無敵な姉さんが実は変態的なブラコンでした   作:ガスキン

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どうも、お久しぶりです。


第二十五話 反撃からの状況悪化?

昼休み終了五分前、生徒会室を出た俺は姉さん達と別れ教室へと戻った。が、俺はある事を失念していた。

 

教室内に足を踏み入れるや否や群がって来るクラスメイト達。男子も女子も関係無しだ。心なしか、みんな目が血走っている様に見える。

 

「どういう事だ黒川ぁ! 何で転校して来たばかりの妹さんとお前が仲良く昼飯食ってんだよ!」

 

「てかあの人、前に校門にいた聖クロイスの人だよな!」

 

「どんな関係なの!?」

 

ああ、失敗した。よく考えればこうなる事は必然だったか。何だか懐かしい。入学二日目の時も、教室に現れた姉さんと今日子先輩を見てクラスメイト達が騒ぎまくったっけ。・・・正直、あの時から俺の受難の日々が始まったと言っても過言では無いだろう。

 

・・っと、思い出に浸って現実逃避している場合じゃないな。とりあえずこの騒ぎを収めないと。

 

「色々あったんだよ・・・。ほら、答えてやったんだから散れ散れ」

 

「答えになってねえ!」

 

当然というか、そんな答えに納得するようなヤツらでは無かったが、そこへ天の助けとばかりに休憩時間終了のチャイムが鳴った事で、みんなしぶしぶといった様子で自分の席に戻って行った。

 

その後、休憩時間の度に質問して来る連中を適当にあしらいつつ放課後を迎える事となった。この頃になると追究しても無駄だとようやく悟ったのか命さんの話題が上がる事は無かった。

 

「今日は大変だったね、広人君」

 

気遣ってくれる直也に片手を上げる事で返事をする。クラス内でこれだ。きっとこれからしばらくは心労の重なる日々を送る事になるだろうなぁ・・・。というか、趣味とかタイプとか俺に聞くなや。そんなの知らんし、そもそも聞く相手が違うだろうが。本人に聞け本人に!

 

「でも、男の子ならしょうがないかもね。あんな素敵な先輩が転校して来たんだから」

 

「男の子って・・・お前もそうだろうが」

 

他人事みたいな口調の直也についツッコミを入れる。すると、直也はどうしたのか急にテンパリ始めた。

 

「え? あ、う、うん、そうだね! 僕も男の子だもんね! いやあ、すっごくタイプな女性だったなぁ!」

 

どうしたんだコイツ? 普段なら絶対しないようなオーバーリアクションまでして。よく見ると額にうっすら汗まで滲ませてるし。

 

「そ、そんな事より! 広人君、今日はこれからどうするの?」

 

お前から話振って来たのにそんな事って・・・。まあ、別にそこまで深く考える様な話題じゃないし、さっさと切り替えるか。

 

「今日は普通に帰ろうと思ってるけど。そういうお前はやっぱり部活か?」

 

「僕も今日はすぐ帰るよ。今日は部活お休みなんだ」

 

「そうなのか? それなら久しぶりに一緒に帰るか?」

 

そう提案すると、直也は意外そうな顔をしてきた。

 

「あれ、黒川先輩達とは一緒に帰らないの?」

 

「ああ、なんか今日は帰りに寄る所があるって言ってたからな」

 

「そっか。それなら問題無いね。うん、一緒に帰ろう」

 

というわけで、俺は直也と一緒に下駄箱へと向かうのだった。

 

・・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・

 

「・・・広人君、何か悩み事でもあるの?」

 

夕焼け空の下、直也と並んでのんびりと帰りの道中を歩いていると、突然そんな事を言われた。

 

「え? な、何でだ?」

 

「さっきからずっと難しい顔してるし、何より、わざわざ一緒に帰ろうなんて何かあるのかなって。僕でよければ話くらいいくらでも聞くよ?」

 

・・・ったく、そんな心配そうな顔すんなって。いや、でも、こうやって心配してもらうってのは嬉しいもんだな。

 

「悪いな。ちょっと聞いてくれるか?」

 

「うん。遠慮無くどうぞ」

 

「実は・・・」

 

亮介さんから生徒会に誘われた事を話すと、直也は驚きからか目を丸くした。当然か、あの完璧超人直々に、しかも一年生である俺が生徒会なんかに誘われたんだから。

 

