おっそうだ 如月ちゃん生かした分どっかで揺り戻し起きるかも知れん
世界とは得てしてそういうものと聞きました どっかで
あと長いです
何とか島風ちゃんを見つけ、ようやく作戦開始です。
出撃してしばらく海を進み続けると、段々と空の色が変わってゆき、やがて…。
「うわっ、す、凄い雨…」
「これでは確かに、航空戦力の投入は無意味。速度に秀でた艦隊が編成される訳です」
ブリーフィングで言われていた通り、スコールの発生地帯に突入しました。
霧島さんの分析も、おおむねその通りだと思う。
いいなぁ…。三日月さんはバルバトスの中だから、濡れないで済むし。
ちょっと羨ましいけど、操作するのに必要なアラヤシキ?って凄い痛いらしいからなぁ…。
あと横じゃないと寝れないのもつらそう。やめときます。
オルガさんはどうしてるんだろう。後ろを向いて確認してみる。
うん。びしょ濡れで今にも死にそうな顔をしてるけど大丈夫そう。
…いやいや。流石に雨に濡れただけで死にませんよね?…よね?
そんな最中、そのふらっふらのオルガさんにぶつかりながら
私や金剛さん達の間を駆け抜ける艦娘の姿があった。
「ヴヴッ!」
♪いつもの曲♪
「みんなおっそーいー!」
「島風ちゃん、先行しすぎですー!」
「そうだ!旗艦は金剛姉さまよー!」
あぁ…島風ちゃんの悪い癖が…。
あの子、とにかく速い方が好きだし、多少静止しようとしても…。
「かけっこしたいんですかー?負けないよー!」
全然言う事聞かないよぉ…。
島風ちゃん、さらに速度を上げてどんどん前に進んで行っちゃう。
このままじゃはぐれちゃいそう。
そう思った時、今度は三日月さんが動き出した。
≪行くぞ。バルバトス…!≫
三日月さんの言葉でバルバトスルプスは眼を瞬かせ、スラスターを強く吹かす。
目でギリギリ追えるくらいの凄まじい速度で、あっという間に島風ちゃんに追いついた。
そうして間近に迫った島風ちゃん向け武器を構えて…。え?なんで?
「ミカお前…!」
「ちょっ?!三日月くん?何して…」
「ほぇ?」
私達の困惑などまるで意に介さないかのように、
ルプスは構えた武器を何も躊躇わず、思いっきり下から上に振った。
大きく上がる水柱。巻き上げられる海水。吹っ飛ばされる島風ちゃん。
良かった。直撃してないからきっと無事。
そのまま天高く飛んだ島風ちゃんは私達の方向に。えっ。こっち来るの。
「おうっ!」
「オット!危ないネー」
頭から落ちそうになった所を金剛さんが受け止める。特に外傷無し。意識もあるみたい。
多分、私達の所に戻そうとしたんだろうけど、すっごい雑な方法選びましたね…。
「す…」
「す?」
「すっごーーい!はやーーーい!」
島風ちゃん。バルバトスの速さが気に入ったみたい。すぐ金剛さんの腕を離れて、
三日月さんの方へ一直線。よく分かんないけど、この分なら一人でどっかいかなそうだ。
何とか島風ちゃんが静まった所で、今度は霧島さんの表情が変わる。
「…水上電探に感あり。来ます!」
「…何だ、ありゃぁ」
いよいよ敵艦隊と接触みたいです。…って、あれは!
