艦隊オルガ   作:Nyose

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今回は別に読まなくても今後の展開にあまり支障はありません
元動画の範囲としても進むのはほんのわずかです
それでもいいのであればどうぞお楽しみください


再誕と戦渦と (読み飛ばし可)

「提督に逆らうとは愚かなことをしたな。鉄華団とやら」

 

憐みの目で長門が呟く。

 

「あれは…バエルじゃねえか…」

 

破壊された壁の向こうにそびえ立つ巨像に狼狽えるオルガ。

 

それもそのはずだ。

マクギリスや石動がここにいる事はまだ想定できた。

 

だがバエルを持ち込んでいたとは予想外であっただろう。

いくらオルガや三日月個人が高度な戦闘能力を有していようと、

モビルスーツに生身で勝つ手段など存在しない。

 

それが理の違う異世界では尚の事である。

 

「俺の行く手を阻むのならば、今度こそ殺してやろう!!」

 

そう叫びマクギリスが右手を揚げると、

バエルの手が差し伸べられその上に乗ったマクギリスを胸に運び、コクピットへ搭乗する。

 

(今、自律稼働しなかったか?)

 

ふと浮かんだ疑問をよそにバエルは動き出そうとする。

 

「っと!やべえ!どうする?ミカ…?!」

 

オルガが振り向くと、そこに三日月の姿がない。

提督室に入るときまでは確かに隣にいた筈の三日月が。

 

(どういう事だ…?まさか!)

 

オルガの頭の中で一瞬のうちに様々な考えが浮かぶ。

その結果ある結論にたどり着いたオルガは、ゆっくりと剣を抜き始めたバエルに向かい叫び出す。

 

 

「死なねえ!死んでたまるか!」

(そうだ。まだ確証は得られないが俺が生き返ったり、

 奴のバエルがある程度勝手に動いたりしたんだ。)

 

 

「このままじゃ…こんなところじゃ…!終われねぇ!!」

(急に消えたミカの姿。俺達に突如表れた変な力。そいつがミカにもあるのだとしたら。)

 

 

「…そうだろ?」

(今はそれに賭けるしかねえ!)

 

 

 

「――――ミカァ!!」

 

 

__________________________________________

 

 

目が覚める。

 

懐かしい空間。

 

慣れ親しんだ感覚。

 

身体が(じぶんが)ひとつになってゆく(もとにもどってゆく)

 

外がうるさいが、三日月・オーガスにとってはそれだけで心地よかった。

 

 

「あー!あー!踏まないで!やめて!荒らさないで!みんなのが!」

 

「落ち着いてください明石!危ないですよ!」

 

「やだ!やめて!あーーー!止めないで大淀!みんなの大切な艤装が壊されてるの!」

 

「もう遅いですよ!諦めて避難しましょうよ!」

 

「うわーー!コイツ天井に大穴開けたーー!」

 

「ここはもう崩落します!急いで!早く!」

 

「いーーーーやーーーーー!!!私の改修した装備たちがーーーーー!!!」

 

__________________________________________

 

 

バエルが剣を振り下ろそうとした刹那、

 

地面が割れる。オルガが笑う。

 

衝撃で海には大きな波が広がり、遠巻きに見ていた海鳥達すら恐怖で飛び去ってゆく。

 

地の底から巨大なモノが現れる。

 

 

悪魔の再誕はここに為され、構えた鉄塊を白き巨像へと叩き付ける。

 

 

バエルはこれを両手の剣で受け止め、そのままの勢いで宙へと飛び上がる。

 

巻き上げられた砂塵は晴れ、悪魔がその姿を現す。

 

 

 

「行くぞ…バルバトス」

 

 

ガンダム・バルバトス

 

いにしえの戦いにて造られた、八番目のガンダム・フレーム

 

これと繋がる事により、三日月・オーガスは本来の姿を取り戻す。

 

背には滑腔砲と太刀を背負い、姿は古い戦いの際のものだ。

 

 

「休暇は十分だろう…さあ、目覚めの時だ」

 

空高くからバルバトスを見下ろしつつマクギリスが呟き、バエルの瞳が瞬き光る。

 

地上からバエルを見上げるバルバトスもそれに呼応するよう目を輝かせる。

 

それを合図に戦闘が始まる。

 

「見せてやろう。純粋な力のみが輝きを放つ舞台を!」

 

バエルが急降下する。

バルバトスはこれを迎撃せんと手に持っているメイスを振るうが、

即座に回り込まれ剣の一撃を受ける。

 

バックパックに担架されていた太刀が削り落とされる。

落ちる間際、拾って使えないよう柄も切り落とす周到さつきだ。

 

