・・・ん?元動画は大会本番までオールカットしてる?
(少しの沈黙)・・・よし!
時は少し遡り、オルガ達がただ鎮守府をぶらついていた頃。
遠征帰りのとある少女たち、『第六駆逐隊』は、その疲れを朝のシャワーで癒し終えていた。
彼女達は風呂上がりにお決まりの牛乳を飲んでいた最中、その内の一人、響が壁に貼られた紙を見つける。
「どうしたの?響」
「これ」
響が見つめていた先にあった貼り紙。
そこにはこう書かれていた。
「鎮守府、カレー大会?自慢のカレーで優勝を目指せ…?」
メンバーのうち、特に元気な子である雷が紙に書かれた内容を読み上げ、
いったいこれはなんだろう?といった様子で、六駆の全員、暁、雷、電、響がぽかんと紙を眺めていると、
朝風呂でも浴びようかと思っていたのか、高雄型の二人、高雄と愛宕がやって来た。
「あら。第六駆逐隊の…」
「やっほー。
ぱんぱかぱーーん♪ 」
「「ぱんぱかぱーーん!」」
愛宕のよくわからない合図に、雷と響が同じようにして返す。
「それ、挨拶なの?!」
「…ぱんぱかぱーん、なのです」
遅れて気恥ずかしそうに電も合わせる。
「気負わなくていいのよ。愛宕の口癖に付き合ってくれてありがとうね。
…それより、みんな集まってどうかしたの?」
微妙な空気が始まる前に迅速なフォローを入れる高雄。その言葉を聞いて一同は本題を思い出す。
「え、ええと…。これなのですけど…」
「んん?…またこの日が来たのね」
「去年は楽しかったわねー。今年は提督も変わったし、また違った趣向が好まれるかしらー?」
「「「「??」」」」
「鎮守府では週に一度、カレーの日があるのは知ってるわね?…まぁ、頼めば毎日食べれるけど」
「はいなのです!」
「海上勤務の多い艦娘達が、曜日感覚を無くさない様にする為でしょ?…いつでも食べれるけど」
「古来から海で戦う者にとって、カレーはそういう特別な意味合いのある料理。
そしてこの大会の優勝者には、そのレシピが一年間採用されるという栄誉が与えられるの。
つまり優勝者のカレーには、席次や思想に関係なく、従わねばならないのだっ!」
「ギャラルホルンを名乗る身ならば、この意味は理解できるでしょう?」
ちょっと難しい言葉でも混ざっていたのか、雷は少し考え、
「なんかすごい!…かも?要するにカレーでバエルなのね!」
と答える。
「つまり優勝者となった者こそが、唯一絶対の力を持ち、その頂点に立つ!」
「「「「アグニカ・カイエルの魂に!!!」」」」
高雄がどこかで見たことのある、誇らしげに両腕を前に広げるポーズを取り、
大まかすぎるカレー大会の概要を語り終えると、
それに呼応し第六駆逐隊は一斉にアグニカと叫んだ。バエル鎮守府の英才教育のなせる業である。
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そんなすごいはなしをきいたら、私もいてもたってもいられないわ!
間宮でパフェを食べながら早速さくせんかいぎよ!
「暁たちも!鎮守府カレー大会に出るわよ!」
「「「ほえ?」」」
「お料理といえば!レディのたちなみっ!…嗜み!」
かんだ。
(…噛んだ)
(噛んだわ!)
(難しい言葉を使おうとして、噛んだのです!)
…こほん。きをとりなおして!
「つまり!優勝してお料理チャンピオンになるのが!レディへの近道!なのよ!
この間遊んでくれたオルガさんも言ってたわ!最短よ!最短で行くべきよ!」
(暁ちゃん、鉄華団の思想まで取り入れているのです!?)
(チャンピオン?…チャンピオン。一番…。
つまり…。王?!火星の…いえ、カレーの王女様!みんな私を頼ってくれるわ!)
「それ…いいわねえ!」
よっし!雷ちゃんは乗り気だわ!
「でしょ?」
「二人がやるなら、お手伝いするのです!」
「付き合おう」
やったー!みんな賛成してくれたわ!あとはすすみつづけるだけよ!
「よーし!ファイトー!」
「オー!」
「オー!」
「オー!」
「オー!」
「イエース!」
なんかふえてる?!って!
