魔法少女リリカルなのはvividー青年の物語・・・・・の後の物語   作:Rainーのち大洪水

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81話ーーミカヤ対ヴィヴィオ②異変

━━私は恵まれている。

 

そう自覚し始めたのは割りと最近

 

優しいママに優しく育てられて、格闘技に憧れてそれをキッカケにノーヴェに稽古をつけてもらい、リオやコロナと親友になって、アインハルトさんみたいな格好良い先輩と仲良くなって、管理局の人達にも、元機動六課の人達にも、ルールー達も良くしてくれて。

 

幸せの連続だったし、これからも続いていくんだなぁ、と確信していたりする。

 

でも、それでも「証明」出来ていない

 

ヴィヴィオ「━━━っうぅ・・・」

 

右足首が凄く痛い、ミカヤさんの飛び蹴りをかわそうとしてアインハルトさんの擬似無拍子を真似しようとしたけど上手く制御できていなかったみたい。

 

ノーヴェ「ヴィヴィオ!」

 

ウェンディ「ヴィヴィオ!」

 

セコンド側からノーヴェとウェンディの心配そうな声が聞こえる

 

「また」心配かけている。

 

ヴィヴィオ「(駄目・・・だよぉ、まだ・・・「私は大丈夫だよ、一人で立って歩いていける」って証明できてない・・・)」

 

強くなった、心も、体も、そう思っていた。

 

でも、この足だって少し我慢すれば立てる、立って魔法で回復すればまたあのリングに向かっていける。

 

その筈なのに・・・

 

カウントがやけにゆっくり聞こえる。

 

皆の声が聞こえる。やっぱり皆心配そうな声音だ。

 

私はもっと幼い頃から皆に迷惑をかけて、心配をかけてばっかだった。

 

聖王オリヴィエのクローンとして生まれ、ただ「核」として生きて「死ぬ」運命だった私に、なのはママ、フェイトママを初めとして皆優しくしてくれた。よく泣いていた私は迷惑をかけてばっかりだったし、拐われた時だって本当に心配をかけたと思う。

 

痛くて怖くて泣きじゃくる私を見たなのはの顔は今でも覚えている。

 

助けてくれて、自分の足でなのはママの元へ辿り着き抱き締めてもらった時、私は「あぁ、この人にこんな顔をさせたくない」って思った。

 

もうあの時の私じゃない、皆は「子供は迷惑をかけてなんぼ」ってよく言うけど。もう嫌なんだ

 

大切な人達が悲痛に顔を歪めているところなんて

 

ヴィヴィオ「ぐ、う、うぅっ」

 

まだ、まだだよ

 

まだ私は「頑張っていない」、この大会で証明するって決めたんだ

 

 

 

━━━━もう大丈夫だよ、皆待たなくても私は一人で立ち上がれるし、皆を追いかけるんじゃなくて、肩を並べて歩いて行けるって。

 

だから、心配をしないで、

 

ヴィヴィオ「━━━━」

 

そう思って顔を上げた私はこっちを見ているお兄ちゃんと目があった、近くになのはママ、フェイトママもいる。

 

カズマ=ツユクサさん、とても強くて、とても優しくて、とても不思議な人で、いつも見ていてくれた人

 

流れやその場のノリでお兄ちゃんになった人だけど、とても嬉しかったのを今でも覚えている。

 

お兄ちゃんは優しかったけど、いつも必要以上に距離は取っていた・・・・と思う

 

やっぱり他人だから?って結構思ったりもした。

 

ヴィヴィオ「(・・・・そうなんだね、お兄ちゃんはいつでも私達を見守ってくれたんだね、「いつでも、いつまでも立ち上がれるように」)」

 

お兄ちゃんはまるで私を試しているかのように強い意思を持った目で私を見ていた。

 

ヴィヴィオ「(・・・私はまだ頑張っていない、だったら・・・

 

 

 

━━━もっともっと頑張らなきゃ!)」

 

その時

 

リオ「ヴィヴィオ!がぁんばれぇ!」

 

アインハルト「ヴィヴィオさん!」

 

コロナ「ヴィヴィオ!」

 

チームナカジマの皆が

 

なのは「ヴィヴィオ!立って!」

 

大切なママが

 

フェイト「ヴィヴィオ!」

 

大切なママの親友のママが

 

 

 

 

 

カズマ「負けんな!ヴィヴィオ!頑張れ!」

 

大切で大好きなお兄ちゃんが私を応援してくれた。

 

背中を押してくれた。

 

 

ヴィヴィオ「(なら!なら立たなきゃ駄目!痛くても辛くても立たなきゃ!私は「不屈のエース」の娘!だったら!)

 

 

 

━━━━っぁあああああああああああ!」

 

 

立たなきゃ、駄目だ!

