サブテーマ的なのがありまして
「次元の違う強さを誇る敵を相手にして如何に立ち向かうか」
・・・つまり 深海側も黙って倒される訳ではないのだな
バエル鎮守府 艦隊司令部
「…馬鹿な!」
神通からの打電の内容を見た長門は絶句していた。
想定外の方向から現れた偵察機に艦隊が発見されたと言うのだ。
見かねて傍らにいた石動が声をかける。
「如何する?三水戦が敵に発見された時点で、奇襲作戦は破綻だ。
数もかなり多いのであれば、四水戦を動かして正面対決に…」
「いや、三水戦を下がらせる。全速力で現海域を離脱するよう伝えてくれ」
作戦の変更を伝えるよう長門が大淀に指示をした直後、その声は響いた。
「駄目だ」
「提督!」
「准将!」
部屋の扉からマクギリスが現れ、長門達へと歩み寄り待ったをかける。
「しかし提督、現状敵とこちらでは余りにもの数の差が…」
「彼女達には鉄華団がついている。彼らは常に圧倒的に数で差をつけられた戦場を
その力でくぐり抜けてきた。私の知る鉄華団ならば当然戦いを選ぶだろう」
「ですが、ここは艦娘達の無事を」
「心配はいらない。鉄華団であれば守り切れるさ。特に三日月・オーガスの機体、
あれはルプスレクス。狼の王だ。狼とは群れるもの。苦境であろうと必ず群れを守るだろう」
「はぁ…そうですか…」
「准将がそう仰るならば、そのように」
かくして第三水雷戦隊には、鉄華団を主軸として突撃するよう指示が出された。
そしてその様子を、
「…え?なにこの提督…」
近所の鎮守府から来ていた陸奥はドン引きしながら眺めていた。
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「突っ込めだぁ!?…面白そうじゃん!」
「えぇ!?向こうの人はどういう判断をしたんですか…?」
司令部から言われた内容を聞いた川内さんは昂ってるけど、他のみんなは絶句していました。
「…へッ!面白れぇ…。ミカー!やってくれるか!?」
≪いーよー!≫
水面が大きく爆ぜ、槍を持ったルプスレクスが姿を現す。
「とりあえず現状は退くしかないよ…!」
総数がよく分からない程の敵に追われ、それは殿を務めている三日月さんに任せつつ、
今はとにかく距離を稼ぎながら次の手を考える。
「姉さん!あれを!」
「?」
そんな最中、神通さんが前に向けて指をさす。その先は…。
「嘘?!」
「ヌ級が二隻も!?」
軽母ヌ級が行く手に立ち塞がっていた。
ヌ級はこちらが視界に入ったのを認識した途端、
口のような部分から大量の艦載機を吐き出す。
「発見された!…来るよ!」
「輪形陣!対空戦闘用ーーー意!!」
神通さんの指示を受け私達は即座に陣を組む。
訓練で聞いた内容通りなら、これで空からの攻撃への抵抗力が上がる筈だけど…。
「その先に俺はいるぞ!」
「オルガさん!危ないですよ!」
「分かってる。だが、団員を守んのは俺の仕事だ…!」
オルガさんが単独で先行!あれじゃ真っ先に攻撃を受けちゃう。
「ヴヴヴウゥゥゥアアアア!!!」
「嘘…?!」
「どうなってるっぽいー?!」
「…すごいです!オルガさん!」
水面を全力で駆け抜けるオルガさんは、やがて…
「どうなってんだ…これ?!」
空を、飛んだ。走りながら。
どういう仕組みなのかは全く分かりませんが、とにかく宙を走っています。
本人もまさか飛べるとは思ってなかったみたいで一瞬困惑したけれど、
すぐに拳銃を構え、敵機に発砲。
「ヴヴヴヴヴヴァァアアアア!!!」
次々に撃ちぬかれる敵の戦闘機。
これなら!いけ…
「何だよ…結構当たんヴヴッ!!」
あ、背後から機銃で打ち抜かれた。
あれよあれよという間に頭から海面へと墜落するオルガさん。
どぼん、と音を立て着水。
そして流れる♪いつもの曲♪
「だからよ…止まるんじゃねえぞ…」
「「「…………」」」
「つ、使えねぇ…」
全員、凍り付く。川内さんに至っては小声で何か漏らしてる。
オルガさんが急に飛べるようになったとはいえ、流石にこの脆さでは何も状況が変わりません…。
「…う、撃ち方始め!」
気を取り直して神通さんが叫び、私達は空に向けて砲撃を始めました。
「結局私達で何とかするっぽいー!!」
「蘇生が終わったらまたお願いします!オルガさん!」
私もみんなもとにかく撃ちまくる。とくに睦月ちゃんは鬼気迫る勢いだ。
(帰るんだ…!絶対…!みんなと一緒に…!!)
