艦隊オルガ   作:Nyose

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インフィニットオルフェンズへ支援小説書いてたら
どんどん話が大きくなって 気が付けば一大プロジェクトになり
自分で書いといて情報量過多で完成後に脳が故障し間が空いたので初投稿です


洋上再臨戦

≪≪―――行くぞ≫≫

 

 

2体の巨人が進んでゆく。その先には得体のしれぬ白い鳥。

いつもの時よりもさらに激しく加速するその背中を眺めた矢先、

強く吹くスラスターの風で大きく波がゆらめき、私達の足元を上下させる。

 

波に押されたのか、オルガさんがこっちまで流れて来た。その表情はいつもよりうんと険しい。

 

「ったく!しかしなんであんなもんがここに!!」

 

「何ですか?もびるあーまー、って!?オルガさん達、知ってるんですか?」

 

「ああ、正直言って本当に出会いたくなかった類だ。まさかここにも現れるなんてな」

 

すごく嫌そうな顔。やっぱりこの世界の物ではなく、オルガさん達の知っている何かのようだ。

そのままオルガさんは、ぐらぐらと揺れる海上で私達に語り掛ける。

 

「俺も正直そこまで詳しい訳じゃねぇが、マクギリスに言わせりゃあいつは、

 

 もともと俺らがいた世界で300年前、世界の人口を四分の一にまで減らしたっつー、

 とんでもねえバケモンだ。無人で動き、人間を探してひたすら殺す兵器…」

 

「…はい」

 

「アイツ曰く、『天使』だとか言われてるそうだが、なんでなのかはよく分からねえ。

 ま、だからなのか、ミカやマクギリスのガンダムには『悪魔』の名前がついてるんだとよ」

 

「へ、へぇえ…」

 

うん。よくわかりません。まるで全く別の世界の…あ、オルガさん達そういう人だった。

 

「んで、モビルスーツは元々アイツをブッ倒す為に造られたモンだそうだ。

 要するにお前らでいう艦娘と深海棲艦の関係ってとこか。ハッキリ言って次元が違えけどな!」

 

「ふーん…。へ?えっ…ちょ…え?ええええええっ!?」

 

モビルアーマーへ突っ込んでいったレクスとバエルのスラスター放射で海が荒れる中、

オルガさんは目の前のアレがなんなのかをざっくりと説明してくれた。

…最後の一言でようやくピンときたけれど。

 

それでも一気に色んな情報がなだれ込んできて、あまり理解が追い付かない。

ただ、あの大きな鳥みたいなのが私達じゃどうあがいても勝てる相手じゃない事と、

 

「…てん、し?…天使って…ま、まさか…」

 

三日月さんと最初に会った時言ってた、『天使』って…もしかして…。

 

 

 

「アレの事ですかぁあああ?!私、あんなにおっかなくないよぉっ!?」

 

そもそも天使要素どこにもないし!あの両足…両手?の爪も当たったらひとたまりもなさそう。

それに加えて左右のおっきい部分は羽だし頭はくちばしがついてるし、やっぱり鳥だと思う。

 

「吹雪がなんか思い出して喚いてるけど…。で?私らはどうすればいいの?

 まさか、アレに突っ込め、ってのはないよね?欠片も役に立てる予感がしないんだけど?」

 

「心配すんな、瑞鶴。そんな無謀はさせねえよ。…いつでも動けるよう用意だけして待て。

 その内()()()()()()()からな」

 

「…どういう事です、それは」

 

「…まあ見てな。忙しくなるぞ」

 

 

それから間もなく、2機のガンダムはモビルアーマーの間近へと迫った。

 

即座に頭のような部分の後ろについた…多分、尻尾?の薙ぎ払いでこれを迎える。

バエルはそのまま飛び、レクスもジャンプで回避。

 

あんな感じのを見たことあるな、って思ったらやっぱりそうだった。

レクスも背中のテイルブレードを展開。先端についてるのは違うけど、同じ武装みたい!

