魔法少女リリカルなのはvividー青年の物語・・・・・の後の物語 作:Rainーのち大洪水
76話をどうぞ!
シェルファ「・・・・・・・」
「おねぇちゃんだぁれ?」
その頃シェルファは第二予選会場ではなく精神疾患を患っている人達が入る隔離病棟へと足を向けていた。
病院内の今目の前にいる妙齢の女性と、側で植物人間になりかけている男性、イオとレント意外は眠らせた。下手に騒がれると面倒だからだ
シェルファ「・・・・・平和な世界だからこそ小さき闇か・・・・
何はともあれ「借り」は返すわよ、カズマ」
「?」
シェルファ「これは夢よ人間、起きたら「元」に戻るだけの只の夢
さぁ起きなさい、後はあなたたち次第だけどね
━━━ディスペル(浄化)」
掌がポゥっと光り、イオと寝ているレントに触れる。
「・・・・・あぁ・・・・・ぅあ」
シェルファ「・・・そんなに警戒しないで、事情は知らないし興味も無いけども私の友人が言っていたわ
━━━「もう大丈夫」と」
それを聞いたレントは虚ろな目をゆっくりとシェルファに向けようとして
眠りについた。
同じく倒れたイオを横目にシェルファは
━━━姿を消した。
ーーーーーーー
カズマ「ヴィヴィオ」
ヴィヴィオ「お兄ちゃん!何処に行ってたの?」
出場選手控え室に行くとヴィヴィオが抱きつきながらカズマに聞いた
何故か真っ正面からではなく背後に回って抱きついてきたヴィヴィオに?を浮かべながらも「ちょっとな」と答えてセコンドであるノーヴェとウェンディに視線を移す。
ノーヴェ「ゴメン」
カズマ「何で?」
視線があった瞬間に低頭して謝罪をしてくるノーヴェにまたも?を浮かべるカズマ、ウェンディは苦笑いだ。
ヴィヴィオ「ん~!お兄ちゃん成分補給完了!」
ウェンディ「さっきまで「お兄ちゃん・・・」って元気無かったけどこれで大丈夫そうっすね!」
顔を真っ赤にして笑うヴィヴィオが微笑ましいのか自然と穏やかになりつつある空気に出場選手を呼び掛けるアナウンスが流れた。
『大変お待たせしました。リングの修復作業が終りましたので予選4組第三試合をまもなく開始します。出場選手はリングへお願いします。繰り返します━━━』
ノーヴェ「時間だな、行けるか?ヴィヴィオ」
ノーヴェの質問にヴィヴィオは勝ち気な笑みで「行けるよ!」とかえした。
ヴィヴィオ「お兄ちゃん!」
カズマ「ん、行ってこい」
ヴィヴィオとカズマは拳をコツンとお互いに合わせた。
ノーヴェ「ウェンディ、ヴィヴィオ連れて先に行っててくれ」
ウェンディは頷くとヴィヴィオを連れてリングに向かって行った。
カズマとノーヴェだけが残った空間の中、僅かに気まずそうにノーヴェが口を開いた
ノーヴェ「悪いなカズマ、ミカヤちゃんの応援もしなきゃいけないのに・・・」
カズマ「いんや、最初はどっちも応援する気だったんだが、向こうから「ヴィヴィオちゃんを応援してやってくれ」っていう連絡が来てな、まぁ埋め合わせは後でって返してこっちに来た次第だ」
━━まぁ、告白された手前顔を会わせづらいって言う情けない理由もあるんだがな
内心だけで呟きノーヴェに苦笑してみせる
ノーヴェ「贔屓目とか無しに聞きたい
━━ヴィヴィオの勝率は?」
カズマ「・・・・」
ノーヴェ「あの子達は、私の教えもちゃんと聞いてくれて、カズマも手伝ってくれて本当に強くなった、実力だけじゃない心もだ」
ノーヴェはそう笑いながら言って、笑みを消して俯いた。
ノーヴェ「だから・・・あれだけ頑張ったコロナがカズマに負けた時、分かっていた筈なのに悲しかったし悔しかった。・・・・私でさえこれだコロナはもっと激情が渦巻いてると思━━あだっ!?」
拳をぎゅっと握りしめ震えながら言うノーヴェにカズマは容赦ないデコピンをかました。
鈍い音をたてて赤く染まった額をさすりながら涙目で非難の視線を送る彼女にカズマは僅かばかり顔をしかめさせていた。
カズマ「ノーヴェさん、それはいくらなんでもあいつらを馬鹿にしてるぞ」
ノーヴェ「っ、私は!」
カズマ「俺はあの子らに言った筈だ、嫌な目に合うかもしれない、理不尽な目に合うかもしれないと、あの子らはそれでも力強く頷いたぞ、それはノーヴェさんも聞いていた筈だ」
カズマは少し口調を和らげて続けた。
カズマ「・・・あの子らにはちゃんと伝わってるよ、「勝たせてやりたい」っていう気持ちも、「お前らの頑張りに応えてやりたい」っていう思いも、
━━━どんと構えてりゃいいんじゃないか?「これがチームナカジマの最高の門下生だ」って送り出してやりゃいい」
ノーヴェはそれを聞いて目を見張り、フッと困ったように笑い頷いた
ノーヴェ「・・・・・サンキュ」
カズマ「おぅ、行ってこい大将」
ノーヴェは黙って頷きスタスタとリングに向けて歩き始めた。
カズマ「・・・・強いな、皆」
━━━クソガキの頃の俺とは大違いだ。
カズマ「・・・ま、今も変わらずクソガキか」
自嘲するように言って、静かに拳をぎゅっと握りしめ、不意にあさっての方向に顔を向けた。
カズマ「・・・・・とりあえずは、一旦落ち着くな」
会場の外から僅かに騒がしい気配を察知してカズマは胸を撫で下ろした。
同時にカズマの携帯端末に連絡が来た。
差出人はティアナ・ランスター
━━━内容は会場周囲で不審な男を十数名捕まえた
PS・あなたエスパーか何か?
