学戦都市の桜姫(リメイクします)   作:雪楓❄️

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大分更新が遅れてしまい、本当にごめんなさい。


多分これからもかなり亀更新になるかと思いますが、ご了承ください。

それではどうぞ


77話

「琴音には私のチームから外れて欲しいんです…」

 

「……てことは、私は用無し……?」

 

クローディアからのそんな私への戦力外通告は序列戦の熱も冷めやらぬまま、獅鷲星武祭まで残すところあと数ヶ月となり、私達も今日から本格的に訓練を始めようとした矢先のことだった。

 

 

▽▽▽

 

 

「………どうしようかなぁ」

 

序列戦での総ちゃんとの一戦以降、以前にも増して集団戦に向かなくなってしまった千本氷花の能力に私は1人悩んでいた。

 

「あら、琴音。そんなに唸ってどうかしたのですか?」

 

「あっ、クローディア丁度良かった。それがさ、クローディアもわかってると思うんだけど……獅鷲星武祭役に立つどころか邪魔にしかならないかもしれないんだよね……」

 

王竜星武祭とは違い、チームプレーが求められる獅鷲星武祭において私の能力はかなり扱いにくいしチームとして戦うのなら迷惑になる可能性が高い。

 

「琴音の実力ならばあまり関係はない気がするのですが………。それも含めてお話があるのですが、放課後少しよろしいでしょうか?」

 

「うん、大丈夫だよ?」

 

「ありがとうございます。それでは、後ほど」

 

クローディアは一礼して私の席から離れると、いつもと変わらぬ振る舞いで自分の座席へと着いた。

 

(………もしかして、私チームから外されるのかな)

 

クローディアの口ぶりを改めて振り返り、最悪の展開が見えてしまった私は1人落ち込みはじめた。

 

 

◇◇◇

 

「……クローディア…入るね」

 

放課後になり落ち込みに落ち込みまくった私は、そのテンションのままクローディアのいる生徒会長室へと足を運んでいた。

 

「失礼します……あれ、総ちゃんに琴音?」

 

呼び出されたのは私だけと踏んでいたのだが、どうやらクローディアが呼んだのは私だけではなかったようだった。

 

「皆揃ったので、始めさせてもらいますね。単刀直入に言います。琴音、あなたには獅鷲星武祭には出ないで欲しいのです。」

 

「……えっと…」

 

「ですから、琴音には私のチームから外れて欲しいんです」

 

「……え?私用無しなの?」

 

一応覚悟はしていたとはいえ、友達からの直接の戦力外通告はかなり堪える。

案の定、私は周りから見ても分かるほど落ち込み膝までついてしまった。

 

「……………わかったよ、クローディア。ごめんね、役に立たない序列1位で。」

 

クローディアに戦力外通告をされた以上、潔く去るのが道理である。

とは言え、少しばかり嫌味を言いたくなる年頃なため少し遠回しに嫌味を言ってから私はその場を立ち去ろうとする。

 

「琴音、少し待ってください!誰もそんなことは思ってませんから」

 

「いや、慰めなら大丈夫だよ……」

 

部屋を出ていこうとする私の手をクローディアは懸命に掴んでくるが、これ以上私を落ち込まさせる気なのだろうか。とかなり的外れなことを考えていた私の身体は総ちゃんによって拘束されてしまった。

 

「全く、本当にこういうことに耐性がないんですから。クローディアがわざわざマスターを外した意味を考えて下さいよ」

 

「うぅ……。」

 

従者に戒められる主人。

そんな言葉だけを聞けば違和感しかないが、琴音の場合対人スキルというものはかなり低い。というのも、六花に来るまで友人と呼べるのは総司と刀奈の2人だけ。元来のコミュ障に加えて、家柄のこともあって殆ど他人との関係を持ってこなかった琴音は対人耐性が極端に低い。

 

「……それで、話を続けても宜しいでしょうか?」

 

「えぇ、マスターは私が抑えてますので」

 

(………失礼な)

 

逃げないようとした前科ある手前、黙ってに受け入れるしかないもどかしさを押し殺し私はクローディアの話に耳を傾けた。

 

「琴音はもしかすると既に知っているかもしれませんが、私の存在は銀河にあまりよく思われていないんです。」

 

(……あぁ。そういうことだったのか、あれは。)

 

