この小説も早いものでもう50話です!
まだまだ先は長いですがこれからもどうぞよろしくお願いします
それではどうぞ
(………なに……これ……)
いつものように靴を出そうと下駄箱を開けてみたら………そこにあったのは私の上履きではなく下駄箱を埋め尽くすほどの箱と手紙の数々。
(………まさかね…………)
下駄箱の中に箱と手紙と言えば、私にとっては思い出すのも嫌な記憶しかない。
「やはり、琴音は人気ですねぇ」
「あ、クローディア。人気って、私女だよ?」
クローディアがそう言ってくるのには理由がある。それは今日が2月14日であるということ。
つまり、今日はバレンタインデーな訳である。
「…どうしよう、私全然作ってない」
元々、この学園に知り合いが少ししかいないということもあり殆ど作って来ていない。
「あの、これは私からです」
クローディアはそう言いながらカバンから装飾された箱を取り出すと、私に渡した。
「あ、ありがとう。それじゃあ、私からもこれ」
クローディアから箱を受け取り、代わりに私が作った和菓子を渡した。
「ありがとうございます、琴音。」
「ううん、いつもお世話になってるからね。それに作ってて楽しかったし」
今回は作る数が少ないということもあって、1人1人別の物を作ってみた。もちろん、その人の好みに合わせてだけど。
「それじゃあ、私透のところに行くからまた後でね」
「えぇ、それではまた」
クローディアはとてもいい笑顔のまま教室の方へと歩いていった。
(……そんなにいい事あったのかな?)
私は下駄箱に入っていた箱と手紙をカバンに詰めて、透の教室へと向かった。
ガラガラ
「………失礼します。透いますか?」
透の教室へ着いたのはいいのだが、廊下からでは透の姿は見えず泣く泣く教室に入るハメに。
「………スゲェ、本物だ」
「綺麗………」
「………サインとか貰えるのかな」
中等部には初めて来たけど、ここも高等部と大して変わらないみたいだった。
私なんかのサイン貰うよりも、シルヴィからサイン貰った方が絶対にいいと思うよ。
「あ、あの琴音お姉ちゃん!こ、これ良ければ」
中学生たちの反応に若干戸惑っていると、私の元へ来たのは透ではなく綺凛ちゃんだった。
綺凛ちゃんはかなり女子力の高そうな箱を手に持っている。
「ありがとう、綺凛ちゃん。……これ、私からなんだけど貰ってもらえるかな?」
綺凛ちゃんの装飾を見たあとだと、私のシンプルな装飾が残念に見える。
「…く、くれるんですか……?あ、ありがとうございます!!」
綺凛ちゃんは私から強奪するようにして箱を取っていった。
(……そんな急がなくても取らないよ…………)
綺凛ちゃんはそのまま席に着いて顔を真っ赤にして、伏せてしまった。
(……後は、哀歌ちゃんと透なんだけど……)
教室を見渡してみると、哀歌ちゃんはすぐに見つかった。
「哀歌ちゃん?これ貰ってくれるかな」
哀歌ちゃんは机に突っ伏すようにしていたが、私が声をかけるとこちらを向いて小さく頷いた。
「…………ありがとう。」
小さな声だったけど、哀歌ちゃんからお礼を言ってもらえ私はとても嬉しかった。
(………あとは透なんだけど…)
「…姉ちゃん、何してるの?」
哀歌ちゃんから一旦離れドアの方から透を探していると、何故か後ろから透の声が。
「……透、今登校したの?」
「うん。一ノ瀬先輩と話してたら遅くなっちゃった」
最近、透と一ノ瀬先輩が急激に仲良くなって気がする。それにしても、透がいないってこと誰も教えてくれなかったんだけど……。
「……まぁいいや。はい、これ」
「………ありがと。」
透に上げたのは例年どおり、チョコレートではなく羊羹で作った和菓子。
「それじゃあ、私行くから」
「うん、じゃあね。姉ちゃん」
私は、全力で手を振る透に見送られながら次の教室へと向かった。
ガヤガヤ
私が教室のドアを開けるなり、騒ぎ始める隣のクラスの人たち。
(………そんなに嫌わなくても……)
このクラスに来る度にこれだけの視線と喧騒を受けると嫌われているのではと思ってしまう。
「あ、明日奈に琴音。それと桐ヶ谷くん」
透とは違い、ここのクラスの3人は基本的に一緒にいるのでとても見つけやすい。
「あ、琴音。これ、渡しとくね」
「私からもこれ」
私の方に来るなり、これまた女子力の高い装飾が施された箱を渡してくれる2人。
