学戦都市の桜姫(リメイクします)   作:雪楓❄️

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作者自身もここからの展開を書くのが楽しみで、どんどん書けます

毎日更新ということで、他の作品を読みたいと言ってくれる人もいるかもしれませんが他の作品は話を思いつき次第投稿するのでご安心を……。


それでは本編!!
琴音たちの鳳凰星武祭はどうなったのでしょう……!




36話

「……お姉ちゃん、私を忘れないで」

 

……またこの子。

私よりもずっと小さく、髪の毛の色も私とは違って総ちゃんのような薄い桜色。

 

「あなたは誰なの?」

 

「私は私だよ。お姉ちゃん」

 

いつも通りの返答。

この子がこの答え以外答えたことはない。

 

「………あなたは私なの?」

 

私自身10歳より前の記憶はないし、実家でも私の10歳より前の写真は存在していなかった。

だからだろうか、この子に妙な親近感を覚えるのは。

 

「………どうだろうね。その答えは私からは言えない。お姉ちゃん自身で見つけて……」

 

そう言うと少女は私からどんどん離れていってしまう。

 

「…待って………」

 

私の声はただ木霊するだけだった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「………んっ」

 

身体が鉛のように重い。

窓から入ってくる日差しからして夕方だろうか。

 

(……またあの夢か。それにしてもここは………)

 

周りを見渡す限り病院のようだが、周りに人がいないため確認のしようがない。

 

「…すぅ」

 

身体を起こして足元の方をみると、総ちゃんが気持ち良さそうに寝ていた。

 

(………ありがと、総ちゃん)

 

総ちゃんの様子を見る限り、ずっとここにいてくれたのだろう。

 

「……ありがとう」

 

総ちゃんの頭を撫でながら外の景色を見ていると

 

「……ん…………、琴音っ!!」

 

起きるなり私が起きていることに気が付き抱きついてくる総ちゃん。

 

「ごめんね、総ちゃん」

 

「いえっ!!いいんです」

 

そう言う総ちゃんの目には若干だが、涙が浮かんでいる。

 

「それで私どれ位寝てたの?」

 

「そうですねぇ、倒れたのが一昨日の夕方頃なのでまる2日ですかね」

 

…まる2日。

総ちゃんはここからかなりの時間動いた気配がない。

ということは……

 

「琴音には申し訳ないですが、鳳凰星武祭の方は辞退しました。なんと言っても沖田さんは琴音のパートナーですから!!」

 

総ちゃんは胸を張ってそう言ってくれるが、相当悔しかっただろう。

 

「ごめんね、総ちゃん。本当にごめん」

 

「いえ、琴音があそこで助けなかったらそれこそ沖田さんは怒ってましたよ!!だから、そんなに謝らないで下さい………」

 

総ちゃんはそう言うと、私の胸に抱きついたまま泣き出してしまった。

 

「ごめんね、総ちゃん。あと、ありがとね」

 

私は総ちゃんが泣き止むまで、総ちゃんのことを撫でながら抱きしめ続けた。

 

 

 

 

 

 

「……ぐすっ。すみません、みっともない所を見せて…」

 

総ちゃんは泣いたことが恥ずかしかったのか、私とは目を合わせず下を向いたままである。

 

「ううん、今回のことは総ちゃんには感謝してばっかりだから。そう言えば、倒れてた女の子は?」

 

私と共にここに総ちゃんが運んでくれたのなら、この病院にいるはずなのだが……

 

「それなら……」

 

総ちゃんの言葉はそこでほかの人に阻まれてしまった。

 

「「琴音〜っ!!!」」

 

そんな病院で出してはいけない大きな声で私の病室に入ってきたのは、クローディアとシルヴィの2人。

その後ろには、透、一ノ瀬先輩、明日奈に桐ヶ谷くんまで来てくれていた。

 

「……ここ病院だよ、2人とも」

 

私は騒がしく入ってきた2人を手で食い止めながら、みんなの方を見てお辞儀をした。

 

「心配かけてごめんなさい」

 

そう言うとみんな優しく微笑んでくれたが、透だけは何故か大泣きしていた。

 

「お姉ちゃんがいなくなっちゃうかと思った……」

 

「お姉ちゃんはこの程度じゃ、居なくならないよ」

 

先ほどまで抱き着いていた総ちゃんも、騒がしく入ってきた2人も離れてくれて代わりに透が抱き着いてくる。

 

「……ぐすっ。………お姉ちゃんのバカ」

 

「馬鹿とは失礼だなぁ。これでも頑張ったんだよ?」

 