 

その時、何故か知らないのに「凄く馴染み深い」可憐な女の人が頭のなかで私に微笑みかけている気がした。

 

 

 

                  

その人は私と同じ金色の髪で、私と同じ紅《ロート》と翠《グリューン》だった。

 

ーーーーー

 

『ヴィヴィオ選手立ちました!手痛い一撃を受けていたが大丈夫か?』

 

ヴィヴィオがすこしぎこちない足取りでリングに戻った。

 

その表情は若干俯いていて分からない。

 

ヴィヴィオ「クリス、無理させちゃうけど、行くよ?」

 

姿は見えないけど中で『ピッ!(誰の相棒だと思ってんの!?)』と怒っているのを感じたヴィヴィオが口元を緩めた

 

レフェリーに「大丈夫?」と聞かれ、ヴィヴィオは「はい」と静かに頷いた。

 

ヴィヴィオ「クリス、お願い」

 

そう言うやいなや、虹色の淡い光がヴィヴィオの体を包み癒していく。

 

高町ヴィヴィオ

 

クラッシュエミュレート回復

 

 

『ヴィヴィオ選手、クラッシュエミュレートを回復しての復帰です!』

 

ナレーションの言葉に会場が再び歓声を上げる。

 

ヴィヴィオ「ミカヤさん」

 

顔を上げたヴィヴィオが静かに、しかししっかりとミカヤの目を捉えて口を開く

 

ミカヤは「まるで嵐の前の静けさだな」と何処か他人事のように感じながら「なんだい?」と返した。

 

ヴィヴィオ「ありがとうございます」

 

 

━━━カンッ!

 

礼を言い終えると同時に腰を低くして構える。そして試合再開のゴングが鳴り響くと同時に足をぐっと静め

 

ヴィヴィオ「ミカヤさんが強いおかげで私は、また頑張れます」

 

まるで向日葵のような暖かい笑みを浮かべて、そう言った。

 

 

同時にヴィヴィオの姿がかききえ、代わりに足下が小爆発を起こしたかのように土煙を巻き上げていた。

 

ミカヤ「━━━っふ!」

 

まるでそこにいるのが分かっているかのように右方向に晴嵐を薙ぐミカヤ

 

ヴィヴィオはそれをすり抜けるようにかわし、両手で晴嵐の刃を上から掴む。

 

ミカヤ「っむ!」

 

思わず力を入れて引き抜こうとして、ヴィヴィオはあっさりその手を離した。

 

体勢を崩すミカヤにヴィヴィオは右足を振りかぶる。

 

ヴィヴィオ「リボルバースパイク!」

 

後ろに傾いた体勢のまま、ミカヤは鋭い蹴りを左斜め後ろに受け流し、更にその手で掴もうとする。

 

何故かヴィヴィオはミカヤのその動作が手に取るように分かった。

 

ヴィヴィオ「(何でだろう、今頭が凄くクリアな気分)」

 

異様な程体が軽く感じるヴィヴィオはまるで「自分じゃない」感覚に不安を感じるどころか、何故かしっくり来ていた。

 

捕まれそうなミカヤの手から、ヴィヴィオの足がまるで意思を持っているかのように下へ降り、そのままミカヤに足払いをかけた。

 

ミカヤ「!?っく!」

 

驚愕に表情を歪めつつもミカヤは、すかさずバックステップでヴィヴィオから距離を取る

 

ミカヤ「━━━」

 

一歩下がった所で悪寒を感じたミカヤはその場で宙返りをしつつ、抜刀した。

 

ミカヤ「天瞳流抜刀居合

 

━━霞」

 

神速の居合い切りを、先程まで立っていた場所に拳を振り抜いた状態で静止して「ミカヤを見上げている」ヴィヴィオに放つ。

 

ミカヤ「(しっかりと目で追ってきている!?動きが急に!)」

 

いったい何が、と考える暇もないまま、神速の居合いはヴィヴィオに向かっていき。

 

ヴィヴィオ「━━ジェットステップ」

 

再びその場から姿を消した。

 

あまりの速さにミカヤは一瞬本当に姿を見失った。

 

ミカヤ「なっ!?」

 

地面が「タタン!」と静かに素早く、ヴィヴィオが立っていた場所、そして宙返りをしている最中のミカヤのやや後方で音がなった。

 

 

次いで背後から感じる、気配と「ブオン!」と空気を薙ぐ音

 

ミカヤは今度こそ背筋に嫌な汗を書いたのを自覚した。直ぐ様身を捻り頭上から迫りくる何かに備えて腕をクロスし、更に魔力を使い身体強化で防御力を上げようとして。

 

ヴィヴィオ「━━ハルバート」

 

斧を思わせる強烈な踵落としがミカヤに炸裂した。

 

ミシィっと一瞬防いだ両手が軋みを上げた、そして

 

ミカヤ「っぐぅ!━━━っああ!?」

 

一瞬の溜めの後、ミカヤを空中から叩き落とした。

 

凄まじい轟音がリングに鳴り響き、今度はさっきと別の意味で静寂が広がった。

 

 

ミカヤ・シェベル

 

LIFE

10500→4200

 

 

ーーーー

 

ウェンディ「ヴィヴィオ凄いっす!あの鬼強いミカヤ選手相手に圧倒っすよ!?」

 

ウェンディが興奮しているのか、早口で一気に捲し立てる。

 

ノーヴェも唖然とその光景を見ていた。それほどまでに先程までのヴィヴィオとの差が凄すぎる動きだった。

 

ノーヴェ「ヴィヴィオ?」

 

だからこそ感じる違和感、だからこそ分かりやすい矛盾

 

確かにヴィヴィオは強くなった、それはノーヴェが一番分かってるし、感じている。だって一番近くで見てきたから。

 

今のヴィヴィオならアインハルトに勝てなくともかなり追い詰めることも可能だろう。

 

・・・でも

 

 

━━━あそこまで強かったか?