という内容だった。
カズマ「何でだってばよ」
苦笑したカズマの呟きが控え室内に浸透していった。
ーーーーーー
ミカヤ「・・・・・・」
「師範代、時間です」
ミカヤ「ん、ありがとう」
ブルーコーナー側の出場選手控え室、目を瞑り集中していたミカヤに門下生が声をかける。
笑みを浮かべて礼を言いつつ、バリアジャケット「嵐鎧」を身に包み、「晴嵐」を腰にさす。
「全くカズマさんと来たら!いくら師範代が断ったからって本当にあっちに行くなんて!」
プリプリしながら怒る女の子の門下生に苦笑を浮かべながらもう一人の門下生が口を開いた。
「相手はヴィヴィオちゃん何ですよね・・・」
ミカヤ「あぁ、カウンターと彼女の「眼」には気を付けなくてはな、それにカズマが剣士対策はバッチリ仕込んでるだろうね」
天瞳流道場でノーヴェの頼みでチームナカジマメンバー全員の面倒を見たミカヤ
そのなかでも、ヴィヴィオが一番格闘家としての資質は劣っていた。
体質的な問題、それだけだが格闘家としてはかなり影響してくるハンデ
━━━なのに、ヴィヴィオはアインハルトの次にミカヤに食いついていた。
桁外れの動体視力に、凄まじい反射神経、それに火力不足も魔法によって解消しつつある。
ミカヤ「全く、最近の小中学生は本当にいい動きをする」
━━━楽しいよ、本当に
そう締めくくり、静かにミカヤは立った。
ミカヤ「ふふ、カズマはごはんでも奢ってくれるのかな?」
ーーーーーー
ティアナ「しかし、よくもまぁ、たった一人を拐うのにこんなにも集まったわね・・・」
インターミドル予選会場の外、備品倉庫内でバインドに拘束され、中央に集められた男達を見て呆れたようにティアナは呟いた。
「ランスター執務官、これって休日出勤手当て、出るんですかね?」
ティアナ「・・・本来警ら隊の領分だし、無断出勤だし出ないんじゃないかしら?カズマに埋め合わせでもしてもらおうかしら?」
ティアナのジト目での呟きに補佐官の男性が苦笑いを浮かべた。
「くそっ!いきなりバインドかましやがって!
何もしていない一般人を拘束して良いのかよ!?管理局様よぉ!」
拘束されている男達のうち一人が怒鳴り散らすように言う。
ティアナ「何もしていないじゃなくて、「まだ」何もしていない、でしょ?
━━━こんなものまで所持して、言い逃れがあるのかしら?」
そう言ってティアナは男がポケットにいれていた物をすっと抜き取った。
補佐官が頭痛を押さえるかのように軽くコメカミを揉みほぐしながら溜め息を吐いた。
「質量兵器としては危険度はまだ低いけど、それでも一般人が簡単に、それも人数分集められるのはおかしいはなしですよね?
そのスタンガン」
補佐官の発言にぐうの音も出ないのか黙り混む男達。
すると男達のうち若い男が懇願するように叫ぶ。
「お願いします!局員さん!俺達は別に捕まっても構わないんだ!どんな処罰にも文句は言わない!だから俺達にあの女を「裁かせて」くれ!
俺達は皆格闘家だったんだ。
8年前、レントさんがセクハラで捕まったって報道があったけど絶対有り得ない!あの女が!運営委員長が嵌めたんだよ!しかも風評被害は俺達まで格闘家としての道も潰したんだ!
今でも小さい大会はやってるけど肩身が狭い、現役の奴等が可哀想すぎるだろ!?
こんなのいくらなんでも酷すぎる!」
目一杯に涙を溜めながらも叫ぶ男に周りの男達は俯いた。
流石に何か感じるところがあったのか補佐官が困ったような顔をティアナに向けた。
ティアナ「・・・・どれだけ御託を並べようとも、思いをぶちまけようとも、それが誰かを陥れていい理由にも裁く理由にもならないし、許されないわ
それに一度根付いた話は直ぐには消えることは絶対ない、それが人間だから」
諭すように中腰になりそう言うティアナにとうとう最後の一人ががくりと項垂れた。
ティアナ「・・・・私の友人がね、今日この大会に出てるの、しかも男性よ」
「・・・・・もしかして、カズマ=ツユクサですか?」
復讐しか考えていなかった彼らでもその存在は知っていた。
それもそうだ、突然現れ不敵な選手宣誓を放った男
魔力がない一般競技者候補にも関わらず、昨年のトップファイターを文字どおり瞬殺を成し遂げた男
ティアナ「始めはね、知り合いの子供達との約束で大会に参加したの、勿論今の男性競技者の周囲からの評価が悪いって言うのも分かっていた筈よ
多分選考会の時とか彼の事をいい目で見ていない人は山ほどいたと思う、そんな彼が何で今もあそこに立ち続けられるかわかる?」
そう質問するティアナに男達は固唾を飲んだ。
ティアナ「「皆」の為よ」
ティアナはそう男達を真っ直ぐ見据えてそう言った。
ティアナ「子供達との約束、友人との約束
━━━それから貴方達男性競技者と今の運営委員長の為にね」
驚愕と怪訝の視線を浴びながら、ティアナは笑みを浮かべた。
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