「そうじゃないよ………、もう無理しないで」

 

「………善処するよ」

 

透をあやしながら、私は総ちゃんに先ほどの続きを聞くことにした。

 

「それで総ちゃんあの子は?」

 

「その事なら、クローディアに聞いた方が早いです」

 

総ちゃんはそう言ってクローディアに話を振る。

 

「それでは話しますね。皆さんも中に入ってきてください。」

 

クローディアはまだ中に入っていなかった明日奈たちを呼んだ。

 

(………そう言えば綺凛ちゃんたちは来てくれなかったのかな…)

 

綺凛ちゃんたちがいないことに若干落ち込みモードに入ろうとしたのだが

 

「綺凛ちゃんと沙々宮さんに関しては、天霧くんたちの足止めを頼んであります。今回は、信用できるメンバーのみを呼んでありますので」

 

私の心情を読んだかのようなクローディアの発言にはかなり驚いた。

それにしてもクローディア、天霧くんたちの足止めって……。

クローディアの中では、天霧くんよりも桐ヶ谷くんの方が信用度が高いらしい………私もだけど。

 

「それでは話を始めましょうか。琴音が救命・保護した少女なのですが調べてみたところ数年前に凍結されていた事がわかりました。」

 

(……凍結?何のために……?それに凍結されていたのなら、あの傷はおかしい)

 

「更に彼女は銀河にとって、存在されては困る存在なんです。理由は言えませんが、このまま報告するのはかなり危険かと思います。」

 

クローディアの言葉に各々驚きの表情を見せる。

これなら、シルヴィもいるのだからアーネストにも言えば良かったんじゃ……

 

「……本当は星導館の問題に他学園の人を巻き込むつもりは無かったのですが……シルヴィにはバレてしまったので。」

 

「えへへ、琴音のいる所に私ありってね♪」

 

また心を読んで勝手に話をするクローディア。

私の心はそんなにも筒抜けなのだろうか…。

そんな私の疑問を他所にクローディアは淡々と話を続ける。

 

「そこでなのですが、琴音はあの少女のことをどうしたいですか?」

 

ここまで来て私に話を振ってくるクローディア。

 

「どうしたいも何も、助けたんだから最後まで面倒を見るよ。」

 

「……銀河と敵対することになるかも知れませんよ?」

 

「……今更それを言うかな?クローディアなら私と透がどういう人間か知ってるんでしょ?」

 

私達、東雲家の生業。

どこの統合企業財団だろうと私達と敵対することは、その統合企業財団の破滅を意味する。

 

「………はぁ、わかりました。それでは彼女は星導館で保護するということで」

 

「うん、ごめんね苦労かけて。明日奈たちも」

 

「ううん、琴音の決めたことなら私はついて行くよ」

 

「あぁ、そうだな」

 

まだ知り合って間もない私をこんなにも信頼してくれてるんて、正直思いもしなかった。

 

「ありがと、2人とも。」

 

私はもう一度2人に向かって頭を下げた。

 

「そーいえば、みんなは鳳凰星武祭どうなの?」

 

ふと浮かんだ疑問。

私と総ちゃんが、不戦敗したことを考えるとアルルンカントのペアは勝ち上がっているはずだが……

 

「…今、ベスト8が出揃ったですが我が星導館は桐ヶ谷くんと結城さん。綺凛ちゃんと沙々宮さん。一ノ瀬先輩と透くん。そして天霧くんとユリスの計4ペアが残っています。」

 

妥当な数なのだろうか分からないが、私の知り合いがこんなにも残っているのは何だか誇らしい。

 

「…そっか。みんな頑張ってね」

 

私のエールにみんな笑って応えてくれた。

 

「けど、総司と本気でやりあえなかったのは心残りだなぁ。」

 

ふとこんなことを言うのは桐ヶ谷くん。

 

「…沖田さんならいつでも受けて立ちますよ?」

 

「まじ?それじゃあ今から………」

 

「か・ず・と・くん?」

 

早速総ちゃんと一戦交えようとする桐ヶ谷くんを、とても怖い笑顔で押さえつける明日奈。

 

(……あれが尻に敷かれるか……。)

 

とても賑やかになった私の病室は、看護師さんが来るまでみんなの声で賑わっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




若干、頂いた設定とは変えてしまって本当に申し訳ないです。
今回の追加キャラに関しては、本当に詳細まで設定を考えていて下さって僕が勝手に変えてしまったのは本当に申し訳ないです。
文句ありましたら、御遠慮なく下さい。


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