でもこれ済まさないと棺姫のオルガの小説版やれないんだよなあ作業ライン的に
動画の方が何ウン倍大事だけどこれからは読んでくれる友人の為だけに更新するよ!
「っう…う……結構、流された、かな…?」
真下からの敵による大波にさらわれ、視界が真っ白になること何十秒か。
ようやく動ける程度に海面が落ち着き、目の前がはっきりと見えるようになった。
まずは、状況の確認。他のみんな、いない。武器、ちゃんと手に握ってる。
位置は…どこだろうここ。振り向くと、さっきの雨雲が少し近くに感じる。けど、あれは私が動いたのか雲が……多分、私のほうかな?
再び前を向く。
私達が散り散りになった後に追ってきたのか、やや遠くの水面に艦影が3つ。
……形からたぶん駆逐級。こっちに向かってくる。あのくらいなら…!
「っとと、その前に……皆さん!聞こえますか?応答してください!」
慌てて私は砲を構えようとした手を止めて無線をつないでみる。
みんなの無事を確認するのは忘れちゃいけない…よね…。
≪オーウ!やっとつながったネー。ブッキー!≫
≪こちら北上ー。金剛さんと一緒だよー。そっちに大井っちいるー?≫
≪北上さん!今どこですか!?こっちは島風と一緒で…っ!敵が来た!悪いけど後で!≫
≪何だよ……俺の辺りは誰もいねぇじゃねぇか……流される最中何度も死んだってのによ…≫
オルガさんはいつも通りとして…やっぱり私達を分散させてから各個撃破を狙ってるみたい。
金剛さんと北上さんのところや、オルガさんの方にも近いうちに敵襲があると見ていいかも。
それと…瑞鶴さんと翔鶴さんからの返事がない。かなり遠くに流されちゃったのかな?
もしくはあの雨雲の中か……だとしたら多分、あの中はスコールが発生してるはず…。
「瑞鶴さん達は通じないところに行っちゃったか…。
っと!三日月さん!聞こえていますか?返事、できそうですか?」
そうだ。あの時の大波でもモビルスーツまでは流石に動かせない筈。
あの地点にとどまってる三日月さんなら、現状を引き起こした相手ともう会ってるかも!
通信の返事が遅れてるのもそのせいだとしたら…。
≪――こちら三日月、いま敵と戦ってる≫
彼女達が目を覚ました同時刻、『つい先ほどまで吹雪達のいた地点』。
こちらではすでに戦闘が始まっていた。
鳴り響く砲撃音。それは艦娘のものではなく、モビルスーツから発せられている。
「ッチ…!すばしっこい…」
通常よりも大きな体躯の、大蛇を思わせるような太い尾を持つ、白い深海棲艦。
大波に流された吹雪達の傍で、三日月・オーガスはバルバトスルプスの巨躯越しにその出現を見届けていた。
海面より浮上する瞬間、真下に向けて砲撃することで出力の高い戦艦や空母級すらも飲み込む津波を起こしていたのだが、そんなこと今はもう過ぎた現象にすぎない。
その後、残されたバルバトスはこの蛇の如き深海棲艦 ――戦艦仏棲姫との交戦を始めた。
仏棲姫は乗り物のように跨っている尾を用い、滑るようにして海上を移動。
バルバトスの射線を蛇行しながら掻い潜り、砲撃で返してゆく。
「あの大砲、当たったら痛そうだ。弾速も速い」
避けた先で大きな水柱が上がるのを見つつ、走り回る仏棲姫を追う。
徐々に距離を詰めてゆくことでより苛烈に、幾度と繰り広げられる砲撃の応酬。
交錯する弾幕は瞬く間に海域を戦火に包んでいった。
「ナンデ……ナガサレ、ナイノ…ヨォ…!」
「…………」
「アナタ…ハ…ジャマナノヨ…」
「俺も、アンタが邪魔だ」
バルバトスの砲口が仏棲姫を捉える。弾道は直撃コースを描き、秒と経たず敵へと向かう。
基本、モビルスーツによる攻撃は深海棲艦・艦娘を問わずまともに喰らえば一撃で致命傷をもたらす。
――筈、だった。
ガキョン!パキョム!