「戦艦二隻だけ、というのが古い情報っていうのは確かみたいです!」
「『姫』が二人に護衛が沢山っていうのは、ちょっと想定外な気がしますけどね!」
榛名さんと比叡さんがどよめく。それもそのはず。私達の視界の先にいるのは…。
「…シズンデ!」
「コリナイ…コタチ…!」
北方棲姫に、港湾棲姫。姉妹と噂されている、二人の『姫』級深海棲艦が同時に。
こんな事は記録になかったらしく、
霧島さんは無言で彼女達を眺め、眼鏡が真っ白になって表情が読めなくなっている。
おまけに、二人とも赤いオーラを纏い、港湾棲姫の方は服がボロボロ。
確か、最終形態だとか、本気モードとか、そう言われている姿って聞いたものだ。
…主計科任務の時や、W島の時に姿を見せたほっぽちゃんがあの姿なのは分かるとして
なんでお姉さんの方は最初から傷ついて、力が増した状態なんだろう?
「っ!ムーンボーイ!切り込み役は任せたネ!」
≪任、され、たぁっ!≫
ムーンボーイって…。
三日月さんは姫二人めがけ、ランスメイスを低い姿勢で構えて突撃。
みるみるうちに距離が詰まっていく。
これなら、短期決戦ですぐに何とかな
「おいミカ!罠だ!!」
≪ ! チッ!≫
オルガさんが気づいた時にはもう遅く。
突如として、三日月さんのバルバトスルプスは、大爆発の中に包まれた。
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うまくいった。うまくいった。やはり私は直接戦うよりこっちが向いている。
それに正直、前に出るのはとても嫌だ。自分はただ静かに暮らしたい。
いつかその静かな海を手にするために、嫌々戦ってきた。
だがもう後がない。決戦の後、私達をまとめ上げて組織化を図った
これが成功しようがしまいが、どのみち許してはくれないだろう。私が悪い。
それにあの悪魔は、私の可愛い妹分を普通しないようなひどい戦い方で痛めつけた。
私達もあまり言えた義理ではないが、それでも度を超えている。許せない。
許せない許せない。
それにしてもうまくいった。この雨で視界とかが弱まっている隙をついて、
周辺に潜水艦や雷巡をとにかく配置した。
あの悪魔は私達を殲滅するのに効率がいいあの槍をまた持ってくるだろうと踏んだ上の計算。
突撃する進路上にうまくタイミングを合わせれたのは奇跡的だが、とにかく、
魚雷は全部命中した。あれだけの数の魚雷だ。直撃すれば鉄壁の装甲も無事ではすむまい。
例え辛うじて耐えたとしても、後は私達の武器で充分、効果が、あ――
≪――っつ…。武器、壊れちゃったな。楽だったのに…。
…ん? へぇ…。まだ生きてる≫
「ア…アア…ク…クルナ…」
嘘でしょう。多少損傷はしたようだけど、ほぼ効いていない。
でも持っていた槍はどうやら壊せたようで、根元から先が消失している。
どうやらアレで防いだようだが、問題はそこではない。
妹が、ほっぽが、悪魔に目をつけられている。やっぱり覚えていた。
奴の残っている武器は…。腕に砲が2つ。たぶん20センチ砲。
あの程度であれば何とか防げる筈。
予想通り、悪魔は両腕を構えて撃って来た。
私は怯えきるほっぽの前に立ち、障壁を張る。
5、6発放たれた砲撃はすべて防ぎきった。次はこちらの番。
私は艤装の、龍のような部分の首を起こし砲撃する。
数発とも避けられたが、手下の雷巡や戦艦が残っているのを忘れているな?
≪チッ!≫
「三日月さん!」
手下たちに足元を撃たれひるむ悪魔。いける。いける…!
「私達も行くデース!ブッキー!ゼカマシー!二人は潜水艦を頼むデース!」
「はいっ!」
「おうっ!」
「俺もいるぞ…!」
「では、私達は雷巡と戦艦ですね?お姉さま!」
「オフコース!」
奴らも交戦を始めたか。そのまま見ていれば狙われずに済んで良かったものを。
しかし雷巡部隊は悪魔の討伐に必要だ。戦艦二隻に護衛を任せておくとしよう。
取り巻き達が撃ち合いを始めたと同時に、再び悪魔がこっちに迫って来た。
「ホッポ!アレヲ!」
「ウンッ!オネエチャン!」
ほっぽの合図で水上から四体の護衛要塞が浮上する。
こいつらは前回使った浮遊要塞と比べてかなり大きくした特注の品。
普通に撃っても当たらない、もしくは効かないのは目に見えているので、
護衛要塞を、このまま、 ―――ぶつける!