モビルアーマーが続けて振り下ろした尾をレクスのしっぽが受け止める。

 

再びレクスが海面に着地すると、そこからお互い尻尾でのたたき合いのようなものが始まった。

ワイヤーの先端、黄色くて小ぶりなレクスの尾と、モビルアーマーの巨大なナイフのような尾。

大きさも材質も全く異なる2つの「おなじもの」は、互角の殴り合いを披露している。

 

時に軌道を逸らし合い、時に防ぎ、絡まりそうになる尻尾合戦。もちろん頼り切るわけでもなく、

尾を動かしながらレクス本体も超大型メイスを前に突き出すよう構え突撃。

同時に背後を飛ぶバエルが挟み撃ちの奇襲を仕掛ける。

 

が、

 

≪…ッッ!!≫

 

≪なッ…!≫

 

とても重いものが砕けるような大きな衝突音。

モビルアーマーは突っ込んでくるレクスへと()()()()

向けられたメイスを大きな腕のクローで掴み、回し蹴りをするような動作で、

 

真後ろから迫るバエルへと()()()()()()()

 

≪くっ!≫

 

≪チイッ!!≫

 

さらに、海面へと落され固まった2機のほうへと振り向き、

モビルアーマーの口が上下に開き、中心から光が集まりだす。

 

「あれ!もしかしてさっきの!」

 

「ビリビリしてる奴デース!ムーンボーイ!テートクぅううー!!危ないネーーー!!!」

 

「いいや、心配いらねえよ」

 

「「えっ?」」

 

余裕そうに見守るオルガさんをよそに、モビルアーマーは口からさっき見た光の線を吐き出す。

 

 

≪▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓―――――――――!!!!≫

 

ぶつかった衝撃でうまく動けない数瞬の間に、2機のガンダムはピンク色の光に包まれる。

あんなの受けたら…二人とも…!

 

「ああっ!そんなぁ!三日月さん…!」

 

「…待って。あれって…何さ」

 

「へ…?」

 

恐怖で目を覆った私は、北上さんの声でおそるおそる顔から手を放す。

そこには…。

 

 

 

モビルアーマーが放つ光線。確かにレクスとバエルはその直撃を受けていた。

受けて「は」いる。

 

 

でも、光線は2機に触れたとたん、蛇口をひねって出た水に手をかざした時のように、

 

弾け、逸れ、後ろの方へと飛び散っていた。

 

 

…どういうことなんだろう。気になって訳知り顔のオルガさんのほうを見やる。

 

 

「ああ、モビルスーツの装甲なら砲弾はもちろん、ビームは殆ど弾いちまう。

 ナノラミネートっつてな…それよりも、そろそろ来るぞ」

 

「なるほど、つまり大丈夫なんですね!…って、何が来るんです?」

 

「……こっからが本番だ。お前ら、構えろ!!」

 

「えっ、あっ、はいっ!!」

 

オルガさんが見つめた先、光線を吐き終えたモビルアーマーの周辺は、ぽつぽつと泡立ち、

やがて幾つもの黒い何かが姿を現した。

 

大きさは…深海棲艦の駆逐級、くらい、かな?赤い一つ目で、両手にハサミ。

後ろにはドリルのようなものが生えている丸っこいシャコみたいなのだった。

 

その黒いシャコみたいなのは海上に姿を現すなり、レクスとバエルの方へと向かい、

2機はモビルアーマーと一緒にそのちっちゃいのもぷちぷち潰すこととなった。

 

「来やがったな…。いきなりで悪りぃが、お前らはあの小せえのの相手をしてもらう!

 デカブツに挑む必要なんざ無ぇ!そうしてくれるだけでもミカ達が何とかしてくれる!」

 

「…成程。分かりました。確かにアレなら何とかなるかと」

 

「モビルアーマーもアレもよく分かんないけど、あの艦載機みたいなのを狙えばいいのね!」

 

「小せえ奴…確か、プルーマっつーモビルアーマーのオマケだ。

 見てくれの通りだが、数が厄介だ。あれに群がられちまうと流石のミカ達もやべえ」

 

「で、ワタシたちの出番って訳デスネー!」

 

「そうだ。俺らで引き付けねえとやべえ。…始めるぞ!」

 

「はいっ!」

 

「りょーかーい」

 

「分かり、ました…」

 

ようやく私たちの役割が来たみたい。いつあの大きいのに行くんだろうって思ってたから、

後からあんなのが来てちょっと安心。

 

「でっ、どうするんですか?オルガさんっ!」

 

「っと、ああそうだな。まず吹雪、お前は俺と前に出てあいつらを誘い出す」

 

「へっ?」

 

「こん中じゃお前が一番速い。それはずっと見てた俺が一番分かってる。頼めるか?」

 

それまでの険しさから一転、穏やかな表情でオルガさんが私に問う。

 

確かに、今までオルガさん達と一緒にいて、色んなことがあった。

私たちだけじゃ勝てないような相手も、いっぱいいた。みんなで乗り切った。

そして今、きっとその中でも一番とんでもない事が起きている。

訳の分からないくらい強そうな敵。普通に考えたら私たちなんて一息で沈められる恐ろしい敵。

でも、だからこそ、止まれない。今までも、これからも、オルガさんと三日月さんがいれば、

 

私は、どこまでも進めるんだから!

