艦隊オルガ   作:Nyose

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長かったカレー大会もようやく終わりを告げます
・・・告げさせろ いいか 分かったな?最後まで書く前の私よ!



彼等のカレー

オルガの奴が華々しく散った。幾らか見せた変な宴会芸が何のつもりなのかは気になるが、

ともかくアイツは「あの後」俺らの敵討ちに躍起になってくれたそうじゃねぇか。

だったら兄貴として、こんな道楽の催し物ででもいいから少しでも恩返し、してやんなきゃな。

 

…ってのもすげぇ大事なんだが、一つ思う所がある。

 

「…しかしよぉ、アミダ」

 

「何だい?」

 

「またこうして一緒に厨房に立てるなんざ、ホント夢みてぇだよな」

 

「そうだねぇ。昔、アタシらだけの頃はよく一緒にやったもんさ」

 

「へー!それでだーりん結構上手になったんだ!私、知らなかったわー」

 

ま、俺は一人の頃からも普通にメシは作ってて、むしろ傭兵だったアミダに多少教えてたが、

あっという間に追い抜かれちまったりとか、色々あったもんだ。

そんで人手が増えてからは流石に機会は減って、このカレー大会で久々に包丁握ったぐらいだ。

まだ感覚では色々覚えてて助かったぜ。

 

「でもやっぱお前らにゃ敵わねえよ。ん?…ラフタはほぼ食う専じゃなかったか?」

 

「あー!ひっどーい!ちゃんとやれますよーだ!」

 

「ハッハッハッハ!悪りぃ悪りぃ!でもいつも美味そうに食ってる姿、

 あれ見てる時はホント癒される」

 

「だーりん…!」

 

「あら?アタシにはないのかしら?」

 

「おおっと、いけねえいけねえ。アミダのカレーは俺の知る中で最高さ。

 こういう場じゃなきゃみんなに振舞って、俺のアミダの料理は天下一品だって自慢してぇさ」

 

「フフッ、ならなおさら優勝目指さなきゃいけないねぇ」

 

「ああ、愛してるぜ…」

 

__________________________________________

 

料理の合間を縫って思い出話と惚気話に盛り上がる名瀬達タービンズチーム。

しかしその光景を、鬼のような形相で睨む艦娘が二人。

 

(…私、この大会でカレーナンバーワンになって提督をオトす為に参加しているというのに!

 何なのよアイツ等…!そうは思わない?霧島)

 

(…ええ。視線だけで分かります。私だって…私だって…!!お姉さま達みたいな人気が…!)

 

一人は足柄。もう一人は霧島。この二人の艦娘には共通点があった。

 

 

端的に表現するのであれば……()()()()()()()()

 

 

想いを同じくする両者はアイコンタクトで互いの想いを通わせ、一応の主催側である霧島は、

その嫉妬心からくる衝動でついに行動を起こした。

 

≪タービンズチーム、イチャイチャしすぎッ!失ッ格ッですっ!!≫

 

「はぁああああ?!そりゃ無ぇだろぉーー?!」

「ウッソ?!ええええーーーっ!?」

 

「ハッ…ちょっと刺激が強かったかしらね。一応カレーは作って後で皆に配るとするさ。

 それでもアタシら的には目的は十分達成って感じかしら」

 

哀れ名瀬・タービンはどうにもその善性から妬まれる星の下にいるらしく、

今回も「()()()()()()()()()()()()()()()()」で失格となった。

 

なおタービンズカレー製作はその後も続行され、大会後、観客に振舞われ好評だったという。

___________________________________________

 

ゲストで呼ばれた人の失格理由があんなのでいいのかしら。

そう思ったのもつかの間、ついにわたしたちのカレーがあと少しで出来上がる段階まできた。

 

「い、いよいよ完成ね…!みんな、今までよくがんばってくれたわ!

 なんか始まった時はいっぱいいた相手も、今じゃほんの2チームだけだけど…」

 

「…! 待って。オルガさんのところ、誰か立ち上がってる。あれは…」

 

響が突然指をさす。見てみると、確かに誰かが立って、カレーをかき混ぜてる。

普通、人は顔が七色になって倒れたら早々起き上がれないと思うのだけれど…。

まさかオルガさんかしら。でもあの背の大きさは明らかに…。

 

「あれ、三日月さんなのです!!虚ろな目で、延々とヘラを回しているのです!」

 

他の三人が宙を白い目で眺めて倒れている中、三日月さんだけがなぜか立ち上がり、

何かにとりつかれたかのように変な色のカレーをかき混ぜていた。

 

「そんな!?あんな、ボロボロになってまで、どうして!?」

 

雷のいうとおり、何があそこまで三日月さんを駆り立てるの…?