≪ぐっ!≫
効いた! 巨大な球体をぶつけられた悪魔はおおきくのけぞった。
続けざまに連続で要塞に体当たりをさせる。
≪…! ッ! ああもう、うざい!≫
空中を高速で動き回る護衛要塞に対応しきれていないのか、
悪魔は砲を構えようとした矢先に別方向からの攻撃で態勢を崩してゆく。
どうやら、こういう手合いは初めてのようだ。
「オネーチャン!…コレナラ…アイツ…タオセル…ノッ!」
ほっぽも喜んでいる。よし、今度はフェイントや至近距離での砲撃も混ぜよう。
狙い通り嬲られる悪魔。何度も攻撃を受けてまるで踊るようによろけている。
あんな姿を今まで見たことがないのか、他の奴らもその光景に唖然としている。
「潜水艦相手、終わったよーっ!」
「し、島風ちゃん。それより…三日月さんが…!」
「おう?」
「ハァ…コレデ漸ク、ホッポヲイジメタ奴二、制裁ガデキ…」
あともう少しで倒せると思った、その時だった。
「何やってんだミカァーーーー!!」
≪ ! ≫
色黒の男の声に反応し、悪魔は目を輝かせ、
それまで身動きもできなかった筈だったにも拘らず、
近くを飛んでいた護衛要塞の一体の口に腕を突っ込んで砲撃。破壊。
真横から体当たりをしようと接近していたもう一体を左腕で殴り壊し、
下から迫った一体を蹴り飛ばす。
蹴られた護衛要塞はこちらの方向へ。
「ホッポ!アブナイ!」
飛行していた時よりも遥かに速い巨大な剛速球は、ほっぽをかばった私に直撃した。
砕け散る艤装。防御に使った左腕がひしゃげる。
「オネーチャン!オネーチャン!!!」
「大丈夫ヨ…ホッポ…ダイ…ジョウブ…。マダ、武器ハ…生キテルシ、
要塞モ、一個残ッテル…。コノママ…攻メレバ…勝テルワ……」
震えが止まらない。視界が霞む。でもまだ、戦える。ほっぽも無事。
なら何も問題はない。この悪魔だけは絶対に倒す。
そうしたら、二人でどこか遠くの、静かな海に行こう。平穏に暮らそう。
その為には、まずこいつらを、敵を消さなくては。
どのみち私達には後がない。戻ってもあまりいい事はない。
私は悪魔に向け砲撃する。
でも震えのせいか、霞みのせいか、弾は別方向の、艦娘の方へ飛ぶ。
まあいい。駆逐艦相手なら一撃で吹き飛ぶ威力だ。手土産は多い方がいい。
盾にならないよう、最後の護衛要塞で悪魔の行く手を阻む。
≪チイッ!≫
「しまっ…吹雪ぃぃーーー!!」
「えっ…?嫌…嫌だよぉ…!」
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あそこまでダメージを受けた敵がまだ戦えるなんて思ってなくて、
三日月さんが攻勢に出たから。つい、よそみして。
オルガさんの声が聞こえて。目の前まで砲弾が迫って。
「嫌…嫌だよぉ…!」
いつもこういう時盾になるオルガさんも位置が遠い。
私、今度こそ、沈んじゃって…。
その時だった。
金剛さんが私の前に駆けつけて、敵の砲弾を、 拳で弾いた。
弾かれた砲弾はオルガさんの方向へ。
「ヴヴヴゥゥウウアアアアア!!!」
♪いつもの曲♪
「だからよ…止まるんじゃねえぞ…」
「…フフッ。ワタシ、そんな装甲硬くないので、手が凄い痛いデース」
赤くはれた手を振って、金剛さんはそんな風に、いつものように笑うのでした。
この人は、凄い人なんだな…。私は心からそう思えました。
「それじゃ!フォロミー!ついてきてクダサーイ!」
金剛さん達が一斉に動き始める。戦艦も雷巡も、気づけば全滅していた。
あと残っているのは、ほっぽちゃんとそのお姉さん。
そして、ルプスの右腕に噛みついて、左腕で殴られてる護衛要塞だけ!
