東方鉄拳翔~Iron Shrine Maiden~ 作:水石Q
☆今回の登場人物☆
紅美鈴:紅魔館を守護する“門番”。気配りのできる性格だが、なんか空回りしがち。仕事の事をプライベートに持ち出さないタイプ。名前の読みは「くれないみすず」ではなく「ホン=メイリン」。でも変換が楽なのでくれないみすずって打ってる。美鈴さんごめんなさい。
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轟音が耳をつんざく。地面が捲れ、土煙が視界を阻む。
霊夢と魔理沙は歯を食い縛ってその場から飛び退く。次の瞬間、先程まで二人が立っていた門柱が跡形もなく弾け飛んだ。
「あぁ、門が……またお嬢様に怒られてしまうではありませんか」
「なら壊すなよ」
軽口を叩きこそしているが、魔理沙はかなり消耗している。霊夢も近接戦闘を得意としているとはいえ、肩で息をしている状態だ。この門番、ただの門番ではない。
チルノに勝利し、霧の湖を渡った二人は、訪れた紅魔館の門前でこの妖怪に出会った。龍の刺繍があしらわれたチャイナ服に燃えるような紅い長髪を湛えるこの“門番”は、門を越えようとする二人に突然攻撃を仕掛けてきたのだ。
感じられる霊力の小ささから、彼女の力量を侮っていた二人は、“門番”の真髄を目の当たりにする。
「シッ!」
静かな気合と共に、霊夢が拳を振り抜く。角度、タイミング、全て最適。だが“門番”はそれを慣れた手つきでいなすと、腕が霞むほどの速さで反撃に転じた。
霊夢の正中線に連撃が叩き込まれる。霊夢の頭に星が散り、一瞬意識が飛びかけた。にも拘わらず霊夢は瞬時に持ち直し、お返しとばかりに門番の腹に肘鉄を突き込んだ。空気が叩き出される、笛のような音。魔理沙は援護射撃の為に魔法陣を展開しながら思った。
──こいつは、霊夢に似ている、と。
霊夢は生まれついて霊力が乏しく、博麗神社に奉られている神や祈祷を施した札の力を借りる事で遠距離に対応する、生粋の
対して赤髪の門番も、感じ取れる霊力の量は目を見張るほどではないものの、熟達した戦闘技能と妖怪であるが故の頑丈さによって霊夢と互角に殴り合っている。
ヒトの生みし、
ヒトならざるもの故のタフネスと、ヒトならざるものじみたタフネス。
拳聖とも形容し得る二つの紅は、お互い一歩も引く事なく拳を交わし、腕を弾き、脚を打ちつけ合う。
似ている。本当に。乏しい霊力を体術で補うファイトスタイル、そして何より。
自分の強さを脅かす者を前にして、唇を歪めるほどの闘争欲。
魔理沙はそっと手を下ろす。無理だ。あんな激闘に援護射撃なんて蛇足すぎる。箒を手に取って空に躍り上がる。
「霊夢ゥゥゥゥッ! 私は先に行く! さっさとそいつブッ倒して来い!」
霊夢は視線を寄越す事こそしなかったものの、先程より盛り返す。門番が歯を食い縛った。
「そいつはマジでやばいッ! 気をつけろよ!」
魔理沙は門を越えて館へと向かう。それに気づいた門番が追おうとするが、横合いから繰り出された霊夢の肘鉄に側頭部を打たれ地面を転がった。
「……貴様」
「あんた素人じゃないでしょ? 途中で逃げるなんて武士道精神としてどうなのよ」
「……」
門番がふっと目を閉じて笑った。
「名を訊きましょう」
「“一子相伝”博麗式戦闘術、博麗霊夢」
「“一挙専心”
門番──改め、美鈴の周りに渦を巻く霊力が、驚くほどに膨れ上がった。それは霊夢でさえ怯み、後退る力強さだった。
虹がうねる。色彩が溢れ、美鈴に集束する。それは天駆ける
「我は門番。悪魔の門番。この門を潜らんとする者、合財の希望を捨てよ」
お読みくださりありがとうございました。
今回から別行動、書き方は要検討ですね。一話につき一人ずつ戦わせるか、霊夢と魔理沙の動向を一話に詰め込むか……。
では、また次回。