艦隊オルガ   作:Nyose

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どんどん不穏になっていくが止まれないので初投稿です
あ、あと間髪浅めでまたヤバい回です 警告いるならつけます


疑念と暗転のクレッシェンド

 幾らかの中継地点での休憩と補給を済まし、それ以外には特に何事もなく進み続けてしばらく経った頃。

心なしか、やや遠くの方の空が曇ってきました。まだ距離はあるけれど、恐らくはスコール。

…もし私が敵だったら、この辺りで待ち伏せるかな、と思えてきたので少し指示を出してみる。

 

「…翔鶴さん、瑞鶴さん。索敵機を出してもらえますか?」

 

「いいけど…風上の方に向かわなきゃ、雨が…」

 

「翔鶴姉。この子の勘はわりと当たるの。…何か、あるのよね?」

 

「はい。あくまで念のため、ですが。何もなさそうであればすぐに戻してもらって構いません」

 

実際、気のせいであればそれに越したことはないですし。

でもやっぱり、慣れない部隊のせいか、私が駆逐艦なのに旗艦をやっているのが疑問なのか、

翔鶴さんはいまいちピンとこない、といった具合で首をかしげながら艦載機の準備をしている。

 

「ま、勘とか色々あるけど、そういうところあるから旗艦にしてあげてるんだけどね

 北上さんのほうがもっと的確で素晴らしい…」

 

≪あぁ?≫

 

「ひいっ?!」

 

あはは…。相変わらず大井さんは少し変な事を言おうとしては、

三日月さんに睨まれて縮みあがってる…。完全に上下が固まってるなあ…これぇ…。

 

「でも戦闘に関しては、旗艦のくせして前に突っ込みがちで、ちょっとっていうか、

 かなり危ないんだけどね…」

 

「そんなぁ?!瑞鶴さん、ひどいですぅ!?それはその、駆逐艦のスタイルっていうか」

 

「突っ込むのは俺の仕事だ…!ヘヘッ…心配すんな。危ねえ時ぁ俺とミカがついてる。

 特に俺は…鉄華団団長…オルガ・イツカだぞ…!弾避け・囮はお手のモンだ…!」

 

「一緒に出るのが初めての私が言うのも何だけど…それ、自慢していいものなの…?」

 

「こんくれぇなんてこたぁねぇ…」

 

「オーウ!それ、私も同感デース!」

 

「勘弁してくれよ…」

 

あ、オルガさんが金剛さんにだけは言われたくない、みたいな顔してる。

まぁ…なんて言うか、オルガさんも相当キテレツだけど、この人も…気持ちは、分かります…。

 

「ふふっ。瑞鶴が楽しい部隊にいるってことはとりあえず分かったわ。

 それじゃ、偵察出すわね」

 

「はい。なるべく広範囲でお願いします」

 

潮風に長い白髪をはためかせ、矢筒から艦載機の「もと」を1本取り出した翔鶴さんは、

そのほぼどうみても弓矢のような形をした物を弓を使って放ち、

適度な高さへ上がった矢は6機ほどの偵察機へと姿を変えました。

 

いつみても空母系の方達が使うこれは正直言ってよくわかりません。視界共有だとか、

遠隔操作だとか、色々な恩恵や操作の複雑さみたいな事があるらしいんですけれど。

前に暇そうだった人に多少お話を聞いてみましたが、やはり感覚的な事が多く…。

あー、聞いた人が悪かったのかな。加賀さんあたりならもっと論理的に答えてくれるかも。

もしくは、私が使えたら一発でさっくり理解できるのかも?いや、それはないか。

 

「ほら、瑞鶴も」

 

「あっ、と…分かってるよ翔鶴姉」

 

続いて瑞鶴さんも艦載機を展開。計12機の偵察機は広めの間隔をあけて散らばり、

周囲の状況を飛んで調べ始めた。

…何も、なければそれが一番なんですけれど。なんだか嫌な予感がする。

なんかこう、何もしていない間に、事がどんどん進んでいる、みたいな…。

 


 

「しっかし急に決まったよなあ。ま、確かにあの辺はこの頃敵が活発な中規模拠点?だけどよ。

 攻略作戦てのはこんなポンと部隊が編成されるもんだったっけか」

 

「まあ~…私は、天龍ちゃんと出撃できたら、あとはどんな用件でも別にいいんだけどね~?