「な、なんで金剛さんがいるのよ!」
「フッフッフー。残念ながらー?カリー大会優勝はワタシのモノネー!
ヅッキー、ヒビキー、ライデーン!」
「「名前をまとめないで!」なのです!」
(まるで巨大な戦車みたいな名前だ。あるいはサイボーグ?それとも勇者?)
「まさか、金剛さんもカレー大会に?」
「イエース。ちなみに今回の大会、元はワタシが発端デース。そして今さっき!
ムーンボーイとオルーガーを仲間に引き入れた所デース!チーム名は鉄華団になりマシタけど。
あの二人がベリーベリーストローングなのはご存知の通りネー。
特にムーンボーイはすごく器用ネ。つまり出だしからワタシはー!最強の手札をそろえたネー!
もう勝ちは確定みたいなモノデース!!」
「そ、そんな?!金剛さんだけでもきょーいなのに…オルガさん達も相手なの…?」
「他にも優勝を狙って大勢が動き出してるネ。特にアシガラと…今朝来た、
こちらのカードがいくら優秀でも、あの2チームは…油断ならないネ…。
そんな猛者たちが集うカリー大会!ヅッキー?逃げるなら今のうちヨー。…怪我するネー」
金剛さんがふだんみせないような、まじめな顔してる!
ほんとうにあぶなそう…それでも!私は勝つわ!
「暁たちもまけないわ!むしろ、真のレディになるためにはそのくらい相手がいないと!」
「フッ…。どうやら本気のようですネー…。なら、決戦の日を楽しみにしてるデース!」
そういって、金剛さんは高笑いしながら去っていきました。
「よーし!こうなったらもうゼーッタイ優勝してやるんだから!」
「「「オーッ!」」」
「…天使だ」
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「…しっかし、すげぇ話になっちまったな。ミカ」
「そうだね。俺も野菜は育てるだけで、切ったりなんだりする事は考えたことなかったよ」
金剛と別れた俺らは、引き続き鎮守府内を散歩していた。
向こうも敵情視察とかあるみてぇで、料理の特訓は夜かららしく、
しばらくは適当に過ごしてろって事らしい。
「もう昼過ぎてんな。適当にメシでも行くか…あ?」
目の前を誰かが歩いてくる。
地図を逆さに持って、そいつで前が見えてねえのかまっすぐ突っ込んでくる。
気付いた時には遅かった。
「ピギュッ!」
「ああ!ソーリー!…あれ?」
「こ、こんくれぇ何てこたぁねぇ…!」
何とか気合で耐えた…が、ぶつかっただけで致命傷とは俺もヤキが回ったな…。
「あ、さっきのピーナツ
どうやら少し前に俺にぶつかったっていう、見慣れねぇ艦娘みたいだ。
また会うとは偶然か?とりあえず話を聞いてみよう。
「また俺にぶつかるとはな…。どうしたんだ?地図、逆さだぞ」
「えっ?あっ!ホントだ!センキュー。ありがとうございます。
私、ガンビア・ベイって言いまス!」
「俺は…鉄華団団長…オルガ・イツカだぞ…!!」
「三日月・オーガス」
「実ハ…ちょっと、道に迷った見たいデ…。案内してくれまスか…?」
「ふーん…オルガ!」
「あ?何だよ…ピギュッ!」
唐突にミカが胸倉をつかんできた。…ああ、そういう…。
「連れて行ってくれるんだろ?」
「放しやがれ! ――ああ分かったよ!連れて行ってやるよ!
そこにどんな地獄が待っていようが、俺が!お前を!お前らを!そこに連れて行ってやるよ!」
てなわけで、俺はミカと一緒に、このガンビアって奴を
持っていた地図の印のある場所へ連れていくことにした。
…思いの外あっさりついたが。さてはこいつ、方向音痴って奴か?
「ありがとうございます!オレイ、させてください!…アドミラール!!」
連れて来た場所はまあ…いわゆる客用の宿舎みてぇな所だ。
やっぱ大会ってので呼ばれたゲストか?いつもの面子ばかりじゃ、代わり映えしねえもんな。
しばらくして、俺らの前にやって来たのは…。
「あ…アンタは…!そんな…!なんで…!」
「よう。お前さんも来てたんだな。この世界に」
「へえ。懐かしい顔じゃないか」
「ウッソ…?久しぶりじゃん?!てことは、あいつも…?」
え?待って?これやっていいの?