数日前の話。

母からわざわざ連絡があった。なんでも、銀河から直接東雲家に銀河のやることに少し目をつぶって欲しい、との御用達があったらしく母も"東雲家"としては何もしないと返事を返したとの連絡だった。

その話を聞いた時はなんのことだろうかと思ったが、クローディアの話を聞いて漸く理解した。

 

(お母さんも、あんな言い方じゃなくて直接言ってくれれば良かったのに…。)

 

などと1人納得していたところ、そんな話全く知らない2人は急に声を上げた。

 

「それって…」

 

「まさか」

 

「「マスター(当主)のせい!?」」

 

「…………失礼な」

 

この2人が持つ私のイメージとはなんなのだろうか。

心当たりがなくはないが、それでもクローディアには迷惑をかけないように"最近"は気をつけている。

私よりも迷惑の度合いならば、あの男3人の方がかけていると思う。

 

「いえ、琴音の能力には確かに困ってはいますがあれぐらいは統合企業財体にとっては許容範囲内だと思いますよ。あくまで可能性の話なのですが、私は銀河に殺されるでしょう。そして、その可能性はこの獅鷲星武祭中なんです。」

 

私は以前クローディアから聞いたことを思い出していた。あれは出会って間もない頃、クローディアはパン=ドラの見せる夢にでてきたある人物の腕の中で死にたい、と。そして、私はあなたとは長く一緒にいられない、とも。

 

「……今回の獅鷲星武祭で優勝したら、クローディアが願うことと関係があるの?」

 

「…………はい。」

 

クローディアは1度大きく息を吸うと、もう一度表情を厳しくし話を続けた。

 

「……以前、琴音には言ったと思いますが私は本当は死ぬつもりでした。ですが、今は私は貴方たちと一緒にもう少し居たいんです………。お願いします、どうか私を助けてくれないでしょうか。」

 

クローディアは頭を深々と、それこそ髪の毛が地面に着くほどに深く頭を下げた。

 

「………クローディア、頭を上げて?」

 

私は総ちゃんの拘束を解き、クローディアの前まで歩いて行き、ゆっくりとしゃがんだ。

 

「お願いなんてする必要ない。私達は友達なんだからさ、お安い御用だよ、それぐらい。でも、今回は東雲家当主としてじゃなく星導館学園序列1位のクローディアの友達の東雲琴音として手を貸す。少し事情があって、東雲家は手を出せないからね。だから、私一人で頼りないと思うけど勘弁してね?」

 

「………ありがとうございます、琴音」

 

「うん!任せなさい。という事だから、総ちゃん獅鷲星武祭の方はよろしく!琴音は私と一緒に行動ね」

 

私1人とは言ったが、隠密に関しては琴音の方が詳しいだろうし何より銀河が手を出してくるということは【夜吹の一族】が出てくる。元々あそこにいた琴音ならば、私よりも詳しいだろう。

 

「承知」

 

「了解」

 

二人とも先程までの巫山戯た雰囲気はなく、仕事の時の顔つきに変わっている。

 

「よし、それじゃあ解散?琴音は、情報収集のほうよろしくね。今回は実家には頼れないから大変だとは思うけど」

 

「いえ、大丈夫です。何かわかり次第連絡します」

 

二人とも私の指示を仰ぐなりすぐ様どこかへと消えていった。

 

「……やっぱり琴音って凄いんですね。」

 

「ん?いやいや、凄いのは私じゃなくて部下の方だよ。私はただ戦闘しか出来ない脳筋みたいなものだからね。それよりも、私を外したんだから獅鷲星武祭優勝しなかったら承知しないからね!」

 

「……わかりました。それでは、私は琴音の代わりの方に声を掛けに行ってきますね」

 

クローディアもそう言うなり、先程までの不安そうな顔を拭いいつもの気丈な振る舞いで生徒会室から出ていった。

 

「……さて、私の友達に手を出そうとした覚悟は出来ているのかな?」

 

みんながいなくなった部屋の中で、私の呟きに答えが返ってくることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




書き上げてから思ったのですが、また批判くらいそうな展開にしてしまったなぁ、と。
星武祭が見たいという方は、次の王竜星武祭までお待ちください。(それまでに戦闘描写が上手くなっている事を祈って……)


ちなみに、ツイッターのアカウント作ってみたので何か作品のことなどで送りたいことがある方はご利用ください

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