 邪魔なのは敵でもなんでも…。あ、何なら今度天龍ちゃんとも一回…うふふふふ」

 

俺の名は天龍。世界水準越えの軽巡洋艦だ。フフ、怖いか?え?古い?………知らん。

まあなんにせよ、この黒めの衣装と眼帯、そしてなんか強そうな太刀を持った艦娘といえば俺!

隣にいるのは龍田。2隻しかいない大切な俺の姉妹艦だ。…ちょっと言動が怖いけど。

 

いっとくが俺らは強い。改二なのもさることながら、

龍田の槍と俺の刀でちょっと前に変な姫級深海棲艦を貫いてやった。強ええんだぞ。

なんか艤装と本体が分かれて行動してたけど。あんなん聞いたことねえけど。

ついでになんか明らか怪しい事を死に際に喋ってたけど。

まあそんな事は別にどうだっていい。敵のいう事だ、信用できねー。

 

そんな功績が認められたのか、今回は敵の拠点MO攻略支援艦隊の旗艦をやっている。

支援艦隊、というようにやることは多彩だ。偵察、援護、あとえーっと…。まあそんな所だな。

 

面子としては本体が火力優先めなのもあってか機動力寄りの構成。

俺と龍田の軽巡二人に、五月雨、涼風、長月、菊月。まあ、支援ってならこんな感じか。

…よくやる遠征とそんなに変わらない気がするけどよー。

 

「そろそろ本隊と合流する場所みたいだけど…妙に静かねぇ?」

 

「ん…そういやそうだな…。この感じは………お前ら!急ぐぞ!嫌な気配がする…!」

 

言われてみりゃあ、この辺の海は本来もう少し波がある筈。

まさしく嵐の前の静けさ…か?。確か、あのレイテの戦いの前もこのくらい静かで、

それなのに空気はやけにピリついてた。それと似た雰囲気がする。

 

速度を上げ、合流ポイントへと辿り着いてみれば、

案の定、俺らの勘は当たっていた。

 

「加古?!加古っ!!ねえ!起きて!なんで…こんなっ!」

「この場所がバレてたの!?なん……きゃあああっ!」

「祥鳳さんが直撃?!そんな…!」

 

「…何だよ、これ…」

 

目に映ったのは、連続で発生する大きな水しぶき。幾つも立ち上がる黒煙。

海の上だっていうのに燃え盛る炎。今まさに壊滅しかかっているMO攻略部隊の姿。

見たところ、既に何人か足りない。それに今、一人やられた。…こりゃ、相当やばいな。

 

問題は、その壊滅させようとしている相手だ。

遠目でもわかる、ハッキリとした人型と、見慣れない艤装。しかもこの様子だと…。

 

――たった1体の『姫』級深海棲艦、ということになる。

 

多少整った戦力でかかれば本来そこまで難しくない筈。

が、そいつによって艦隊は既にボロボロ。なぜだ?

とりあえず相手は1体。まずはまだ小破ぐらいに見える茶髪のオッドアイ…古鷹を拾うか。

それから、よくわかんねーけどアイツを囲んで確実に撃つ。多分ここで潰さねえと…。

 

「…俺と龍田があの姫の気を引きつつ、そこでうなだれてる重巡を助ける。

 お前らはなるべく気づかれないように囲め。ヘルメットでよくわからんが、

 ぼーっと突っ立ってるあたり、多分まだ気づいてねえ」

 

メットの姫深海は、さっき一発撃った後からは動く様子はなく、

怯え切った雰囲気の古鷹を眺めている。

こっそり近づいて撃てば、仕留められるだろ。

 

「分かったわ。天龍ちゃんとわたしで、あれの相手をすればいいのね~?」

 

「はい!わたし、がんばっちゃいますから!」

「がってんだ!」

「…分かった」

「了解…」

 

「っしゃ!見るからにやべえ相手だけど、やってやらぁ!」

 

まず俺が先陣を切って突撃。

その直後に駆逐艦達は散らばり、なるべく広範囲から徐々に接近する算段だ。

流石に突っ込んでくる奴には気づいたのか、ヘルメット…いや、鉄兜の姫はこっちを向き、

砲撃を放ってきた。…よく見れば、小脇に白い楕円状のものを下げている。

艤装の一部じゃなさそうだが…。ありゃなんだ?まあいい。

 