 

そう感じてしまう程に今の一瞬の攻防の駆け引き、完成されていた動き、魔力の扱い、どれもがずば抜けていた。

 

その証明とは言わないが踵落としをくらい叩きつけられそうになり、すんでの所で両手で受け身をとり衝撃を受け流したミカヤが、警戒しながらも何が起きたのか分からないと困惑の表情を浮かべている。

 

 

 

あんな動き、夜天の騎士達でも・・・それこそ、カズマか書物でしか知らないがベルカ戦乱時の「王」でもなきゃ━━━

 

 

 

そこまで考えてノーヴェの思考が停止した。それほどまでに「あり得ない推測」をしてしまったのだ。

 

しかしノーヴェはその推測を鼻で笑い飛ばすこと等出来なかった。出来るわけがなかった、「それ」を考えてしまえばしまうほど辻褄も合ってしまい、納得さえ出来てしまったからだ。しかもだめ押しとばかりにノーヴェはそのあり得ない体験をしている親友を知っている。

 

ノーヴェ「・・・・・・」

 

落ち着かない思考と不安な気持ちを抱えたままノーヴェはヴィヴィオを見た。

 

 

━━━━━

 

ミカヤ「驚いたな・・・ここに来てまさかの覚醒みたいな展開が起きるなんて」

 

 

腕を擦りながら苦笑するミカヤ

 

何故かは分からないが急激すぎるパワーアップをしてしまったらしい、と納得してしまったらしい

 

ヴィヴィオ「まだまだ!」

 

10メートルはあった距離をまるで無かったかのように詰めたヴィヴィオは流れるように肘鉄を放つ

 

ミカヤ「ふっ!」

 

それを半歩片足を引き、体を傾ける事でかわし、同時に膝を曲げて体勢を低くして、晴嵐を引き抜き、その柄でヴィヴィオの顎を突き上げようと持ち上げた。

 

━━━が

 

 

ぱしんっ!

 

ミカヤ「っ嘘!っだろ!」

 

ヴィヴィオは肘鉄を放った方の胸元にある掌でその柄を受け止めていた。

 

思わず悪態をついたミカヤだが、混乱せずにエクシードを循環させて直ぐ様ヴィヴィオの背後に回り込む。

 

ミカヤ「はぁ!」

 

ヴィヴィオ「アクセルスマッシュ!」

 

横凪ぎの一振りをヴィヴィオはまるで背中に目でもついてるのかと言うような動きで振り返り様に「見ずに」正確に晴嵐の刃に拳を当ててきた。

 

━━━更に

 

ヴィヴィオ「トリプル!」

 

放った右腕の魔力の維持したまま引き抜き、再びミカヤの顎先に向けて放ち、同時に魔力を付与した左腕を右腕の下に隠すように腹部目掛けて放つ。

 

ミカヤ「っえぐいね!」

 

ヴィヴィオの攻撃にそう返し、器用にも晴嵐のリーチを生かし顔から腹部を一度に守るミカヤ

 

ガギィ!と音をたてて拳と晴嵐が拮抗する。

 

ミカヤ「っ!(重い!)」

 

持久戦は悪手と考えさせる程の重い拳にミカヤは慌てず受け流すように一旦身を引き潜り込むように身を伏せ上に流した。

 

ヴィヴィオ「!?」

 

ミカヤ「先程のお返しだ!」

 

そう言って振り上げた晴嵐をその勢いに乗せて放り投げ、一瞬そちらに気を取られたヴィヴィオ目掛けての頭部目掛けて掌を突き出す

 

ヴィヴィオ「分かってました!」

 

そう言うと同時にミカヤが掌を突き出すのとほぼ同じタイミングでミカヤに向け自ら距離を詰めた。

 

ほぼゼロ距離の掌低をかわして。

 

ミカヤ「━━━━っな!?」

 

しまった、と思った時には遅く、その腹部にはヴィヴィオの飛び膝蹴りが深々と突き刺さりミカヤを吹き飛ばした。

 

 

ミカヤ・シェベル

 

LIFE

4200→800

 

 

ミカヤを吹き飛ばしたヴィヴィオはその目をキラキラさせながら、「まるで後ろに立っている誰か」に話しかけるように口を開いた。

 

ヴィヴィオ「やった!見ましたか!?クラウス!カズm・・・・・

 

 

 

 

━━━━あれ?」

 

 

リングの外でゆっくりと立ち上がるミカヤをよそに困惑に満ちたヴィヴィオの呟きが会場の歓声に掻き消されていった。




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