「す、凄いじゃない広人君! 神代先輩本人からのスカウトなんて!」

 

「いや、まあそうなんだがな・・・」

 

「? どうしたの?」

 

「ほら、俺ってあんまり優秀じゃないだろ。むしろちょっと前まで・・・いや、今も落ちこぼれって言った方がいいか。そんな人間が生徒会に入ったって、果たしてみんな認めてくれるのかって思うとな・・・」

 

亮介さんは関係無いとは言ってくれたが、周りまでそうだとは思えない。やっぱりある程度の実力を持つ者じゃないとみんな納得しないだろう。

 

「でも、亮介さんには魔法の事で色々助けてもらったし、少しでも恩返しないといけないとも思ってるんだ。入るべきか止めとくべきか。俺はどっちを選べばいいんだろうな」

 

そう漏らす俺に、直也は短くもキッパリと答えた。

 

「そんな風に考えてるなら止めといた方がいいよ」

 

「え?」

 

「周りが認めないとか、先輩に恩返ししないといけないとか、そんなのは二の次じゃない。大事なのは広人君の気持ちでしょ」

 

「俺の・・・気持ち?」

 

「うん。広人君が広人君の意思で生徒会に入りたいっていうんなら僕も応援するよ。でも、さっきの広人君の言葉を聞いてると、自分の意思じゃなくて、周りを気にして答えを出そうとしているような気がしたんだ。自分から“入りたい”じゃなくて、周りの為に“入らないといけない”って考えだと、きっと途中で挫折しちゃうと思うよ」

 

言葉が出ない。何故なら、今直也が言った事は、まさしく俺が思っていた事だったから。亮介さんの為に“入らないといけない”と、それが俺の役目なんだと。

 

直也が俺の手を拳の形にして、それを自分の両手で包む。男のくせに女の子みたいに柔らかい手に一瞬心臓が跳ね上がってしまった。あれ、俺ヤバくね?

 

「すぐに答えを出してくれって言われたわけじゃないんでしょ? なら、ゆっくり考えてみるといいよ。周りの為じゃなく、広人君自身がどうしたいのかを。自分自身で選んだ答えなら、どんなに大変な道のりでもきっと歩いていけるはずだから」

 

そう言いながら、柔らかな笑みを浮かべる直也。その安心出来る様な笑顔に、さっきまでモヤモヤしていた頭が嘘の様にスッキリして来た。

 

「そう・・・だな。お前の言う通りだ。もう一度よく考えてみるよ。俺が本当にどうしたいのかを。ありがとな、直也」

 

「どういたしまして。少しは力になれたかな?」

 

「馬鹿言え。少しどころかお前のおかげで悩みが吹っ飛んじまったよ。・・・お前さ、将来カウンセラーとか目指してみるのもいいんじゃねえの。凄い人気が出ると思うんだが」

 

「そ、それは流石に言い過ぎだよぉ」

 

言い過ぎなもんかよ。現に俺はお前に悩むを解決してもらったんだぞ。・・・ありがとな、直也。お前が友達でよかったよ。・・・恥ずかしかったので口には出さないけどな。代わりに感謝の気持ちを込めて頭を撫でてやった。

 

「はわっ!? な、何で頭を撫でるの!?」

 

「ん・・・何となくな」

 

「で、でも、こんな人が往来する所で・・・」

 

「ええい、やかましい! いいから大人しく撫でさせろ!」

 

「怒り方が理不尽過ぎるよぉ!」

 

なんかこっちも気恥ずかしくなったので、それを誤魔化す様に大袈裟に撫でまくってやった。そうしてフラフラとなった直也と別れ、俺は自宅への道を歩き始めるのだった。

 

・・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・

 

「お帰りなさい、広人」

 

さて、そうやって帰宅した俺を前に、またしてもこの人はやってくれた。玄関先で固まる俺に、その原因を作った張本人・・・姉さんが腰に手を当てて文句を言って来た。

 

「こら、お帰りなさいって言われたらちゃんとただいまっていいなさい」

 

「・・・ただいま」

 

「はい、よろしい」

 

「で、何で姉さんは下着姿なんですかね」

 

そうなのだ。俺の前に立つ姉さんはどういうわけか下着姿だったのだ。紫色の大人っぽい下着に、たわわな果実が収められている。これは思春期男子には目の毒だ。

 

