人類は壁の向こうに衰退しましたが、人魚はよく釣れます。(完結)   作:ダブルパン

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乳ネタです。


ベストサイズとむろみさん ☆

 良い天気の昼下がり。

 壁の上で釣った魚を焼いて酒盛りをしていたハンネスさん含む四人の駐屯兵団の前に、むろみさんと隅田さんと富士さんの三人の人魚がひょこっと現れた。

「やっほーハンネス達! 元気ー!?」

「おう。むろみさん達じゃねぇか!! 元気だぜー! 見慣れない人魚さんも居るな。どうしたんだ?」

「おう隅田さんも居るじゃねぇか! 久しぶりだな! そっちのおっぱい大きい姉ちゃんは見ない顔だな? むろみさんのダチか?」 

 数人の酔っぱらいがおっぱい大きい姉ちゃんという言葉にガハハと笑うと、富士さんはぶんむくれた顔でそっぽを向いた。

「なによこの酔っぱらいども……。だから私は来たくなかったのに……」

「まぁまぁ。これもむろみさんの為だから」

 ニヤニヤ笑いながらも富士さんを諭す隅田さん。そんな二人を尻目に、むろみさんは酔っぱらいの駐屯兵団四人組に向かって「注目ちゅうもーく!!」と視線を集めている。

 そして人魚の三人は横に並ぶと胸を突き出し――。

「どの胸のサイズが一番理想的でしょうかー?」

 むろみさんの言葉に、赤ら顔をした酔っぱらいどもは笑いながら一斉に答えた。

 

「「「「そりゃーデカい方が良いに決まってらぁ!!」」」」

 

 死人が出なかったのが奇跡であった。

 

 

 ☆   ☆   ☆

 

 

「チクショー! やっぱり男って奴は古今東西揃いもそろって乳がデカい方が好みなん!? ねぇ隅田さん!?」

「いやいや、まだまだ解らないわよ。たまたまって事もあるかもしれないから、今度は若い男の子に聞いてみましょう!?」

「えー……まだやるの? 尾ビレが傷ついちゃうからあまり陸には上がりたくないんだけど……ていうかむろみさんも隅田さんもあんまり陸に居ると尾ビレ傷つくわよ!?」

「えーやん細かいこと気にせんでも!! それとも何!? 富士さん一人勝ちで帰るつもりなん!?」

「そ、そういうつもりじゃないけれど……」

「確かに尾びれは傷つくけどー。私は今日一日くらいなら問題ないと思ってるわよ?」

 地上を歩く三人の人魚達は今、壁内の男の考える胸の好みの調査をしているのであった。

 なんでこんな事になったかと言うと、とある人魚の集まりでむろみさんがいつもの様に嫉妬心で富士さんの大きな乳を叩き、それを隅田さんが茶化したのがそもそもの発端である。そこから幾度となく繰り返された胸の大小の話題となり、そして今まで見てきた世界の野郎どもと、壁内の男に違いはあるのか? 胸の大きさの好みに大きな差はあるのか? という疑問が浮かび上がった。

 そんなわけで、むろみさん(微乳)、隅田さん(普通)、富士さん(巨乳)の人魚三人娘は疑問を解消すべく、壁内の男を訪ねて歩いているのだった。

「お、あそこに見えるのはライナー達!」

 訓練兵団の兵舎が近くなりはじめた森の入口。むろみさんが指で示す先にはライナー、ベルトルト、アニの三人組が何かを話しているのが見えた。むろみさんが「やっほー!」と呼びかけると、近づいてくる人魚達に気が付いた三人が顔を上げる。