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「空母が二隻!?」
「やはりか」
「フッ…」
度重なるイレギュラーの報告に司令部はどよめく。
そんな最中であろうとマクギリスは冷静な表情を崩さない。
「このままだと、三水戦は背後の敵群にも追いつかれて、挟み撃ちに…!!」
横で話を聞いていた陸奥は慌てふためく。だがマクギリスはこれを諫める。
「させないさ。彼らがいる限りそれは起こりえない」
「准将の言う通りだ。ここは鉄華団に任せておこう。大淀、バルバトスはどうしている」
「はいっ!今聞いてみます!…と言っても、先程から返答が」
「…三日月・オーガスは今、狩りの最中だろう。放っておいても大丈夫だ」
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遡る事数分前。
≪じゃぁ…行くかぁ!≫
手に槍を携えたルプスレクスは、敵の体躯に合わせその巨体を
獲物を狙う猫の如く低く鋭い姿勢へと屈ませ、スラスターを吹かし前進。
進行方向上の深海棲艦を次々と跳ね飛ばしてゆく。
一方的な蹂躙となった。
搭載された阿頼耶識システム特有の機敏な反応速度による精密な突撃は如何な艦でも耐えられず、
また必死の抵抗として砲撃を行えど小口径砲では有効なダメージを与えられない。
一時は水平線を埋め尽くさんとばかりに増えていた敵影も、
ものの一瞬で三割、四割が姿を消す。
大部隊の前衛として展開していた駆逐、軽巡群がいなくなるのに、そう時間はかからなかった。
≪形はそんな好みじゃないけど…楽でいいな。これ≫
少し止まって対艦用ランスメイスの使い心地を確認し、再び姿勢を整え吶喊。
ここで後衛の戦艦部隊が動き出す。
まずタ級がレクスの前に出現し、右腕を大きく振り合図を行い、周囲を大勢のル級が囲む。
さらにランスメイスの穂先の位置を予想したのか、
待ち伏せしていた別のル級十隻近くが槍の周囲に現れ、
腕の盾のような艤装が潰れて使えなくなる事も厭わずランスメイスに押しつけ無理矢理受け止める。
≪チッ!≫
動きが止まるレクス。その隙をつき一斉に砲撃を始めるタ級達。
それに便乗し吹雪達のものとは別のホ級が艦載機を射出。レクスに爆撃を行う。
その様子を、水底から眺める港湾棲姫。
「イイゾ……ホッポヲイジメル悪イ奴…!コノ調子ナラ…イケル…」
爆撃の炎と戦艦クラスの砲撃で剥がれていくレクスのナノラミネートアーマー。
だが三日月も黙ってそれを見ているわけではなかった。
レクスの背部から何かが射出される。
それは深海棲艦達から見れば何なのかはよく分からない。
だが嫌な予感がしたタ級が海中に潜った直後、
レクスの特殊武装、ブレードテイルが時計回りに周囲を薙ぎ払い、
港湾棲姫の秘策であったル級やホ級で構成された包囲網は一瞬にして壊滅する。
「ナ…何…?何ガ…起コッタ…ノ…?」
辺りは火の海へと風景が変わり、槍を掴んでいたル級も、
横に振られたランスメイスの一撃でいとも簡単に吹き飛ぶ。
彼女たちの天下は、あまりにも短かった。
≪流石に食らいすぎたかな…。まぁいいや。もういないみたいだし、オルガの所に行こう≫
灼熱と黒煙の火の海の中心に立つルプスレクスの姿は、まさに悪魔そのものだった。
遠くではオルガ達が艦載機の大群に襲われている。
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吹雪達が対空戦闘を始めた同時刻、四水戦、待機ポイント。
「敵がこっちに来るクマ!まさかこんな所に巡回がいたとはクマ!」
「砲雷撃戦よーーーい!!」
指示を待っていたらまさか敵に発見されるなんて…。
今回の作戦、様子がかなりおかしい。そういう時、あの子の事がすごく心配になる。
「…睦月ちゃん……」
私は手に持つ主砲を構え、戦闘態勢に入る。
「ここで食い止めるから! てーーーっ!!」
夕張さんの号令で全員砲撃を開始する。攻撃はこちらの方が先にできたみたいね。
けれどもあまり当たらなかったみたい。水面に幾つもの水柱が上がる。
「何か来るにゃ!」
水柱の奥から何かが姿を現す。
あれには…見覚えが…。
「…オイテケ……!!」
途中あまりにも長すぎたので一回分割
続きはすぐぶっこみます
深海側が作戦勝ち こちらの要は鉄華団
この作品パワーバランスはこんなで大丈夫かな?