「うらああああっ!!」

 

奴の全身に幾つも付いた砲の射撃をかいくぐり、振り上げた太刀を叩き込む。

だが奴は鎧か、あるいは機械のように見える腕で俺の一撃を受け止めた。

 

「っつ~!硬ってえ!」

 

「なら次はわたしねぇ~…?それっ!」

 

今度は龍田が槍をプロペラのように回転させ、そこから繋げて横薙ぎを食らわせる。

振りがすっげえ速くて軌道は見えなかったが、

位置的に頭に命中。衝撃で辺りに衝撃波が広がった。これなら流石に…。

 

「………ソンナ、モノカ」

 

「…あらあらぁ」

 

…は?あいつ、今のをメットで耐えた上に、ピクリとも動じてねえ?!

鉄兜にも傷一つついちゃいない。どうなってんだ、ありゃ。

 

と、睨みあっていたらまた奴の背負う砲口が俺と龍田に向けられた。

至近距離だぞ、お構いなしかよ。

 

「っぶね!」

 

間一髪引き下がって避けれたが、目の前はデカい水柱で視界が塞がれる。

いい機会だ。もっと下がるついでに戦意喪失してるそこの重巡を拾っておくか。

 

「おい!大丈夫か?!何だよアイツ、なんでいんだよ!?」

 

「あ……。合流地点、しばらくいたら急に…そしたら…あの変なので、みんな…!」

 

だいぶ動転してんな。仕方ない、長月と菊月に運ばせて先に撤収させておこう。

残りの面子で、ギリギリなんとか…なるか?

 

「あー、分かった。とりあえずアレは俺らで何とかする。護衛分けてやっから休め。

 後は、任せろ!速攻で叩き潰してやっからよ!」

 

すぐに二人ほどこの負傷者に付け撤退。俺らは引き続きこの得体のしれない深海の相手。

なに、さっきのは多分まぐれだ。この数でも充分勝ち目はある。

 

「おし!五月雨!涼風!今だ!」

 

残した方の駆逐二人による一斉雷撃。たぶん命中。再び上がる水柱。

追撃で俺らも魚雷を発射。さらに全員で砲撃連射のおまけつきだ。これもどんどん当たっていく。

幾つも水しぶきと爆発が起きてっからな。手ごたえは確かだ。

 

 

「…やったか!?」

 

 

4人がかりで相当量の艦砲をぶっこんだ。

これで耐えれてるなんて…流石に…ねえ…よな…。

舞い上がった硝煙が晴れていく。そこには見事ブチのめされた深海の姿が……出…。

 

「…今ノハ、少シ、効イタガ…モウ、カンジナイワ…」

 

「な…っ!?」

 

鉄兜の深海棲艦は多少手傷は負っていたが、案の定まだまだピンシャンしてやがる。

なんだよこいつ…化け物か?でもって向こうの砲撃は1発でも食らえばこっちがやられる。

とんでもねえ戦闘力…こんなんがまだ…いや、もしやこいつが深海側の新しい司令塔と見た!

 

「…なら今すぐ!何としても始末しなきゃなんねえ!なあ!」

 

「そうねぇ~~~!今度は、本気で、行きますよぉ~~~っ!!」

 

こうなりゃこっちも必死だ。俺と龍田で、同時に斬りかかる。

多少は脅威判定してもらえたようで、今度は向こうも左手に握る小型砲をナックル代わりにして、

攻撃と防御に使ってくる。俺の太刀を受け、龍田の槍を流し、殴る。

負けじとこっちも突き、薙ぎ、払いととにかく武器を振るった。

が、やはり向こうは耐久も装甲も並みの姫級深海艦とは違うようで、

何度か刃が通ろうとまったくダメージとして認識してっか怪しい。

 

「ック…ソロソロ面倒ダ、アト何回カ知ラナイガ、ココデ使ウカ…?」

 

鉄兜の深海棲艦がそう言うと、腰のあたりに下げていた白くて長い楕円型の道具を取り出す。

よくわかんねーが、その取り出す瞬間、奴の動きは止まった。

 

「ハッ!貰ったあああ!!」

 

「あはははははっ!!」

 

狙うは首。太刀と槍の2つの刃は、両側面から奴の首めがけ一直線に走った。

 

 

が。

 

 

「なっ!?」

 