 

 

「……はいっ!」

 

だから私は、オルガさんの頼みには、笑顔で答えるんです!

 

「…へッ。いい顔で答えやがって。うっし!

 

 で、加賀、瑞鶴!空母組は俺らが引き寄せたプルーマを爆撃しろ!

 たぶん釣れる量は吹雪のが上だ。そっちは慎重かつ念入りに頼みてぇから加賀。

 俺の方に来たのは瑞鶴に頼む!思い切り俺ごとやっちまって構わねえ!」

 

「了解しました」

 

「オッケー!ホントに巻き込んでやるから!」

 

「それでいい。なんでか知らねえが、俺は死なねえんだ。何度でも殺してくれ!

 北上と大井は俺らを無視してミカ達を狙うやつを撃て。金剛は後方で援護射撃!

 ま、こんなとこだ。

 

 いいか、何度も言うがアイツはとんでもねえ化け物だ。今までの相手とは次元が違え!

 もし仮にここで俺らがやられるか、逃すかすると、

 多分この世界でも最大級のひっでえ惨劇が起こる!そいつは何としても避けねえといけねえ。

 だから!今すぐにでもあのモビルアーマーを仕留めなくちゃなんねえんだ!

 俺らにできるのはほんの僅かな力添え程度。んで、連中は俺らを幾らでもブッ殺す用意がある。

 そんな無理難題をお前らに頼まなきゃなんねえ俺らに!

 

 どうか、お前らの命っていう名のチップを!俺に賭けてくれ!」

 

「そんなの、最初からもう賭けてますよ!オルガさん!あんなの対処できるの、

 オルガさん達くらいじゃないですか!私たちにもお手伝いさせてください!」

 


 

「加賀!ケチんな!もっと派手にかませ!そんな渋ってっと吹雪追ってんのが散らばっぞ!

 瑞鶴は派手にやりすぎだ!も少し絞ってやりやがれ!殆ど海撃ってヴァァアアァアア!!」

 

♪いつもの曲♪

 

「だからよ…止まるんじゃねえぞ…」

 

「うっさい!…にしてもほんといつまでも沸いて出てくるわね…」

 

プルーマ諸共、瑞鶴の爆撃に飲まれるオルガ。

そんな光景が何度目か続いてもなお、今だ戦況は変わらないでいた。

 

際限なく溢れ出るプルーマ。北上達や金剛の攻撃でまとめて吹き飛び、

吹雪の小口径砲でも容易に手傷を与えられるほど脆弱ではあったが、

プルーマそのものの火力もけして馬鹿にできるものではなく、

それが三日月達へと向かう事を阻止できた現状でさえたしかに大きな前進であった。

 

だがこの戦闘を長引かせている大きな要因は別にある。

 

バルバトスルプスレクスの、動きが悪いのだ。

 

多少の動作であればぎこちないながらもこなせていたが、

やがてガンダムフレームに搭載された「リミッター」が掛かり、それが噛んで自由を奪っている。

 

(…バエルは何ともないというのに、何故三日月・オーガスのバルバトスのみが…?

 それに、これは確かにあのMA…。恐らく我々が以前交戦した個体、『ハシュマル』だろう。

 そんなものが何故ここに?出現位置や艦娘を狙い、今はまだ陸地を目指さない点から、

 恐らく深海棲艦の制御下にあると見ていい。

 人を殺戮する天使とはいえ、大本を辿れば人の造りしもの。基から人ならざる者達には

 単なる玩具という事か……。だが、どこから…?)

