無敵な姉さんが実は変態的なブラコンでした   作:ガスキン

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いつもの様に急に思いついたので、短いですが書いてみました。


クリスマス番外SS 黒川家のクリスマス

その一 『せいや』

 

十二月も既に折り返しを過ぎ、恋人達にとっての一大イベント、クリスマスまで後一週間と迫っている。そんな中、志乃、今日子、そして命はとある喫茶店に集まり、それぞれの予定について話し合っていた。

 

「う~~。にしても、最近急に寒くなったよな」

 

「十二月も半分が過ぎたからな。これから益々寒くなるだろう」

 

「そうねぇ・・・。ま、私には広人っていう身も心も温まる抱き枕があるから関係ないけどね」

 

「ずるいぞ、志乃。私にもその素敵枕を貸してくれ」

 

「どうしよっかな~」

 

「はあ、お前ら、こんな所に来てまでんなアホな会話するんじゃ・・・」

 

「ふ、そんな事言って、お前も枕を借りたいのでないのか、命?」

 

「ば、馬鹿言うな! 別にアタシは広人なんか・・・!」

 

「おや、私は枕の事を言っただけで、広人君とは一言も言ってないのだがな」

 

「ッ!?」

 

「もう、命って相変わらずムッツリね」

 

「う、うるさい! そんな事話すために集まったわけじゃねえだろ! さっさと本題に移れ!」

 

赤面する命に満足したのか、志乃は唐突に話題を変えた。

 

「来週はいよいよクリスマス・イブね」

 

「今年も女達は高価なプレゼントをねだり、男はそんな女の望みを叶えつつ、上手い事ホテルに誘い、己のホワイトシャンパンをぶちまけるのだろうな」

 

「クリスマスって、ケーキを食べれて、プレゼントもらえる日・・・みたいな感じだったのに、いつから変わっちゃったのかしらね」

 

「おそらく、その日はここら一帯のホテル全てが満室だろうな」

 

「まさに“性夜”ね」

 

「ああ、“性夜”だ」

 

(じ、女子高生の会話じゃねえ・・・)

 

色々アウトな会話を交わす二人。命は会話に入れなかった・・・というか入りたくなかった。

 

「けどまあ、私には関係無いわね。今日子達はどうなの?」

 

「ふん、私が広人君以外の男とコンバインするわけないだろう。今年も何も予定無しさ」

 

「今日子、お前ちょっとは自重しろ!」

 

「そんな物、広人君と出会ったあの日に捨てている」

 

「そう言う命はどうなのよ?」

 

「アタシ? アタシも別に予定は無いよ。広人以外に仲が良い男もいねえしな・・・。べ、別に広人と一緒に過ごしたいとか思ってるわけじゃねえからな」

 

「はいはい、ツンデレ乙」

 

「アタシはツンデレじゃねえって前から言ってるだろうが!」

 

「ふむ、そうなると全員当日は暇だというわけか。・・・いっその事、この三人でクリスマスパーティーでもするか?」

 

「あ、それいいわね。ならウチでやりましょうよ」

 

「おい、勝手に人の予定決め・・・」

 

「もちろん、広人も誘ってね」

 

「当然だな。・・・で、何か言ったか、命?」

 

「・・・べ、別に」

 

「それじゃ、今から色々話し合って、早速明日から準備を始めましょう」

 

その後、志乃達は二時間近く席を占拠し、来るイブに向けての作戦を練り続けるのだった。

 

 

その二『イブに向けて』

 

「クリスマスパーティー?」

 

「ええ、今日子と命とウチでやる事になったの。もちろん、あなたも参加するのよ、広人」

 

「え、俺も?」

 

「嫌なの? ・・・は、もしかして! 既に性夜を共にする相手がいるっていうの!? ダメよ! そんなのお姉ちゃんは許しませんからね!」

 

「そんな相手いないよ。でも、女の子三人の中に俺が入ってもいいの?」

 

「当然よ。むしろ広人がいないと意味無いもの」

 

「そういう事なら、予定も無いし参加させてもらうよ。何か準備する物ある?」

 

「大丈夫よ。料理とかケーキは私達が用意するから」

 

そうは言っても、せめてプレゼントくらいは用意しておくべきか? 部屋に戻った広人は財布の中身を確認した。手持ちは一万。一人あたり三千円で考えなければならない。やっぱり定番はアクセサリー? いや、CDとか? それとも服?