「まずは武器があんま無ぇミカの援護だ。アレを外すぞ」
「「「はいっ!」」」
金剛さん達の砲とオルガさんの拳銃の一斉射撃。
最後の護衛要塞はこっぱみじんに爆ぜる。
≪ありがと≫
「いーって事デース!」
「次行くぞ、お前らぁ!」
「コナイデ…!コナイデ……!!」
北方棲姫は泣きじゃくりながらさらに増援を出す。
駆逐ばっかりだけど、まだあんな数が…!
「あれぐらいならだいじょーぶ!私に任せてー!」
ここで島風ちゃんの出番。水中から今まで隠れていたらしき、
いつも連装砲ちゃんって呼んでいる、よく分からない物体を三体呼び出した。
頭の砲は本物みたいで、多数出現した増援はあのまま島風ちゃんに任せて大丈夫みたい。
「それでは!」
「「「お姉さま!とどめを!」」」
比叡さん達が散開し、金剛さんが腕を組んで前へと出る。
狙うは弱り切った港湾棲姫。
「サセナイ!!」
≪邪魔≫
金剛さんの行く手を阻もうとした北方棲姫。
けど、それは叶わずルプスの巨体に蹴られ、追い打ちで幾つもの砲撃の連射を浴びる。
あっという間にほっぽちゃんはそのまま海へと沈んだ。相変わらず容赦無いよぉ…。
「ヴァァ―――ニングゥウゥ!!ラァ―――ブ!!!」
続いて金剛さんの一斉射撃。
既に虫の息である港湾棲姫を倒すのにそれは十分な威力で、
直撃した彼女は瞬く間に大爆発を起こしました。
「こっちも終わったよーーーー」
島風ちゃんの方も済んだらしく、周囲に敵影はなし。
空の雲も晴れ、きれいな青空と太陽の輝きがとても眩しくなりました。
これにて任務、完了です!
「さてと…。じゃあ、帰るか」
≪うん≫
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闇が晴れつつある海の底。
その中を漂う二人の姿があった。
「…ホッポ…負ケチャッタ…ネ…」
「ウン…モウ…ゲンカイ…」
「モウ戻ル場所モナイ…コレカラ…ドウシヨッカ…」
過剰な程激しい戦闘により全身が崩壊寸前の二人。
そんな時、北方棲姫が何かを見つける。
「ミテ。タブン…アレ、カイリュウ?ッテイウ…ノ?カナリ…ハヤイ…ミタイ…。
アレ二ノッテ…ドコカ、トオク、イコウ!モウ、悪魔ノアイテ…ヤダ…。
コノアタリノ…ウミ…イタクナイ…ノ…」
「イイ考エネ…!ソウシマショウ…」
かくして、深海姉妹は海流に乗り、はるか遠くの海へと旅に出るのでした。
その後の行方は誰も知らず。他の深海棲艦でさえも姿を見るものはいなくなった。
しばらく後、風の噂で、
どこかのリゾート地を満喫する、二人の深海棲艦の姿があったという。
真相は定かではないが、もしかすると…。
ほっぽちゃん達は深海側の主役として幾度も立ちはだかるプランもありましたが
そうなると確実に殺されるのでナシ
かなり不幸な目に遭う羽目になったけど
ミカ君相手にあそこまで奮戦した点はどうか褒めてあげてください