 

残るバエルは2本の剣と自在に動く羽を生かした3次元機動でハシュマルを翻弄するも、

やはり「以前」よりも動きが良いのか、一撃を加えようとすると的確に尾で防がれる。

 

 

≪…おい、バルバトス。そろそろ目を覚ませよ。お前の敵がまた出たんだぞ。

 いい加減…寝ぼけてんじゃあ…無い!!≫

 

 

三日月がコクピットの壁を殴りつけ、「叩き起こす」と、

 

 

ルプスレクスの両目は、紅く輝き始めた。

 


 

「……やはり、あの海域にはモビルアーマーが…」

 

おおよそ同じような時刻/あるいは少し前、鎮守府の港。

石動・カミーチェはマクギリス達が向かっていった方向を眺め、ただ立ち尽くしていた。

 

「…准将……。何故だ…。何故、私にだけ…!」

 

彼は屈辱の中にいた。

乗っていた記録のないオルガ・イツカはともかく、

三日月・オーガスにはマクギリス・ファリド同様、モビルスーツがある。

 

だが、自分にだけは無い。

 

自分だけが、戦線に立つ彼らと違い後方での待機のみで、何の役にも立ててない。

そんな現状にいつも憤りを感じていた。

今回は、特に。

 

詳細不明ながらおおよそモビルアーマーと思しき反応を検知し、彼らが向かい、自分は残る。

 

そんな事があっていいのか。いや、良い筈がない。

2人とも、原理は不明ながら「召喚」のような形でモビルスーツを「出現させて」いた。

何が条件で、どういう仕組みなのかはあまり直接聞けるような相手でもなく。

自分に足りないものが何なのか、ただ思考し試すしかなかった。

 

うっすらと感覚的にわかる範囲や、2人の傾向を見るに、

モビルスーツへの愛着か、戦いへの熱意か、とにかくそういうものを表現するという、

あまり性に合わない真似をしたりするのがよいのだろう、と。

そう思い至り試行錯誤は繰り返したが、うまくいった試しはなく。

ついにはそんな姿を少女たちに目撃される始末。

 

本来は恥じるべきだったが、それでも自分へ向けられたのは蔑みではなく無垢な声援。

あの時はその温かさについ緩んでしまったが、今はそうもいかない。

 

「…やはり、私はここでは、何も准将のお役には立てない…か…」

 

ついに諦め、石動が場を去ろうとした時だった。

 

 

「そんなことないっ!」

 

 

「…む?」

 

「石動さんはいつも私たちのために、みんなのために頑張ってるわ!」

 

「そうよそうよ!」

「なのです!」

「はらしょー」

 

「…お前、達…」

 

振り向けば、そこに立っていたのは第六駆逐隊の面々。

黄昏る石動を見かねたのか、あるいはたまたま見つけたのか。気づけば彼の近くにいた。

 

「今こそ、いつもこっそりやってたの、やりましょ!今度はみんなで!」

 

「しかし…」

 

「いいのいいの!もっと私たちを頼りなさい!」

 

「…分かった。今回ばかりは、君たちの力を借りるとしよう。もしかすれば…あるいは…」

 

海に向かい5人で並び、一斉に願いを込めて叫んでみる。

 

「「「「「うおぁああああああーーーーっ!!!!」」」」」

 

「准将ぉおおおおおおおーーーーっ!!!」

 

「てーーーとくーーーーっ!」

 

「石動さーーーーーんっ!」

 

「なのですーーー!」

 

「ハラショーーーー!!!…私達これしか言ってないか?

「気にしなくていいのです」

 

少女達と共に叫ぶ。その感覚はどこか独りでやっていた鍛錬のそれとは違っていた。

それが功を奏したのか、どうなのかは分からない。

だが、足りなかったものは埋まったようだ。

 

 

 

 

 

叫び終えた刹那、空から石動達の目の前に「何か」が落ちてきた。

 

その「何か」は大きな水しぶきをあげ着水し、石動達をびしょ濡れにする。

 

「…こ、れは…!」

 

巨大な塊である「何か」を見た石動は二ヤリと微笑む。ああ、これで役に立てると。

 

 

「…第六駆逐隊。一つ、頼みたいことがあるのだが」

 

「もっちろん!…一緒に行きましょう!石動さん!」

 

すぐさま用意を整え彼らは出発した。

 

目指すはマクギリス達の向かった海域。

 

六駆の面々もこれが何かは分からないなりに理解した。恐らくは、必ず必要なのだから。




やはり燃え尽き症候群ってきつい・・・
なんで他人の作品で全力投球しちゃったかなあ・・・
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