学戦都市の桜姫(リメイクします)   作:雪楓❄️

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なんとか毎日投稿です

部活動の大会と受験勉強が重なっているので、もしかしたら更新出来ない日があるかもしれませんがご了承ください


39話

 

先程の透たちの試合が終わり、クローディアたちは一旦ユリスたちの控え室の方に行っていたのだがクローディアが戻ってきたと思ったらそのままみんなどこかへと行ってしまった。

 

(……総ちゃんも何か言われてたし、私だけ省かれるなんて……。)

 

若干残念がっていると、明日奈たちの試合が始まった。

明日奈たちとユリスたちのペアの1戦。

正直言えば、序列などを考えても前日ユリスたちが沈華たちに勝ったということを考えても、明日奈たちには厳しい戦いになるのではないかと思っていた。

 

(………まさか、これ程までとはね…)

 

戦いが始まってまだ数分しか経っていないが、現状から言って優勢なのは明日奈たち。

桐ヶ谷くんと明日奈による、完璧な連携。それに加えて、桐ヶ谷くんのあの二刀流の威力と速さ。

 

「いやいや、これ程までとは思いませんでしたねぇ。彼、沖田さんとやる時とは更に一段上げていますね」

 

手を抜かれていたことに少し残念がっている総ちゃんだが、私からしたら総ちゃんもかなり手を抜いていた訳だしお愛顧だと思う。

 

「それにしても、彼なんで黒炉の魔剣使わないんだろうね。純星煌式武装を使ってない明日奈たちになら効果的なのに……」

 

「…そ、そうですねぇ。なにか理由でもあるんじゃないでしょうかね」

 

(………下手過ぎる)

 

総ちゃんは元々嘘をつくのが上手くない。

と言うより、総ちゃんは嘘をつくことが好きじゃないから総ちゃんが嘘をつくってことは余程のこと。

 

「………総ちゃん何か隠してるよね?」

 

「…い、いえ。何も隠してなんかないですよぉ」

 

総ちゃんは自分を落ち着かせようしているのか、手元の金平糖を食べようとしては落としている。

 

「いいから、言って。言わなきゃ、もう総ちゃんのこと何もしないからね」

 

「そ、それは困ります…………。仕方ないですね、背に腹は変えられません。」

 

総ちゃんは一呼吸置いてから続けた。

 

「あのですね、ユリスの付き人であるフローラさんという方がいるのですが……その方が誘拐されてしまったらしいんです」

 

「…………はい?」

 

今、総ちゃんは誘拐と言った。

何故それをわざわざ私に隠していたのか意味が分からない。

 

「琴音には言っちゃいけないとクローディアに言われてまして、それで沖田さんが琴音の監視役としてここにいるんです。」

 

「………なんで?私に黙ってたの?」

 

これ程、総ちゃんやクローディアに対して怒りが込み上げてきたのは初めて。

それ程、私は総ちゃんの言っている意味が分からなかった。

 

「実はですね、琴音に黙っておくというのは皆の総意なんですよ。沖田さんもですし、クローディアもユリスも綺凛ちゃんも紗夜さんもそしてシルヴィアも。ついでに、夜吹さんと一ノ瀬先輩も。もちろん、桐ヶ谷さんや明日奈はこのことについて知りません………まぁ、若干一名琴音に頼もうとか言っていた馬鹿がいましたが…。琴音に何も伝えなかったのは、琴音にこれ以上無理して欲しくないんです。誘拐の事を言えば、フローラさんの事なんて何も知らないのに琴音は無理をしてでも助け出すでしょう。そして彼女が、いえ、その道中で誰かが怪我をしていたら自分の身体の事など考えずにその人を助けるでんしょう。だから、今回琴音には何も伝えなかったんです。琴音には前科がありますからね」

 

総ちゃんは1回も目を離すこと無く、私に向かって言い切り最後に試合を食い入るように見ている哀歌ちゃんの方を見た。

私は総ちゃんに言われて初めてどれだけ周りに迷惑を掛けていたかが分かった。

 

「……でも、そのフローラ?って子は大丈夫なの?」

 

「えぇ、シルヴィアがとっくに居場所は特定したそですから。そろそろ………」

 

総ちゃんが最後まで言い切ることなく、私はその結果が分かった。

なぜなら、殆ど実況など聞こえないここですら聞こえるほどの大きさでクローディアが何かを叫んだから。

 

「……大丈夫だったみたいだね。」

 

「えぇ、良かったです。琴音に殺されそうになくて。」

 

何故か的外れな心配をしていた総ちゃん。

私はそんな鬼のような人間ではない。

 

「……それにしても、戦況ひっくり返ったね」

 

クローディアが叫んだ後から転入生くんは黒炉の魔剣を使い始め、それによって純星煌式武装を持たない明日奈たちのペアは武器による防御が出来ない。

明日奈も、防御出来ずに校章を割られてしまった。

 

(………これはちょっと厳しいかな)

 

誰もがそう思っただろう。

だが、桐ヶ谷くんに転入生くんが黒炉の魔剣を振り下ろした瞬間それは変わった。

 

(………あれは?)

 

桐ヶ谷くんの持つ半透明な剣と似ているが、それ以上に美しさを感じさせる剣。

ここから分かるほど、その剣からは冷気のようなものが溢れ出ている。

 

「………あれが噂の桐ヶ谷さんの純星煌式武装ですか」

 

桐ヶ谷くんの純星煌式武装。

噂によると、その能力は一ノ瀬先輩をも凌ぐらしい。

 

(……どんな能力なんだろう…)

 

そう思った時、桐ヶ谷くんがその剣を地面に突き刺し何か言葉を発した。

すると、みるみるステージから氷で出来た蔦が生えてきてステージ全体を埋め尽くした。

 

(………けど、氷じゃユリスとの相性は。)

 

ユリスの魔女の能力は簡単に言ってしまえば炎。

つまり、あれを溶かすことは容易……のはずだった。

しかし、ユリスが魔女としての能力を使おうと星辰力を練れば練るほどそれは桐ヶ谷くんが発生させた氷の薔薇へと吸収されていく。

 

「……あれは凄いね」

 

「えぇ。魔女、魔術師殺しと言っても過言じゃないですね」

 

ステージを埋め尽くした氷の薔薇は、ユリスと転入生くんに絡みついていき2人とも意識を半ば失い勝負あったと思った。

 

「「あっ……」」

 

ユリスが僅かに残っていた星辰力で放った火球。

桐ヶ谷くんはそれを難無く避けたのだが………

氷の薔薇は桐ヶ谷くんを中心に広がっている。つまり、彼の周りの温度はかなり低くなっている訳で、そこに高温の火球がくれば……後は言わなくてもわかるだろう

 

「……彼らしいですね」

 

「うん、そうだね」

 

いくら校章が丈夫とはいえ、あれだけ急激に温度が上がれば嫌でも割れる。

 

「さて、私達も行こっか。多分、桐ヶ谷くん明日奈に叱られてるだろうから」

 

「ですね、行きましょうか」

 

私たちは、未だにステージを見続けている哀歌ちゃんを連れて桐ヶ谷くんたちの控え室に行くことにした。

 

 

 

 

 

 

 





今回、大分はっしょっちゃいましたがどうでしたでしょうか。
わかりずらい方がいましたら、後日考えたいと思います。

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