振り向き間際にまたメイスを振るうが今度は直上へと逃げられる。

 

「はぁー…どうしよう」

「まずは一番脅威となりうる装備から断たせてもらったよ」

 

「アレ使いづらいから丁度いいさ!」

 

二度目の急降下斬撃。今度は受け止める。

数瞬押し合いとなるがバルバトスはバエルを何とか押し出す。

 

が、やはり空へと逃げられ真上からまた一太刀を受け右肩に切れ込みが入る。

 

「あのー…」

「チッ!相性が悪い…!」

 

バエルは全ガンダムフレームの中で唯一飛行可能な機体。

常に上空からマウントを取られ三日月は圧倒的不利な状態に立たされる。

 

何度も昇降し猛攻を繰り返すバエルを海上を走り回りかわしつつ、

今度は300㎜滑腔砲を取り出すバルバトス。

 

バエルに照準を付け砲撃する。

バルバトスと直接つながっている三日月であれば、

このような巨大で、命中率より威力重視の大砲であっても体感的に狙いをつけ、

精密に狙撃ができるのだ。

「あっ!はっ!はいっ!」

「吹雪さん…ですか?」

「あっはい!吹雪であります!本日付で、第三水雷戦隊に配属になりました!」

 

一射目、外れる。

二射目、これも外れる。

 

当たれば確実にバエルを撃ち落とせる威力であるため何としても当てたい三日月。

空中のバエルの機動力や凄まじく、三射目を撃つ直前にバルバトスの目の前まで迫り再び一閃。

 

飛びのき直撃は避けるも左胸上部と左アンテナが斬られる。

 

至近距離での三発目。命中。

 

煙に包まれるバエル。

 

「あっ…同じ第三水雷戦隊に所属する睦月です!よろしくお願いします!」

 

しかしすぐさま剣戟が煙を払い滑腔砲を破壊する。

バエルのダメージは頭部が半分削れたのみであった。

 

爆発する寸前に砲を棄て下がるバルバトス。

バエルは再び飛翔する。

 

「残ってるのはこれだけ…じゃあ!」

「こちらこそよろしくお願いします…!あぁっ!」

 

武装を確認し、残されたメイスを両手で握りブースターを吹かす三日月。

バエル目掛け大きく跳ぶ。

 

待っていたのは落下の加速をつけたバエルのかかと落としによる迎撃。

金属音を響かせ叩き落されるバルバトス。

 

このままのバルバトスでは、バエルに届かない。そう判断した三日月は、

 

「おいバルバトス…アレはお前の仲間だったんだよな?勝手とか知ってるだろ。

 よこせ………もっとよこせ!バルバトス!!!」

 

と呟くと、繋がりはより強くなり、鼻からは血が流れ、バルバトスが光に包まれ始めた。

 

____________________________________________

 

 

半壊した鎮守府。繰り広げられる激闘をオルガ達はただ見続ける事しかできなかった。

 

「あれは……改?!」

「どういうことだ?モビルスーツにもこの現象が起こるのか?」

「わぁ…可愛い!」

「えへへ…」

 

突如として狼狽え始める石動と長門。

 

「カイ?なんだそいつは?」

 

オルガが問う。

 

「お前は知らないだろうが改とは艦娘の強化形態だ。ある条件を満たすと」

 

「その前兆として光る」

「よかったぁ…」

「?」

 

「何だよそれ…」

 

「正直私も准将も初めは困惑したが…」

 

「つまりこれからあの…バルバトス、と言ったか?アレは改になる。

 本来は工廠で調整が必要なのだが…これは…その必要がないのか?」

 

「特型駆逐艦って聞いたので、もしかしたら怖い人なのかな、って思っていたから」

「私も、怖い人と一緒の艦隊になったらどうしようって思ってたから、良かった…」

 

(てかさっきから吹雪は何してんだ…?壁一枚向こうのこの騒ぎに気づいていない…

 筈はねえ…よな?こんだけ派手にやりあってるのによ…)

「「エヘヘヘッ」」

徐々にバルバトスは輝きの中で姿を変えていく。

その姿はオルガと石動がよく知っているものだった。

 

 

「へッ!…改なんてチャチな名前じゃねえよ」

 

やがて光は晴れ、新たなバルバトスの姿が露わになる。

 

 

 

「アイツは…ガンダム・バルバトスルプスだ!よく覚えておけ!」

 

意気揚々とオルガの指さす先には、よりモビルスーツ戦へと特化した形へ改良された、

 

ガンダム・バルバトスルプスが立っていた。これならば、マクギリスのバエルに届く。

 

 

 

「さぁ、反撃開始と行こうか!」

 

 




でも正直この戦闘シーンが一番やってみたかった所だったりする
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