___________________________________________

 

 

タービンズが失格通知を受ける数十秒ほど前。

三日月・オーガスは味見をした直後からなぜか暗闇の中にいた。

 

(…暗い。これ、死んだのかな?カレー飲んだだけなのに。

 でも、俺はこの場所を知ってる。そうだ、これはあのときの…)

 

やがて暗闇には彼の視界一杯に映像が流れる。

 

それは「あの日」 薄暗い路地裏。 幼き日、オルガと出会った時の記憶。

 

(俺が生まれたときの記憶、俺の命はオルガにもらった。なら…そうだ、決まってる。

 それに最近の俺は……あんま調子良くない。だったら、今度こそ、オルガの為に…!)

 

決意を改めた三日月は、今度こそ止まらない事を強く想い、

 

独り、死の淵から目覚めた。周囲には動かなくなったオルガや金剛達。

彼らの為にも、三日月は止まらない。

 

「ふぅうぅ~~~…っ」

 

(まずはどうすればいいんだっけ。確かカレーは「こげつく」んで、「まぜる」)

 

すぐさま三日月は調理台に放置された適当な棒を拾い、鍋に突き刺し、かきまぜ始めた。

 

「そう…だな…。まだ…止まれない…。

 おい……俺達のカレー…お前も…止まりたくないんだろ…?」

 

三日月の問いに答えるように、毒々しい色のカレーはぶくぶくと泡立つ。

幸か不幸か、香りはよいので三日月は色以外の異常性がまだよく分からない。

 

「んじゃあ……行くかぁ……!」

 

とりあえず味つけの辺りを何とかしてみようと思った三日月は、震える腕で収納を開き、

塩・コショウ、ソース等を出鱈目に取り出しては鍋へと注ぎ始めた。

 

分量などは一切計らず、ただひたすらぶちまけては「これでどうだ?」と「味見」を行う。

 

けれども何か調味料を足す度に鍋の中身は色が変わり、

味見の度に三日月は飛び出そうになるほど目を見開き、目や鼻から血を流す。

 

そのひたむきで痛々しく、そして何の救いもない作業を繰り返す姿に、

周囲の者は恐怖と心配の涙すら流れつつあった。

大事になる前に早く誰か止めろ、そんな声も小さいながら聞こえ始める。

主催側も強制停止させようと動き始め、他の彼を知る者もどうにかしなくてはと悩む。

 

…彼女もまた、その一人だった。

 

「何故だ?!なぜまだあらがう!無駄なあがきだ!

 こんな無意味な戦いに、どんな大義があるというのだ!」

 

「ちょっ、えーと名前……あー!危ないですよ!」

 

吹雪の静止も間に合わず、客席から飛び出す少女が一人。

彼女は三日月とは直接会った事は殆ど無く、ただ戦う姿のみを知っているのみだ。

 

だけど、それでも。 最も早く三日月の前に駆け寄り、そして問うた。

 

 

 

「…大義?…何それ。……無意味?そうだなぁ…。

 俺には意味なんてない……けど……」

 

「三日月君!もういいの!もう…!」

「三日月くんっ!」

 

短い金髪の少女の次に早く来た霧島と羽黒が近づく。だが。

 

 

 

「よせっ!こいつに近づいては!!」

 

 

「「え?」」

 

 

反射的な防衛本能か、あるいは何としてでもカレーを作ろうという執念か。

三日月は鍋を混ぜつつ、空いた片手で散乱している調理台から幾らかの道具を掴み取り、

手負いの獣が相手に襲い掛かるかのようなまなざしでそれを投げつけた。

 

「うわっ!?」

「きゃあっ!」

 

「霧島さん!」

「羽黒?!だから相手の事なんて考えるなって言ったのよ!」

 

幸い、()()()はじめとした調理道具類は空しく宙を舞い、地に落ちたものの、

数メートル違っていればどこかには浴びていたことは間違いない。

 

(悪魔め…!)