「あれ? むろみさん達珍しいね! キース教官に用でもあるの?」

「いんや、今日はキーやんじゃなくて、ライナーとベルトルトに用があるんよ」

「俺達にか? 何だ?」

「て言うか、そちらさんは誰?」

「あぁ、アニちゃん達は会った事無かったっけ? 隅田さんと富士さんたい。アタシの人魚仲間やけん」

 初めまして。と全員が一通り挨拶した所で、ベルトルトが「で、用って何?」とむろみさんに尋ねると、三人娘は彼らの前に並び立つ。

「少年二人に尋ねる! この中で誰の胸のサイズが一番お好みかしら?」

 うっふんとポーズを作って隅田さんが尋ねると、ライナーとベルトルトはぽかんと口を開け、アニは呆れたような顔をした。

「真剣な顔で聞きたいことがあるって、何かと思えば――」

「ほんと、突然で少しびっくりしちゃったよ――ってライナー?」

 アニとベルトルトが呆れ笑いを作る中、ライナーだけが腕を組み、真剣な表情で黙考しているのだった。

「やっぱり思春期の少年は富士さんみたいなのがお好みかしら?」

「わ、私は人間なんかの好みでも嬉しくないし……」

「ンなことないもん!! デカいばっかの乳よか形が大事っちゃもん!! ねぇライナー!?」

「確かに、デカけりゃ良いってモンじゃねぇ。だが、小さすぎるのも男の夢が無さすぎると思わんか? ベルトルト!?」

「僕に振らないでよ!?」

「俺の好みとしては着やせ……しかし脱ぐと意外と、こう、お椀くらいあるのが良いというかな……」

 己の胸の前で両手を使って膨らみを表現するライナーにむろみさんが苛立った風に聞く。

「何? じゃあ隅田さんタイプなん?」

「近い! だが、それだけ露出してると逆に萌えん。俺のタイプとしてはキッチリ服を着ていてだな、胸だけ見ればアニぐらいが中々げおぶふぉあ!!」

 アニの胸を指差したライナーが華麗なる少女の蹴りにより空中を舞って一回転した。

 天空に尻を向けたライナーが回答不能になってしまったので三人の人魚達は一斉にベルトルトに詰め寄る。

「ベルトルトは? アタシのぐらいの胸の大きさはいかん?」

「え、ぼ、ぼく……?」

「そうよ! 煮え切らないわね。さっさと言っちゃいなさいよ!」

「私はどっちでも良いけど、ここまで来たら回答が欲しいわね」

 さぁ、さぁ、さぁ!! と詰め寄られたベルトルトは回答に窮し、そして――

「逃げた!?」

 ベルトルトは脱兎のごとく逃げ出した。

 すべてに背を向け、何事にも耳を貸さず全速力で走るベルトルトの背中はまるで猛禽類から逃げる小動物のようであった。

 

 

 ☆   ☆   ☆

 

 

「ねぇ、もう良いんじゃない? 帰りましょうよ」

「いんや! まだまだたい! もうちょいまともな回答聞けるまでいかんとよ!」

「うーん。むろみってば火がついちゃったみたいね。でもそろそろ疲れたから、あと一組だけ聞いたら帰りましょう」

 何が何でも回答を得たいむろみさん。楽しそうな隅田さんはさておき、富士さんは少し困り顔だ。

「私は……別に人間なんかの好みにされなくたって、むろみさんの胸が一番良いと思うんだけど……あっきゃう!!」

「せからしか! フグ乳のアンタに万年微乳の気持ちが解ってたまるか!!」

 むろみさんに胸を叩かれて恍惚とした笑みを浮かべる富士さん。

「ちょっとちょっとーこんな所でまた扉を開かないでちょうだいよ。ほら、最後の場所についたー」

 

 

 ☆   ☆   ☆

 

 

 三人が最後にやってきたのは調査兵団兵舎だ。

 聞いてみる相手は丁度歌の練習が終わったばかりのようで、むろみさん達はすぐに会う事が出来た。

「胸のサイズ? そんなの聞いて何になるんだよ?」

「エレン、女性にとって胸の大きさは大事な問題……らしいよ?」

「エレン、答えて。答え次第によっては、私も頑張る」

 先ほどと同じように誰のサイズが好みか尋ねてみると、エレンは不思議そうな顔をしている。

 ちなみにアルミンはアルミンという性別であることに加え、全てのうさミンファンのジャスティスの為に回答を禁止されてしまった。

「えー……何でそんなの気にするんだよ?」

「思春期なら少しは好みくらいあるでしょー!? 誰でも良いのよ?」

「エレン君! アタシの為にも答えて!!」

 睨むようなミカサの視線と大中小の乳。鬼気迫る女性たちをものともせず、エレンは面倒くさそうな顔で答えた。

「胸なんてあるだけで立体機動装置の邪魔だろ。そんな無駄な脂肪つけるくらいなら鍛えて筋肉にした方が――」

 エレンの顔面に怒れる三つの尾ビレが飛んだ。

「もうええ! エレンに聞いたアタシがバカだったと!」

「ホントもうデリカシーの無い男!!」

「信じらんない!」

「あーもう、最悪!! 二人とも、折角やし一杯やって帰らん?」

「あ、良いわねぇ! 富士さんも行くでしょ?」

「わ、私はむろみさんがいるならどこでも行くわ!!」

 壁まで吹き飛んだ駆逐系男子エレンに背を向けて、三人の人魚の乙女たちは嵐のように去って行った。

「な……何故だ? 正直に答えたのに……」

「今のは、エレンが悪いと思う」

「同じく」

 

 

 

 今日も人類は壁の中。

 

 

 

 

 




富士さん、どうにかこうにか書いてみましたが、難しいですね。乳ネタで良いのを思いつかなかったのと、元々原作であまり人間に絡まない人なので進撃組と絡ませにくいです。
似たような理由で絡ませにくいのがミズーリさんと乙姫さん。

エレンはそこらの女性の胸なんかよりも同期女子の腹筋や胸筋に惚れそうです。
流石駆逐系男子。
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