響いたのは、
普段であれば一撃必殺の筈の攻撃の被弾。だが、この戦艦仏棲姫の装甲には有効打足り得なかった。射角の問題かとも疑ったが、三日月は即決した。『火力』だと。
「……ぁん?硬いのか。なら…!」
ならば、戦い方を変える。バルバトスはバックパックからソードメイスを取り出し、加速する。
高速で接近し、その加速を乗せての打撃は腕部砲の威力を遥かに凌ぐ。
相手がいつもより『硬い敵』であろうと、これならば。
「ッ!ハァッ!」
「あ…?っ!」
振り上げた長大な鉄塊が、仏棲姫を捉えたのと同時に向こうもそれを察知した。
仏棲姫は尾に備わっている2つの4連装砲を、バルバトスめがけて全門同時斉射。接近していたため一瞬で迫るこれを、三日月は即座に回避する。
が、この時砲煙で仏棲姫の姿が隠れる。彼女の本命はこちらだった。
「どこいった……あいつ?」
気がつけば、バルバトスのモニターから仏棲姫の姿は消えていた。先の砲撃を回避した、そのほんの数瞬のうちに。
三日月は首をかしげ、辺りを見渡す。先ほどの喧騒は突如として静寂へと変わった。
しかし左右を向けど敵は見当たらない。
一度頭を掻き、後ろに振り返ろうとしたときだった。
真後ろから撃たれ、姿勢を崩すバルバトス。見ると、水面から砲のみを浮上させている仏棲姫が。
そして再び潜水。反撃に水中に向け、腕部砲を開く動作で左右それぞれに連射するも、手応えはない。
今度は左真横からの砲撃。上体を逸らし避ける。
「っ!あぁ~!面倒臭い!」
小賢しい敵の戦術に翻弄され、苛立ちを見せる三日月。水面下を高速で移動しつつ、砲だけを出し連発する仏棲姫。
バルバトスは小刻みにステップを踏むようにして攻撃をかわしてゆく。
と同時にこちらも腕部砲で相手の移動ルートに合わせ射撃。
加えてスラスターを噴射して高速で移動。結果、うまい具合に直線方向上で対面する形へと持って行けた。
「これなら…どうだ!」
水中でどうこちらを狙っているかは何となく察しがついていた。バルバトスはメイスを構えながら大きくジャンプ。
これにより相手を見失った仏棲姫はついに体を浮上させる。
――――獲った。
落下+スラスター+構えた腕の振りを加えたソードメイスの一撃が炸裂。
さながらバットに当たった野球ボールの如く戦艦仏棲姫は衝撃で遥か彼方へと殴り飛ばされていった。
「……はぁ。……やったか?」
これだけの威力を叩き込み、今度こそ姿形は視界から消え去ったのだ。もういいだろう。
三日月はバルバトスのダメージを確認し――右肩の装甲が吹き飛ばされていた程度。問題ないと判断。散らばったみんなを探すことにした。
合流地点は戦闘中になんとなく聞こえていた。あとは目立つバルバトスで行けば良いだろう。
使い終わったソードメイスをバックパックに戻し、彼はこの海域を離れた。
「はぁっ……はあっ……」
「瑞鶴、このまま進んで大丈夫なの?みんなとの合流を優先しなくても…」
「問題ない…はず。まっすぐ行けばむしろ目的地への近道になる。どうせそこで落ち合えるなら、このまま敵との交戦を避けて先に行った方が安全だと思う」
余裕のない顔の瑞鶴と、その様子を心配そうに見つめる翔鶴。
二人は今、降りしきるスコールの中を進んでいる。
敵の襲撃により散り散りに流された際、二人はひときわ遠く、前へ進むような形で流された。
激しい雨で通信もうまく繋がらず、また今の所敵の影も見当たらない為、艦載機を出しにくい現状ではわざわざ戻って合流を図るよりは、良いだろうと。
打ち付ける水に濡れながらの航海。雲は鈍い色で空を塞ぎ、変わらぬ風景はどこまで進んだのか、どれだけ経ったのかの感覚を鈍らせる。
本来、正規空母瑞鶴は艦娘の中では強い部類と評されている。しかし今はそのような素振りは微塵もなく、前に進むにつれて顔は青ざめ呼吸は乱れ、今に倒れそうに震えるただの少女の姿があった。
「ねえ、本当に大丈夫?あなたさっきから様子がおかしいわ。まさか、まだあの時の事…」
「……やっぱり翔鶴姉には分かっちゃう…いや、私が隠しきれてないだけか。…そう、怖いの。似てるの、今と…」
「………そうね。でも、今はすごく強そうな子たちもいる。それにまだ散らばっただけよ。きっと無事。また一人だけになった訳じゃないわ。ほら、あそこ、光が射してる。もうすぐこのスコールも抜け……」
進み続けた甲斐あってか、ついに雨雲の終点が見え、視界に久々の青空が映る。だが、翔鶴が晴天だと指差したその先には、別のものがあった。
「ヲ…」
「嘘……!?」
待っていたのは、仲間たちではなく敵の艦隊。
旗艦らしきエリートクラスの空母ヲ級を中心とした多数の部隊が、スコールの出口ちょうどに展開していた。
彼女達はのこのこと現れた獲物に舌なめずりするように、既に疲れ切った二人へ武器を向ける。
