艦隊オルガ   作:Nyose

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大幅改変ポイントなので割と申し訳ないと思いつつ初投稿です
7話編は基本的に難産になりそうですね・・・


まざりもの

 トラック島戦力回収作戦当日。

 私、吹雪は朝から提督室へと呼ばれていました。

 …何か、しちゃったかなあ?やっぱりアレかな?三日月さんがバルバトス壊しすぎで、

明石さんがついにこの度過労で倒れて、旗艦の私に責任が来たとか、そんな感じかなぁ?

 

と、とりあえず何言われるか分からないけど、まずは部屋に入らなくっちゃ!

 

「駆逐艦!吹雪!入ります!!」

 

まず私はそぉ~っと扉を開け、数歩前進。右足を軸にして回れ右。ゆ~っくり扉を閉める。

もういっかい回れ右して前を見る。

目の前には石動さん・提督・長門さんの順に立ってたり座ってたり。

失礼が無いようにという事を最優先して、がしゃん、がしゃんと音が立ちそうなくらい

一歩一歩手足を振るように近くへと歩いていく。

 

「会えて嬉しいよ、吹雪。そう身構えなくてもいい。

 別に、悪い話をするために呼んだ訳ではないよ」

 

「は、はいっ!」

 

「…手と足が一緒に出ているぞ」

 

「あっあ、すいません!」

 

提督、長門さんがそれぞれ喋る。うう、やっぱり緊張するなあ。

 

「大事な作戦の当日だというのに、すまないね。

 だが、今呼んだのは君が信用に足る艦娘だからだ、という事で納得してほしい」

 

「提督が、私を…信用?ほ、本当ですか!?」

 

「これから話す内容は機密事項でね。一部の者にしか伝えられない。

 君はそのうちの一人として選ばれた。故に気を付けてほしい事がある」

 

機密…?ってことは、あんまり話せない事が、この鎮守府で何か起きているの…?

そんな重大な事、私が聞いちゃっていいのかな?でも、それに選ばれたからには、

しっかりと聞いておかなくちゃ!

 

「はいっ!そ、それで…何か、あったのでしょうか」

 

私がそう聞くと、提督は少し考えるように、ふぅー、と息を吐き、目頭を押さえながら。

 

「……恐らくだが、この鎮守府の中に、間者が紛れ込んでいる」

 

と、重々しく口を開いた。

 

「………え……?」

 

かんじゃ…って、敵に私たちの情報を伝えている人が、いるって事…?

 

「昨今の深海棲艦の動きから推測するに、

 どこからか我らの行動が敵へ漏れていると提督は判断した。

 現にこれまでも作戦が読まれているケースが急激に増え始めている。

 あまり考えたくはないが、恐らくは高い確率で…」

 

「そんな、提督…長門さん!皆さんいい人達です!そんなのいるわけがないじゃないです!」

 

「君の言う事も分かる。が、状況が状況だ。最悪の事態は常に想定しておかなければならない。

 吹雪、君は我が艦隊の中でも特別に優秀で、信頼のおける旗艦だ。

 故にもしも、そのような素振りを見せる者がいた場合、私へ秘密裏に報告してほしい」

 

「はい!…そんな事、無いとは思いますけど……分かりました」

 

「酷な役割を背負わせる事になるかもしれない。が、君を見込んでのことだ。頼む」

 

「う、うぅ……」

 

なんだか物凄い事を頼まれちゃったなあ…。しかも、鎮守府の中にそんな怖い人がいるなんて…。

いいや!きっと提督や長門さん達の思い過ごし…だといいんだけど。どうなんだろ?

 

「私も、本当にそのような事が起きていない事を祈るよ。

 では以上だ。こんなことを言った後ですまないが、ただちに任務に臨んでくれ」

 

「了解しました…。がんばります…失礼しました…」

 

期待と不安が一度にどかっと来た私は、入ってきた時と異なり、

ゆっくりだけども振り子のように揺れながら。足はまるで擦るように、提督室を出ました。

 

扉を開けた時、入れかわりで私との話が終わるのを待っていた大淀さんが部屋へと入る。

私と違って流れるような動作で、書類みたいなのを抱えていたから、多分何かの報告みたいだ。

 