「……ありがとう。これ、2人に。こっちが明日奈でこっちが琴音ね」
一応、別々のものを作ったため2人にそれぞれ渡す。
すると、桐ヶ谷くんは何故呼ばれたのか混乱してキョロキョロして始めた。
「……はい、これは桐ヶ谷くんに。明日奈のほど凄くないけど、良ければ食べてね」
「あ、ありがとうな。」
桐ヶ谷くんはそれを受け取るとすぐさま席へと戻った。
よく良く見てみれば、彼の机には紙袋が2つ並んでおりどちらも名一杯入っているようだ。
「(…彼モテるんだね)明日奈、色々大変だと思うけど頑張ってね。それじゃあ」
「…うん、じゃあね。」
「じゃあね〜、琴音」
私は軽く挨拶を交わして、自分の教室へと戻った。
ガヤガヤ
私が教室に入るなり、何故か教室中の視線を一手に受けた。
(………怖いんだけど)
暗部のトップをやっているとは言え、これだけの視線を一手に受けることは無いわけで、人は慣れないことは怖いと感じるのが普通なのである。
「おはようございます、琴音」
そんな私に助け舟を出してくれるのは毎回決まって総ちゃん。
今回の場合は多分私の持っているものが楽しみなだけだと思うけど。
「おはよ、総ちゃん。はい、これ」
総ちゃんに渡すのはもちろん、自作の金平糖。
これだけは時間がかかるので前々から準備していたものだ。
「わぁ、ありがとうございます!琴音。それでは、私からはこれです!」
そう自信満々に出したのは、六花でも有名な高級茶屋のお茶。
総ちゃんは料理が得意ではないため、毎年こうして何かしら私の好物を買ってきてくれる。
「……ありがとう、総ちゃん。飲んてみたかったんだ、これ」
総ちゃんからお茶を受け取り、私は残りの人にも渡しにいった。
「…紗夜ちゃん、これ。」
「あ、ありがとう。まさか貰えるとは思ってなかった。私のはあの山の中にあるから探してくれ」
紗夜ちゃんはそう言うと私の机に出来た山を指差した。
(………なんでああなったの……。直接渡してくれたら、楽なのに……)
自分の机の上に項垂れながら、私は次の相手の席へと向かった。
「……ユリス、これ……」
私の数少ない知り合いと言えばユリスはその候補内。
むしろ、最近ではユリスのほうから話しかけてくれるようになったので以前とは違いかなり打ち解けられたと思う。
「あぁ、すまないな。私のはあの山の中に埋まってしまったから探して貰えると助かる」
ユリス満更でもなさそうな顔をしながら受け取り、再びあの山を指さした。
(………なんで……みんなあの山に…)
そんなにみんな直接渡したくないのだろうか。
現に私が教室に来てからも、あの山は大きくなっている。
(……あと、1人。頑張ろう)
このクラス、最後の1人は勿論この人。
「はい、夜吹くん。これ」
クローディアに続いて、お世話になっている相手といったら問答無用で夜吹くんだろう。
「「「「や、夜吹〜〜!?」」」」
何故か夜吹のときだけ、反応を見せるクラスメートたち。
「お、俺!?有難く頂かせてもらいます」
「うん、これからもよろしくね」
夜吹くんにはこれからもクラスメートとしても、暗部としても関わることがあるだろう。
「………程々に頼む」
「…それはどうかな?」
私はそう言って、自分の席にある山の処理へと取り掛かった。
後で知ったが、前々から私から貰えると言っていた人が私から貰えずその事について私が恥ずかしがったとか言っていたらしい。
(………私の友達には全員渡したんだけどなぁ)
私の悩みは増える一方である。
後日、シルヴィやアーネスト、パーシヴァルさん、星露、虎峰くん、沈華、オーフェリアに渡しに行った。
その時にシルヴィと沈華は私の分も作ってくれていたらしく2人からも貰った。
それぞれの学園に行く度に、知らない人からも渡された結果貰った総数は数えるのを途中でやめるほどとなった。
あと、私の知り合いで渡していないのは彼だけ。
何故彼にだけ渡さなかったのか。それにはちゃんとした理由がある。
それは、香苗さんから通達が来てたから。
「琴音ちゃんに迷惑かけた罰として、私も今年はあげないから琴音ちゃんもあげなくていいよ」とのこと。
今回に関しては自業自得だから、反省してくださいね。一ノ瀬先輩。
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