「あ…あぁ……!」
「っ!瑞鶴っ!」
咄嗟に弓を構えた翔鶴に対し、瑞鶴は涙目で膝から崩れ落ちた。
「何しているの瑞鶴!諦めちゃ駄目よ!」
「でも…翔鶴姉……私……ねえ、翔鶴姉!私を置いて逃げてよ…嫌なの……」
「…なら、なおさら立ちなさいよ。失いたくないんでしょう?!もう嫌だって言うんなら!今度は繰り返さないようにしなさい!!」
「翔鶴姉…」
「それに…あの背の大きい…オルガさん、でしたっけ。よくいい事いってたじゃない」
「へ?」
「止まらない限り道は続く。……ここで止まったら、それこそ『あの人』に申し訳ない、でしょう?」
「……………そうね。いっつも聞いてたのに、聞き流してた」
「ふふっ。もとの顔に戻った」
「分かった…すっごく嫌だけど、じゃ、『アレ』を使うわ。翔鶴姉」
「はい、『レイテの戦利品』ね。もしもの時は、ちゃんと戻してみせるわ」
「手綱、頼んだから!!」
瑞鶴は独り、眼前に広がる敵部隊向けて突撃する。その顔にもう涙はない。
砲撃や艦載機の射出を始めた相手に対し、進みながら真っ黒な矢を取り出し、弓につがえ、
そして辺りは火の海に染まった。
「ヲ…!?ヲ!?ヲヲヲーーーーッ!??」
敵の襲撃からしばらく。
私達散らばったそれぞれに向こうも分散させた部隊をぶつけて迎撃する作戦だったようですが、確認できた範囲では全員なんとか少ない損傷で遭遇戦を突破することができました。
合流ポイントに損傷したバルバトスが来たときはちょっとびっくりしたけど、最初に来たのが強めの姫級みたいで納得です。
あとは、はぐれた瑞鶴さんと翔鶴さんを探しに、伏兵を警戒しスコールを迂回して目的地周辺へ行くだけ。
…にしても、私が予想したのとほとんど同時に敵が来たような。…気のせいかな。勘がいいのかな?えへへ、旗艦ちょっと向いてるかも。
「にしてもひでぇよなぁ?俺のとこだけ小鬼だぜ?甘く見られたもんだよな。…一番得意だからいいけどよ」
「オルーガの銃は結構当たると評判ネー。回避が高い相手には有利デース!」
「誰が言ったか、必中カウンターだからよ…!」
「こっちは重巡がきて死にそうだったわよ…北上さん無しだったし…あの子じゃ連携しにくいのなんの!」
「大井っち中破くらいしてない?…ギリ小破だねー」
「しらなーい!」
お互いの戦況を報告しあったり、無事を確認したり。
みんなであたりをキョロキョロしたりなんだりして二人を探していると、三日月さんがバルバトスで何かを指さしました。
≪……ねえ、あれ≫
「ヲォ…ヲヲ…」
「えっ?あれは…空母ヲ級?逃げてくみたいだけど…」
見ると、そこには1隻だけで海を走る、ぼろぼろの空母ヲ級が。でもなんだろう、変わった破損のしかた。
…ところどころ小さくだけど、燃えながら撤退してる。顔の半分とかに、青い炎。けして上位の深海棲艦的なものじゃなくて、ダメージとして燃えてる。
潜って消火とかしないのかな…あ、よく見たら体が濡れてる。一回試したのかな…どういう炎だろう?
≪殺る?≫
「いや…あれならほっといていいような気がする」
「吹雪がそう言うんなら抑えるけどよ…いいのか?」
「なるべく眺めておいて、どこから来たのか逆算してみます。…もしかしたらそこに瑞鶴さん達がいるかも。どのみちあの炎で…」
「成程な…。んじゃとっとと進むか、あいつが来た方向によ」
「…ヲ?」
私達はあのヲ級が進んできた…だいたいの方向を逆行。進むにつれて焼け焦げた深海棲艦の残骸が見えてきました。
そして煙をあげてまだ燃えてる破片が出てきた頃、ついに。
「あら、吹雪ちゃん」
「ふぅーーー……待ってたわよ、旗艦」
「瑞鶴さん!翔鶴さん!無事だったんですね!」
海上に座る翔鶴さんと、その膝に寝転がって疲れた様子の瑞鶴さんの二人と合流できました!
…水の上で膝枕とか器用だなあ。
「このまま先に行って待ってようと思ったんだけどね」
「瑞鶴、だいぶ消耗しちゃって…運んでもらえる?」
≪分かった。手にのせて≫
「……こいつは全部アンタらが?」
「ま…まぁね。おかげで弾薬も燃料もカラッカラよ」
「じゃああと少し、進みましょう!もうすぐです!」
一時はどうなるかと思ったけど、これで全員、トラック島にたどり着けそうです!
何かを運ぶんだったっけ。着けばわかるとか言われたけど、一体なにがあるんだろう…?
「―――前二言ッテタ奴、コレデヨカッタワヨネェ?
≪そウでスカ。
「ダイブアチコチ動イテル作戦ネ。コノ武器ガ試セタカライイノダケレド、コノ後ハ?」
≪………陸へ。今ナら手薄でス≫
久々なんでだいぶ駆け足で済ませました 次回はいよいよあの人が!
いつになるか知らんけどお待ちくだしあ
…だいぶほったらかしてごめんね!そもどのくらい待ってる人いたやら
ニコ動に上げてる棺姫のオルガもみてね!