだった。 別に全く気にしてはいなかった。 今回の臨海学校、行っていたのは一年だけだ。 楯無さんがいけるならまだしも、これは学年行事だ。 二年生で生徒会長の楯無さんがいけるはずもない。 だが、それが分かっていても楯無さんは気にしているんだろう

 

「ごめんなさい、ごめんなさい!」

 

「楯無さん」

 

「貴方のことを守れなくて、ごめんなさい!!」

 

「楯無さん!!」

 

「っ!!」

 

うわごとのようにごめんなさいを繰り返す楯無さんについ怒鳴ってしまったが、効果はあったようで。 ようやく謝罪が止まり、俺の方を見る

 

「気にしないでください、なんて言っても楯無さんは気にするでしょうからね、気にしないでとは言いません。 でも、必要以上に自分を責めないでください。 俺は自分の意志で福音の暴走を止めようとしたんです。 実際、織斑なんかは作戦を辞退していたんですから。 まぁ、その後待機命令を無視して戦闘を混乱させたわけですが。 逃げようと思えば逃げられた、でも俺は逃げなかったんです。 仲のいいクラスメイト達、そして本音さんを守りたかったから。 それに、他のみんなが傷つくのは嫌でしたから......」

 

なんか行ってて恥ずかしくなるし、青いセリフを言ってるなぁ...... なんて思うけど、これは本心なのだ。 そう、想いを伝えれば、俺の胸板に顔を押し付ける楯無さん。 泣きながら、俺に文句を言う

 

「貴方は、貴方は優しすぎるのよ。 これで私を罵倒してくれれば、どれだけ私が楽だったか...... バカ、バカよ蒼海君は......」

 

「あはは、なんかすみません」

 

そうして、俺は空いている右手で楯無さんの頭をなでる。 楯無さんは特に嫌がることをせず、静かに俺の胸の上で泣いていた。 暗いからか、どのくらいの時間が経ったかはわからないが、ふいに楯無さんが話し始める

 

「蒼海君」

 

「なんでしょう?」

 

「今度は、何があっても貴方を守るから」

 

これまた重い宣言だが

 

「俺がいつまでも守られてるだけ、だと思いますか?」

 

「・・・・・・」

 

俺は良しとしない。 そんな俺の思いが分かっているのか、楯無さんは押し黙る。 さて、黙ってはいたんだがそろそろ限界だ

 

「あの、楯無さん」

 

「なに?」

 

楯無さんは顔を上げず聞いてくる。 まぁ、それでもいいんですが

 

「そろそろ左腕がですね、限界なんです.......」

 

「え? あ、あぁ!ごめんなさい!」

 

別に踏まれていたというわけじゃないんだが、いつまでもホールドアップの状態はきつい。  慌てて俺の事を起こしてくれたのはいいんだが、焦っていたのか数歩歩いて転んでしまう。 まぁ、手をつないでいたこともあり、今度は俺が押し倒すような形になってしまったのだが

 

「「あっ......」」

 

幸い倒れたのがベッドの上と言うのはよかったのだが、ある意味で場所が悪かった。 気が多いと言われるかもしれないが、楯無さんの事も好きなのだ。 そんな状況で押し倒したと言いうことになれば、ね? その後の状況は察してくれ

 

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