 

「けど…俺にはオルガがくれた意味がある…。んで今は…絶対にコイツを作んなきゃ…。

 今度こそ…俺は…オルガの役に…立たなくちゃ…」

 

「…それがあなたの大義、なのですね…?でも……だからって!」

 

今度は三日月の前に立つ少女が近寄る。

カレーを死守しようと三日月は拳銃を取り出し、撃つが、

ボロボロの躰ではもうまともに狙いも付けられず、銃の反動で腕は紙紐のようにしなる。

少女はその銃撃をかいくぐり、ついに彼から鍋を取り上げる。

 

その時にようやく判明したが、

延々とかき混ぜるのに使われていたヘラの先端はなぜか溶けて無くなっており、

元々朦朧とした状態の三日月はそれに気づかず途中からただ宙を混ぜていたのだった。

そしてなにより――

 

「―――………ぁー…」

 

「…もう、意識が……」

 

凄惨な三日月の状態に気が付いた少女は取り上げた鍋をそのまま捨て、

ようやく鉄華団チームは、無念の「止まる」事となった。

 

投げ捨てられた鍋の中身がしばらく地を蠢いたのは、また別の話。

 

________________________________________

 

「何か向こうは凄いことになってるのです…」

 

「心配だけど、流石にもう気にする暇はないわ。

 だってわたしたちのカレーはようやく完成じゃない。

 リタイアする事になって悔しい人たちの為にも頑張らなくちゃ」

 

「もう少し…!もう、少、し…でっ!」

 

そう。わたしたちはようやく最後の飾りつけの段階に入った。

銃声とかしていたけれども、ここまできたからにはもう止まれない。

 

いい感じにお皿に盛って、トッピングをちょっとかけて。ついに…!

 

「…うん、完成だね」

 

「「「やったあ!!」」」

 

 

 

≪さあ!数多のチームが参加したなか、完成までこぎつけたのはわずか3チーム!

 いよいよ皆さんお待ちかねのーっ!審査に入りまーっす!≫

 

わたしたちそれぞれのチームの机から完成されたカレーが運ばれていく。

ついでに生き残ってる選手も一か所に集められて…あれ?

 

「…石動さんからする匂い…これって…」

 

「む?お前達も()()か?」

 

石動さんも、わたしたちとおんなじ甘いカレー…?

それを横で聞いていた足柄さんが嗤う。

 

「え?何?貴方達、そんな味付けにしたの?…提督がそんなの食べる訳…」

 

「………何ぃ?」

 

あ、足柄さんの一言で石動さんの目つきが変わった。

 

「いいか足柄、よく聞け、

 お前が勝利の為に手段を選ばんという姿勢であることは見抜いている。

 直接邪魔でもしようとでもしたのか、

 何度かエプロンの下に隠した砲をあちこちに向けたのも知っている!」

 

「な、何よ!私にはもう後がないのよ!!ここで勝って、何としても殿方を…」

 

「准将は、辛口など食わんっ!!!」

 

「え?」

 

えっ。

 

「貴様がそのような下らん動機でこの大会に挑んだことなどはこの際どうでもいい!

 だがな、もし本当にそう思っているのであればまずは相手に合った物を用意しろ!

 准将は辛口のカレーなど口にした事は私の知る限り、無い!

 過去にボードウィン家に赴いた際にも影で紅茶に砂糖を入れていたと仰った!

 地球でのアーブラウとSAUの紛争の際にも私物にココアを持って行かれた!

 そもそも准将は基本的に日頃から甘めのチョコレートを持ち歩いている!!!」

 

「あ…あぁ…!」

 

「私はまず、准将が口にすることを念頭に置いてこのカレーを作った!

 准将の好みであれば最低限考察するなり訊くなりでも十分理解できるだろう!

 だが貴様は自分のエゴを優先し激辛のカレーを用意した!

 それは貴様のリサーチ不足と独りよがりだ!!」

 

「も…もういい…もう…分かった…!!」

 

「姉さん…」

 

 

 

「リタイア…しますっ…!」

 

≪飢えた狼、論破されたーーーーっ!!!≫

 

なんか、ものすごい勢いで、足柄さんがボッコボコのズッタズタにされていた。

というか石動さん、そこまで提督の事詳しいんだ…。付き合い長いみたいだし…。

やっぱり好…いや、わりと真面目に怒られるからやめておこう。

 

 

 

と言う訳で、審査直前で残ったカレーは、いよいよわたしたちと石動さんの2つだけ。

 

本当にここまで色んな事が起きたけど、これでついに全部の決着がつく。

最後に始まったのは、まさかの甘口対決だった。




書ききれませんでした・・・
え?何?今年これで終わるん?話の進み具合ヤバない?
もう冬イベだよ?危機感しかない
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