・・・え? 前も同じ様な事があったのに、何で冷静なのかって? いやあ、人間ってあまりに予想外な出来事に直面すると冷静になるって本当なんだなぁ。

 

「あら、お家の中でどんな格好しても私の自由でしょ?」

 

「それはそうだが・・・」

 

「そ・れ・と・も、この格好だとマズイ理由でもあるのかしらぁ?」

 

グラビアアイドルみたいにポーズをとりながら挑発的な笑みを見せる姉さん。

 

「ほらほら、興奮した? ムラムラした? 襲いたくなっちゃった?」

 

・・・何だろう。なんかムカムカして来た。さっきまで真面目に悩んでいた俺に対してこの仕打ち。今までの分も含めて仕返ししたってバチは当たらないよな。うん、そうだ。きっと天国の本当の両親も許してくれるはずだ。

 

「・・・姉さん」

 

俺は自分に出来る最大限に低い声で姉さんを呼ぶ。そんな俺の声に異変を察知したのか、姉さんの顔が強張る。

 

「ひ、広人? もしかして怒ったの?」

 

それに答えず、俺は姉さんの手を掴むとそのままリビングへ向かった。

 

「きゃっ!」

 

そして、姉さんを乱暴にソファに突き飛ばした。・・・もちろん、安全面に配慮してだ。

 

「ひ、広・・・人・・・?」

 

体重がかからない様に気をつけながら姉さんに覆いかぶさるようにして近づく。傍から見たら完全に犯罪シーンだろうな。

 

「いいかげんにしてくれよ姉さん。俺だって男なんだよ? いつもいつも俺を挑発するような格好をして、なに、本当に襲われたいの? 姉さんってひょっとしてMなのか?」

 

「う・・・ああ・・・」

 

ふふふ、キョドってるキョドってる。どうだ姉さん。普段からかっている相手に反撃された気分は。まあ、正直恥ずかしいのはこっちも同じなのだが。自分なりにSっぽい表情や口調を目指してみたのだが、これは無いわ。黒歴史直行だわ。

 

けど、これで姉さんも懲り・・・。

 

「あ、あははは! ついに広人もその気になったのね! お姉ちゃん嬉しいわ!」

 

「なぬっ!?」

 

なんでノリノリになってんの!? おのれぇ! 必死の思いで演技したというのにこの人には通用しないのか!

 

「そ、それはそうと、広人があまりに熱烈に責めてくるから汗かいちゃったわ。というわけで、私は今からお風呂に入って来るわね!」

 

俺を押しのけるように立ち上がり、姉さんはそのまま風呂場の方へ消えていった。ちくしょう、これでからかわれる回数も減ると思ったのに・・・。

 

「姉さん、頼むから自重してくれ・・・」

 

一人残されたリビングに、俺の呟きだけが響くのだった。

 

広人SIDE OUT

 

 

志乃SIDE

 

脱衣場に逃げ込んだ私はその場にへたり込んでしまった。まさか、まさか、広人があんな行動に出るなんて・・・。

 

掴まれた手が妙な熱を持っている。突き飛ばされた背中がジンジンする。今までに感じた事の無い衝撃だった。

 

『いいかげんにしてくれよ姉さん。俺だって男なんだよ? いつもいつも俺を挑発するような格好をして、なに、本当に襲われたいの? 姉さんってひょっとしてMなのか?』

 

嗜虐的な表情と言葉で私を責めて来た広人。あんなに怖いあの子は初めて見た。思い出すだけで背筋がゾクゾクする。あんな、あんなSっ気たっぷりな広人なんて・・・。

 

「・・・・・・・・・・・・最高じゃないですか!」

 

受け身だとばかり思っていたあの子にあんな一面があったなんて、お姉ちゃん嬉しいわ! あの表情で、あの声色で、「志乃、俺色に染まりな」なんて言われたりした日には・・・!

 

「やだ、ちょっと濡れちゃった」

 

丁度いいわ。逃げ出す口実だったけど、このままお風呂に入っちゃいましょう。ともかく、ドS広人は今後のローテーションに是非とも入れないとね。

 

そう決めて、私はこの上なくいい気分で風呂場へと続く扉を開けるのだった。




前書きでも言いましたが、本当にお久しぶりです。再開一発目がこんな内容で申し訳ありません。だが後悔はしていない!
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