 

「うーん。何贈ればいいんだろう・・・」

 

それから三日、広人はプレゼントについて悩み続けるのだった。

 

 

その三『プレゼント』

 

十二月二十四日。ホワイトクリスマスとなった今日、黒川家では盛大なクリスマスパーティーが開かれていた。

 

「うわ、凄い・・・。これ全部、先輩が作ったんですか!?」

 

テーブルに並べられた豪勢な料理に目を奪われる広人。今日子はエプロンを脱ぎながらどこか得意げに頷いた。

 

「そうだ。まあ、命にも手伝ってもらったのだけどね」

 

「余計な事言うな今日子」

 

「へえ・・・。命さんも料理上手なんですね」

 

「べ、別に、こんくらい普通だし!」

 

「さあ、冷めない内に食べてくれ」

 

「頂きま~す」

 

見た目通り、二人が作った料理は絶品だった。食べるたびに広人はどうやって作ったか? 隠し味は何か? などを聞き、二人はそれに丁寧に答えてくれた。

 

そして食事を済ませ、ケーキも食べた所で、いよいよメインイベントであるプレゼントタイムがやって来たのだが、何故か広人はリビングから追い出されてしまった。

 

「ゴメンね。準備が出来るまで待ってて」

 

「すぐに済ませるからな」

 

言われた通りリビングを出る広人。その後ろから命の「ほ、本当にやるのか」というセリフが耳に届き、どこか不安を覚える広人だった。一度部屋に向かい、自身もプレゼントを持って戻ると、ちょうど志乃に呼ばれた。

 

「いいわよー!」

 

「一体何をして・・・」

 

リビングに入った広人は思わず立ち尽くした。そこには、赤と青と黄の三つの巨大な箱が並べられていた。おそらく、これがプレゼントなのだろうが、肝心の本人達の姿がどこにも見当たらない。先程の声は間違い無くここから聞こえて来たはずなのだが・・・。

 

「・・・ん?」

 

ふと、広人はソファに置かれた紙に気づいた。そこには「目に前にある箱があなたへのプレゼントよ。どれか一つ開けてみてね♪」と書かれていた。やけに手の込んだ演出に唸る広人。果たして、三人が用意したプレゼントとは一体・・・。

 

「一つだけってのも気になるな。どれにするべきか」

 

とりあえず箱に近づいてみる。すると、赤い箱が僅かに動き、中から声が聞こえて来た。

 

「広人~。私よ、私を選んで~」

 

「ね、姉さん・・・?」

 

それは間違い無く志乃の声だった。何故プレゼントの入った箱の中から姉の声がするのだ!? さらに、困惑する広人の右、青い箱からも聞き覚えのある声が聞こえて来た。

 

「広人君。私を選んでくれると嬉しいな」

 

「せ、先輩まで・・・。って事は、こっちの黄色い箱は・・・」

 

「選ぶな! 絶対に黄色は選ぶなよ!」

 

やはりというか、黄色い箱からは命の声がする。あの三人はどこかに行ったんじゃない。最初からここにいたのだ! 気づくと同時に、広人は箱を開けるのが怖くなって来た。

 

「よし、逃げよう」

 

クルリと背を向け、部屋へと撤退しようとしたその瞬間! 赤と青の箱が同時に開いた。

 

「も~! 何で逃げるのよ広人~!」

 

「全くだ。これでは用意した甲斐が無くなってしまうではないか」

 

そして、そこから現れたのは・・・裸にリボンを巻きつけた志乃と今日子だった。大切な所は隠されてはいるが、少し動けば見えてしまうのではないかというくらい際どいもので、ハッキリ言って全裸といっても差し支えないだろう。二人の艶姿を直視し、広人の顔が瞬く間に赤く染まる。

 

「おいぃぃぃぃぃぃ! 何て格好してんの二人共ぉぉぉぉぉぉ!!」

 

「クリスマスにプレゼントと言ったらやっぱりこれだろう」

 

「プレゼントはわ・た・し♪  ふふ、ようやくこのセリフを言える時が来たのね」

 

「て、て事は、まさか命さんも・・・!?」

 

「えい」

 

志乃が突っつくと、黄色の箱はあっけなく開いて、中から同じく裸リボンの命が出て来た。

 

「ッ!? あ、開けんなって言って・・・み、見るな広人! 見るんじゃねえ!」

 

「見てません! 見てませんよ!」

 

パラリ×3

 

「あら?」

 

「おっと」

 

「ひっ!」

 

その時、巻きつけが甘かったのか、三人のリボンが一斉に解け、隠されていた部分が広人の前に晒された。一糸まとわぬ義姉達の姿に、広人の我慢は限界を迎えた。

 

「・・・あう」

 

鼻血を垂らし、崩れ落ちる広人。そんな彼を裸のまま介抱する志乃達。こうして、黒川家のクリスマス・イブは気絶者一人を出しながら過ぎていったのだった。

 

この一時間後、目を覚ました広人は説教交じりでプレゼントを渡しましたとさ。




番外SSとか書いてますが、ぶっちゃけ志乃と今日子に性夜のくだりを言わせたくて書きました。せっかくの特別編なのに何書いてんだ俺・・・。

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