「…報告します!他の鎮守府よりMO攻略隊として軽空母祥鳳を始めとした艦隊が先行して出撃。

 天龍・龍田ら支援艦隊も同様。我々の特殊戦力回収まで合流ポイントへ向かった模様!」

 

「分かった。向こうにはこちらもすぐに出撃すると伝えておいてくれ」

 

「了解しました!」

 

報告を終えた大淀さんは、再び同じ歩数だけ音を立てて部屋を出る。

やっぱりデキる人って感じがして違うなあ。

 

「…へェ…ふーん。じゃあ、私も早くいかないと…ね」

 

こういう時の大淀さんはとにかく凛としているので、

ついそのかっこいい様子を立ち聞きしてしまった。いけないいけない。

だいじな作戦なんだし、私も出撃してがんばらないと!

 

緊張のせいか、少し頭もぼうっとするし、ほんの少し前喋った事がうまく思い出せないけど、

気にしてる場合じゃない。私は駆け足でデッキへと向かう事にしました。

 


 

数十分後 鎮守府地下 モビルスーツ格納庫

 

「…んで、今回はコレ使えばいいの?」

 

出撃直前、三日月に見せられたのは、バルバトスルプスの背に積まれた、新たな武装。

MO攻略の前段として行われる此度の回収任務、機動性を優先する為、装備は軽装が求められた。

 

「そう!今回は夕張ちゃんとの合作でね?いやあ、疲れたけどいい出来ですね!

 …その夕張ちゃんは向こうで寝込んでますけど。ま、手伝ってくれてだいぶ助かりました…」

 

「へー…こいつどう使うの?」

 

三日月がそう問いながら指さすように、この新武装はかなりコンパクトな形をしており、

遠目には単なる長方形の薄い四角のようにしか見えない。持つ部分も、使う部分も見当たらない。

疑問に思うのは自然なことである。

 

「いいとこ聞いてくれました!実はこれ、『変形メイス』って言うんですよ!

 使おうとすると、あそこがガシャーン!そんでこっちがバキーン!で…」

 

「大体わかった。もういいよ。んじゃ行くね」

 

「ああっ、ちょっとー!」

 

明石の説明に即座に飽きた三日月は、器用に自力でバルバトスと阿頼耶識で繋がったのち、

座ったシートはすみやかに機体の中へと沈んでゆく。

一方、せっかくの力作の解説を流された明石は、名残惜しく口と手を震わせ、

起動したバルバトスが歩む姿をただ眺める。

 

「あうぅ~…今日は冷たいですね…三日月くん…」

 

≪…三日月・オーガス。ガンダムバルバトスルプス、出るよ≫

 

しばらくして、カタパルトから出撃してゆくルプスを見届けた明石は、

すると途端にわけもなく自分に悪寒が走っている事に気が付いた。

 

修理整備を一任されている立場上、スパイの噂はそれとなく提督の周辺から聞いている。

――彼女の考えでは深海がそのような動きを始めたのは、『彼らが来てから』だ。

 

「…れ?なんでしょうかね?この嫌な予感。…三日月くん、今回も無事に帰ってくるといいけど」

 


 

「准将、駆逐艦・吹雪に例の件についてお話になられたのですか?」

 

「ああ」

 

「…その、如何でしたでしょうか」

 

「む、そうだな…。あの様子からすれば、彼女は間違いなくシロだろう。問題ない」

 

「では一体どこから情報が…?」

 

「それについては全く見当がつかない。石動、視界に収まる範囲でいい。

 出来るだけ彼女たちを観察して怪しい所が無いか、調べろ。現状我々にできるのはその程度だ」

 

「…了解しました」

 

「それと石動、後でモビルスーツデッキに来てもらおう。試したいことがある」

 

「…はっ」

 

「おそらくこの実験がうまくいけば…我々が『何』なのか、その解へと近づけるだろう」

 


 

鎮守府近海 -第五遊撃部隊 目的地へ向け高速巡行中-

 

部隊全員が発進し、バルバトスとの合流も果たしてしばらく経った頃。

 

「…翔鶴姉、ごめんね…」

 

皆珍しく静かにしている原因が、メンタルが安定せず姉まで駆り出させた自分ではないか、

そう思ったのだろう。瑞鶴がぽつりと弱音を漏らす。

 

「もう…何言ってるの。私は瑞鶴と一緒に出撃できて、本当に嬉しいのよ?