「えっ?」

 

 

突如として眼前を砲弾が走る。俺らと敵の間に大きな水しぶきが上がる。

視界が塞がり、刃は行先を見失う。

方向からして目の前のコイツが撃った弾じゃねえ。

と、なると…。

 

「あ…っ!ごめんなさい!」

 

何だよ…五月雨か。

まあ、さっきっから俺らが接近戦ばっかで、援護する隙も無かったのも事実。

狙えたら、そりゃあ、撃つよな…。

 

「私!またドジし

 

 

                     ちゃっ

 

 

 

                               て」

「…あ?」

 

おかしいな。今、一瞬だけ出た変なピンクの光線が、五月雨を斬ったように見えたんだが。

それも、首のへん。

 

やっぱりそうだ。あの姫級が、右手に白い楕円の道具をあいつが立ってた所に向けてる。

あれか。あれでやったのか。分かんねえ。許せねえ。そいつぶっ壊して、お前も潰す。

俺は太刀を両手で握り、振り上げた状態で一気に加速。

 

すると奴はあの道具…光線銃か?それを今度は俺に向け、光が溜まっていく。

なに、俺のほうが速―――

 

≪―――――――――――――――――!!!!!!!!!!!≫

 

「天龍ちゃんっっっ!!!!!」

 

 

 

 


 

 

 

 

「…ちょっと皆さん、待ってください!旗艦向けの通信が来たみたいで…」

 

あれからさらに進み、雨雲がすぐそこまで来たところでした。

突然指揮官クラス用の回線に連絡が入ってきたので、耳を傾けてみる。

 

「…え?MO攻略部隊が、敵の攻撃を受けて壊滅?旗艦の祥鳳さんが、大破炎上?!

 支援艦隊も半数近くが撤退、もう半数の天龍さんと龍田さんとは通信途絶…?」

 

「何よそれ?!どんな敵なの?」

 

傍で聞いていた瑞鶴さんが驚きを隠せない表情で言う。

わ…私に訊かれても…。

 

「全くもって詳細不明…みたいです…」

 

「っ!どうするのよ?!私達も引き返す?」

 

「いいや、俺らの任務はその拠点攻略じゃねえ。

 あくまでトラックっつーとこの戦力を回収すんのが仕事だ。このまま行くべきだろ」

 

「…そうですね。オルガさんの言う通りです。そうだ、艦載機さん達のほうは?」

 

「そうね…。もう少し様子を見てもいいかも。瑞鶴のほうは?」

 

「こっちも全然。でも、ならなおのこと念入りに警戒しなきゃ」

 

「案外、灯台下暗しって事もあるかもネー?真下に敵がいる可能性も考えるデース!」

 

≪…敵、いないと俺やることないな…≫

 

金剛さんのいう事も尤もだ。なるべく私達も目視で辺りを警戒しつつ、

慎重にトラック島への海路を、できるだけ直短距離で進むことにしようかな。

…と、思った矢先、瑞鶴さんの表情が険しくなる。

 

「どうしたんですか?瑞鶴さん」

 

「あー…。ねえ金剛?」

 

「ホワッツ?どうかしましたカー?」

 

「あんたがそんなこと言うから…っていうのもアレなんだろうけどさ。

 それ聞いてピンと来たのよ。試しに1機ほど、全速で戻してみたの」

 

「ホーウ」

 

「…何かいやがったのか?」

 

オルガさんが聞くと、瑞鶴さんは溜息交じりに、

 

「はぁー…正解。…ついさっきまで水中にいたんでしょうね。

 多分距離的にこのまま進めば接敵するだろうから、今のうちに爆撃でも―――」

 

と言いかけた所で、

 

私達の真下で、海面がいきなり大きな爆発みたいな勢いで爆ぜた。

 

「うわあぁああっ!?」

 

「ヴヴッ!」

♪いつもの曲♪

 

「オーノーッ!?」

「うわー」

「北上さあぁあっ!!」

「あああっ!」

「ひゃああ!!」

 

うっすらとわかったのは、大きめの『なにか』が、足元から突っ込んできたらしい事。

そして、その衝撃で発生した大きな波によってもみんなも流され、濁流へと飲み込まれていった。

 

 

…三日月さんはバルバトスがあるから平気そうだけど。

 

 




なんだこの展開は・・・大丈夫なのか?
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