 一航戦の皆さんが出撃できない今こそ、私達が頑張らなくてはね…」

 

「そうだ。俺たちも、そんでお前も。今まで積み上げてきたもんは全部無駄じゃねえんだ。

 これからも、止まんねえ限り道は続く」

 

「ちょっ、オルガ、何私達姉妹の会話に入ってきて…」

 

「ああ、勿論何があったかなんて知らねえよ。

 が、アンタの過去に何があったか、なんてのは正直どうだっていい」

 

「ッ…!」

 

「でもよ、ソイツをいつまでも悔やんだって仕方ねえ。大事なのは今だ。

 今、何が出来るか。そうしていかねえと、それこそ過去に対して報われねえよ」

 

「…オルガ……でも、アタシは…」

 

「前を向け、瑞鶴。今俺らにできんのは1つだ」

 

「…?」

 

「止まんねえ事だ。ただ進み続けるだけでいい。だからよ…止まるんじゃねえぞ…

 

オルガが瑞鶴にそう激を飛ばすと、やはりというか、

自分が喋った言葉の影響で、海の上を走っていた姿勢は瞬く間に崩れ落ち、

彼女たちのはるか後方へ流されながら♪いつもの曲♪を流した。

 

「…何よ、あんなんになってまで…」

 

「でも、ちょっと元気出たでしょう?頑張りましょう、瑞鶴!」

 

「…そうね、特に今回は…大事な作戦、らしいからね!でしょう?吹雪!」

 

「っ!はいっ!私たちの目標は―――」

 


 

ほぼ同時刻 とある海底

 

「動キガ…アッタヨウダナ。コチラモイイ知ラセガアルゾ」

 

いつにもまして上機嫌な様子を見せる、欧州水姫。その足取りは軽く、

暗闇の中に潜んで黙々と作業をする『白い少女』へも今日は気安く話しかけていた。

 

「へえ、何かアっタんでスか?いっソ、貴女モ今日ハ出てみルのはドうでショウ?

 私ガ『見た』様子デすと、今回は敵ガ複数同時に動いてるヨうなので、人手が欲しイでスね」

 

「ウム、ヨクゾ聞イテクレタ。ワタシノ一番ノ部下ガ、修復二成功…シテナ…」

 

「修復?…欧州デ、ヤケに硬イ船に乗っテた連中二殆ド倒されテたン…でシたよネ?

 こチらの配下モ、今ヤ目立つノはあノヲ級ちゃンくライでスし、助かりマす。

 どんナ子ナんでスか?」

 

白い少女もまた、機嫌がいいのか軽い様子で返す。

しかしここで大したことのない名を挙げようものなら潰されかねない為、

欧州水姫は一瞬考えたのち、意気揚々と答える。

 

「聞イテ驚ケ。戦艦仏棲姫、トイウ、装甲二関シテハワタシヲモ上回ル…。

 恐ラクハ、深海最硬ヲ誇ル優秀ナ者ダ!ソコデ頼ミタイ」

 

「何デしょウ?」

 

「アイツヲオ前ノチカラデ、ヨリ硬クデキルカ?長所ヲ伸バセバ、

 恐ラクアノ巨人ノ一撃モ耐エラレル。ソレホドマデ二強固ナ守リ二優レテイルノダ」

 

「面白そウでスね!いいデしょう!あと貴女モ今回ハ出テ下さイ。その位ハ安イでスよネ?」

 

「2手二別レテルノダッタナ。イイワヨ?期待通リ二、コノ海駆ケ巡ッテミセル」

 

「向こウが2面なラ、こちらハ3つデ行きマしょウ。

 マず、適当ナ奴等が集まっテる場所ガありマす。こコは貴女一人で充分デしょウ。

 数がいルようでスし、解析時ノコピーでモ持っテいくト楽だト思いマす。

 もうひとツは…そノ仏棲姫さンと…うちのヲ級ちャん、あトついデで、

 前にホっポちゃンが作ッタノノ応用、あレももっテ行クといイでスね」

 

「……アー、後デメモヲ用意シテ貰エル?」

 

「簡単にまとメまスと、今回ノ目標は―――」

 


 

 

 「 『 ト ラ ッ ク 島 で す ! ! 」 』




ドラマパートがDKSGてかなり手間取りました
本当に申し訳ない そろそろ戦闘だから気合いが入ると思います
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